「作業中にバットで殴られた」「ナイフで刺された」事例も…ゴミ清掃員歴11年目のマシンガンズ滝沢秀一(46)が感じた“職業差別”の実態 から続く
芸人とゴミ清掃員の二足のわらじで環境問題に取り組む、マシンガンズの滝沢秀一さん。
【画像】ルールを守らない“けしからんゴミ”の写真も…マシンガンズ滝沢さんの写真を見る(14枚)
10年以上の清掃員歴の中で遭遇したけしからんゴミや、ゴミから見える民度など、“出口”から見える真実を聞いた。(全2回の2回目/前編を読む)
マシンガンズ滝沢秀一さん
――(運ばれてきたアイスコーヒーを飲む滝沢さんを見ながら)ストローは使わないんですね。
マシンガンズ滝沢秀一さん(以下、滝沢) 余計なゴミは出したくないんで基本、使わないですね。
――もしかして、この会議室にくる途中にあった文藝春秋社屋のゴミ置き場もチェックされてましたか。滝沢 見ましたね。中身まではさすがに見てませんけど、ゴミボックスがきっちり種類ごとに分かれていましたし、溢れてもなくてきれいでしたよ。だいたい、ゴミ置き場の汚い会社は6年以内に潰れます。――リアルな数字ですね。滝沢 実際、SDGsを謳っているテレビ局なんかでもめちゃくちゃゴミ箱が溢れかえってたりするんでね。――そのテレビ局の行く末が心配です。ゴミ置き場が汚い会社が潰れるというのは、ゴミに民度や社風が出るということですか。滝沢 使っていないものはゴミとして出てこない。「出口」は嘘をつきません。「本麒麟」が本当に売れていることも、ココナッツオイルが飽きられたことも、日々ゴミを見ていると全部わかるんですよ。 ゴミを捨てるときって、誰もその中身を見ていないでしょう。だからその人が“むき出し”で出るんです。ベテラン清掃員が大声で「触るな―――っ」と…――滝沢さんが見てきた中で、人間性を疑うようなけしからんゴミってありましたか。滝沢 可燃ゴミの中に割れたガラスが混じってて、掴んだ途端に血が吹き出たことがあります。あとは、寡黙なベテラン清掃員のおじさんが大声で「触るな―――っ」とダッシュで止めに入ってきたことがあって。そのとき僕が掴もうとした袋の中には、使用済みの注射針がびっしり入っていました。そのゴミがあった場所は普通の住宅街で、残りは全部普通のゴミ。1つだけ爆弾が混じってたんです。――予測不可能なものがふっと紛れ込んでいるのが恐ろしいですね。ベテランになると、危険なゴミにいち早く気づけるんですか?滝沢 さっきの方とは別の方なんですけど、ゴミのカリスマみたいなベテラン清掃員がいて、ポリバケツを見ただけで「ありゃ重いわ」って。で、持つとマジで重いんです。――透視能力みたいですね。滝沢 「ゴミの気ィ見りゃわかんだ、気ィ見りゃ」って言ってますね。ときどき、これもけしからんゴミですけど、自分がゴミを出し忘れたくせに、クレーム入れて清掃員に再回収させる人がいるんです。そういうゴミは、「申し訳なさそうな気」が出てるって。――嘘をついて出したゴミだから、その後ろめたさがゴミに出てると。滝沢 「さっき慌てて置かれたから肩身が狭いんだ。収集時間に合わせてちゃんと置かれたゴミは堂々としてて佇まいが違うだろ」って言うんですけど、それはさすがに嘘じゃないかと(笑)。 でも、ベテラン清掃員の話でもすごく共感したのが、「昔も今も、金持ちほどゴミが少ない」という話。これは本当にそうなんですよ。ゴミの量からわかる“日本人の今”――お金持ちほどモノに溢れた生活をしていそうですが、ゴミは多くないと。滝沢 はい。一般的な住宅のほうが、ゴミの量は圧倒的に多いです。ファストファッションや100均の影響もあって、みんなバンバン買ってバンバン捨てるんですよ。緊急事態宣言期間中は100均のプラスチックカゴを死ぬほど回収しました。あとは梅酒の瓶。日本人は梅酒の自作を禁じられたのかと思うほどの量でしたね。――プラスチックカゴも梅酒の瓶も、買ったはいいけど結局ほとんど使わずホコリをかぶっていそうなものですね。滝沢 金持ちのゴミが少ないのは、本当に欲しいモノしか買わないからじゃないかと思いました。高級住宅地からは大量の缶チューハイも出てこないし、爪切り7つとかも出てこない。「安さ」でモノを買わないし、たぶん室内が整理整頓されているから、無駄な買い物もない。で、その傾向はバブルのときも今も変わっていないんです。――滝沢さんはゴミの多さについて警鐘を鳴らしていますが、「金持ち=ゴミが少ない」と考えると、今の日本は貧しいことになります。滝沢 めちゃくちゃ貧乏になっていると思いますし、このゴミの多さを見ている限り、今の状況からずっと脱却できないと思います。だって、安いものしか流れてこないですもんね。世の中の指標が「安さ」である以上、ゴミは減らないですよ。――ゴミを減らすには何が必要ですか。滝沢 学校で教えるべきだと思います。あと、ゴミに関してストレス溜まってる人ってけっこう多いんですよ。僕、いろんなところで講演会やってるんですけど、質問ありますかーって聞くと、「何回注意してもゴミ出しをちゃんとしてくれない人がいて!」って、質問じゃなく怒り出す人が絶対いる(笑)。