【赤澤 健一】「床から天井まですべてゴミ」…ヤバすぎるゴミ屋敷で発見した”3000枚”の外れくじと清掃員が抱いたある複雑な 「思い」

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遺品は故人の生き方を反映する。大量のものに囲まれて一人で亡くなられた現場を見ると、「親子関係は良好だったのだろうか」などと、つい生前の暮らしぶりに思いをはせてしまう。誰もものを持っては逝けない。形はさまざまだが、結局のところ、最後は誰もが「身ひとつで逝く」。
孤独死、自殺、ゴミ屋敷、夜逃げの後始末……“社会の現実がひそむ”遺品整理と特殊清掃の現場を克明に記録した『遺品は語る』(赤澤健一著)から、日本の現状をお届けしよう。
『遺品は語る』連載第8回
『「リビングは血の海」「大量の子供の人形」…特殊清掃員が新築戸建てで目撃した“凄惨”な現場と抱いたある“懸念”』より続く
さて、そのきれいな家とは対照的に、同じく2年ほど前にゴミ屋敷でたいへんな作業になった案件がある。兵庫県西宮市内の、商店街も近い古い住宅街だった。関西に多い、いわゆる「文化住宅」だ。
文化住宅というのは、1階と2階が一戸になったメゾネットタイプが連なる長屋形式のアパートのことだが、その1階と2階のすべてがゴミで埋まっていた。1階のドアを開けると目の前のすべてがゴミで、その重みでユニットバスの扉が押しつぶされていたほどだ。
故人は、その2階部分にわずかに残された空間で、心不全で息を引き取っていた。60代だったという。
ゴミの搬出には作業スペースが必要だ。同じゴミ屋敷でも、一戸建てで作業スペースがあればまだいい。文化住宅のように狭い物件で1階2階すべてがゴミで埋め尽くされている場合、作業スペースがないため搬出は容易ではない。
このような場合になにから手をつけるかは、現場で判断して決めるしかない。
だが、一階部分は床から天井まですべてゴミで埋め尽くされている。室内に入ることもままならない状態なので、玄関口、あるいは窓や勝手口など、ゴミの出口になりそうな場所があれば、そこからひたすら攻めてゴミを処分していく。
ゴミの量があまりに多いと、圧力がかかるのか、搬出してもゴミの山が崩れ落ちてこないことさえある。まるで炭鉱の掘進作業のようだが、とにかく目の前にあるゴミを処分していくことでスペースを確保する。その作業スペースには、たとえば必要品など残しておくものを一時的に保管しておいたりする。
またこの案件では、2階の上部にゴミのない空間があった。そこからも手をつけられそうだったので、2階部分の窓を外し、ゴミを搬出した。4人のスタッフで1日がかりだったが、地道な作業の繰り返しで、ようやくすべてきれいにすることができた。
作業をしていたら、ゴミの中から宝くじが3000枚も出てきた。宝くじに最後の希望を託していたのだろうか。当選していたら孤独死は防げたのだろうか。
ゴミ屋敷に3000枚の外れくじを残しての孤独死に、なんともやるせない思いを抱かずにはいられなかった。
『【大人のADHDがヤバすぎる】腰の高さまでゴミで埋まったゴキブリ屋敷で、特殊清掃員が作業を急いだ「納得の」理由』へ続く
【大人のADHDがヤバすぎる】腰の高さまでゴミで埋まったゴキブリ屋敷で、特殊清掃員が作業を急いだ「納得の理由」

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