「ホステスにキス強要、首絞め」 前代未聞、2代続けて「セクハラ」「性加害」ENEOS前会長の「銀座では普通だよ」という酷い言い草

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酒席で女性に手を出したことが理由で2代続けてトップが代わるというのは、日本の経済史上でもおそらく初の事態であろう。
【写真】首を絞めるようにしてキス強要…性加害辞任の“前会長” ほか 12月19日、石油元売り最大手「ENEOSホールディングス」は19日、斉藤猛社長の解任を発表した。斉藤社長は社内の懇親会で酒に酔い、同席した女性にセクハラをしたのだという。 注目を集めたのは、先代、杉森務会長もまた同様の問題を理由に辞任していたこと、そしてその謝罪会見の場で頭を下げていたのが斉藤社長だったということである。

もっとも、悪質度で言えば、先代のほうが酷かったかもしれない。その行状は、セクハラという生易しいものではなかった。しかも同社は当初、そのトラブル自体を公表せず、杉森会長の辞任のみが発表されていたのだ。2代続けて「セクハラ」「性加害」―― 被害者女性に骨折させ、深刻なトラウマを抱えさせていた「最初の性加害事件」とは何だったのか。当時の「週刊新潮」2022年9月29日号記事をもとに見てみよう(以下は、同記事を再構成したものです)辞任理由は「性加害」 杉森務氏が、突如として辞任を表明したのは2022年8月12日のこと。この日の取締役会で、自ら辞意を伝えて了承を得たというが、彼は6月の株主総会で再任されたばかりだった。 ガソリンスタンドに代表される燃料油販売の国内シェア1位を誇る企業トップの電撃辞任には、業界のみならず投資家たちの間でも困惑の声が上がった。加えて杉森氏は、経団連の審議員会副議長や業界を束ねる石油連盟の会長などの要職も辞任すると発表したことから、後任選びなどで混乱の余波は財界全体にまで及び、さまざまな臆測を生む事態となった。 奇しくも杉森氏の退任からほどなくして、世間は五輪疑獄で騒然となった。渦中のAOKIなどと同じく、ENEOSも五輪スポンサーだったことから、東京地検特捜部による捜査の手が伸びていたのか。そんなうわさまでささやかれたという。 実のところ、杉森氏の辞任劇には表沙汰になっていない“事件”が隠されていた。その仔細を知る人物が絶対匿名を条件に明かすのは、セクハラの範疇を超える、極めて悪質な「性加害」を、杉森氏が起こしてしまったということだ。「昭和のサラリーマンを絵に描いたような人物」 1955年、石川県に生まれた杉森氏は、県内トップの進学校から一橋大学商学部に進学。79年に卒業後、当時の日本石油に入社した。最初の10年は製油所や本社の人事部門を渡り歩いてきたが、“現場を知りたい”と自ら志願して販売畑に異動。以降、全国各地の特約店から街場のガソリンスタンドまで昼夜を問わず駆けずり回って、社内で頭角を現す。 現在はENEOSを含め国内の石油元売り大手は実質的に3社しかないが、バブル崩壊前は十数社がひしめく戦国時代。業界再編が進む中、杉森氏は「大きな統合にはすべて参画してきた」(「PRESIDENT」2018年9月3日号)と豪語している。 実際、99年に日本石油と三菱石油が統合された際は販売企画課長として、新ブランド「ENEOS」の誕生に尽力。2017年に東燃ゼネラルと統合した翌年、グループのホールディングス社長となり、20年には「ENEOSホールディングス」に社名変更してブランド統一を成し遂げた。 経済誌の記者が言う。「社内の野球部に所属していた杉森氏は、根っからの体育会系の気質の持ち主で、夜の赤坂を根城に子飼いの部下と杯を重ねてきました。社長就任後は、盛り場で人事が決められたと報じられたこともあるほどの酒豪で、取引先とも宴席を重ねることで信頼関係を築くタイプ。たたき上げでのし上がる、昭和のサラリーマンを絵に描いたような人物です」キスを強要 杉森氏が“事件”を起こしたのは沖縄県那覇市の中心部にある歓楽街・松山。数多くの飲食店が軒を連ね、“眠らない街”として知られる沖縄最大の盛り場だが、その中でも地元の名士たちが集う老舗の高級クラブでトラブルは起きた。 午後8時半頃、杉森氏は沖縄の得意先である石油販売会社の幹部らと連れ立って来店したという。 すでに酔いが回り上機嫌だったという杉森氏らは、店のVIPルームである個室へと案内された。