だから、ゴミの話をできる受け皿があったら、それもまたゴミを減らすアクションにつながると思います。――自分も今思いっきりストロー使ってましたけど、滝沢さんと話して止めようって思いました。滝沢 やっぱり、一人ひとりの力ってめちゃめちゃすごいですよ。だからこそ、それが積み重なると暴力にもなる。なんとなく毎日買ってるペットボトルを水筒に変えるだけで、お財布にも地球にも優しいアクションになります。 僕は、10年前にちょっと無理して5000円で買った水筒をいまだに毎日使ってます。アンティークものになってますけど、高いものを買うとそう簡単に捨てられないんですよ。なぜゴミ清掃員として現場に出続けるのか――下世話な話ですけど、お金的な話でいえば、滝沢さんはもうゴミ清掃員の仕事を辞めても問題ないですよね。どうして続けてるんですか。滝沢 3年前の台風19号で多摩川が氾濫したとき、災害ゴミがめちゃくちゃ出たんです。そのゴミを回収しに行ったんですけど、すごく生臭かったんですよ。箪笥とかにも水が染み込んじゃって、拭いても臭いが取れなくてね。でもこれって、テレビとか週刊誌の報道だけじゃわからなかったことなんですよね。――現場に行かなきゃわからないことがあると。滝沢 講演で環境のことやSDGsのことを話したりするわけですけど、現場で見たことを自分の言葉で伝えないと、誰にも響かないんじゃないかと思ってて。 今、日本のプラスチックゴミって国内だけじゃ処理しきれなくて発展途上国とかに運ばれてるんです。でも、その発展途上国でも処理コストの問題などもあって、結局、川にドボドボ捨てられてるケースもある。で、それがまた海流に乗って日本に戻ってきてるという嘘みたいな話もあるんです。――因果応報的な話ですね。滝沢 小説で『おーい でてこーい』という星新一先生の作品があるんですけど、穴の中に入れたら、上からまた同じものが降ってくるんです。今のゴミをめぐる状況ってまさにそれですよね。だから、発展途上国に行って現状を確かめたいと思ってます。「ゴミがなくなったらゴミ屋は上がったりじゃないか」――滝沢さんは今、環境省のサスティナビリティ広報大使でもあります。芸人を続けようと思ってはじめたゴミ清掃の仕事でキャリアが激変しました。滝沢 あと、本もいっぱい出しました。これから環境に関する会社もやろうと思ってます。昔の日本人って、ひとつの道を極めてこそ立派な大人、みたいな価値観だったと思いますけど、今ってそういう時代でもないですよね。好きなことならなんでも、いくつでもやればいいと思ってます。――お子さんは、滝沢さんの仕事をどんな風に認識しているのでしょう。滝沢 芸人と清掃員の二足のわらじでやってるのをずっと見てきてるから、「大きくなったらゴミ屋さんと何屋さんやろうかな~」と言ってて、大人は2つ仕事をするものだと思ってるみたいですね。 僕自身はもう何屋でもいいと思ってて。環境の活動をしてると、「ゴミがなくなったらゴミ屋は上がったりじゃないか」みたいないじわる言う人がいるんですけど、そういうことじゃないですよね。ゴミがなくなったらリサイクル屋になってもいいし、ゴミがなくなることで儲かるシステムを構築して、賛同人を増やしていくほうがいいよね、って今いろいろ考えてます。写真=平松市聖/文藝春秋(小泉 なつみ)
――もしかして、この会議室にくる途中にあった文藝春秋社屋のゴミ置き場もチェックされてましたか。
滝沢 見ましたね。中身まではさすがに見てませんけど、ゴミボックスがきっちり種類ごとに分かれていましたし、溢れてもなくてきれいでしたよ。だいたい、ゴミ置き場の汚い会社は6年以内に潰れます。
――リアルな数字ですね。
滝沢 実際、SDGsを謳っているテレビ局なんかでもめちゃくちゃゴミ箱が溢れかえってたりするんでね。
――そのテレビ局の行く末が心配です。ゴミ置き場が汚い会社が潰れるというのは、ゴミに民度や社風が出るということですか。滝沢 使っていないものはゴミとして出てこない。「出口」は嘘をつきません。「本麒麟」が本当に売れていることも、ココナッツオイルが飽きられたことも、日々ゴミを見ていると全部わかるんですよ。 ゴミを捨てるときって、誰もその中身を見ていないでしょう。だからその人が“むき出し”で出るんです。ベテラン清掃員が大声で「触るな―――っ」と…――滝沢さんが見てきた中で、人間性を疑うようなけしからんゴミってありましたか。滝沢 可燃ゴミの中に割れたガラスが混じってて、掴んだ途端に血が吹き出たことがあります。あとは、寡黙なベテラン清掃員のおじさんが大声で「触るな―――っ」とダッシュで止めに入ってきたことがあって。そのとき僕が掴もうとした袋の中には、使用済みの注射針がびっしり入っていました。そのゴミがあった場所は普通の住宅街で、残りは全部普通のゴミ。1つだけ爆弾が混じってたんです。――予測不可能なものがふっと紛れ込んでいるのが恐ろしいですね。ベテランになると、危険なゴミにいち早く気づけるんですか?滝沢 さっきの方とは別の方なんですけど、ゴミのカリスマみたいなベテラン清掃員がいて、ポリバケツを見ただけで「ありゃ重いわ」って。