〈人気YouTuber殺人未遂で逮捕〉「有名になるためにイジメ配信しよや」頭の上に生卵、コーラをかけられドライヤーで根性焼き…「ぷす」から受けた仕打ちを共演者が告白。その後「イジメ配信のことは黙っとけよ」と口止めも

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東京都中野区野方のマンションの一室で、10代の少女が交際相手の男に胸を刺されて重傷を負った事件で、警視庁野方署は2日、殺人未遂の疑いで緊急逮捕していたYouTuberの「ぷす」こと矢野麻也容疑者(30)を送検した。この事件を受けて、同容疑者がすべての楽曲の作詞作曲を手がける3人組音楽ユニット「ツユ」は、6月に予定していたライブ2公演の中止を発表。集英社オンラインの取材に、大阪時代の矢野容疑者をよく知る人物が答えた。
〈写真アリ〉マイクを片手に熱唱、挑発ポーズをとりキメ顔をする矢野容疑者。SNSでは荒れた投稿が目立っていた
警視庁野方署に逮捕されたのは、YouTubeなどで「ぷす」という名前で活動していた矢野麻也容疑者。同容疑者は先月31日、中野区野方の自宅マンションの一室で寝ていた10代の少女の胸を包丁で刺したとして殺人未遂の疑いがもたれている。同署の調べに対し、矢野容疑者は「彼女を刺して自分も自殺しようと思った」などと供述。ところが、その後の調べで「彼女とトラブルはなかった」と話しており、警視庁は犯行にいたった動機について捜査を進めている。
一連の事件を受けて、矢野容疑者がすべての楽曲の作詞作曲を手がける3人組音楽ユニット「ツユ」は1日、公式Xを更新。「お詫びとお知らせ」と題し、被害者への謝罪とともに、6月に開催を予定していたライブ2公演の中止を発表した。
岡山県出身の矢野容疑者は、大阪府にある音楽の専門学校に通っていた2012年ごろから、ニコニコ動画やYouTubeを中心にボーカロイドなどの楽曲の投稿をスタート。その後、上京を機に歌い手として活躍の場を広げ、2019年には3人組音楽ユニット「ツユ」を結成している。昨年には大人気ヤンキーSFアニメのエンディングテーマを手がけたことでも話題になった。
その一方で、音楽関係者の男性は「彼(=矢野容疑者)は情緒不安定なところがあった」と証言。「ぷす」名義のXアカウントにも「音楽死ね死ね死ね……」や「自分は正真正銘のクズです」などと、多くの愚痴や不満、自虐が投稿されていた。
「麻也(=矢野容疑者)は平気で人に暴力を振るうような人間でしたよ。イジメ配信と称して、麻也にコーラをぶっかけられたり、ドライヤーの熱風を肌に直接当てられたりもしました」そう語るのは、大阪時代の矢野容疑者をよく知るAさん(男性)だ。知り合ったきっかけは今からおよそ11年前、YouTubeでのコラボ動画だったという。
「もともと麻也はボカロP(プロデューサー)として活動する前は、YouTubeにペン回しの動画をアップする『ペンスピナー』としても活動していました。自分も同じような動画を投稿していたので、その繋がりで知り合ったんです。そのころから麻也は金髪で、ペン回しのほかにも、好きなデスメタルの曲とかアニソンの曲なんかもYouTubeにアップしていて『これからはボカロPとして生きていく』とも語っていました。自分と少ししか年が変わらないのに、将来に向けた明確なビジョンを持っている麻也には憧れみたいなものはありましたね。ボカロに対しても、彼なりにマーケティングして商売として勝とうと戦略を立てていたし、かっこいい先輩みたいな存在でした」(同)
しかし、Aさんと親交を深めていくうちに、だんだんと麻也は本性をあらわにした。「初めて麻也の家に行ったときに、自分はペン回し用のペンを持っていったんですけど、彼が『これ回しやすいやんけ』と言うので、あげたんです。
ところが、つぎに麻也の家に行ったら、そのペンが真っ二つに折られて床に捨てられていて、理由を聞くと『なんか腹立ったから折ったわ』とヘラヘラ話していました。それと、麻也は僕のことをよく肩パンしてきましたね。なぜか急に『あかん、なんか腹立ってきたから殴らせろ』とか言って、肩をボンッと殴ってくる。当時からそういう衝動的なところがあったというか、暴力性は確実にありました」(同)
