「準特急」なぜ阪急で復活? ネットでは″温度差″のワケ「快速急行」を捨てて得たものは

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阪急が12月のダイヤ改正で新種別「準特急」を導入します。首都圏では京王で最近まで使われていたものの、他社ではほぼ例がなかった珍しい種別名が、なぜ今、阪急で登場するのでしょうか。
阪急電鉄が2022年12月にダイヤ改正を実施します。その内容が10月12日に発表されると真っ先に話題になったのが、新しい種別「準特急」の誕生です。
阪急の7000系電車(画像:写真AC)。
準特急といえば、長らく京王で使われていた珍しい種別名でした。2001年に誕生し、「特急」を補完するダイヤで、特急よりいくつか停車駅が多い種別として走っていましたが、2022年3月のダイヤ改正で特急に吸収される形で消滅。多くのファンが惜しみました。
その種別が今度は関西で復活します。既存の「快速急行」が名称変更となる形で、特に停車駅が変更されるわけではありません。なぜわざわざ名称変更したのでしょうか。
背景には、2024年から導入予定の座席指定サービスがあります。座席指定サービスの対象となるのは、特急・通勤特急、そして今回登場する準特急の3種別です。
阪急の広報担当者は「準特急」への名称変更について「種別方向幕は、『特急』系列に赤色を用いています。快速急行は『急行』系列の黄色でしたが、今回『準特急』に名称変更し、赤色の方向幕を用いることで、『赤色の列車には座席指定サービスがある』とわかりやすくなります。そのために名称変更を行いました」と話します。
なお、特急と準特急の停車駅の違いは、京都市内の西院・大宮に停車するかしないかの違いで、残りの十三・淡路・茨木市・高槻市・長岡天神・桂・烏丸にはどちらも停車します。
京王の準特急を惜しむファンから「準特急」を歓迎する声が上がる一方で、SNS上では「準急とどう違うの?」「色々多すぎてどれが速いかわからない」「一旦シンプルになったのにまた増えてきた」という困惑にくわえ、「やっぱり速いのは『快速急行』がいい」「いかにも速そうな名前だったのに」と、「快速急行」の消滅を残念がる声も少なくありません。
それもそのはず、関西私鉄で「快速急行」は一般列車の最優等種別、もしくは特急の次の上位種別として多くの路線に使われているからです。大手私鉄で見ると以下のとおり。
●阪神特急と並んで優等列車の上位。特急停車駅を快速急行が通過する例も。
●阪急神戸線・京都線で採用、各種特急に次ぐ上位種別。
●南海高野線で採用、無料列車としては最優等種別。
●近鉄大阪線・奈良線で採用。無料列車としては最優等種別。どちらも大阪都心から奈良県内までノンストップ。京都線でも一時期採用され、丹波橋~大和西大寺間ノンストップ。
●京阪特急に次ぐ優等種別。2008年の中之島線開業で誕生し、京都側は特急、大阪側は急行を引き継いだ停車パターン。
このように、関西では「JRの新快速、私鉄の特急・快速急行」という、「速さのトップクラス」のイメージを担っていることがうかがえます。そうしたなか、阪急の「準特急」は、京王のように「特急の補佐役」としてのデビューを迎えます。
ちなみに、「準特急」の他にどんな種別名称の候補があったのか尋ねたところ「いくつかあったようですが、詳細はお答えできません」とのことでした。

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