で、持つとマジで重いんです。――透視能力みたいですね。滝沢 「ゴミの気ィ見りゃわかんだ、気ィ見りゃ」って言ってますね。ときどき、これもけしからんゴミですけど、自分がゴミを出し忘れたくせに、クレーム入れて清掃員に再回収させる人がいるんです。そういうゴミは、「申し訳なさそうな気」が出てるって。――嘘をついて出したゴミだから、その後ろめたさがゴミに出てると。滝沢 「さっき慌てて置かれたから肩身が狭いんだ。収集時間に合わせてちゃんと置かれたゴミは堂々としてて佇まいが違うだろ」って言うんですけど、それはさすがに嘘じゃないかと(笑)。 でも、ベテラン清掃員の話でもすごく共感したのが、「昔も今も、金持ちほどゴミが少ない」という話。これは本当にそうなんですよ。ゴミの量からわかる“日本人の今”――お金持ちほどモノに溢れた生活をしていそうですが、ゴミは多くないと。滝沢 はい。一般的な住宅のほうが、ゴミの量は圧倒的に多いです。ファストファッションや100均の影響もあって、みんなバンバン買ってバンバン捨てるんですよ。緊急事態宣言期間中は100均のプラスチックカゴを死ぬほど回収しました。あとは梅酒の瓶。日本人は梅酒の自作を禁じられたのかと思うほどの量でしたね。――プラスチックカゴも梅酒の瓶も、買ったはいいけど結局ほとんど使わずホコリをかぶっていそうなものですね。滝沢 金持ちのゴミが少ないのは、本当に欲しいモノしか買わないからじゃないかと思いました。高級住宅地からは大量の缶チューハイも出てこないし、爪切り7つとかも出てこない。「安さ」でモノを買わないし、たぶん室内が整理整頓されているから、無駄な買い物もない。で、その傾向はバブルのときも今も変わっていないんです。――滝沢さんはゴミの多さについて警鐘を鳴らしていますが、「金持ち=ゴミが少ない」と考えると、今の日本は貧しいことになります。滝沢 めちゃくちゃ貧乏になっていると思いますし、このゴミの多さを見ている限り、今の状況からずっと脱却できないと思います。だって、安いものしか流れてこないですもんね。世の中の指標が「安さ」である以上、ゴミは減らないですよ。――ゴミを減らすには何が必要ですか。滝沢 学校で教えるべきだと思います。あと、ゴミに関してストレス溜まってる人ってけっこう多いんですよ。僕、いろんなところで講演会やってるんですけど、質問ありますかーって聞くと、「何回注意してもゴミ出しをちゃんとしてくれない人がいて!」って、質問じゃなく怒り出す人が絶対いる(笑)。だから、ゴミの話をできる受け皿があったら、それもまたゴミを減らすアクションにつながると思います。――自分も今思いっきりストロー使ってましたけど、滝沢さんと話して止めようって思いました。滝沢 やっぱり、一人ひとりの力ってめちゃめちゃすごいですよ。だからこそ、それが積み重なると暴力にもなる。なんとなく毎日買ってるペットボトルを水筒に変えるだけで、お財布にも地球にも優しいアクションになります。 僕は、10年前にちょっと無理して5000円で買った水筒をいまだに毎日使ってます。アンティークものになってますけど、高いものを買うとそう簡単に捨てられないんですよ。なぜゴミ清掃員として現場に出続けるのか――下世話な話ですけど、お金的な話でいえば、滝沢さんはもうゴミ清掃員の仕事を辞めても問題ないですよね。どうして続けてるんですか。滝沢 3年前の台風19号で多摩川が氾濫したとき、災害ゴミがめちゃくちゃ出たんです。そのゴミを回収しに行ったんですけど、すごく生臭かったんですよ。箪笥とかにも水が染み込んじゃって、拭いても臭いが取れなくてね。でもこれって、テレビとか週刊誌の報道だけじゃわからなかったことなんですよね。――現場に行かなきゃわからないことがあると。滝沢 講演で環境のことやSDGsのことを話したりするわけですけど、現場で見たことを自分の言葉で伝えないと、誰にも響かないんじゃないかと思ってて。 今、日本のプラスチックゴミって国内だけじゃ処理しきれなくて発展途上国とかに運ばれてるんです。でも、その発展途上国でも処理コストの問題などもあって、結局、川にドボドボ捨てられてるケースもある。で、それがまた海流に乗って日本に戻ってきてるという嘘みたいな話もあるんです。――因果応報的な話ですね。滝沢 小説で『おーい でてこーい』という星新一先生の作品があるんですけど、穴の中に入れたら、上からまた同じものが降ってくるんです。今のゴミをめぐる状況ってまさにそれですよね。だから、発展途上国に行って現状を確かめたいと思ってます。「ゴミがなくなったらゴミ屋は上がったりじゃないか」――滝沢さんは今、環境省のサスティナビリティ広報大使でもあります。芸人を続けようと思ってはじめたゴミ清掃の仕事でキャリアが激変しました。滝沢 あと、本もいっぱい出しました。これから環境に関する会社もやろうと思ってます。昔の日本人って、ひとつの道を極めてこそ立派な大人、みたいな価値観だったと思いますけど、今ってそういう時代でもないですよね。好きなことならなんでも、いくつでもやればいいと思ってます。