「ちょっと俯いてみろ」と胸元を…セクハラ疑惑を否定し続ける岐阜県岐南町長に決定的「証拠音声」《99のセクハラ行為を認定・辞職へ》

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〈「お尻を触られた」「スカートをまくってと要求」岐阜県岐南町 73歳町長のセクハラを女性職員4人が告発 町は「危機管理対策本部」を設置《99のセクハラ行為を認定・辞職へ》〉から続く
岐阜県岐南町の小島英雄町長(74)が、町役場の複数の女性職員にセクハラ行為をしていた問題。第三者委員会は2月27日、99に上るセクハラ行為を認定したという調査結果を公表した。
【写真】「下着のラインが透けている」「ちょっと下向いてみ」などと発言…セクハラ疑惑が問題になっている小島英雄町長
一方の小島町長は翌28日に記者会見を開催。調査結果について「納得いかない部分がある」としながらも、任期満了前に辞職することを発表した。岐南町で一体何が起きていたのか。この問題をスクープした「週刊文春」の記事を再公開する。(初出:「週刊文春」 2023年6月16日掲載 年齢・肩書き等は公開時のまま)
◆◆◆
岐阜県岐南町の小島英雄町長(73)が、町役場の複数の女性職員にセクハラ行為をしていた疑惑がある問題。「週刊文春 電子版」の5月18日公開記事では6人の女性職員の告発を報じたが、小島町長は「セクハラの認識はなかった」と釈明している。
だが今回、小島町長のセクハラ行為の決定的証拠となる音声を「週刊文春」は確認した。

5月18日公開の「週刊文春 電子版」記事では、小島町長に頭を撫でられたり、尻を触られたりしたという女性職員の告発を掲載。さらに下記のような例もあった。
「密室状態の町長室で職員に後ろを向くように指示し、『下着のラインが透けている』と指摘した」
「胸元が開いている服装の職員に屈むように指示し、上から覗いた」
「独身の女性職員に『彼氏はいるのか』『結婚はいつするんだ』と聞き、既婚者の職員には『出産はいつか』と尋ねた」
小誌記事が公開された同日、小島町長は会見を開き、「頭を撫でるということは褒めるということ」、「下着は透けとったので指摘しました」、「(尻を触ったのは)手の甲で1回だけ」、「セクハラという認識はなかった」などと釈明した。
地元報道関係者が現状を明かす。
「町議会は6月22日の会期最終日に、町長の辞職勧告決議案を提出する予定ですが、町長は可決されても『辞めない』と明言。町が設置する第三者委員会の結果を待って進退を検討するとしている。第三者委員会は3名の弁護士に時間給で調査を依頼するため、設置に740万円もの予算を計上。9月に調査を開始し、来年2月ごろに結果が出る見通しです」
だが、実は女性職員たちは以前から、町長のセクハラに対する“自衛策”を取っていたという。
別の女性職員が明かす。
「町長のパワハラやセクハラに悩まされていたので、昨年、女性職員7、8人で集まり、『町長のセクハラについてメモを取るようにしよう』と申し合わせました」
実際、小誌が取材した複数の職員が、メモ帳や携帯端末に「何月何日、どういうシチュエーションで町長に何をされたのか」を記録していた。
さらに小誌は今回、セクハラの決定的な証拠となる音声を確認した。小島町長が女性職員の服装の胸元が開いていることを指摘した際のものだ。
町長は女性職員に対し、こう要求している。
「ちょっと下向いてみ、大丈夫か、見えへんか」
「ちょっと俯いてみいよ。ちょっとだけ。見やあせんで。見やあせんて!」
戸惑う女性職員に対し、さらに町長はこう話しかける。
「まだ怒っとるんか? 僕のこと怒っとるわけ?」
「いや怒んないで、そんなことで僕に対して」

小島町長に関するこれまでの告発内容について、労働法やセクハラの問題に詳しい向井蘭弁護士はこう解説する。
「基本的に目的もなく身体に触るのはセクハラです。下着のラインを指摘したり、胸元が見えるか確認するため屈むように指示するのももちろんアウト。なおかつ、町長室内という密室でこうしたことが行われれば恐怖感を与える。また『彼氏がいるのか』、『結婚は』と聞くのも業務に関係がないのでダメです。セクハラの認定は基本的に、社会通念に基づいて決まりますが、そのボーダーラインが年々厳しくなる中、『親密になるため』などという言い訳は通用しません」
実際にセクハラ被害に遭った女性職員の一人はこう語る。
「騒動以降も町長は今も出勤し続けており、多くの職員が苦痛を感じている。役場は第三者委員会で事実関係が明らかになるまで、町長の出勤を停止するなどの対応をする気がないのか、はなはだ疑問です」
役場を通じて町長に質問すると、以下の回答があった。
岐南町役場
――セクハラ行為について、職員に対するきちんとした謝罪が行われていないという声がある。
「被害者を特定するつもりはありませんので、6月6日付けの職員用掲示板において、全職員に向けて謝罪文を掲載しました」
――複数の職員がセクハラについて記録を取っているが。
「記者会見や取材でもお答えしているように、激励や服装の乱れを指摘する意図での行為でした。不快感を与えてしまったことは申し訳ないと考えておりますが、セクハラの意図は一切ありませんでした」
また、町長がこれまで通り出勤していることについて、役場はこう回答。
「町政を停滞させないために、町の執行機関の責任者である町長は、出勤する必要があります。ただし、町長と職員の接触は、必要最小限な場合にしております」
岐南町は女性職員のさらなる告発をどう受け止めるのか、今後の対応が注目される。
現在配信中の「週刊文春 電子版」では、小島町長が地元の自治会長会議で質問された際に釈明した内容や、全職員に向けた驚くべきメッセージ、小島町長を直撃した際の一問一答の内容など、今もなお混乱が続く岐南町の様子を詳しく報じている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春)

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