「彼は隣に座った初対面の30代女性ホステスをいたく気に入った様子で、手を握り始めたのですが、だいぶ酔っ払っていて、自分の方に引き寄せようと手首を強くつかむなどしていた。それが10分くらい続いた途端、大声を出して彼女を抱き寄せたのです」 そう明かすのは、同店の内情を知る関係者だ。「持ち込みのワインを飲み出して気持ちが大きくなったのか、杉森さんは彼女のドレスの中に手を入れて、胸を触り始めました。それには飽き足らず、ついにはキスを強要した。彼女の肩に手を回し、その腕で強引に首を絞めるような恰好で唇を奪ったのです」「銀座では普通だよ」 この間、女性は幾度も拒む仕草を見せたが、杉森氏は「銀座では普通だよ、こんなの」などとしつこく言い募りながら、別のホステスにも同様の行為を働いていたというのである。「こうした状況が2時間近くも続き、さすがに見かねた他のホステスが“会長、こっちで歌いましょう”とカラオケを勧めたりしたようですが、それでは満足できなかったのでしょう。杉森氏はセクハラを続けてきた彼女のドレスを強引に脱がし、上半身は何も着けていない状態に……」 これでもかと彼女を辱めた張本人は日本を代表する石油元売り最大手のトップであり、そこには沖縄を代表する企業の経営幹部が並んでいた。衆人環視の中で長時間、我慢を重ねてきた被害女性は頭の中が真っ白になってしまったのだろう。ドレスを剥ぎ取られたのをきっかけにして、堰を切ったように泣き崩れてしまったのだ。「もう精神的にも限界だと店の方がホステスを交代させる形で、彼女を個室から解放したわけなんですがね。さすがに杉森さんたちは帰っていきましたが、懲りずに翌日も来店したとか」肋骨の骨折などで全治2週間の診断 どこまで彼はコトの重大性を認識していたのか。もはや呆れるほかないが、ようやく悪夢の時間から解放された被害女性は、体に異変を感じていた。「帰宅した翌日、病院で検査を受けたところ、肋骨の骨折や、首がむち打ちのような状態となっていることが認められ、全治2週間との診断を受けたようです。強い腕力で杉森さんが迫り、それを拒もうと何度も抵抗したことが原因になったと思いますが、以来、彼女は仕事も満足にできておらず、当夜のことについては“怖い”“思い出したくもない”と口にして、強い精神的なショックを受けてトラウマを抱えているとか……」 改めて被害女性に取材を申し込んだが、事件のことは振り返りたくもないと、口を開くことはなかった。 さる業界関係者が言う。「被害女性は、杉森氏に謝罪や治療費などを求めるために連絡を取ったそうですがね。応対したのは杉森氏個人ではなく、ENEOS本体だった。会社としてもさすがに隠し切れないと思い、辞任することで幕引きを図ろうとしたのでしょうけどね。けがの程度を考えれば本来は刑事事件になってもおかしくない。示談交渉はまだ継続中だそうですから、一個人となった杉森氏の後始末まで、はたして古巣が面倒を見るべきなのかどうか……」補助金の原資は税金 当時、ウクライナ危機などによる原油価格の高騰で、石油元売り各社は政府から補助金を受けていた。ガソリン価格の上昇による国民の負担を和らげるために始まった制度である。 しかも、コロナ禍もなんのそので、石油元売り各社の業績は過去最高益を叩き出しているというから、首をかしげたくもなる。「企業倫理に照らし合わせれば、今回のようなトップの不祥事を公にしないのは問題ですが、その尻ぬぐいまで組織ぐるみで行えば、投資家はもとより補助金によって血税を搾り取られている国民からも、批判を浴びると思います」(先の経済誌記者)「本人は不在です」 一連の杉森氏のトラブルについての見解を、改めてENEOSに質すと、「元会長による不適切な言動は当社にとって受け入れがたいものであるとして、元会長に速やかな辞任を求めるなどの対策を講じました。元会長も深い反省を示し、辞任届を出したことから受け入れることとしたものです。その一方で、当社は被害女性が当時のことを思い出すことに非常なストレスを感じておられる旨をお伺いしており、辞任理由における本件への言及も含めて、プライバシーに関わる恐れがある情報発信は厳に控えておりました」(ENEOSホールディングス広報部) 当の杉森氏が住む都内の自宅を何度も訪ねたが、家人が「本人は不在です」と繰り返して雲隠れ。誠意ある対応はなかった。 かつて経済誌のインタビューで座右の銘を聞かれ、「至誠天に通ず」と答えた杉森氏は、「何事も誠意を持って対話していく」(「財界」18年8月28日号)ことをモットーにしていると胸を張っていた。今はただ、その言葉が虚しく響くばかりなのである。デイリー新潮編集部
