【A4studio】追い詰められた妻たち…夫への恨みを投稿するサイト「だんなデスノート」の危うさ

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「夫や旦那へ死んで欲しいという願いを書く」場所として開設されたサイト、だんなデスノートには、不倫、DV、モラハラ、パワハラなどを行う旦那への恨みを吐く投稿が書き込まれている。
管理人である牧田幸一郎氏は、毒親の元で育ったトラウマを持っている。辛い状況に置かれた妻たちの不満のはけ口となり、自分のような辛い思いをする子どもが少しでも減るように、という思いからサイトを開設した。投稿には、人体に有毒な成分を含む「不凍液」という冷却水を旦那に飲ませて死に追いやるという内容が書き込まれたこともある。ときに度を超えたような過激な内容も飛び交うサイトからは、切迫した思いが感じ取れる。
記事前編は「『麦茶にトイレの水』『こっそり猛毒を飲ませ』妻たちが夫への憎悪を書きこむサイト…その衝撃の実態」からお読みいただけます。
だんなデスノートは、映画化やワイドショーなどメディアでの紹介実績も多く、2017年には「だんなデス・ノート ~夫の『死』を願う妻たちの叫び」(宝島社)として書籍化も果たし、大きな話題になった。一方、SNSでたびたび投稿が引用される形で拡散されることもあり、物議を醸したこともある。
「かつてSNSとは、ふと思いついたことを書いたり、身内・知り合い内で投稿しあったりする空間でしたが、現在は情報収集のために利用する人も増えています。加えて、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻以降、虚偽の情報が横行した影響で、情報に敏感になるユーザーが増加。以前よりも簡単に炎上を引き起こしやすくなってしまいました。だんなデスノートに寄せられる悩み自体は、多くの人が共感できる悩みであることが多いものの、一方で『いかがなものか』と異議申し立てする意見も当然出てきやすいのです」
SNSの利用が日常化している現在。話題になった不凍液の投稿を含め、だんなデスノートの投稿が、何らかのきっかけで一部ユーザーの神経を逆なでし、結果として多くのネットユーザーの目に触れる可能性は十分にあり得る話なのである。
photo by iStock
また投稿の内容によっては、書き込みだけで犯罪になる可能性もあると鈴木氏は指摘する。
「個人が特定されるような、プライバシー侵害の恐れがある投稿は、犯罪に問われることもあるでしょう。ネット上に書き込むからには、不特定多数に読まれる、すぐに特定される可能性があるということも想定しておかないと、手痛いしっぺ返しを食らうこともあり得るのです」
ネット掲示板の書き込みをまとめた“まとめサイト”では、名誉棄損の疑いで運営元が訴えられた事例も過去には存在した。投稿者だけではなく、サイトの運営側にも非があることが認められる可能性はあるのだ。
だんなデスノート管理人・牧田氏は、旦那の問題でどうしようもなく辛くなった女性たちに無償で電話相談を受ける、という取り組みも行っていたようだ。サイトには旦那の存在、行動によってボロボロに追い込まれた主婦が、藁にもすがる気持ちで死を願っている様子もうかがえる。彼女たちの精神的な拠り所としてだんなデスノートは機能している側面もあるかもしれない。
しかしながら、犯罪を助長しかねない投稿が続くことは問題を引き起こす可能性がある、と鈴木氏は言う。
「ネットの利用が当たり前になったことに比例して、未成年のネットユーザーも増えているため、だんなデスノートの投稿が犯罪を助長することも可能性としては0ではありません。ネットに公開している以上、多くのユーザーが目にするでしょうから、だんなデスノート側でも具体的、かつ実行可能のように思える投稿、情報の共有は控えるように対策を施す時期が来ているのかもしれません。
何より近年は芸能人の訃報や戦争・紛争の影響により、『死』というワードがよりセンシティブになっているせいか、だんなデスノートに対する批判の声が強くなっている印象を受けます。したがって『死ね』、『殺したい』というように文章が極端に過激だと、今後もやり玉に挙げられてしまう可能性もあると思います」
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だんなデスノートは一時期、登録者以外は閲覧できない状態にあったが、現在は閲覧可能となっている。ほとぼりが冷めた印象はあるものの、再び炎上してサイトが閉鎖に追い込まれることも考えられなくはない。
鈴木氏の言うように、犯罪に関与しない、生ませないという姿勢を貫かなければ、こうしたネットコミュニティの存続は難しいのかもしれない。
(取材・文=A4studio)

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