――お子さんは、滝沢さんの仕事をどんな風に認識しているのでしょう。滝沢 芸人と清掃員の二足のわらじでやってるのをずっと見てきてるから、「大きくなったらゴミ屋さんと何屋さんやろうかな~」と言ってて、大人は2つ仕事をするものだと思ってるみたいですね。 僕自身はもう何屋でもいいと思ってて。環境の活動をしてると、「ゴミがなくなったらゴミ屋は上がったりじゃないか」みたいないじわる言う人がいるんですけど、そういうことじゃないですよね。ゴミがなくなったらリサイクル屋になってもいいし、ゴミがなくなることで儲かるシステムを構築して、賛同人を増やしていくほうがいいよね、って今いろいろ考えてます。写真=平松市聖/文藝春秋(小泉 なつみ)
――そのテレビ局の行く末が心配です。ゴミ置き場が汚い会社が潰れるというのは、ゴミに民度や社風が出るということですか。
滝沢 使っていないものはゴミとして出てこない。「出口」は嘘をつきません。「本麒麟」が本当に売れていることも、ココナッツオイルが飽きられたことも、日々ゴミを見ていると全部わかるんですよ。
ゴミを捨てるときって、誰もその中身を見ていないでしょう。だからその人が“むき出し”で出るんです。
――滝沢さんが見てきた中で、人間性を疑うようなけしからんゴミってありましたか。
滝沢 可燃ゴミの中に割れたガラスが混じってて、掴んだ途端に血が吹き出たことがあります。あとは、寡黙なベテラン清掃員のおじさんが大声で「触るな―――っ」とダッシュで止めに入ってきたことがあって。そのとき僕が掴もうとした袋の中には、使用済みの注射針がびっしり入っていました。そのゴミがあった場所は普通の住宅街で、残りは全部普通のゴミ。1つだけ爆弾が混じってたんです。
――予測不可能なものがふっと紛れ込んでいるのが恐ろしいですね。ベテランになると、危険なゴミにいち早く気づけるんですか?
滝沢 さっきの方とは別の方なんですけど、ゴミのカリスマみたいなベテラン清掃員がいて、ポリバケツを見ただけで「ありゃ重いわ」って。で、持つとマジで重いんです。
――透視能力みたいですね。滝沢 「ゴミの気ィ見りゃわかんだ、気ィ見りゃ」って言ってますね。ときどき、これもけしからんゴミですけど、自分がゴミを出し忘れたくせに、クレーム入れて清掃員に再回収させる人がいるんです。そういうゴミは、「申し訳なさそうな気」が出てるって。――嘘をついて出したゴミだから、その後ろめたさがゴミに出てると。滝沢 「さっき慌てて置かれたから肩身が狭いんだ。収集時間に合わせてちゃんと置かれたゴミは堂々としてて佇まいが違うだろ」って言うんですけど、それはさすがに嘘じゃないかと(笑)。 でも、ベテラン清掃員の話でもすごく共感したのが、「昔も今も、金持ちほどゴミが少ない」という話。これは本当にそうなんですよ。ゴミの量からわかる“日本人の今”――お金持ちほどモノに溢れた生活をしていそうですが、ゴミは多くないと。滝沢 はい。一般的な住宅のほうが、ゴミの量は圧倒的に多いです。ファストファッションや100均の影響もあって、みんなバンバン買ってバンバン捨てるんですよ。緊急事態宣言期間中は100均のプラスチックカゴを死ぬほど回収しました。あとは梅酒の瓶。日本人は梅酒の自作を禁じられたのかと思うほどの量でしたね。――プラスチックカゴも梅酒の瓶も、買ったはいいけど結局ほとんど使わずホコリをかぶっていそうなものですね。滝沢 金持ちのゴミが少ないのは、本当に欲しいモノしか買わないからじゃないかと思いました。高級住宅地からは大量の缶チューハイも出てこないし、爪切り7つとかも出てこない。「安さ」でモノを買わないし、たぶん室内が整理整頓されているから、無駄な買い物もない。で、その傾向はバブルのときも今も変わっていないんです。――滝沢さんはゴミの多さについて警鐘を鳴らしていますが、「金持ち=ゴミが少ない」と考えると、今の日本は貧しいことになります。滝沢 めちゃくちゃ貧乏になっていると思いますし、このゴミの多さを見ている限り、今の状況からずっと脱却できないと思います。だって、安いものしか流れてこないですもんね。世の中の指標が「安さ」である以上、ゴミは減らないですよ。――ゴミを減らすには何が必要ですか。滝沢 学校で教えるべきだと思います。あと、ゴミに関してストレス溜まってる人ってけっこう多いんですよ。僕、いろんなところで講演会やってるんですけど、質問ありますかーって聞くと、「何回注意してもゴミ出しをちゃんとしてくれない人がいて!」って、質問じゃなく怒り出す人が絶対いる(笑)。だから、ゴミの話をできる受け皿があったら、それもまたゴミを減らすアクションにつながると思います。――自分も今思いっきりストロー使ってましたけど、滝沢さんと話して止めようって思いました。滝沢 やっぱり、一人ひとりの力ってめちゃめちゃすごいですよ。だからこそ、それが積み重なると暴力にもなる。なんとなく毎日買ってるペットボトルを水筒に変えるだけで、お財布にも地球にも優しいアクションになります。 僕は、10年前にちょっと無理して5000円で買った水筒をいまだに毎日使ってます。