年末年始のコンビニ売れ筋は「わさびとポン酢」 意外なニーズから見えてきた令和のお正月の過ごし方

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飲食店から日用品店まで、多くの店舗が休業となる年末年始。いつも以上に頼りになるのがコンビニエンスストアだ。この時期、文字通り人々の“ライフライン”となるコンビニでは、どのような消費動向が見られるのだろうか。大手コンビニチェーン・ローソンに聞くと、意外なトレンドが明らかになるとともに、現代人の年末年始の過ごし方が浮き彫りになってきた。
【写真】ローソン、地域で異なる味わい ご当地の名店監修「年越しそば」全11種■40年以上前から年末年始は休まず営業、大晦日の深夜に売れるのは「中華まん」

コンビニエンスストアが年末年始営業を始めたのは、コンビニの24時間営業が始まったのとほぼ同時。2018年に投稿されたセブンイレブンのX(当時はTwitter)によれば、初めて24時間営業が始まったのが1975年、福島県郡山市の虎丸店からで、ローソンは1977年、ファミリーマートは1978年にスタートしている。そこから始まっていると見れば、40年以上前からコンビニは基本的に、年末年始営業をしているということになる。「コンビニはその“コンビニエンス(好都合、便利なもの)”が持つ言葉の意味通り、お客様にとって利便性があるお店として存在しています。ゆえにそのニーズに答えるべく、多くのお店が休業する年末年始も営業するようになり、実際に店舗によっては大勢のお客様が来店されます」(ローソン担当者/以下同) 特に客足が伸びるのは、観光地や初詣客で賑わうエリアだ。これらの店舗では、コロナ禍が5類に引き下げられた今年、多くの人流が戻るだろうと準備を行っているという。「店舗によって異なりますが、やはり、レジ横のあたたかい商品に力を入れている店舗は多いですね。大晦日の深夜から早朝にかけて、年末詣や初詣、初日の出を見に行くなど多くの方が外出されます。寒い中での外出ですので、あたたかいもの…特に中華まんは非常に売れます」 ほか想像しやすいところでいえば、年越し用におそば。また冷凍食品やパックご飯などの即席食品などストックができる食べ物が売れる。これらも納得だが、では消費者が意外に思うトレンド商品とは何か?■年末年始のコンビニの意外なトレンド、わさびと“高価格帯フード”が売れ筋に「実は、わさびとポン酢も年末年始は売れます。“正月の刺身に使おうと思ったら、わさびがなかった”というご家庭が多いのではないかと思います。ポン酢は鍋の機会が増える時期なので、消費量の増加に合わせて買い足されるのではないでしょうか。ほかには酔い止めや眠気覚まし、エナジードリンクなどが普段より多く売れることが多々あります」 酔い止めや眠気覚ましは、この時期、酒を飲む機会が多く、また初詣や初日の出を見に行くなど普段よりも睡眠不足になりがちになるので、需要があるのではないかと話す。「食べ物に関しては、“高価格帯商品”も人気です。元旦になるとハーゲンダッツのアイスやちょっと豪華なパフェ系もよく売れます」 高価格帯商品が売れる背景には、年末年始の特別感でついつい財布の紐が緩むといった“無意識購入”以外にも、一年頑張った自分への“ご褒美”需要や“ハレの日”ニーズがあるそうだ。 それ以外で言えば、卵や牛乳、パンのいわゆる“白物”も売れる。スーパーが閉まっていることから、御用始めの4日に向けて、身近なコンビニで白物を買う人が増えるためだ。また、ドラッグストアが閉まってしまうので、普段はそこで買う商品もごっそり、コンビニへと流れていく。「発熱時に額に貼る冷却シートや胃腸薬、カイロなども動きますし、化粧品のミニセットや歯ブラシの需要も高まります」 一部店舗では、玩具やエンタメくじなどが売れることも。「シニアの方が帰省したお孫さんと一緒に買い物に来られて、購入されています」 このように、日本中至る所にコンビニができたことで、コンビニの動向から人々の暮らしが見えてくるようになった。特に年末年始は開いているお店が少なくなりコンビニに集中するため、それが顕著となる。まさに日本人の年末年始の写し鏡だ。 ただ、その影で働いている人々への感謝も忘れないようにしたい。年末年始に働いている店員たち。この時期が繁忙期の人もいるので、特にコンビニだけが大変というわけではないが、年末年始でも買い物ができるなんて、「ありがたい=有り難い」の気持ちで利用してもらいたい。(取材・文/衣輪晋一)
