指原莉乃の「卵子凍結」告白で都助成金への希望者は想定の3倍以上に! 費用は66万超え、採卵前後の強烈な痛みもあったけど、アラサー記者が「やってよかった!」と思ったワケ

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先日、31歳を迎えたタレントの指原莉乃さんの告白を受けて、今年度から始まった東京都の助成金(最大30万円)に希望者が殺到するなど、関心が高まっている「卵子凍結」。現在32歳の筆者も将来への選択肢を増やしておこうと、東京都の助成金事業を活用して11月に卵子凍結にトライした。キャリアや結婚に悩む女性たちの参考になればと、筆者の体験談を紹介したい。 凍結した卵子1個の出生率は4.5~12%。それでも想定の3倍以上の応募が殺到 「今年も今のところ結婚願望なし、卵子凍結済みで生活してます」

「大人、楽しんでます!」 11月21日にX(旧Twitter)でそう告白したのは、この日31歳の誕生日を迎えた指原莉乃さん。インターネット上では「女性の選択肢として広まってほしい」といった好意的な意見から、「卵子凍結したから大丈夫、と思わないでほしい」という慎重な声まで上がり、大きな話題となった。 31歳になりました今年も今のところ結婚願望なし、卵子凍結済みで生活してます♀歳を重ねることは、何とも思わないような少し嫌なような、なのですが、それ以上にやりたいことや趣味の選択肢が増えて、今とても幸せです大人、楽しんでます!おめでとうLINEは奈子が1番のりでした pic.twitter.com/XeeMgD06Ge- 指原 莉乃 (@345__chan) November 20, 2023 指原莉乃さんは31歳の誕生日に卵子凍結したことをXで発表 卵子凍結とは卵巣から取り出した卵子を凍結保存して、実際に妊娠を望む時期に解凍し、精子と体外受精させるものだ。 折しも東京都は今年度、18~39歳の都内在住女性の卵子凍結に、最大30万円を助成する事業を始めた。11月28日時点で5825人が説明会に申し込み、そのうち1002人が事業に参加するために必要な申請を行った。東京都は2023年度の利用者を200~300人程度と想定していたということで、その数はすでに3倍以上となっている。 筆者もその1002人のうちの1人だ。東京都の助成金を活用しても費用面のハードルは依然高い。病院にもよるが、基本的に採卵に15~50万円、凍結は卵子1個あたり1~5万円、さらに、保管するのにも凍結保存容器1本(卵子2個もしくは3個保存可)あたり年間で2~3万円、体外受精時にも費用が発生し、最終的な負担は最後までわからない。 しかも凍結した卵子1個あたりの出生率は4.5~12%ほどとされ、必ず妊娠できるものでないことも考慮しなくてはならない。 助成金を受けても100万円近い負担。とはいえ、払えないほどの金額ではない。採卵する卵子を複数育てるための「自己注射」は繰り返すことで体調への影響もあるが、筆者は今は在宅勤務が中心。2週間程度で採卵まで終わるなら予定を調整しやすいという状況も、背中を後押しした。何より、数年後に「あのときチャンスがあったのだから、卵子を凍結しておけば」と悔やむことは避けたく、卵子凍結に踏み切ることにした。 2週間で4回の通院。予定の調整も壁 筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。 ① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
先日、31歳を迎えたタレントの指原莉乃さんの告白を受けて、今年度から始まった東京都の助成金(最大30万円)に希望者が殺到するなど、関心が高まっている「卵子凍結」。現在32歳の筆者も将来への選択肢を増やしておこうと、東京都の助成金事業を活用して11月に卵子凍結にトライした。キャリアや結婚に悩む女性たちの参考になればと、筆者の体験談を紹介したい。
凍結した卵子1個の出生率は4.5~12%。それでも想定の3倍以上の応募が殺到 「今年も今のところ結婚願望なし、卵子凍結済みで生活してます」

「大人、楽しんでます!」 11月21日にX(旧Twitter)でそう告白したのは、この日31歳の誕生日を迎えた指原莉乃さん。インターネット上では「女性の選択肢として広まってほしい」といった好意的な意見から、「卵子凍結したから大丈夫、と思わないでほしい」という慎重な声まで上がり、大きな話題となった。 31歳になりました今年も今のところ結婚願望なし、卵子凍結済みで生活してます♀歳を重ねることは、何とも思わないような少し嫌なような、なのですが、それ以上にやりたいことや趣味の選択肢が増えて、今とても幸せです大人、楽しんでます!おめでとうLINEは奈子が1番のりでした pic.twitter.com/XeeMgD06Ge- 指原 莉乃 (@345__chan) November 20, 2023 指原莉乃さんは31歳の誕生日に卵子凍結したことをXで発表 卵子凍結とは卵巣から取り出した卵子を凍結保存して、実際に妊娠を望む時期に解凍し、精子と体外受精させるものだ。 折しも東京都は今年度、18~39歳の都内在住女性の卵子凍結に、最大30万円を助成する事業を始めた。11月28日時点で5825人が説明会に申し込み、そのうち1002人が事業に参加するために必要な申請を行った。東京都は2023年度の利用者を200~300人程度と想定していたということで、その数はすでに3倍以上となっている。 筆者もその1002人のうちの1人だ。東京都の助成金を活用しても費用面のハードルは依然高い。病院にもよるが、基本的に採卵に15~50万円、凍結は卵子1個あたり1~5万円、さらに、保管するのにも凍結保存容器1本(卵子2個もしくは3個保存可)あたり年間で2~3万円、体外受精時にも費用が発生し、最終的な負担は最後までわからない。 