小林製薬に「紅麹」問い合わせ殺到、対応できた件数は3割どまり…和歌山工場には立ち入り検査

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小林製薬(大阪市)の「紅麹(べにこうじ)」成分入りのサプリメントを摂取した人に健康被害が確認された問題で、厚生労働省と和歌山県は31日、食品衛生法に基づき、紅麹原料の製造を引き継いだ同社子会社の「梅丹(めいたん)本舗」(和歌山県紀の川市)の和歌山工場に立ち入り検査をした。
厚労省の立ち入り検査は30日の小林製薬の大阪工場(大阪市)に続き2回目で、製造工程などを確認した。
和歌山工場には午前9時半頃、厚労省と県の職員ら約20人が入り、午後2時半頃まで約5時間にわたって検査を実施した。小林製薬の山下健司・製造本部長は「これまでの社内調査で知り得た事実やデータを正確に伝え、誠実に対応したい。ご迷惑をかけて申し訳ない」と話した。
この問題では、大阪工場で製造されたサプリ用の紅麹原料が被害を招いた可能性が高いとみられている。2023年に大阪工場で作られた紅麹原料は18・5トン。23年4~10月に製造した分に青カビ由来の天然化合物で毒性が強い「プベルル酸」が含まれていることが判明している。健康被害とプベルル酸との関連性は、現段階では分かっていない。
プベルル酸は大阪工場の生産ラインには本来存在しないため、どの製造工程で含まれたかを特定する必要がある。大阪工場は1940年に操業が始まり、繊維メーカー「グンゼ」(大阪市)から紅麹事業を譲り受け、2016年に原料製造を開始。昨年12月に老朽化に伴って閉鎖され、製造設備は梅丹本舗の和歌山工場に引き継がれた。
小林製薬には消費者などからの問い合わせが殺到している。3月28日時点で110回線で電話相談に応じていたが、対応できたのは3割程度。4月4日からは280回線を確保し、対応率は50~80%に改善されると見込んでいる。相談件数が増えれば、さらに被害把握が進むとみられる。

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