「新耐震基準だから安心」は大まちがい?地震による家やマンションの《倒壊》《圧死》で要注意の「ハチイチゼロゼロ住宅」

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新春を寿ぐはずの元日に突如襲った能登半島地震で死者・安否不明者が200人を超えている。死者の多くは、倒れた家屋の下敷きになるなどして圧死したとみられている。家やマンションが地震で倒れるかどうかはどのように見分ければいいのか。
能登半島地震で壊れたのは木造の家屋だけではない。石川県輪島市では7階建てビルが根元から折れたように横倒しになり、隣の店を押し潰した。鉄筋コンクリートで作られた頑丈なビルやマンションでも決して安心とは言えないのだ。
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では、家やマンションが地震で倒れるかどうかはどのように見分ければいいのか。もっとも大きな指標となるのは建設年度だ。’81年に建築基準法の大規模な改正がおこなわれた。そのため’81年5月以前に建てられた建物は「旧耐震基準」、’81年6月以降に建てられた建物は「新耐震基準」に分けられる。一級建築士の井上恵子氏が解説する。
「旧耐震基準は『震度5程度の中規模の地震で家屋が倒壊・崩壊しない』と定めており、それ以上の規模の地震は規定していませんでした。
一方、新耐震基準では『震度6強から7程度の大規模地震で家屋が人命にかかわるような倒壊・崩壊の被害を生じない、震度5強程度では家屋がほとんど損傷しない』と定められています。耐震強度に関する考え方が全く異なるのです」
今回、輪島市内で倒壊した木造家屋の大半は旧耐震だったと見られている。また横倒しになったビルも’72年築だった。
しかし、新耐震なら安心かといえば、そうとも言い切れない。金沢大学などの調査によると、石川県珠洲市では、全壊した木造家屋の半数が新耐震だったと判明したのだ。
原因と考えられているのが、過去の地震による建物へのダメージの蓄積だ。能登半島では昨年5月に最大震度6強の地震があった。防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏が説明する。
「新耐震基準は、震度6強以上でも建物が倒壊しないことを目指しています。しかし、それは一度の地震での話。過去に災害に見舞われ、建物にヒビや歪みが生じ強度が下がっていれば、新耐震でも倒壊の危険があります」
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他にも水害やボヤ、シロアリの被害にあったことがある場合には、建物の強度が著しく下がっている場合がある。
さらに木造住宅にかぎっては、旧耐震、新耐震の他にもう一つ「2000年基準」が存在する。2000年に建築基準法が改正され、それ以前に建てられた家屋は、強度が不足している可能性があるのだ。ホームインスペクター(住宅診断士)の田村啓氏が説明する。
「建築業界では’81~’00年に建てられた木造家屋を『ハチイチゼロゼロ住宅』と呼び、注意喚起しています。新耐震であっても、現在の耐震基準を下回っていることがあり、大地震が起こった際には、倒壊の危険があります」
マンションは新耐震であれば、’00年以前の建築でも現行法とほぼ同等の性能を持っている。しかし、こうした耐震基準を満たした建物にも落とし穴がある。それが地形だ。
耐震基準は原則、全国一律のもので、場所による地盤の揺れやすさの違いが十分に考慮されていない。「軟弱な地盤」と「硬い地盤」では揺れ方が倍以上も違うという。耐震コンサルタントの染谷秀人氏が語る。
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「住宅地周辺に畑がある場合は地盤が良く、田が広がる地域は低地で地盤が良くない傾向にあります。また地名に、『谷』『沼』が含まれているところは液状化現象が起こりやすい。新耐震の建物でも安心とは言えません」
他にも家の周りの道路にヒビが入っていないか、電柱が傾いていないかなどが、チェックポイントになる。
「週刊現代」2024年1月13・20日号より
後編記事『タワマンが一気に崩壊、家の一階部分が潰れてなくなるーー地震で倒れる「家とマンション」の見分け方』に続く。

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