12月19日、石油元売り最大手「ENEOSホールディングス」は19日、斉藤猛社長の解任を発表した。斉藤社長は社内の懇親会で酒に酔い、同席した女性にセクハラをしたのだという。
注目を集めたのは、先代、杉森務会長もまた同様の問題を理由に辞任していたこと、そしてその謝罪会見の場で頭を下げていたのが斉藤社長だったということである。
もっとも、悪質度で言えば、先代のほうが酷かったかもしれない。その行状は、セクハラという生易しいものではなかった。しかも同社は当初、そのトラブル自体を公表せず、杉森会長の辞任のみが発表されていたのだ。
被害者女性に骨折させ、深刻なトラウマを抱えさせていた「最初の性加害事件」とは何だったのか。当時の「週刊新潮」2022年9月29日号記事をもとに見てみよう(以下は、同記事を再構成したものです)
杉森務氏が、突如として辞任を表明したのは2022年8月12日のこと。この日の取締役会で、自ら辞意を伝えて了承を得たというが、彼は6月の株主総会で再任されたばかりだった。
ガソリンスタンドに代表される燃料油販売の国内シェア1位を誇る企業トップの電撃辞任には、業界のみならず投資家たちの間でも困惑の声が上がった。加えて杉森氏は、経団連の審議員会副議長や業界を束ねる石油連盟の会長などの要職も辞任すると発表したことから、後任選びなどで混乱の余波は財界全体にまで及び、さまざまな臆測を生む事態となった。
奇しくも杉森氏の退任からほどなくして、世間は五輪疑獄で騒然となった。渦中のAOKIなどと同じく、ENEOSも五輪スポンサーだったことから、東京地検特捜部による捜査の手が伸びていたのか。そんなうわさまでささやかれたという。
実のところ、杉森氏の辞任劇には表沙汰になっていない“事件”が隠されていた。その仔細を知る人物が絶対匿名を条件に明かすのは、セクハラの範疇を超える、極めて悪質な「性加害」を、杉森氏が起こしてしまったということだ。
1955年、石川県に生まれた杉森氏は、県内トップの進学校から一橋大学商学部に進学。79年に卒業後、当時の日本石油に入社した。最初の10年は製油所や本社の人事部門を渡り歩いてきたが、“現場を知りたい”と自ら志願して販売畑に異動。以降、全国各地の特約店から街場のガソリンスタンドまで昼夜を問わず駆けずり回って、社内で頭角を現す。
現在はENEOSを含め国内の石油元売り大手は実質的に3社しかないが、バブル崩壊前は十数社がひしめく戦国時代。業界再編が進む中、杉森氏は「大きな統合にはすべて参画してきた」(「PRESIDENT」2018年9月3日号)と豪語している。
実際、99年に日本石油と三菱石油が統合された際は販売企画課長として、新ブランド「ENEOS」の誕生に尽力。2017年に東燃ゼネラルと統合した翌年、グループのホールディングス社長となり、20年には「ENEOSホールディングス」に社名変更してブランド統一を成し遂げた。
経済誌の記者が言う。
「社内の野球部に所属していた杉森氏は、根っからの体育会系の気質の持ち主で、夜の赤坂を根城に子飼いの部下と杯を重ねてきました。社長就任後は、盛り場で人事が決められたと報じられたこともあるほどの酒豪で、取引先とも宴席を重ねることで信頼関係を築くタイプ。たたき上げでのし上がる、昭和のサラリーマンを絵に描いたような人物です」
杉森氏が“事件”を起こしたのは沖縄県那覇市の中心部にある歓楽街・松山。数多くの飲食店が軒を連ね、“眠らない街”として知られる沖縄最大の盛り場だが、その中でも地元の名士たちが集う老舗の高級クラブでトラブルは起きた。
午後8時半頃、杉森氏は沖縄の得意先である石油販売会社の幹部らと連れ立って来店したという。
すでに酔いが回り上機嫌だったという杉森氏らは、店のVIPルームである個室へと案内された。
「彼は隣に座った初対面の30代女性ホステスをいたく気に入った様子で、手を握り始めたのですが、だいぶ酔っ払っていて、自分の方に引き寄せようと手首を強くつかむなどしていた。それが10分くらい続いた途端、大声を出して彼女を抱き寄せたのです」
