警視庁薬物銃器対策課は8日、覚醒剤とコカイン計約1キロを飲み込んだまま密輸しようとした覚醒剤取締法違反(営利目的輸入未遂)などの疑いで、イスラエル国籍の50代男を容疑者死亡のまま書類送検した。
男はフランスから昨年1月2日に羽田空港へ到着したものの、機内で体調を崩して倒れ、死亡。死因は覚醒剤中毒とみられる。覚醒剤が入った包みを60個、コカインが入った包みを29個飲み込んでいたという。
薬物の密輸はスーツケースの二重底に隠したり、溶かして布に染み込ませたり、いろいろな方法があるが発覚しやすい。一方で薬物をラップで包んだり、ビニール袋に入れたり、コンドームに入れたりして飲み込む“ボディパッキング”という密輸手口は最も発覚しにくいとされる。
元警察関係者は「大食いする人が5キロぐらい平気で食べられるように胃はかなり膨らみますから、肛門や膣に入れて隠すより多くの量を運べます。ただ男が飲み込んでいたラップ状の包みに破れた形跡はなかったということは、ラップの包み方が甘かった(緩かった)ということでしょう。最近はラップできつく親指大に包むのが主流です。コンドームは破れたら一発で死にますが、ラップはほとんど破れないし、何重にもしたら一部が破れても平気だからです。ただ重ねるほど体積が増えるので、多く飲み込むためには、なるべく薄くしたいわけです」と指摘する。
いずれにしても体内に隠し持つのは命がけだ。
「日本での覚醒剤の末端価格は1キロ7000万円ほどです。成功報酬は200万~300万円ほどでしょう。覚醒剤の致死量は0・1グラムといわれていますから、飲んだ包みの1個でも漏れたら死亡する危険があります。飲み込むのは訓練が必要ですし、体内に隠し持つという危険を冒したのは常習の運び屋だったのかもしれません」と同関係者は話している。