しかも凍結した卵子1個あたりの出生率は4.5~12%ほどとされ、必ず妊娠できるものでないことも考慮しなくてはならない。 助成金を受けても100万円近い負担。とはいえ、払えないほどの金額ではない。採卵する卵子を複数育てるための「自己注射」は繰り返すことで体調への影響もあるが、筆者は今は在宅勤務が中心。2週間程度で採卵まで終わるなら予定を調整しやすいという状況も、背中を後押しした。何より、数年後に「あのときチャンスがあったのだから、卵子を凍結しておけば」と悔やむことは避けたく、卵子凍結に踏み切ることにした。 2週間で4回の通院。予定の調整も壁 筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。 ① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
凍結した卵子1個の出生率は4.5~12%。それでも想定の3倍以上の応募が殺到 「今年も今のところ結婚願望なし、卵子凍結済みで生活してます」

「大人、楽しんでます!」 11月21日にX(旧Twitter)でそう告白したのは、この日31歳の誕生日を迎えた指原莉乃さん。インターネット上では「女性の選択肢として広まってほしい」といった好意的な意見から、「卵子凍結したから大丈夫、と思わないでほしい」という慎重な声まで上がり、大きな話題となった。 31歳になりました今年も今のところ結婚願望なし、卵子凍結済みで生活してます♀歳を重ねることは、何とも思わないような少し嫌なような、なのですが、それ以上にやりたいことや趣味の選択肢が増えて、今とても幸せです大人、楽しんでます!おめでとうLINEは奈子が1番のりでした pic.twitter.com/XeeMgD06Ge- 指原 莉乃 (@345__chan) November 20, 2023 指原莉乃さんは31歳の誕生日に卵子凍結したことをXで発表 卵子凍結とは卵巣から取り出した卵子を凍結保存して、実際に妊娠を望む時期に解凍し、精子と体外受精させるものだ。 折しも東京都は今年度、18~39歳の都内在住女性の卵子凍結に、最大30万円を助成する事業を始めた。11月28日時点で5825人が説明会に申し込み、そのうち1002人が事業に参加するために必要な申請を行った。東京都は2023年度の利用者を200~300人程度と想定していたということで、その数はすでに3倍以上となっている。 筆者もその1002人のうちの1人だ。東京都の助成金を活用しても費用面のハードルは依然高い。病院にもよるが、基本的に採卵に15~50万円、凍結は卵子1個あたり1~5万円、さらに、保管するのにも凍結保存容器1本(卵子2個もしくは3個保存可)あたり年間で2~3万円、体外受精時にも費用が発生し、最終的な負担は最後までわからない。 しかも凍結した卵子1個あたりの出生率は4.5~12%ほどとされ、必ず妊娠できるものでないことも考慮しなくてはならない。 助成金を受けても100万円近い負担。とはいえ、払えないほどの金額ではない。採卵する卵子を複数育てるための「自己注射」は繰り返すことで体調への影響もあるが、筆者は今は在宅勤務が中心。2週間程度で採卵まで終わるなら予定を調整しやすいという状況も、背中を後押しした。何より、数年後に「あのときチャンスがあったのだから、卵子を凍結しておけば」と悔やむことは避けたく、卵子凍結に踏み切ることにした。 2週間で4回の通院。予定の調整も壁 筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。 ① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
「今年も今のところ結婚願望なし、卵子凍結済みで生活してます」

「大人、楽しんでます!」 11月21日にX(旧Twitter)でそう告白したのは、この日31歳の誕生日を迎えた指原莉乃さん。インターネット上では「女性の選択肢として広まってほしい」といった好意的な意見から、「卵子凍結したから大丈夫、と思わないでほしい」という慎重な声まで上がり、大きな話題となった。 31歳になりました今年も今のところ結婚願望なし、卵子凍結済みで生活してます♀歳を重ねることは、何とも思わないような少し嫌なような、なのですが、それ以上にやりたいことや趣味の選択肢が増えて、今とても幸せです大人、楽しんでます!おめでとうLINEは奈子が1番のりでした pic.twitter.com/XeeMgD06Ge- 指原 莉乃 (@345__chan) November 20, 2023 指原莉乃さんは31歳の誕生日に卵子凍結したことをXで発表 卵子凍結とは卵巣から取り出した卵子を凍結保存して、実際に妊娠を望む時期に解凍し、精子と体外受精させるものだ。 折しも東京都は今年度、18~39歳の都内在住女性の卵子凍結に、最大30万円を助成する事業を始めた。11月28日時点で5825人が説明会に申し込み、そのうち1002人が事業に参加するために必要な申請を行った。東京都は2023年度の利用者を200~300人程度と想定していたということで、その数はすでに3倍以上となっている。 筆者もその1002人のうちの1人だ。東京都の助成金を活用しても費用面のハードルは依然高い。病院にもよるが、基本的に採卵に15~50万円、凍結は卵子1個あたり1~5万円、さらに、保管するのにも凍結保存容器1本(卵子2個もしくは3個保存可)あたり年間で2~3万円、体外受精時にも費用が発生し、最終的な負担は最後までわからない。 しかも凍結した卵子1個あたりの出生率は4.5~12%ほどとされ、必ず妊娠できるものでないことも考慮しなくてはならない。 助成金を受けても100万円近い負担。とはいえ、払えないほどの金額ではない。採卵する卵子を複数育てるための「自己注射」は繰り返すことで体調への影響もあるが、筆者は今は在宅勤務が中心。2週間程度で採卵まで終わるなら予定を調整しやすいという状況も、背中を後押しした。何より、数年後に「あのときチャンスがあったのだから、卵子を凍結しておけば」と悔やむことは避けたく、卵子凍結に踏み切ることにした。 2週間で4回の通院。予定の調整も壁 筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。 ① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
