「暴力団も恐れる」チャイニーズドラゴン 100人規模“出所祝い”はフランス料理店 大乱闘に「やりたい放題」だが あのマル暴が・・・

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

東京・池袋の「サンシャイン60」で起きた乱闘事件は、準暴力団「チャイニーズドラゴン」をめぐるトラブルだったことが明らかになった。荒っぽい事件を繰り返してきた彼らが、都内有数の高層ビルで、”100人規模”の出所祝いを開いていたことに、衝撃が広がっている。
事件が起きたのは、16日午後6時半ごろ、池袋の「サンシャイン60」の58階にあるフランス料理店だった。ここにおよそ100人の「チャイニーズドラゴン」のメンバーらが集結。今年8月に服役を終えたばかりのメンバーの「出所祝い」が行われていたという。
目撃者によると、その最中に、10人前後が殴り合いのケンカを始めたという。ところが、通報を受けて警察官がかけつけたところ、すでに数人しか残っていなかったとのこと。店内では、テーブルはひっくり返り、グラスが割れ、現場には血痕があったそうだ。
この事件では、20代の男性1人が軽傷を負った。他にも負傷者はいたようだが、蜘蛛の子を散らすがごとく、店から立ち去った後だったという。ケンカの原因は分かっていないが、警視庁は内輪もめの他、別の不良グループが襲撃した可能性もあるとみて調べている。
チャイニーズドラゴンは、1980年代後半~1990年代に、都内で暴れ回った暴走族「怒羅権(ドラゴン)」が源流とされる。「怒羅権」は、中国残留日本人の2世・3世が中心となって構成されていたが、日本人メンバーも加わり、勢力が拡大。
暴力団との対立抗争も辞さず、「暴力団さえも恐れる」存在とされた。そして時が経ち、捜査員の間で、「チャイニーズドラゴン」と呼ばれるようになる。
日本の警察当局は、これまで、暴力団対策法の改正を重ね、指定した「暴力団」に対する取り締まりを強化。経済活動を徹底的に制限するなどしてきた。その結果、暴力団勢力は衰退の一途をたどった。
これに対して、暴対法の”網”にかからないチャイニーズドラゴンは、暗躍を続ける。もともと強盗、脅迫、恐喝など「荒っぽい」事件が特徴的だったが、振り込め詐欺や薬物密輸などにも関与するようになった。
暴力団ではないが、単なる不良グループでもない。警察当局にとっても、チャイニーズドラゴンは、扱いにくい“集団”となっていった。
そんな中、「集団的、常習的に、暴力的不法行為」を繰り返す、いわゆる「半グレ」に手を焼いていた警察庁は、2013年、チャイニーズドラゴンを「準暴力団」と認定。「暴力団に準ずる反社会的勢力」と位置付けて、実態解明と取り締まりの強化に乗り出した。同じ年に、「準暴力団」の対象に加えられたのが、あの暴走族「関東連合」OBらのグループだ。
ところが、準暴力団に指定されたものの、チャイニーズドラゴンや関係者が関与する事件は後を絶たない。今年に入ってからも、都内では、持続化給付金詐欺に、歌舞伎町での車両襲撃、入店を拒否した飲食店での集団暴行、飲食店経営者への暴行事件等々。
暴力団が、暴対法・暴排条例に縛られる中、まるで”やりたい放題”を繰り返しているかのようだ。そもそも”100人規模”の出所祝いには驚かされた。現在、特定抗争指定暴力団となっている「山口組」などは、区域内で、5人以上で集まることすら禁止されている。
さらに多くの自治体では、暴力団に会合場所を提供した飲食店さえも、暴排条例による取り締まりの対象だ。「出所祝い」と言えば、暴対法では、出所祝いとして、金品などの利益を提供することも禁止されているのだ。
規制の対象外で、勢いを増しているかに見えるチャイニーズドラゴン。警視庁では、今年4月の組対部改編に伴い、それまでの「組対二課」から「暴力対策課」に担当が移った。「旧・四課」の捜査員たちだ。あの”マル暴”の厳しい目で、チャイニーズドラゴンに、にらみを利かせることができるか・・・。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。