そう明かすのは、同店の内情を知る関係者だ。
「持ち込みのワインを飲み出して気持ちが大きくなったのか、杉森さんは彼女のドレスの中に手を入れて、胸を触り始めました。それには飽き足らず、ついにはキスを強要した。彼女の肩に手を回し、その腕で強引に首を絞めるような恰好で唇を奪ったのです」
この間、女性は幾度も拒む仕草を見せたが、杉森氏は「銀座では普通だよ、こんなの」などとしつこく言い募りながら、別のホステスにも同様の行為を働いていたというのである。
「こうした状況が2時間近くも続き、さすがに見かねた他のホステスが“会長、こっちで歌いましょう”とカラオケを勧めたりしたようですが、それでは満足できなかったのでしょう。杉森氏はセクハラを続けてきた彼女のドレスを強引に脱がし、上半身は何も着けていない状態に……」
これでもかと彼女を辱めた張本人は日本を代表する石油元売り最大手のトップであり、そこには沖縄を代表する企業の経営幹部が並んでいた。衆人環視の中で長時間、我慢を重ねてきた被害女性は頭の中が真っ白になってしまったのだろう。ドレスを剥ぎ取られたのをきっかけにして、堰を切ったように泣き崩れてしまったのだ。
「もう精神的にも限界だと店の方がホステスを交代させる形で、彼女を個室から解放したわけなんですがね。さすがに杉森さんたちは帰っていきましたが、懲りずに翌日も来店したとか」
どこまで彼はコトの重大性を認識していたのか。もはや呆れるほかないが、ようやく悪夢の時間から解放された被害女性は、体に異変を感じていた。
「帰宅した翌日、病院で検査を受けたところ、肋骨の骨折や、首がむち打ちのような状態となっていることが認められ、全治2週間との診断を受けたようです。強い腕力で杉森さんが迫り、それを拒もうと何度も抵抗したことが原因になったと思いますが、以来、彼女は仕事も満足にできておらず、当夜のことについては“怖い”“思い出したくもない”と口にして、強い精神的なショックを受けてトラウマを抱えているとか……」
改めて被害女性に取材を申し込んだが、事件のことは振り返りたくもないと、口を開くことはなかった。
さる業界関係者が言う。
「被害女性は、杉森氏に謝罪や治療費などを求めるために連絡を取ったそうですがね。応対したのは杉森氏個人ではなく、ENEOS本体だった。会社としてもさすがに隠し切れないと思い、辞任することで幕引きを図ろうとしたのでしょうけどね。けがの程度を考えれば本来は刑事事件になってもおかしくない。示談交渉はまだ継続中だそうですから、一個人となった杉森氏の後始末まで、はたして古巣が面倒を見るべきなのかどうか……」
当時、ウクライナ危機などによる原油価格の高騰で、石油元売り各社は政府から補助金を受けていた。ガソリン価格の上昇による国民の負担を和らげるために始まった制度である。
しかも、コロナ禍もなんのそので、石油元売り各社の業績は過去最高益を叩き出しているというから、首をかしげたくもなる。
「企業倫理に照らし合わせれば、今回のようなトップの不祥事を公にしないのは問題ですが、その尻ぬぐいまで組織ぐるみで行えば、投資家はもとより補助金によって血税を搾り取られている国民からも、批判を浴びると思います」(先の経済誌記者)
一連の杉森氏のトラブルについての見解を、改めてENEOSに質すと、
「元会長による不適切な言動は当社にとって受け入れがたいものであるとして、元会長に速やかな辞任を求めるなどの対策を講じました。元会長も深い反省を示し、辞任届を出したことから受け入れることとしたものです。その一方で、当社は被害女性が当時のことを思い出すことに非常なストレスを感じておられる旨をお伺いしており、辞任理由における本件への言及も含めて、プライバシーに関わる恐れがある情報発信は厳に控えておりました」(ENEOSホールディングス広報部)
当の杉森氏が住む都内の自宅を何度も訪ねたが、家人が「本人は不在です」と繰り返して雲隠れ。誠意ある対応はなかった。
かつて経済誌のインタビューで座右の銘を聞かれ、「至誠天に通ず」と答えた杉森氏は、「何事も誠意を持って対話していく」(「財界」18年8月28日号)ことをモットーにしていると胸を張っていた。今はただ、その言葉が虚しく響くばかりなのである。
デイリー新潮編集部

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