“ルフィ事件”で急浮上する「女性リーダー」の素性 日本・フィリピン間の犯罪コネクションのキーパーソンに

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フィリピンを拠点とした特殊詐欺グループの幹部で、今年2月に日本へ強制送還された自称「ルフィ」。警視庁が捜査対象とする5都道府県の8事件全てが立件されることとなった。フィリピンで身柄を拘束された4人は闇バイトに応募してきた実行役などを統率する指示役だったと見られている。立件により捜査は一つの節目を迎えたとされるが、捜査当局は捜査の手を緩めていない。というのも、「JPドラゴン」と呼ばれるルフィのさらなる上役がフィリピンに存在し、暴力団と少なからず関係があることを把握しており、当然、こちらを放置するわけにはいかないからだ。さらに最近、「女JPドラゴン」とも呼ばれるグループの存在が浮上してきたという。
【写真を見る】「ルフィ特殊詐欺」の上役「JPドラゴン」と今村被告との通話シーン、神戸山口組・井上組長と「JPドラゴン」との盃写真も 過去に特殊詐欺に関与したとして強盗致死罪などで起訴されているのは、渡邉優樹(39)、今村磨人(39)、藤田聖也(39)、そして小島智信(45)の4被告。「警視庁と千葉、京都、広島、山口の各府県警の合同捜査本部は8事件を重点対象としてきましたが、その全てで指示役を立件し、捜査は節目を迎えたと言えるでしょう」 と、担当記者。死刑求刑も 捜査が始まった当初は、日本から遠く離れたフィリピンから指示したルフィらの犯罪事実を証明できるのかとの懸念がつきまとっていたが……。「押収したスマホの解析で、実行役らに送信した通信アプリのメッセージを復元し、関与を裏付けられたということでしょう。今村被告は全8事件で、渡辺・藤田の両被告は7事件で起訴され、このうち狛江市の住宅の事件ではいずれも強盗致死罪で起訴されています。強盗致死罪は法定刑が死刑か無期懲役しかありません。その他の事件でも強盗致傷罪で起訴されていたり、世間を震撼させたりというインパクトを踏まえると、この3被告全員とは言わないまでも、少なくとも1審段階では、検察の求刑はもちろん判決も死刑が下される可能性が指摘されています」(同) 警察当局は、闇バイトなどを実行犯として特殊詐欺や強盗を繰り返す集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と位置付け、検挙に懸命だ。今村被告と署内で会話したJPドラゴン「新たな位置付けを設定したあたり、警察は今回の件を象徴的な事件として取り上げたいという狙いもあるのかもしれません。少し毛色は違いますが、当局が連携して追い詰めた工藤会事件を彷彿とさせました」(同) 一方、指示役の逮捕後も現地に残ったメンバーらが犯罪行為を続けていたり、そもそもルフィのさらなる上役が存在していたり、と当局が捜査の手を緩めることはないとされる。「つい先日、フィリピンを拠点にした犯罪組織・JPドラゴンの幹部と原宿署で勾留中の今村被告とのビデオ通話の模様が流出し、物議を醸しました」(同) JPドラゴンについてはこれまで何度か触れてきたが、改めて竹垣悟氏(NPO法人主宰、元山口組系暴力団組長)に解説してもらおう。「一味の特殊詐欺の実態をよく知っていた人物が語ったところによると、グループを統率するさらなる上役として、序列の順にA、B、そしてCがいるそうです。Cは6代目山口組の3次団体の幹部と深い間柄だということで、今村被告が原宿署でビデオ通話した相手だと聞いています」神戸山口組との関係 序列トップのAは徳島県出身の50代前半の男で、表向きフィリピンで日本料理店のオーナーを務める一方で特殊詐欺に手を染めていて、収入の大部分はそちらだという。「神戸山口組の井上邦雄組長と盃をかわしているということでした。Aのフィリピンの自宅には結構な大きさに拡大された井上組長のポートレイトが飾られており、見た者はAと神戸山口組とは一心同体だとの認識を持つことでしょう。神戸の威を借りてビジネスを進めてきたように映ります」(同) さらにナンバー2のBは現在50歳で、フィリピンで日本食レストランを経営しているという。Aと井上組長とが盃をかわした席にはBもいたようだ。 もっとも、盃をかわしたといっても正式なものではなく、Aらが神戸山口組の威光を利用していたという面があるのでは、というのが竹垣氏の見立てである。 厄介なのは、彼らの拠点が日本ではないため、捜査の手がなかなか及ばない点だろう。目くらましのために作った 一連の事件との関与が疑われていることをJPドラゴン側も当然察知しており、新たな動きを見せているのだという。それがわかるのが、現地フィリピンでの新たなグループの台頭だ。「30代前半で元々ルフィのメンバーともつながりがあった、通称アスカと呼ばれる女性リーダーが統率しているということです。彼女が副リーダーや闇バイトを募るリクルーター、かけ子を従えている格好です」(同) いわば「女JPドラゴン」とも言えるグループが生まれているというわけだ。この中で日本からの送金を取り仕切る副リーダーの1人は今村被告の舎弟だった時期があり、一連の強盗事件への関与も疑われている人物で、現在はBの側近ではないかとも取り沙汰されているという。「日本の捜査当局からもマークされているAが目くらましのために作った組織だと聞きました。総勢20名でマニラより北のホテルを転々とし、今は本家・JPドラゴンを凌ぐ動きを見せているということでした」(同) ことほど左様に、捜査の目をかいくぐり続ける匿名・流動型犯罪グループ。そのありようは、まるで細胞分裂のようである。しかも日本にいる被告にフィリピンにいる組織は、「協力者」を経由してアプローチしていたというのだから、切り離したところで痛くもかゆくもないのかもしれない。【関連記事】〈「ルフィ・今村被告」と原宿署内でLINE通話した在フィリピンの暴力団関係者の正体 狙いは脅しかエールか〉では、JPドラゴンから被告に伝えられたメッセージを読み解く。デイリー新潮編集部
