ひきこもり→こもりびと 「人に疲れること、誰にでも」条例に反響

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就学や就労など社会参加を避けて家に閉じこもる「ひきこもり」への支援について、神奈川県内の自治体が充実を図っている。ひきこもりが若年層の不登校だけでなく、仕事や病気でつまずいた中高年にも広がり、それぞれ異なる事情を抱える。当事者と社会との接点をつなぐための取り組みを進めている。【岡正勝】
「外が死ぬほどつらかったとは」 娘の苦しみ知り ひきこもりを「こもりびと」と独自に呼んでいる大和市で9月下旬、全国的にも珍しい支援条例が制定、施行された。市民の理解を深め、当事者や家族が孤立しないよう支援を充実するのが狙いだ。

「我々の存在を知ってもらえてありがたい」。10月1日、大和市が開いた当事者らが交流、意見交換するイベント「こもりびとの居場所」に参加した7人は、新条例を歓迎した。 大和市では2019年、年齢によって異なっていた支援窓口を一本化。その際、呼称をマイナスイメージのある「ひきこもり」から、より温かみのある「こもりびと」に変更した。 新条例は前文で、「他者や社会に疲れてしまうことは誰にとっても決して珍しいことではない」と指摘。引きこもった当事者が一歩踏み出す時に支援につなげ、「誤解や偏見のない地域社会を築くことが重要」と説く。その上で、行政による支援を責務とし、市民の協力を求めた。 いわゆる理念条例で義務や罰則はないが、行政の姿勢を対外的に示すため制定に踏み切った。県外の当事者や家族から相談が寄せられるほど反響があるという。 新たな支援策については検討中だが、大和市の担当者は「当事者が自らが考えるまで待つのも支援。自身でどうしたいか声を上げた時、伴走できるよう施策で具現化したい」としている。 一方、県は22年度にLINEを通じたひきこもり相談をスタートさせ、専用の電話相談窓口も開設した。外に出かけるきっかけとなるイベントなどを紹介するポータルサイトも立ち上げるなど支援を強化している。 横浜市は4月、40歳以上を対象にした「ひきこもり支援課」を設けた。相談窓口だった青少年相談センターでは相談をためらう人がいたためで、担当者はこれまでの相談から「仕事や職場でのつまずきをきっかけにひきこもった中高年が多いというのが印象だ」と話している。 厚生労働省は、原則6カ月以上にわたって家庭などにとどまり、就学や就労していない状態にある人を「ひきこもり」と定義。内閣府の調査を踏まえ、県は15~39歳が4万1000人、40~64歳が4万6000人いると推計している。
ひきこもりを「こもりびと」と独自に呼んでいる大和市で9月下旬、全国的にも珍しい支援条例が制定、施行された。市民の理解を深め、当事者や家族が孤立しないよう支援を充実するのが狙いだ。
「我々の存在を知ってもらえてありがたい」。10月1日、大和市が開いた当事者らが交流、意見交換するイベント「こもりびとの居場所」に参加した7人は、新条例を歓迎した。
大和市では2019年、年齢によって異なっていた支援窓口を一本化。その際、呼称をマイナスイメージのある「ひきこもり」から、より温かみのある「こもりびと」に変更した。
新条例は前文で、「他者や社会に疲れてしまうことは誰にとっても決して珍しいことではない」と指摘。引きこもった当事者が一歩踏み出す時に支援につなげ、「誤解や偏見のない地域社会を築くことが重要」と説く。その上で、行政による支援を責務とし、市民の協力を求めた。
いわゆる理念条例で義務や罰則はないが、行政の姿勢を対外的に示すため制定に踏み切った。県外の当事者や家族から相談が寄せられるほど反響があるという。
新たな支援策については検討中だが、大和市の担当者は「当事者が自らが考えるまで待つのも支援。自身でどうしたいか声を上げた時、伴走できるよう施策で具現化したい」としている。
一方、県は22年度にLINEを通じたひきこもり相談をスタートさせ、専用の電話相談窓口も開設した。外に出かけるきっかけとなるイベントなどを紹介するポータルサイトも立ち上げるなど支援を強化している。
横浜市は4月、40歳以上を対象にした「ひきこもり支援課」を設けた。相談窓口だった青少年相談センターでは相談をためらう人がいたためで、担当者はこれまでの相談から「仕事や職場でのつまずきをきっかけにひきこもった中高年が多いというのが印象だ」と話している。
厚生労働省は、原則6カ月以上にわたって家庭などにとどまり、就学や就労していない状態にある人を「ひきこもり」と定義。内閣府の調査を踏まえ、県は15~39歳が4万1000人、40~64歳が4万6000人いると推計している。

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