いじめ対応の怠慢も教職員の懲戒処分対象に 中1自殺で札幌市教委

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札幌市の中学1年の女子生徒(当時12歳)が2021年10月にいじめ自殺したことを受け、札幌市教育委員会は26日、懲戒処分に関する指針を改正して、いじめについての項目を新設することを決めた。基準を明確化し、いじめの未然防止につなげる。また、いじめ防止対策を徹底するため、「市いじめ防止基本方針」の改定も決めた。【高山純二】
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女子生徒のいじめ自殺を巡っては、生徒が通っていた小学校の校長が減給(10分の1)1カ月の懲戒処分となったほか、檜田英樹教育長ら7人が口頭厳重注意などを受けた。小学時代の情報共有や小中間の連携が不十分だったことなどが指摘されている。ただし、処分指針に関する規定がなかったことから、市教委は「厳正に対処する方針を明確に示すとともに、未然防止に向けた抑止力が必要」などと判断。新たに処分の基準を設けた。
新設項目は、「不適切な指導および言動等により、児童生徒間のいじめに加担し、または助長し、重大な事態を招いた職員は免職、停職、減給または戒告とする」「児童生徒間のいじめの実態を把握しながら、適切な対応を怠り、または放置し、重大な事態を招いた職員は停職、減給または戒告とする」となっている。他都市の先行事例を参考にした。4月1日から適用される。
一方、市いじめ防止基本方針は、これまで構成員や開催回数の規定のなかった「学校いじめ対策組織」について、構成員に養護教諭やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを必ず加えることとし、月1回は必ず開催すると明示。「認知および解消は、学級担任などの個人に委ねず、学校いじめ対策組織で判断することを徹底する」とした。
また、口頭で促していたいじめに関する引き継ぎについて「個別情報は、次の学年・学校に確実に引き継ぎ、指導や支援につなげることを徹底する」「アンケート調査の結果は、小学校から中学校に情報を引き継ぎ、定められた期間管理する」などと明記した。
市教委は市民の意見募集などを行い、4月上旬に正式決定する方針。
報告書再公表 市長が「遺憾」
札幌市の秋元克広市長は26日の定例記者会見で、市教育委員会が黒塗り部分を見直したいじめ重大事態調査報告書を再公表したことについて、「いじめの実態が見えるものだった。当初からこのような形で公表されなかったことを遺憾に思う」と述べた。その上で、「(社会全体の)横の連携が重要だと認識しているので、これを機に、いろいろなサインを見逃さない態勢をつくっていくことが重要だ」と語った。

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