神戸市、高校生の通学定期代を全額無償に 全国初、若者定着図る

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神戸市は14日、一般会計9056億円、総額1兆9269億円の2024年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比3・0%増。若者世代の定着に向けた経済支援に重点を置き、市内の高校に通う生徒の通学定期代の全額無償化を全国で初めて打ち出した。久元喜造市長は「人口減少時代にふさわしい持続可能なまちづくりを行う」と説明した。15日開会の市議会に提案する。
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市内の人口は23年10月時点で22年ぶりに150万人を割り込んだ。同年の人口動態を分析すると、10代後半は転入人口が多い一方、20代の転出が目立ち、若者の定着が課題の一つとなっている。
久元市長は、大阪府が府民の生徒を対象に24年度から段階的導入を目指す高校授業料無償化を引き合いに「(高校生やその家族の)人口流出を招きかねない極めてゆゆしき事態だ」と危機感を示した。
その上で、年額14万4000円を超える定期代購入費の2分の1を補助する現行制度を見直し、9月から完全無償化にすることを明らかにした。計68校約2万900人への補助費など12億3000万円を盛り込む。
この他、市内の中小企業が若手社員に支給する住宅手当の一部を負担し、若年層が就職後も市内で働ける環境を整える。
25年に国際チャーター便の受け入れが始まる神戸空港は、新ターミナル建設費やエプロン拡張などの関連予算184億9300万円を計上した。
歳入のうち市税収入は、過去最高だった前年度から0・5%減の3132億円。税制改正で個人市民税が68億円減ることなどが影響した。借金にあたる市債残高は1兆3554億円に膨らむ見通し。
歳出の59・1%を占める義務的経費は5350億円(前年度比3・9%増)。三宮地区で進む再開発事業などに充てる投資的経費は951億円(同43億円増)を確保した。【山本康介】

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