「今年も今のところ結婚願望なし、卵子凍結済みで生活してます」
「大人、楽しんでます!」
11月21日にX(旧Twitter)でそう告白したのは、この日31歳の誕生日を迎えた指原莉乃さん。インターネット上では「女性の選択肢として広まってほしい」といった好意的な意見から、「卵子凍結したから大丈夫、と思わないでほしい」という慎重な声まで上がり、大きな話題となった。 31歳になりました今年も今のところ結婚願望なし、卵子凍結済みで生活してます♀歳を重ねることは、何とも思わないような少し嫌なような、なのですが、それ以上にやりたいことや趣味の選択肢が増えて、今とても幸せです大人、楽しんでます!おめでとうLINEは奈子が1番のりでした pic.twitter.com/XeeMgD06Ge- 指原 莉乃 (@345__chan) November 20, 2023 指原莉乃さんは31歳の誕生日に卵子凍結したことをXで発表 卵子凍結とは卵巣から取り出した卵子を凍結保存して、実際に妊娠を望む時期に解凍し、精子と体外受精させるものだ。 折しも東京都は今年度、18~39歳の都内在住女性の卵子凍結に、最大30万円を助成する事業を始めた。11月28日時点で5825人が説明会に申し込み、そのうち1002人が事業に参加するために必要な申請を行った。東京都は2023年度の利用者を200~300人程度と想定していたということで、その数はすでに3倍以上となっている。 筆者もその1002人のうちの1人だ。東京都の助成金を活用しても費用面のハードルは依然高い。病院にもよるが、基本的に採卵に15~50万円、凍結は卵子1個あたり1~5万円、さらに、保管するのにも凍結保存容器1本(卵子2個もしくは3個保存可)あたり年間で2~3万円、体外受精時にも費用が発生し、最終的な負担は最後までわからない。 しかも凍結した卵子1個あたりの出生率は4.5~12%ほどとされ、必ず妊娠できるものでないことも考慮しなくてはならない。 助成金を受けても100万円近い負担。とはいえ、払えないほどの金額ではない。採卵する卵子を複数育てるための「自己注射」は繰り返すことで体調への影響もあるが、筆者は今は在宅勤務が中心。2週間程度で採卵まで終わるなら予定を調整しやすいという状況も、背中を後押しした。何より、数年後に「あのときチャンスがあったのだから、卵子を凍結しておけば」と悔やむことは避けたく、卵子凍結に踏み切ることにした。 2週間で4回の通院。予定の調整も壁 筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。 ① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
11月21日にX(旧Twitter)でそう告白したのは、この日31歳の誕生日を迎えた指原莉乃さん。インターネット上では「女性の選択肢として広まってほしい」といった好意的な意見から、「卵子凍結したから大丈夫、と思わないでほしい」という慎重な声まで上がり、大きな話題となった。
31歳になりました今年も今のところ結婚願望なし、卵子凍結済みで生活してます♀歳を重ねることは、何とも思わないような少し嫌なような、なのですが、それ以上にやりたいことや趣味の選択肢が増えて、今とても幸せです大人、楽しんでます!おめでとうLINEは奈子が1番のりでした pic.twitter.com/XeeMgD06Ge- 指原 莉乃 (@345__chan) November 20, 2023 指原莉乃さんは31歳の誕生日に卵子凍結したことをXで発表 卵子凍結とは卵巣から取り出した卵子を凍結保存して、実際に妊娠を望む時期に解凍し、精子と体外受精させるものだ。 折しも東京都は今年度、18~39歳の都内在住女性の卵子凍結に、最大30万円を助成する事業を始めた。11月28日時点で5825人が説明会に申し込み、そのうち1002人が事業に参加するために必要な申請を行った。東京都は2023年度の利用者を200~300人程度と想定していたということで、その数はすでに3倍以上となっている。 筆者もその1002人のうちの1人だ。東京都の助成金を活用しても費用面のハードルは依然高い。病院にもよるが、基本的に採卵に15~50万円、凍結は卵子1個あたり1~5万円、さらに、保管するのにも凍結保存容器1本(卵子2個もしくは3個保存可)あたり年間で2~3万円、体外受精時にも費用が発生し、最終的な負担は最後までわからない。 しかも凍結した卵子1個あたりの出生率は4.5~12%ほどとされ、必ず妊娠できるものでないことも考慮しなくてはならない。 助成金を受けても100万円近い負担。とはいえ、払えないほどの金額ではない。採卵する卵子を複数育てるための「自己注射」は繰り返すことで体調への影響もあるが、筆者は今は在宅勤務が中心。2週間程度で採卵まで終わるなら予定を調整しやすいという状況も、背中を後押しした。何より、数年後に「あのときチャンスがあったのだから、卵子を凍結しておけば」と悔やむことは避けたく、卵子凍結に踏み切ることにした。 2週間で4回の通院。予定の調整も壁 筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。 ① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