アンティークものになってますけど、高いものを買うとそう簡単に捨てられないんですよ。なぜゴミ清掃員として現場に出続けるのか――下世話な話ですけど、お金的な話でいえば、滝沢さんはもうゴミ清掃員の仕事を辞めても問題ないですよね。どうして続けてるんですか。滝沢 3年前の台風19号で多摩川が氾濫したとき、災害ゴミがめちゃくちゃ出たんです。そのゴミを回収しに行ったんですけど、すごく生臭かったんですよ。箪笥とかにも水が染み込んじゃって、拭いても臭いが取れなくてね。でもこれって、テレビとか週刊誌の報道だけじゃわからなかったことなんですよね。――現場に行かなきゃわからないことがあると。滝沢 講演で環境のことやSDGsのことを話したりするわけですけど、現場で見たことを自分の言葉で伝えないと、誰にも響かないんじゃないかと思ってて。 今、日本のプラスチックゴミって国内だけじゃ処理しきれなくて発展途上国とかに運ばれてるんです。でも、その発展途上国でも処理コストの問題などもあって、結局、川にドボドボ捨てられてるケースもある。で、それがまた海流に乗って日本に戻ってきてるという嘘みたいな話もあるんです。――因果応報的な話ですね。滝沢 小説で『おーい でてこーい』という星新一先生の作品があるんですけど、穴の中に入れたら、上からまた同じものが降ってくるんです。今のゴミをめぐる状況ってまさにそれですよね。だから、発展途上国に行って現状を確かめたいと思ってます。「ゴミがなくなったらゴミ屋は上がったりじゃないか」――滝沢さんは今、環境省のサスティナビリティ広報大使でもあります。芸人を続けようと思ってはじめたゴミ清掃の仕事でキャリアが激変しました。滝沢 あと、本もいっぱい出しました。これから環境に関する会社もやろうと思ってます。昔の日本人って、ひとつの道を極めてこそ立派な大人、みたいな価値観だったと思いますけど、今ってそういう時代でもないですよね。好きなことならなんでも、いくつでもやればいいと思ってます。――お子さんは、滝沢さんの仕事をどんな風に認識しているのでしょう。滝沢 芸人と清掃員の二足のわらじでやってるのをずっと見てきてるから、「大きくなったらゴミ屋さんと何屋さんやろうかな~」と言ってて、大人は2つ仕事をするものだと思ってるみたいですね。 僕自身はもう何屋でもいいと思ってて。環境の活動をしてると、「ゴミがなくなったらゴミ屋は上がったりじゃないか」みたいないじわる言う人がいるんですけど、そういうことじゃないですよね。ゴミがなくなったらリサイクル屋になってもいいし、ゴミがなくなることで儲かるシステムを構築して、賛同人を増やしていくほうがいいよね、って今いろいろ考えてます。写真=平松市聖/文藝春秋(小泉 なつみ)
――透視能力みたいですね。
滝沢 「ゴミの気ィ見りゃわかんだ、気ィ見りゃ」って言ってますね。ときどき、これもけしからんゴミですけど、自分がゴミを出し忘れたくせに、クレーム入れて清掃員に再回収させる人がいるんです。そういうゴミは、「申し訳なさそうな気」が出てるって。
――嘘をついて出したゴミだから、その後ろめたさがゴミに出てると。
滝沢 「さっき慌てて置かれたから肩身が狭いんだ。収集時間に合わせてちゃんと置かれたゴミは堂々としてて佇まいが違うだろ」って言うんですけど、それはさすがに嘘じゃないかと(笑)。
でも、ベテラン清掃員の話でもすごく共感したのが、「昔も今も、金持ちほどゴミが少ない」という話。これは本当にそうなんですよ。
――お金持ちほどモノに溢れた生活をしていそうですが、ゴミは多くないと。
滝沢 はい。一般的な住宅のほうが、ゴミの量は圧倒的に多いです。ファストファッションや100均の影響もあって、みんなバンバン買ってバンバン捨てるんですよ。緊急事態宣言期間中は100均のプラスチックカゴを死ぬほど回収しました。あとは梅酒の瓶。日本人は梅酒の自作を禁じられたのかと思うほどの量でしたね。
――プラスチックカゴも梅酒の瓶も、買ったはいいけど結局ほとんど使わずホコリをかぶっていそうなものですね。滝沢 金持ちのゴミが少ないのは、本当に欲しいモノしか買わないからじゃないかと思いました。高級住宅地からは大量の缶チューハイも出てこないし、爪切り7つとかも出てこない。「安さ」でモノを買わないし、たぶん室内が整理整頓されているから、無駄な買い物もない。で、その傾向はバブルのときも今も変わっていないんです。――滝沢さんはゴミの多さについて警鐘を鳴らしていますが、「金持ち=ゴミが少ない」と考えると、今の日本は貧しいことになります。滝沢 めちゃくちゃ貧乏になっていると思いますし、このゴミの多さを見ている限り、今の状況からずっと脱却できないと思います。だって、安いものしか流れてこないですもんね。世の中の指標が「安さ」である以上、ゴミは減らないですよ。――ゴミを減らすには何が必要ですか。滝沢 学校で教えるべきだと思います。あと、ゴミに関してストレス溜まってる人ってけっこう多いんですよ。