過去に特殊詐欺に関与したとして強盗致死罪などで起訴されているのは、渡邉優樹(39)、今村磨人(39)、藤田聖也(39)、そして小島智信(45)の4被告。
「警視庁と千葉、京都、広島、山口の各府県警の合同捜査本部は8事件を重点対象としてきましたが、その全てで指示役を立件し、捜査は節目を迎えたと言えるでしょう」
と、担当記者。
捜査が始まった当初は、日本から遠く離れたフィリピンから指示したルフィらの犯罪事実を証明できるのかとの懸念がつきまとっていたが……。
「押収したスマホの解析で、実行役らに送信した通信アプリのメッセージを復元し、関与を裏付けられたということでしょう。今村被告は全8事件で、渡辺・藤田の両被告は7事件で起訴され、このうち狛江市の住宅の事件ではいずれも強盗致死罪で起訴されています。強盗致死罪は法定刑が死刑か無期懲役しかありません。その他の事件でも強盗致傷罪で起訴されていたり、世間を震撼させたりというインパクトを踏まえると、この3被告全員とは言わないまでも、少なくとも1審段階では、検察の求刑はもちろん判決も死刑が下される可能性が指摘されています」(同)
警察当局は、闇バイトなどを実行犯として特殊詐欺や強盗を繰り返す集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と位置付け、検挙に懸命だ。
「新たな位置付けを設定したあたり、警察は今回の件を象徴的な事件として取り上げたいという狙いもあるのかもしれません。少し毛色は違いますが、当局が連携して追い詰めた工藤会事件を彷彿とさせました」(同)
一方、指示役の逮捕後も現地に残ったメンバーらが犯罪行為を続けていたり、そもそもルフィのさらなる上役が存在していたり、と当局が捜査の手を緩めることはないとされる。
「つい先日、フィリピンを拠点にした犯罪組織・JPドラゴンの幹部と原宿署で勾留中の今村被告とのビデオ通話の模様が流出し、物議を醸しました」(同)
JPドラゴンについてはこれまで何度か触れてきたが、改めて竹垣悟氏(NPO法人主宰、元山口組系暴力団組長)に解説してもらおう。
「一味の特殊詐欺の実態をよく知っていた人物が語ったところによると、グループを統率するさらなる上役として、序列の順にA、B、そしてCがいるそうです。Cは6代目山口組の3次団体の幹部と深い間柄だということで、今村被告が原宿署でビデオ通話した相手だと聞いています」
序列トップのAは徳島県出身の50代前半の男で、表向きフィリピンで日本料理店のオーナーを務める一方で特殊詐欺に手を染めていて、収入の大部分はそちらだという。
「神戸山口組の井上邦雄組長と盃をかわしているということでした。Aのフィリピンの自宅には結構な大きさに拡大された井上組長のポートレイトが飾られており、見た者はAと神戸山口組とは一心同体だとの認識を持つことでしょう。神戸の威を借りてビジネスを進めてきたように映ります」(同)
さらにナンバー2のBは現在50歳で、フィリピンで日本食レストランを経営しているという。Aと井上組長とが盃をかわした席にはBもいたようだ。
もっとも、盃をかわしたといっても正式なものではなく、Aらが神戸山口組の威光を利用していたという面があるのでは、というのが竹垣氏の見立てである。
厄介なのは、彼らの拠点が日本ではないため、捜査の手がなかなか及ばない点だろう。
一連の事件との関与が疑われていることをJPドラゴン側も当然察知しており、新たな動きを見せているのだという。それがわかるのが、現地フィリピンでの新たなグループの台頭だ。
「30代前半で元々ルフィのメンバーともつながりがあった、通称アスカと呼ばれる女性リーダーが統率しているということです。彼女が副リーダーや闇バイトを募るリクルーター、かけ子を従えている格好です」(同)
いわば「女JPドラゴン」とも言えるグループが生まれているというわけだ。この中で日本からの送金を取り仕切る副リーダーの1人は今村被告の舎弟だった時期があり、一連の強盗事件への関与も疑われている人物で、現在はBの側近ではないかとも取り沙汰されているという。
「日本の捜査当局からもマークされているAが目くらましのために作った組織だと聞きました。総勢20名でマニラより北のホテルを転々とし、今は本家・JPドラゴンを凌ぐ動きを見せているということでした」(同)
ことほど左様に、捜査の目をかいくぐり続ける匿名・流動型犯罪グループ。そのありようは、まるで細胞分裂のようである。しかも日本にいる被告にフィリピンにいる組織は、「協力者」を経由してアプローチしていたというのだから、切り離したところで痛くもかゆくもないのかもしれない。
【関連記事】〈「ルフィ・今村被告」と原宿署内でLINE通話した在フィリピンの暴力団関係者の正体 狙いは脅しかエールか〉では、JPドラゴンから被告に伝えられたメッセージを読み解く。
デイリー新潮編集部

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