31歳になりました今年も今のところ結婚願望なし、卵子凍結済みで生活してます♀歳を重ねることは、何とも思わないような少し嫌なような、なのですが、それ以上にやりたいことや趣味の選択肢が増えて、今とても幸せです大人、楽しんでます!おめでとうLINEは奈子が1番のりでした pic.twitter.com/XeeMgD06Ge- 指原 莉乃 (@345__chan) November 20, 2023 指原莉乃さんは31歳の誕生日に卵子凍結したことをXで発表 卵子凍結とは卵巣から取り出した卵子を凍結保存して、実際に妊娠を望む時期に解凍し、精子と体外受精させるものだ。 折しも東京都は今年度、18~39歳の都内在住女性の卵子凍結に、最大30万円を助成する事業を始めた。11月28日時点で5825人が説明会に申し込み、そのうち1002人が事業に参加するために必要な申請を行った。東京都は2023年度の利用者を200~300人程度と想定していたということで、その数はすでに3倍以上となっている。 筆者もその1002人のうちの1人だ。東京都の助成金を活用しても費用面のハードルは依然高い。病院にもよるが、基本的に採卵に15~50万円、凍結は卵子1個あたり1~5万円、さらに、保管するのにも凍結保存容器1本(卵子2個もしくは3個保存可)あたり年間で2~3万円、体外受精時にも費用が発生し、最終的な負担は最後までわからない。 しかも凍結した卵子1個あたりの出生率は4.5~12%ほどとされ、必ず妊娠できるものでないことも考慮しなくてはならない。 助成金を受けても100万円近い負担。とはいえ、払えないほどの金額ではない。採卵する卵子を複数育てるための「自己注射」は繰り返すことで体調への影響もあるが、筆者は今は在宅勤務が中心。2週間程度で採卵まで終わるなら予定を調整しやすいという状況も、背中を後押しした。何より、数年後に「あのときチャンスがあったのだから、卵子を凍結しておけば」と悔やむことは避けたく、卵子凍結に踏み切ることにした。 2週間で4回の通院。予定の調整も壁 筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。 ① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
31歳になりました今年も今のところ結婚願望なし、卵子凍結済みで生活してます♀歳を重ねることは、何とも思わないような少し嫌なような、なのですが、それ以上にやりたいことや趣味の選択肢が増えて、今とても幸せです大人、楽しんでます!おめでとうLINEは奈子が1番のりでした pic.twitter.com/XeeMgD06Ge- 指原 莉乃 (@345__chan) November 20, 2023 指原莉乃さんは31歳の誕生日に卵子凍結したことをXで発表 卵子凍結とは卵巣から取り出した卵子を凍結保存して、実際に妊娠を望む時期に解凍し、精子と体外受精させるものだ。 折しも東京都は今年度、18~39歳の都内在住女性の卵子凍結に、最大30万円を助成する事業を始めた。11月28日時点で5825人が説明会に申し込み、そのうち1002人が事業に参加するために必要な申請を行った。東京都は2023年度の利用者を200~300人程度と想定していたということで、その数はすでに3倍以上となっている。 筆者もその1002人のうちの1人だ。東京都の助成金を活用しても費用面のハードルは依然高い。病院にもよるが、基本的に採卵に15~50万円、凍結は卵子1個あたり1~5万円、さらに、保管するのにも凍結保存容器1本(卵子2個もしくは3個保存可)あたり年間で2~3万円、体外受精時にも費用が発生し、最終的な負担は最後までわからない。 しかも凍結した卵子1個あたりの出生率は4.5~12%ほどとされ、必ず妊娠できるものでないことも考慮しなくてはならない。 助成金を受けても100万円近い負担。とはいえ、払えないほどの金額ではない。採卵する卵子を複数育てるための「自己注射」は繰り返すことで体調への影響もあるが、筆者は今は在宅勤務が中心。2週間程度で採卵まで終わるなら予定を調整しやすいという状況も、背中を後押しした。何より、数年後に「あのときチャンスがあったのだから、卵子を凍結しておけば」と悔やむことは避けたく、卵子凍結に踏み切ることにした。 2週間で4回の通院。予定の調整も壁 筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。 ① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
31歳になりました今年も今のところ結婚願望なし、卵子凍結済みで生活してます♀歳を重ねることは、何とも思わないような少し嫌なような、なのですが、それ以上にやりたいことや趣味の選択肢が増えて、今とても幸せです大人、楽しんでます!おめでとうLINEは奈子が1番のりでした pic.twitter.com/XeeMgD06Ge- 指原 莉乃 (@345__chan) November 20, 2023
今年も今のところ結婚願望なし、卵子凍結済みで生活してます♀歳を重ねることは、何とも思わないような少し嫌なような、なのですが、それ以上にやりたいことや趣味の選択肢が増えて、今とても幸せです大人、楽しんでます!おめでとうLINEは奈子が1番のりでした pic.twitter.com/XeeMgD06Ge- 指原 莉乃 (@345__chan) November 20, 2023