僕、いろんなところで講演会やってるんですけど、質問ありますかーって聞くと、「何回注意してもゴミ出しをちゃんとしてくれない人がいて!」って、質問じゃなく怒り出す人が絶対いる(笑)。だから、ゴミの話をできる受け皿があったら、それもまたゴミを減らすアクションにつながると思います。――自分も今思いっきりストロー使ってましたけど、滝沢さんと話して止めようって思いました。滝沢 やっぱり、一人ひとりの力ってめちゃめちゃすごいですよ。だからこそ、それが積み重なると暴力にもなる。なんとなく毎日買ってるペットボトルを水筒に変えるだけで、お財布にも地球にも優しいアクションになります。 僕は、10年前にちょっと無理して5000円で買った水筒をいまだに毎日使ってます。アンティークものになってますけど、高いものを買うとそう簡単に捨てられないんですよ。なぜゴミ清掃員として現場に出続けるのか――下世話な話ですけど、お金的な話でいえば、滝沢さんはもうゴミ清掃員の仕事を辞めても問題ないですよね。どうして続けてるんですか。滝沢 3年前の台風19号で多摩川が氾濫したとき、災害ゴミがめちゃくちゃ出たんです。そのゴミを回収しに行ったんですけど、すごく生臭かったんですよ。箪笥とかにも水が染み込んじゃって、拭いても臭いが取れなくてね。でもこれって、テレビとか週刊誌の報道だけじゃわからなかったことなんですよね。――現場に行かなきゃわからないことがあると。滝沢 講演で環境のことやSDGsのことを話したりするわけですけど、現場で見たことを自分の言葉で伝えないと、誰にも響かないんじゃないかと思ってて。 今、日本のプラスチックゴミって国内だけじゃ処理しきれなくて発展途上国とかに運ばれてるんです。でも、その発展途上国でも処理コストの問題などもあって、結局、川にドボドボ捨てられてるケースもある。で、それがまた海流に乗って日本に戻ってきてるという嘘みたいな話もあるんです。――因果応報的な話ですね。滝沢 小説で『おーい でてこーい』という星新一先生の作品があるんですけど、穴の中に入れたら、上からまた同じものが降ってくるんです。今のゴミをめぐる状況ってまさにそれですよね。だから、発展途上国に行って現状を確かめたいと思ってます。「ゴミがなくなったらゴミ屋は上がったりじゃないか」――滝沢さんは今、環境省のサスティナビリティ広報大使でもあります。芸人を続けようと思ってはじめたゴミ清掃の仕事でキャリアが激変しました。滝沢 あと、本もいっぱい出しました。これから環境に関する会社もやろうと思ってます。昔の日本人って、ひとつの道を極めてこそ立派な大人、みたいな価値観だったと思いますけど、今ってそういう時代でもないですよね。好きなことならなんでも、いくつでもやればいいと思ってます。――お子さんは、滝沢さんの仕事をどんな風に認識しているのでしょう。滝沢 芸人と清掃員の二足のわらじでやってるのをずっと見てきてるから、「大きくなったらゴミ屋さんと何屋さんやろうかな~」と言ってて、大人は2つ仕事をするものだと思ってるみたいですね。 僕自身はもう何屋でもいいと思ってて。環境の活動をしてると、「ゴミがなくなったらゴミ屋は上がったりじゃないか」みたいないじわる言う人がいるんですけど、そういうことじゃないですよね。ゴミがなくなったらリサイクル屋になってもいいし、ゴミがなくなることで儲かるシステムを構築して、賛同人を増やしていくほうがいいよね、って今いろいろ考えてます。写真=平松市聖/文藝春秋(小泉 なつみ)
――プラスチックカゴも梅酒の瓶も、買ったはいいけど結局ほとんど使わずホコリをかぶっていそうなものですね。
滝沢 金持ちのゴミが少ないのは、本当に欲しいモノしか買わないからじゃないかと思いました。高級住宅地からは大量の缶チューハイも出てこないし、爪切り7つとかも出てこない。「安さ」でモノを買わないし、たぶん室内が整理整頓されているから、無駄な買い物もない。で、その傾向はバブルのときも今も変わっていないんです。
――滝沢さんはゴミの多さについて警鐘を鳴らしていますが、「金持ち=ゴミが少ない」と考えると、今の日本は貧しいことになります。
滝沢 めちゃくちゃ貧乏になっていると思いますし、このゴミの多さを見ている限り、今の状況からずっと脱却できないと思います。だって、安いものしか流れてこないですもんね。世の中の指標が「安さ」である以上、ゴミは減らないですよ。
――ゴミを減らすには何が必要ですか。
滝沢 学校で教えるべきだと思います。あと、ゴミに関してストレス溜まってる人ってけっこう多いんですよ。僕、いろんなところで講演会やってるんですけど、質問ありますかーって聞くと、「何回注意してもゴミ出しをちゃんとしてくれない人がいて!」って、質問じゃなく怒り出す人が絶対いる(笑)。だから、ゴミの話をできる受け皿があったら、それもまたゴミを減らすアクションにつながると思います。