■40年以上前から年末年始は休まず営業、大晦日の深夜に売れるのは「中華まん」
コンビニエンスストアが年末年始営業を始めたのは、コンビニの24時間営業が始まったのとほぼ同時。2018年に投稿されたセブンイレブンのX(当時はTwitter)によれば、初めて24時間営業が始まったのが1975年、福島県郡山市の虎丸店からで、ローソンは1977年、ファミリーマートは1978年にスタートしている。そこから始まっていると見れば、40年以上前からコンビニは基本的に、年末年始営業をしているということになる。
「コンビニはその“コンビニエンス(好都合、便利なもの)”が持つ言葉の意味通り、お客様にとって利便性があるお店として存在しています。ゆえにそのニーズに答えるべく、多くのお店が休業する年末年始も営業するようになり、実際に店舗によっては大勢のお客様が来店されます」(ローソン担当者/以下同)
特に客足が伸びるのは、観光地や初詣客で賑わうエリアだ。これらの店舗では、コロナ禍が5類に引き下げられた今年、多くの人流が戻るだろうと準備を行っているという。
「店舗によって異なりますが、やはり、レジ横のあたたかい商品に力を入れている店舗は多いですね。大晦日の深夜から早朝にかけて、年末詣や初詣、初日の出を見に行くなど多くの方が外出されます。寒い中での外出ですので、あたたかいもの…特に中華まんは非常に売れます」
ほか想像しやすいところでいえば、年越し用におそば。また冷凍食品やパックご飯などの即席食品などストックができる食べ物が売れる。これらも納得だが、では消費者が意外に思うトレンド商品とは何か?
■年末年始のコンビニの意外なトレンド、わさびと“高価格帯フード”が売れ筋に
「実は、わさびとポン酢も年末年始は売れます。“正月の刺身に使おうと思ったら、わさびがなかった”というご家庭が多いのではないかと思います。ポン酢は鍋の機会が増える時期なので、消費量の増加に合わせて買い足されるのではないでしょうか。ほかには酔い止めや眠気覚まし、エナジードリンクなどが普段より多く売れることが多々あります」
酔い止めや眠気覚ましは、この時期、酒を飲む機会が多く、また初詣や初日の出を見に行くなど普段よりも睡眠不足になりがちになるので、需要があるのではないかと話す。
「食べ物に関しては、“高価格帯商品”も人気です。元旦になるとハーゲンダッツのアイスやちょっと豪華なパフェ系もよく売れます」
高価格帯商品が売れる背景には、年末年始の特別感でついつい財布の紐が緩むといった“無意識購入”以外にも、一年頑張った自分への“ご褒美”需要や“ハレの日”ニーズがあるそうだ。
それ以外で言えば、卵や牛乳、パンのいわゆる“白物”も売れる。スーパーが閉まっていることから、御用始めの4日に向けて、身近なコンビニで白物を買う人が増えるためだ。また、ドラッグストアが閉まってしまうので、普段はそこで買う商品もごっそり、コンビニへと流れていく。
「発熱時に額に貼る冷却シートや胃腸薬、カイロなども動きますし、化粧品のミニセットや歯ブラシの需要も高まります」
一部店舗では、玩具やエンタメくじなどが売れることも。
「シニアの方が帰省したお孫さんと一緒に買い物に来られて、購入されています」
このように、日本中至る所にコンビニができたことで、コンビニの動向から人々の暮らしが見えてくるようになった。特に年末年始は開いているお店が少なくなりコンビニに集中するため、それが顕著となる。まさに日本人の年末年始の写し鏡だ。
ただ、その影で働いている人々への感謝も忘れないようにしたい。年末年始に働いている店員たち。この時期が繁忙期の人もいるので、特にコンビニだけが大変というわけではないが、年末年始でも買い物ができるなんて、「ありがたい=有り難い」の気持ちで利用してもらいたい。

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