歳を重ねることは、何とも思わないような少し嫌なような、なのですが、それ以上にやりたいことや趣味の選択肢が増えて、今とても幸せです大人、楽しんでます!おめでとうLINEは奈子が1番のりでした pic.twitter.com/XeeMgD06Ge- 指原 莉乃 (@345__chan) November 20, 2023
歳を重ねることは、何とも思わないような少し嫌なような、なのですが、それ以上にやりたいことや趣味の選択肢が増えて、今とても幸せです大人、楽しんでます!おめでとうLINEは奈子が1番のりでした pic.twitter.com/XeeMgD06Ge- 指原 莉乃 (@345__chan) November 20, 2023
おめでとうLINEは奈子が1番のりでした pic.twitter.com/XeeMgD06Ge- 指原 莉乃 (@345__chan) November 20, 2023
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指原莉乃さんは31歳の誕生日に卵子凍結したことをXで発表
卵子凍結とは卵巣から取り出した卵子を凍結保存して、実際に妊娠を望む時期に解凍し、精子と体外受精させるものだ。 折しも東京都は今年度、18~39歳の都内在住女性の卵子凍結に、最大30万円を助成する事業を始めた。11月28日時点で5825人が説明会に申し込み、そのうち1002人が事業に参加するために必要な申請を行った。東京都は2023年度の利用者を200~300人程度と想定していたということで、その数はすでに3倍以上となっている。 筆者もその1002人のうちの1人だ。東京都の助成金を活用しても費用面のハードルは依然高い。病院にもよるが、基本的に採卵に15~50万円、凍結は卵子1個あたり1~5万円、さらに、保管するのにも凍結保存容器1本(卵子2個もしくは3個保存可)あたり年間で2~3万円、体外受精時にも費用が発生し、最終的な負担は最後までわからない。 しかも凍結した卵子1個あたりの出生率は4.5~12%ほどとされ、必ず妊娠できるものでないことも考慮しなくてはならない。 助成金を受けても100万円近い負担。とはいえ、払えないほどの金額ではない。採卵する卵子を複数育てるための「自己注射」は繰り返すことで体調への影響もあるが、筆者は今は在宅勤務が中心。2週間程度で採卵まで終わるなら予定を調整しやすいという状況も、背中を後押しした。何より、数年後に「あのときチャンスがあったのだから、卵子を凍結しておけば」と悔やむことは避けたく、卵子凍結に踏み切ることにした。 2週間で4回の通院。予定の調整も壁 筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。 ① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
卵子凍結とは卵巣から取り出した卵子を凍結保存して、実際に妊娠を望む時期に解凍し、精子と体外受精させるものだ。
折しも東京都は今年度、18~39歳の都内在住女性の卵子凍結に、最大30万円を助成する事業を始めた。11月28日時点で5825人が説明会に申し込み、そのうち1002人が事業に参加するために必要な申請を行った。東京都は2023年度の利用者を200~300人程度と想定していたということで、その数はすでに3倍以上となっている。 筆者もその1002人のうちの1人だ。東京都の助成金を活用しても費用面のハードルは依然高い。病院にもよるが、基本的に採卵に15~50万円、凍結は卵子1個あたり1~5万円、さらに、保管するのにも凍結保存容器1本(卵子2個もしくは3個保存可)あたり年間で2~3万円、体外受精時にも費用が発生し、最終的な負担は最後までわからない。 しかも凍結した卵子1個あたりの出生率は4.5~12%ほどとされ、必ず妊娠できるものでないことも考慮しなくてはならない。 助成金を受けても100万円近い負担。とはいえ、払えないほどの金額ではない。採卵する卵子を複数育てるための「自己注射」は繰り返すことで体調への影響もあるが、筆者は今は在宅勤務が中心。2週間程度で採卵まで終わるなら予定を調整しやすいという状況も、背中を後押しした。何より、数年後に「あのときチャンスがあったのだから、卵子を凍結しておけば」と悔やむことは避けたく、卵子凍結に踏み切ることにした。 2週間で4回の通院。予定の調整も壁 筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。 ① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
折しも東京都は今年度、18~39歳の都内在住女性の卵子凍結に、最大30万円を助成する事業を始めた。11月28日時点で5825人が説明会に申し込み、そのうち1002人が事業に参加するために必要な申請を行った。東京都は2023年度の利用者を200~300人程度と想定していたということで、その数はすでに3倍以上となっている。
筆者もその1002人のうちの1人だ。東京都の助成金を活用しても費用面のハードルは依然高い。病院にもよるが、基本的に採卵に15~50万円、凍結は卵子1個あたり1~5万円、さらに、保管するのにも凍結保存容器1本(卵子2個もしくは3個保存可)あたり年間で2~3万円、体外受精時にも費用が発生し、最終的な負担は最後までわからない。 しかも凍結した卵子1個あたりの出生率は4.5~12%ほどとされ、必ず妊娠できるものでないことも考慮しなくてはならない。 助成金を受けても100万円近い負担。とはいえ、払えないほどの金額ではない。採卵する卵子を複数育てるための「自己注射」は繰り返すことで体調への影響もあるが、筆者は今は在宅勤務が中心。2週間程度で採卵まで終わるなら予定を調整しやすいという状況も、背中を後押しした。何より、数年後に「あのときチャンスがあったのだから、卵子を凍結しておけば」と悔やむことは避けたく、卵子凍結に踏み切ることにした。 2週間で4回の通院。予定の調整も壁 筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。 ① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