――自分も今思いっきりストロー使ってましたけど、滝沢さんと話して止めようって思いました。滝沢 やっぱり、一人ひとりの力ってめちゃめちゃすごいですよ。だからこそ、それが積み重なると暴力にもなる。なんとなく毎日買ってるペットボトルを水筒に変えるだけで、お財布にも地球にも優しいアクションになります。 僕は、10年前にちょっと無理して5000円で買った水筒をいまだに毎日使ってます。アンティークものになってますけど、高いものを買うとそう簡単に捨てられないんですよ。なぜゴミ清掃員として現場に出続けるのか――下世話な話ですけど、お金的な話でいえば、滝沢さんはもうゴミ清掃員の仕事を辞めても問題ないですよね。どうして続けてるんですか。滝沢 3年前の台風19号で多摩川が氾濫したとき、災害ゴミがめちゃくちゃ出たんです。そのゴミを回収しに行ったんですけど、すごく生臭かったんですよ。箪笥とかにも水が染み込んじゃって、拭いても臭いが取れなくてね。でもこれって、テレビとか週刊誌の報道だけじゃわからなかったことなんですよね。――現場に行かなきゃわからないことがあると。滝沢 講演で環境のことやSDGsのことを話したりするわけですけど、現場で見たことを自分の言葉で伝えないと、誰にも響かないんじゃないかと思ってて。 今、日本のプラスチックゴミって国内だけじゃ処理しきれなくて発展途上国とかに運ばれてるんです。でも、その発展途上国でも処理コストの問題などもあって、結局、川にドボドボ捨てられてるケースもある。で、それがまた海流に乗って日本に戻ってきてるという嘘みたいな話もあるんです。――因果応報的な話ですね。滝沢 小説で『おーい でてこーい』という星新一先生の作品があるんですけど、穴の中に入れたら、上からまた同じものが降ってくるんです。今のゴミをめぐる状況ってまさにそれですよね。だから、発展途上国に行って現状を確かめたいと思ってます。「ゴミがなくなったらゴミ屋は上がったりじゃないか」――滝沢さんは今、環境省のサスティナビリティ広報大使でもあります。芸人を続けようと思ってはじめたゴミ清掃の仕事でキャリアが激変しました。滝沢 あと、本もいっぱい出しました。これから環境に関する会社もやろうと思ってます。昔の日本人って、ひとつの道を極めてこそ立派な大人、みたいな価値観だったと思いますけど、今ってそういう時代でもないですよね。好きなことならなんでも、いくつでもやればいいと思ってます。――お子さんは、滝沢さんの仕事をどんな風に認識しているのでしょう。滝沢 芸人と清掃員の二足のわらじでやってるのをずっと見てきてるから、「大きくなったらゴミ屋さんと何屋さんやろうかな~」と言ってて、大人は2つ仕事をするものだと思ってるみたいですね。 僕自身はもう何屋でもいいと思ってて。環境の活動をしてると、「ゴミがなくなったらゴミ屋は上がったりじゃないか」みたいないじわる言う人がいるんですけど、そういうことじゃないですよね。ゴミがなくなったらリサイクル屋になってもいいし、ゴミがなくなることで儲かるシステムを構築して、賛同人を増やしていくほうがいいよね、って今いろいろ考えてます。写真=平松市聖/文藝春秋(小泉 なつみ)
――自分も今思いっきりストロー使ってましたけど、滝沢さんと話して止めようって思いました。
滝沢 やっぱり、一人ひとりの力ってめちゃめちゃすごいですよ。だからこそ、それが積み重なると暴力にもなる。なんとなく毎日買ってるペットボトルを水筒に変えるだけで、お財布にも地球にも優しいアクションになります。
僕は、10年前にちょっと無理して5000円で買った水筒をいまだに毎日使ってます。アンティークものになってますけど、高いものを買うとそう簡単に捨てられないんですよ。
――下世話な話ですけど、お金的な話でいえば、滝沢さんはもうゴミ清掃員の仕事を辞めても問題ないですよね。どうして続けてるんですか。
滝沢 3年前の台風19号で多摩川が氾濫したとき、災害ゴミがめちゃくちゃ出たんです。そのゴミを回収しに行ったんですけど、すごく生臭かったんですよ。箪笥とかにも水が染み込んじゃって、拭いても臭いが取れなくてね。でもこれって、テレビとか週刊誌の報道だけじゃわからなかったことなんですよね。
――現場に行かなきゃわからないことがあると。滝沢 講演で環境のことやSDGsのことを話したりするわけですけど、現場で見たことを自分の言葉で伝えないと、誰にも響かないんじゃないかと思ってて。 今、日本のプラスチックゴミって国内だけじゃ処理しきれなくて発展途上国とかに運ばれてるんです。でも、その発展途上国でも処理コストの問題などもあって、結局、川にドボドボ捨てられてるケースもある。で、それがまた海流に乗って日本に戻ってきてるという嘘みたいな話もあるんです。――因果応報的な話ですね。滝沢 小説で『おーい でてこーい』という星新一先生の作品があるんですけど、穴の中に入れたら、上からまた同じものが降ってくるんです。今のゴミをめぐる状況ってまさにそれですよね。だから、発展途上国に行って現状を確かめたいと思ってます。「ゴミがなくなったらゴミ屋は上がったりじゃないか」――滝沢さんは今、環境省のサスティナビリティ広報大使でもあります。芸人を続けようと思ってはじめたゴミ清掃の仕事でキャリアが激変しました。滝沢 あと、本もいっぱい出しました。