親になって初めて分かった猜譴玄関に茶碗を持ってきた理由瓠\諺阿謀舛┐燭った「ごめんなさい」と「ありがとう」

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シリーズ読者投稿~会えないあなたに伝えたい事~ 投稿者:Nさん(50代男性)
母の日を前に、50代の男性読者・Nさんからお便りが届いた。
それは、3年前に亡くなった母親への気持ちを綴ったものだった。
<Nさんからのお便り>
1968年生まれ、今年で56歳となる男性です。
今は亡き母へ、今更ながら御礼とお詫びをさせて頂きたく思っております。
小学校3年生の頃、朝が苦手などこにでも居る小学生男児だった。
ギリギリの時間まで爆睡し、母の作る朝食を大口開けてかきこんで、ランドセルの蓋をバタつかせながらダッシュで学校に向かうのが毎朝のこと。
ただ、その日は少し寝すぎた。
そして、散々起こそうとしていた母に向かって開口一番「なんで起こさないんだ!!」。
「朝ご飯なんか要らないから!」と理不尽に逆ギレし、ランドセルにその辺の教科書を詰め込み、玄関へダッシュした。
そんな私を母が玄関まで小走りで追いかけてきた。
手には、「食べやすいように、栄養摂れるように」と作ってくれた卵かけご飯。しかし「要らない!!時間無い!!」と私。
ここで母は、卵かけご飯をスプーンにのせて私の口に運ぼうとしたのだが……。
私はそれを、左手で払った。その瞬間、ガシャーン。
母が持って来てくれた卵かけご飯は、お茶碗ごと玄関の下駄箱の上に落下。
母がうっすら涙を浮かべてそれを拾い集め、「気を付けて行きなさい」と言った。
私は無言で家を出た。
滑り込みで学校に到着し、教室に入り着席すると、左袖に違和感。
触ってみると、卵かけご飯がこびりついていた。母の手を振り払った際に付いたのだろう。
何気なく口に運んでみたらなんとも美味しい。
玄関での母を思い出し「なんてことをしてしまったんだろう」と後悔した。
母がうっすら涙を浮かべていたなと、私も涙が出てきた。
「帰ったらすぐに謝ろう」とその時は真剣に思った。
ただ、小学生の私は帰宅する頃にはその思いをすっかり忘れ、ランドセルを放り投げて遊びに出掛け、謝るどころではなくなってしまった。
母はいつもどおりだった。
女手一つで私を育ててくれた母も、3年前に亡くなりました。
今、私にも子供がいる。
子供が出来て初めて思うことも多く、母の気持ちが痛い程分かる。
玄関まで茶碗を持って来てくれた時の気持ちが、痛い程分かる。
母へ。
あの時は本当にごめん。
謝ろうと思いつつ、ありがとうと言わなきゃと思いつつ。
結局言わないまま今日を迎えてしまった。
あなたから頂いた無償の愛を、これから子供たちに受け渡します。
ごめんなさい、そして、ありがとう。
「お母さんに伝えたい気持ち」募集中
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(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談を編集して掲載しています。あらかじめご了承ください)

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