「死ぬぞ、吐け!」白昼の渋谷が慄然「違法薬物飲み込み」疑惑の男を警察官が取り押さえ「こんな現場初めて見た」驚く声も

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髪を明るく染めた男(下)を取り押さえる警察官たち
「おいコラッ、死ぬぞ、吐け!」「ここに出せ、マジで死ぬぞ」「もうここまできたら無理だぞ、お前!」
複数の警察官がけたたましく叫びながら、男を取り押さえている。1月末の昼下がり、東京・渋谷のスクランブル交差点近くの一角は突如、緊迫し、黒山の人だかりができた。
「渋谷駅を出て交差点を渡ると、すぐのところにある建物の下で、制服の警官3人と、私服警官と思われる男性4人が大声で叫んでいました。よく見ると、1人の男を囲い込み、『吐き出せ!』と何度も命令していました。おそらく男は、違法薬物を飲み込んだのでしょう。
周囲の人たちはみんな驚いた様子で、カメラを回したり、『こんな現場、初めて見た!』と電話をしたりしていました。なかにはもの珍しそうに見つめる外国人もいましたね。
数分後、パトカーがサイレンを鳴らしながら到着。男は警官につかまれてパトカーに乗せられ、そのまま走り去っていきました」
違法薬物の現行犯逮捕の現場について、元警察官でセキュリティコンサルタントの松丸俊彦氏が解説する。
「犯人に薬物をトイレに流させない、ドブなどに捨てさせない、飲み込ませない、というのが我々の間での原則です。そうした行為は、犯人がやけになって証拠隠滅のためにやりがちだからです。
薬物を飲み込まれると厄介です。私たちが勝手に吐き出させることは、相手の体を傷つけることになるので、できません。身体検査令状と鑑定許可状を裁判所で取得し、医師の立ち合いのもと、やらなければならないので、時間もかかって面倒です。
かりに犯人が持っていた薬物が、もともと少量で、一気に飲み込んで消化されると、鑑定に必要な量が検出されない可能性があります。そうすると、所持でも使用でも罪に問えず、お手上げです。
だから、この渋谷の警察官たちは、言葉遣いは荒っぽいですが、男に対してあくまで捜査への協力を求めているのです」
違法薬物に詳しい山岸純弁護士は、男の行動について「浅はかな考え」と断ずる。
「飲み込んでしまえば証拠を隠滅できると思ったのでしょう。いまは科学捜査技術が進歩し、体内にあるほとんどの薬物を検出できるので、検出できた時点で『使用罪』で逮捕できます。
大麻については、2023年12月に法改正により『麻薬』に位置づけられ、『所持』や『譲渡』などに加えて『使用』も禁止されました。10年ほど前までは、大麻の検査方法には限界があり、『体内』の大麻を正しく検出するのは困難でした。そのため、覚せい剤などと異なり、『使用』したかどうかを立証できないので、そもそも『処罰』する法律を制定できなかったわけです。近年は科学捜査技術が進み、『体内』の大麻を正しく検出できるようになったため、『使用』も罪となりました」
体内の薬物を正確に検出する技術があるいま、男を取り押さえた警察官が叫んだように、証拠隠滅行為は「ここまできたら無理」ということだ。

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