これから環境に関する会社もやろうと思ってます。昔の日本人って、ひとつの道を極めてこそ立派な大人、みたいな価値観だったと思いますけど、今ってそういう時代でもないですよね。好きなことならなんでも、いくつでもやればいいと思ってます。――お子さんは、滝沢さんの仕事をどんな風に認識しているのでしょう。滝沢 芸人と清掃員の二足のわらじでやってるのをずっと見てきてるから、「大きくなったらゴミ屋さんと何屋さんやろうかな~」と言ってて、大人は2つ仕事をするものだと思ってるみたいですね。 僕自身はもう何屋でもいいと思ってて。環境の活動をしてると、「ゴミがなくなったらゴミ屋は上がったりじゃないか」みたいないじわる言う人がいるんですけど、そういうことじゃないですよね。ゴミがなくなったらリサイクル屋になってもいいし、ゴミがなくなることで儲かるシステムを構築して、賛同人を増やしていくほうがいいよね、って今いろいろ考えてます。写真=平松市聖/文藝春秋(小泉 なつみ)
――現場に行かなきゃわからないことがあると。
滝沢 講演で環境のことやSDGsのことを話したりするわけですけど、現場で見たことを自分の言葉で伝えないと、誰にも響かないんじゃないかと思ってて。
今、日本のプラスチックゴミって国内だけじゃ処理しきれなくて発展途上国とかに運ばれてるんです。でも、その発展途上国でも処理コストの問題などもあって、結局、川にドボドボ捨てられてるケースもある。で、それがまた海流に乗って日本に戻ってきてるという嘘みたいな話もあるんです。
――因果応報的な話ですね。滝沢 小説で『おーい でてこーい』という星新一先生の作品があるんですけど、穴の中に入れたら、上からまた同じものが降ってくるんです。今のゴミをめぐる状況ってまさにそれですよね。だから、発展途上国に行って現状を確かめたいと思ってます。「ゴミがなくなったらゴミ屋は上がったりじゃないか」――滝沢さんは今、環境省のサスティナビリティ広報大使でもあります。芸人を続けようと思ってはじめたゴミ清掃の仕事でキャリアが激変しました。滝沢 あと、本もいっぱい出しました。これから環境に関する会社もやろうと思ってます。昔の日本人って、ひとつの道を極めてこそ立派な大人、みたいな価値観だったと思いますけど、今ってそういう時代でもないですよね。好きなことならなんでも、いくつでもやればいいと思ってます。――お子さんは、滝沢さんの仕事をどんな風に認識しているのでしょう。滝沢 芸人と清掃員の二足のわらじでやってるのをずっと見てきてるから、「大きくなったらゴミ屋さんと何屋さんやろうかな~」と言ってて、大人は2つ仕事をするものだと思ってるみたいですね。 僕自身はもう何屋でもいいと思ってて。環境の活動をしてると、「ゴミがなくなったらゴミ屋は上がったりじゃないか」みたいないじわる言う人がいるんですけど、そういうことじゃないですよね。ゴミがなくなったらリサイクル屋になってもいいし、ゴミがなくなることで儲かるシステムを構築して、賛同人を増やしていくほうがいいよね、って今いろいろ考えてます。写真=平松市聖/文藝春秋(小泉 なつみ)
――因果応報的な話ですね。
滝沢 小説で『おーい でてこーい』という星新一先生の作品があるんですけど、穴の中に入れたら、上からまた同じものが降ってくるんです。今のゴミをめぐる状況ってまさにそれですよね。だから、発展途上国に行って現状を確かめたいと思ってます。
――滝沢さんは今、環境省のサスティナビリティ広報大使でもあります。芸人を続けようと思ってはじめたゴミ清掃の仕事でキャリアが激変しました。
滝沢 あと、本もいっぱい出しました。これから環境に関する会社もやろうと思ってます。昔の日本人って、ひとつの道を極めてこそ立派な大人、みたいな価値観だったと思いますけど、今ってそういう時代でもないですよね。好きなことならなんでも、いくつでもやればいいと思ってます。
――お子さんは、滝沢さんの仕事をどんな風に認識しているのでしょう。
滝沢 芸人と清掃員の二足のわらじでやってるのをずっと見てきてるから、「大きくなったらゴミ屋さんと何屋さんやろうかな~」と言ってて、大人は2つ仕事をするものだと思ってるみたいですね。
僕自身はもう何屋でもいいと思ってて。環境の活動をしてると、「ゴミがなくなったらゴミ屋は上がったりじゃないか」みたいないじわる言う人がいるんですけど、そういうことじゃないですよね。ゴミがなくなったらリサイクル屋になってもいいし、ゴミがなくなることで儲かるシステムを構築して、賛同人を増やしていくほうがいいよね、って今いろいろ考えてます。写真=平松市聖/文藝春秋(小泉 なつみ)
僕自身はもう何屋でもいいと思ってて。環境の活動をしてると、「ゴミがなくなったらゴミ屋は上がったりじゃないか」みたいないじわる言う人がいるんですけど、そういうことじゃないですよね。ゴミがなくなったらリサイクル屋になってもいいし、ゴミがなくなることで儲かるシステムを構築して、賛同人を増やしていくほうがいいよね、って今いろいろ考えてます。
写真=平松市聖/文藝春秋(小泉 なつみ)
(小泉 なつみ)