完全装備の警備員でも本能的に逃げ出した――20年前に起きて、いまだに謎のままだという恐怖体験が寄せられた。投稿者は埼玉県の40代男性。当時は「某大手警備会社」でホームセキュリティをしていたという。
24時間一人きりの勤務体系で、担当エリアで侵入警報が出たらその場へ向かうという仕事だった。時間を問わない性質上「不思議な経験」は多かったと語る。
「例えばとある学校で毎晩同じ場所に警報が出て、行けば誰もいない。しかし夜中の真っ暗な静寂の学校を一人で確認するので強制的な肝試しのようなものです」
ただ、「それくらいのレベルならまだギリギリ耐えられる」と振り返る。ところが、以下の一件だけは話が違った。(文:湊真智人)
その日も夜中に「上層階の女子トイレにて侵入の警報が作動」した。場所は複数の会社が入居するオフィスビル。しかし男性はある違和感に気付いた。
「通常もし泥棒が侵入するなら1階又は2階からなので、上層階でいきなり警報が出る時点で普通ならありえないんです」
疑問が解消されないままに現地に到着した男性は、管制センターに報告後、「一箇所しかない出入口の鍵を開けて上階の女子トイレに」向かった。真っ暗で物音ひとつしないオフィスビルを進む中で、次のような予想もしていた。
「ちなみに侵入などの警報は赤外線センサーなので熱を持ったものが動くと反応します。猫やネズミでも」
「その類なのかなー」と思いつつ、問題の女子トイレ前に到着。「もちろん中に明かりも見えず人の気配も無し」という扉を開くと、警報の正体は猫でもネズミでもなかった。
「白い服を着た女の人がトイレの中の手洗い場のとこに立ってるんですよ。しかも全身びしょ濡れで。そこからしたたり落ちる水で床も濡れてます。明らかにこの世の人じゃないのが一瞬で分かるっていうあの不思議な感覚」
その姿を見るやいなや、「状況が理解出来ずフリーズしました」と恐怖を回想している。
その「女の人」は髪も濡れていて顔が見えなかったという。そこで男性はとっさの行動に出た。
「とにかくここにいたらダメな事が直感で分かり、そのままゆっくり扉を閉めてダッシュで逃げ、外に停めてあった車に戻り管制センターへありのまま状況を報告」
防弾チョッキや警棒を装備していたというが、この状況では逃げるが吉と判断したようだ。
気が気でない男性は管制センターと状況を確認し合うも、真相がつかめないままだった。
「そもそも女子トイレ自体に窓は無く外からの侵入は不可能。入口の鍵も閉まっていた」
その後、隣のエリアを担当する同僚が派遣されることに。管制センターの指示により、待機している間「一箇所しかない出入り口」を車から見張っていたが、誰も出てくることはなかった。
約30分後に同僚が到着し、男性が状況を説明すると同僚は青ざめながらも、二人で再び女子トイレを確認することになった。一緒に女子トイレの扉を開けると……
「そこには誰も居なく床だけが不自然に濡れていました。とりあえず異常無しという事にせざるを得ず」
先ほどの「女の人」は姿を消し、その形跡だけが残されていた。結局それ以上は何も起こらず、同僚とその場を後にしたという。しかし現在もなお釈然としない思いを抱えているようだ。
「あれは何だったのか。未だに謎の思い出です」
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