「先生がやめて教育は崩壊」「息子が不安定に」松戸・不適切保育問題で保護者ら、すすり泣きも

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保育士による虐待等の不適切保育があったとされる梨の花保育園(千葉県松戸市)を巡り、告発した元保育士らが3月30日、市内で独自の保護者向け説明会を開いた。
現役を含む保育士や調理師ら13人が所属する「東京管理職ユニオン」が呼びかけ、保護者ら50人超が集まった。
質問が相次ぎ、予定していた1時間30分を大幅に超過。園側に労働環境改善を訴えた複数の職員が2023年6月に突然退職した一件から、保育体制が悪化したことが明らかになった。当時を思い出した職員や保護者から、すすり泣く声も漏れた。
松戸市の調査結果はこちら。
ユニオン所属の保育士らは、2月27日に松戸市に不適切保育が疑われる21件について公開通報。市が3月25日、不適切保育1件と「望ましくない関わり」2件があったという調査結果を発表し、園を運営する社会福祉法人「松峰会」に対し改善を求めた。
冒頭、ユニオンの神部紅さんは「これまでの園側の対応から4月5日の園の説明会は、疑問に応えるものにはならないと予想されるため、情報を共有したい」として急きょ開催した経緯について説明した。
複数の保護者からは、子どもを通して感じた「昨夏以降の保育園の変化」について語られた。
「先生がいなくなってからの教育は確実に崩壊していました。園児も落ち着かず、ママが昼間に呼ばれることも増えた」(6年間預けていた女性)
「手足口病が流行った時、明らかに発疹だらけなのに気づいてもらえなかった。理由もわからず、大きなアザがあったことも。毎日無事に帰ってくるか不安でした。別の子のおむつを履いていたこともあったし、しょっちゅう私物がなくなりました」(転園予定の女性)
保護者にとっては、毎日、子どもと笑顔で接していた「先生」たちが神妙な面持ちでずらりと並ぶ異常な状況で、戸惑いをあらわにする女性もいた。
「園側のパワハラは保護者には関係ありません。大きく報道されて、子どもにも不安が広がった。これ以上、物事を大きくしないで」(3月に子どもが卒園した女性)
「(5歳児クラスだった)息子は入園当時からしばらく平和でしたが、夏ごろから乱れ始めました。同じクラスの方々に迷惑をかけて、謝罪する毎日が続きました。子どもとの向き合い方が分からなくなり、卒園式までの3カ月はしんどかった。乱れる時期に、先生に向き合ってほしかった。即日退職を言い渡されるなどの事情もあったことは分かりますが、やめた先生のたちのせいにしてしまう自分もいるんです」(3月に子どもが卒園した女性)
神部氏は「公開通報などの手段は、保護者を不安にさせるリスクもあると話し合った。園や市の対応が十分でないため決断した」として理解を求めた。
虐待疑いとして通報したなかで大きく報道された、「口を縫っちゃうぞ」と針を当てたとされる案件についても話が及んだ。2022年1月に起きた事案で、行為者は既に退職。松戸市は市長名で2023年3月に注意文書を出したため、調査済みとしている。
しかし、複数の保護者によると、今回の報道で初めて事案を把握。被害児童に対して園側からの謝罪はなかったという。また、松戸市が園側の聞き取りから認定した事実では「裁縫箱から針を出して口に当てるジェスチャーをして『口を縫っちゃうぞ』などとする言動があった」とされたが、実際には複数回あり、もっと口調が厳しかったとの証言もある。
保護者の男性は「自分の子どもが刃物を突きつけられて脅されたのと同じです。度がすぎている。当時、教えてくれなかったことを残念に思う」と訴えた。ユニオン側の元保育士らは直接の目撃者がいない上、職員間でも園から情報が共有されていなかったと説明。一方、市は職員に周知するように園に指導したとしており、園が当時どのように対応したかが明確には見えてこない。
保護者らは卒園したメンバーも含めて、引き続き園に説明を求めていくという。
ユニオンがまとめた資料によると、この3月までで、職員20人が退職。園長の退任も決まっている。松戸市が認定しなかった「不適切保育疑い」の行為者の一部は4月以降に残るという。新体制では、新卒者や2年目の保育士が中心となることが予想される。
この事実に対して、4月以降も子どもを預ける保護者や、入園予定の人からは今後の保育体制への不安の声が上がった。
「まだ1歳の息子の保護者として、どうすればいいのか分からない。傷口が浅いうちに転園したほうがいいのかなとか、仕事やめてでも息子守ったほうがいいのかなと考えてしまいます」(4月に入園予定の女性)

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