また、Aさんは矢野容疑者にこんな悪口を言われたこともあったという。「当時まだ女性経験がなかった僕に対して、『なんやお前、まだ童貞なんか』みたいな感じでやたらとバカにしてきて、そこから童貞イジリをされるようになり『○○(Aさんの実名)と名前がつくやつはみんな童貞やな』と無神経なことを平気で言ってきました。たびたび容姿もイジられて、ちょっと外で変な人を見たら『こいつキモイな、A以下の存在やん』とも言われました。当時は顔には出さなかったけど、やっぱり精神的にはキツかったですね」(同)
一連の流れを振り返り、Aさんは「いま思うと、麻也は自分より下だと思った人間に対してはとことん強気に出てきました」と、肩を震わせた。調子に乗った麻也の行動はさらにエスカレートし、やがてたどり着いたのが”イジメ配信”だったという。「当時は『迷惑系』とか『炎上系』といった配信者は少なかったので、とにかく過激なことをすればニコ厨(ニコニコ動画の視聴者)が食いついてくるという風潮があったんです。
そこで麻也も『有名になるためにイジメ配信しようや』と言ってきて、その標的とされたのが僕でした。彼には『俺が適当にやるから、お前はそれに乗っかって適当にリアクションしてくれればええから』と言われて生配信が始まったのですが、ヤラセとはいえめちゃくちゃされました。それこそ頭の上で生卵を割られたり、コーラをぶっかけられたりするのは序の口で、ドライヤ―の熱風が出る吹き出し口を肌につけられて根性焼きみたいなこともされて、正直キツかったですね。この配信の件については、麻也がボカロPとして売れ出したころにLINEがきて『イジメ配信のことは黙っとけよ』と口止めされました」(同)
そんな矢野容疑者については、#1の記事で知人が「会うたびに違う女性を連れていた」と証言していたが、女性関係についてはどうだったのか。「女性と遊んでいるイメージは強かったですね。当時は、GREE(=グリ―)で自分のアバターを作っていろんな人と交流するゲームがあったんですけど、そこで仲よくなった女性と関係を持ったことを報告してきたこともありました。
彼は音楽に詳しいので、バンドが好きなサブカル系の女の子を捕まえていました。自分が麻也の家に行ったときも、わざわざ地元から同級生の女の子を呼んでいて、二人はいい感じの雰囲気でした。その後、その子に関して『あんな女もうええ、捨てたわ』とか話してましたし、ボカロPとして活躍しだしてからは、そこそこ有名な歌い手さんと体の関係になったそうで『アイツとヤッたわ』と自慢気に話してました」(同)
その後、矢野容疑者はボカロPとして活躍し、上京してからは「歌い手」としても脚光を浴びることになる。日本最大の同人誌イベント「コミックマーケット」(通称・コミケ)でも、「ぷすわーるど」というサークル名で出展。同イベントで長年にわたりスタッフとして勤務する男性は「ぷす」の印象についてこう語る。「業務上の注意をしにいったときも『今日はよろしくお願いします』とか『列が長くなるかもしれませんが、すみません』みたいな感じで、紳士的に対応してくれました。
ぷすさんはほかの有名な歌い手さんとコラボした限定CDを販売してましたが、それを目当てに何千人もの参加者が列をつくっていて、そのほとんどが中高生の女の子って感じでしたね。ただ、関係者からは『(ぷすは)周りの歌い手と不仲で避けられている』みたいな話も聞いたことがあって心配してたんです。そうしたらこんな事件が起こってしまったという感じで……」(同)仕事でも成功を収め、順風満帆のはずだった矢野容疑者は、なぜこのような事件を起こしたのか。真相解明が待たれる。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected](Twitter)@shuon_news 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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