東大生も間違えた「共通テスト英語」超難問の中身

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1月13日・14日に行われた大学入学共通テスト。英語リーディングは難化とSNSで話題に(撮影:梅谷秀司)
2024年1月13日・14日、4回目となる大学入学共通テストが実施されました。大学入試は、小中高の12年間の集大成の1つです。ここでどんな問題が出題されているのかについては、受験生や教育関係者はもちろん、現在学校に通っている学生や子供を持つ親御さんなど、多くの人にとって関係のあるものだと言えます。
そんな中で、今回みなさんにご紹介するのは、「東大生でも間違えた問題」です。われわれカルペ・ディエムは、東大生たち十数人で共通テストを解き、その結果をシェアしています。その中で、多くの東大生たちが間違えたとても難しい問題があったのです。
この問題を間違えた東大生は、われわれだけではありません。
PASSLABOという教育系YouTubeチャンネルでは、毎年試験会場に実際に行って受験生に混じって共通テストの問題を解く企画を実施しています。
毎年共通テストを試験会場で解いている東大医学部卒の宇佐見天彗さんですら、解けなかった問題があるのです。今回はその問題についてみなさんに共有したいと思います。
その問題は、英語のリーディング・問6でした。「retrospective timing」という単語についての説明が文章内でされていて、それの「Example(具体例)」として適切なものは4つのうちどれか?を選ぶという問題でした。
みなさんにもこの問題の難しさを体感してもらうために、実際は英語の問題ですが、僕が日本語に訳してみました。国語の問題として解いたときに、みなさんは答えられるでしょうか? 時間としては、だいたい2分くらいの間に解く問題です。
ヒントとしてお伝えしておくと、この文章のタイトルは「perceptions of time」=[時間の認識]であり、文章内ではさまざまな『時間を感知する方法』について説明されています。この文章は第2段落になります。
※外部配信先では画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

まずそもそも、「retrospective」ってどういう意味だろう?ということを疑問に思う人が大半だと思います。ですがそこは安心してください、東大生もみんなわかっていませんでした。
「『retrospective』という英単語を暗記してはいないけど、reとかついているから、『再び』と言う意味で、またspectは『見る』だから、『振り返る』的な意味かな?」と類推して答えられる人はいましたが、「retrospectiveは『振り返る』ですね」とぱっと答えられる人はほとんどいなかったです。
もちろん、この「振り返る」という単語の意味がわからなくても解ける問題ではあるのですが、難しいことには変わらないと思います。
「retrospective timing」は、文章中では「記憶から取得した情報に基づいて時間を推定する」と説明されています。
この日本語も難しいですが、英語だともっと難しく感じられます。そしてその前後で具体例として説明されていることを要約すると、「難しい図形を覚えるのにはすごく時間がかかったように感じられて、簡単な図形を覚えるのにはあまり時間がかからなかったように感じる」、ということですね。
つまり、「retrospective timing」は、「記憶したことを遡って考えて、どれくらいの時間がかかったのかを考えること」のようです。
さて、ここまで考えられると、答えがわかります。
「1 クラスメイトからのメッセージを待っている」は、別に過去の時間を思い出すわけではないから×です。
「2 母親の携帯番号を覚える」は、確かに具体例として「何かを暗記して、暗記した時間がどれくらいかかったのか」を考えるというものがあったので正解にしてしまいがちですが、「時間がどれくらいかかったのか」がテーマになっているので、×です。
「4 明日会議があることを思い出す」は、「思い出す」というポイントでこれも正解にしてしまいがちですが、時間とは関係ないことを思い出しているので×ですね。
正解は、「3 今日何時間働いたかを省みる」、これは「今日何時間働いたかを、取得した記憶を頼りにして思い出す」ということなので、正解になります。
いやあ、難しいですね。日本語であったとしても答えられない人が多かったのではないでしょうか? 日本語で説明しても難しいですが、これが英語で課されて、しかも短時間で解かなければならないことを考えると、難しいですよね。
ただしこの問題、ただ難しい問題だと言うわけではないのです。実は、簡単に答えを出す方法があります。
それは、文章ではなく、テーマから逆算して答えを出すというものです。
先ほどもご説明した通り、この文章のタイトルは「時間の認識」であり、これがテーマであることは推測できます。
そして流れとして、「どう時間を感知・認識するか?」「どんなふうに時間を測るのか?」についての方法の1つとして紹介されていたことが、「retrospective timing」でした。
ということは、文章の説明なんて読まなくても、「時間をどう感知・認識するか」ということに触れられている選択肢以外は正解にはならないことがわかるはずです。
文章を読んでしまうと、その難しい単語や難しい説明のせいでわけがわからなくなってしまい、「どれだろう?」と答えが導き出せなくなってしまいがちです。
でも、冷静に文章全体を俯瞰して、「結局、この文章って何を伝えたいんだっけ?」という大枠のテーマさえわかっていれば、答えは簡単に出せるのでした。
極論で言ってしまえば、第2段落を読まないほうが、答えを出しやすい問題だったんです。
「きちんと丁寧に訳していかなきゃ!」と意識すればするほど、ドツボにハマる問題だったのです。「細かいところは読めてないけど、きっとこれだろう!」と選べば正解になる可能性が高い問題だったと言えます。
東大生は、英文を細かく丁寧に読んでいくのが得意な人が多いです。それで時間内に解き終わるし、わからないところで時間をかけてしまうことも少ないからです。そのため、今回の問題もしっかりと第2段落を読んで答えを出している人がほとんどでした。
でも、解けた人に聞くと、「時間がなかったので、あまり第2段落を読まずに解いたら、正解だった」と言っていました。
外国人と話していて、相手の英語を全て聞き取らないと!と考えている人はほとんどいないと思います。英語の新聞や記事を読んでいるときも、一文一文を読むのではなく、大雑把に理解していく人が多いと思います。今回の共通テストも、それと同じで、広い視野でテーマを掴む読解ができるかどうかを問うためにこの問題を出題したのではないでしょうか。
(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)

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