筆者もその1002人のうちの1人だ。東京都の助成金を活用しても費用面のハードルは依然高い。病院にもよるが、基本的に採卵に15~50万円、凍結は卵子1個あたり1~5万円、さらに、保管するのにも凍結保存容器1本(卵子2個もしくは3個保存可)あたり年間で2~3万円、体外受精時にも費用が発生し、最終的な負担は最後までわからない。
しかも凍結した卵子1個あたりの出生率は4.5~12%ほどとされ、必ず妊娠できるものでないことも考慮しなくてはならない。 助成金を受けても100万円近い負担。とはいえ、払えないほどの金額ではない。採卵する卵子を複数育てるための「自己注射」は繰り返すことで体調への影響もあるが、筆者は今は在宅勤務が中心。2週間程度で採卵まで終わるなら予定を調整しやすいという状況も、背中を後押しした。何より、数年後に「あのときチャンスがあったのだから、卵子を凍結しておけば」と悔やむことは避けたく、卵子凍結に踏み切ることにした。 2週間で4回の通院。予定の調整も壁 筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。 ① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
しかも凍結した卵子1個あたりの出生率は4.5~12%ほどとされ、必ず妊娠できるものでないことも考慮しなくてはならない。
助成金を受けても100万円近い負担。とはいえ、払えないほどの金額ではない。採卵する卵子を複数育てるための「自己注射」は繰り返すことで体調への影響もあるが、筆者は今は在宅勤務が中心。2週間程度で採卵まで終わるなら予定を調整しやすいという状況も、背中を後押しした。何より、数年後に「あのときチャンスがあったのだから、卵子を凍結しておけば」と悔やむことは避けたく、卵子凍結に踏み切ることにした。 2週間で4回の通院。予定の調整も壁 筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。 ① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
助成金を受けても100万円近い負担。とはいえ、払えないほどの金額ではない。採卵する卵子を複数育てるための「自己注射」は繰り返すことで体調への影響もあるが、筆者は今は在宅勤務が中心。2週間程度で採卵まで終わるなら予定を調整しやすいという状況も、背中を後押しした。何より、数年後に「あのときチャンスがあったのだから、卵子を凍結しておけば」と悔やむことは避けたく、卵子凍結に踏み切ることにした。
2週間で4回の通院。予定の調整も壁 筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。 ① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
2週間で4回の通院。予定の調整も壁 筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。 ① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。 ① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
筆者が卵子凍結をした際の流れはこうだった。
① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される ② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
① 助成金を受けるために参加が義務付けられている東京都のオンライン説明会を聞き、書類を提出。オンライン説明会では、卵子凍結のメリット・デメリットも説明される
② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける ③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
② 東京都指定のクリニックで血液検査を受け、自分の体に残っている卵子の数、健康状態を把握。卵子凍結の流れについての説明も受ける
③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習 ④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
③ 生理が始まって3日以内にクリニックに行き、自己注射の説明を受け、練習
④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
④ 10日間、毎日自己注射と薬の服用を繰り返す。その間、2回クリニックに行き、卵子の育ち具合などの状況に応じて、薬や自己注射の種類を決めてもらう
クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない ⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない
クリニックから渡された注射の薬剤や針。自分で薬剤を溶かしたり、針を付け替えなくてはならない

⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用 ⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
⑤ 最後の自己注射から2日後、クリニックで採卵。その後も数日は薬を服用
⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける ⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
⑥ 数日後にクリニックに行き、何個の卵子がとれたか、説明を受ける
⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する ③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
⑦ 助成金を受け取るための書類を東京都に提出する
③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。 注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
③~⑤の通院に関してはだいたいの日にちが予測できる。ただ、土曜の診療日は平日の3倍くらいの患者が来院しており、平日に毎日出勤する会社員にとっては調整が大変だろう。
注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
注射と同じくらい、心に刺さったのは… 生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。 ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
生理初日にクリニックに行くと、翌日からの自己注射用の薬剤や注射針、飲み薬を渡された。クリニックでは、薬剤を生理食塩水に溶かし、針を付け替えて刺す練習はしたが、本物の薬剤は使わず、やわらかいボールに針を刺しただけ。
ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。 しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
ひとりで注射するのは初めての経験で怖かったが、針は細く、看護師さんが言うには「おへその下ならどこでも大丈夫」とのことで、注射は意外と簡単。痛みやお腹の張りはほぼ感じず、数日は肩透かしをくらった気分だった。
しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。 接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
しかし、6日後からは注射の種類が変わり、腹痛やお腹の張りといった副作用に苦しめられた。「毎日違うところに刺してください」との看護師の指示に従ったが、素人だからか、刺すところによるのか、同じように刺しているつもりでも、針を刺した瞬間の痛みも日によって違った。針を刺したところが赤くなった日もあった。
接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する
接種を終えた注射器はペットボトルに入れ、クリニックに返却する

そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。 「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
そのうち、「今日もまた痛い思いをしなくてはいけないのか……」と、毎日、朝食後に行う自己注射が憂鬱になってきた。さらに、自己注射が始まってから2回目の診療で医師から言われた「検査結果を見ると、採れる卵子は、おそらく7~14個。もっとたくさん卵子が育ってもいいと思うのですが、体質なんでしょうね……」という言葉が注射と同じくらい、心にグサッと刺さる。
「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」 採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
「こんなに痛くてお金もかかってるんだから、もっと育ってくれればいいのに。10個採れても、子どもができるかはわからない。1個でも多く採りたい……」
採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。 翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。 子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
採卵2日前には「〇時×分と△時□分の2回」と、分単位で注射や点鼻薬の時間が指定された。「これを間違えたり忘れたりすれば、注射をしてきた10日間と、これまでの約15万円が水の泡」と思うと、緊張は最高潮に。
翌日、つまり採卵日前日は何もすることがなく、ホッと安心したのもつかの間、本当の痛みはこの後に待っていた。
子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
子宮と卵巣を突き刺す細長い針「この卵子が将来、子どもになるのかも」 いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。 そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
いよいよやってきた採卵当日。採卵のための台に寝ると、膣から細長い針を入れられ、子宮に部分麻酔を打たれる。そこから針は卵巣に伸び、「ピー、ピー」と鳴るモニターを見た看護師が「あります」と言うと、医師が針で卵巣にあった卵子を取り出す。
そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。 「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
そのたびに卵巣が引っ張られるような感覚と鈍痛がはしるも「我慢、我慢……」と自分に言い聞かせる。自然とお腹に力が入れば、痛みは増すばかり。
「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」 採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
「多めに採れてほしいけど、早く終わってほしい……」
採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。 採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
採卵は15分間だったが、ひたすら長く感じた。事前に看護師から「生理痛と同じくらいの痛み」と聞いていたが、筆者には生理痛の10倍近い痛みに感じた。
採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
採れた卵子の一部 採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
採れた卵子の一部
採れた卵子の一部

採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。 事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
採卵後、「採卵できた17個のうち、おそらく5個は未熟」と医師は話したが、個数よりも、今回の費用と2週間分の痛みを無駄にすることなく無事に終わった安心感と、依然残る腹痛が筆者の頭の中を支配していた。
事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。 医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
事前に看護師から「みなさん採卵後は、スタスタ歩いて帰っています」と聞いていたが、筆者の場合は歩くたびにお腹がズキズキと痛み、徒歩10分ほどの帰り道が3倍くらいの労力に感じた。3、4日は痛みが残り、在宅勤務で極力動かず過ごした。完全に痛みがひくまでは1週間ほどかかった。
医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。 後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
医師からは「卵子が多めに採れたので、卵巣がかなり腫れています」とのこと。このあたりは個人差があり、やってみないとわからない。
後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。 結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
後日、医師から「17個のうちの15個が成熟していたので、凍結しました」と説明を受けた。凍結した卵子の写真を見て起きたのは「この卵子から、将来自分の子どもができるかもしれないのか」という、なんとも不思議な感慨だった。
結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。 検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
結局、検査から凍結までの費用は66万3000円。さらに保管料として筆者の場合は来年からは年11万円ほどかかる。仮に5年間保管したとして、東京都の助成金を最大限活用できたとしても、計91万円の自己負担は発生する計算になる。予想よりも多めに凍結できたことはうれしいが、金銭的負担は想定を上回ってしまった。
検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
検査や採卵などの自己負担10割の領収書 これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
検査や採卵などの自己負担10割の領収書
検査や採卵などの自己負担10割の領収書

これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。 20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
これだけお金をかけ、痛みに耐えても、必ず妊娠できる保証はない。年齢が高くなってからの妊娠・出産はリスクが高まる。「卵子凍結で安心していないで、早く産んだほうがいい」という声もわかる。それでも、自分ひとりではどうにもならないのが、結婚・出産だ。
20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。 また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
20代のころは仕事に明け暮れ、現時点では今すぐに結婚・出産する見込みがない筆者にとって、卵子凍結はひとつの選択肢。
また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
また、ふだんあまり意識してこなかった自分の体の中に残る卵子の数、卵巣や子宮の状態も把握したことで、これまでより前向きに仕事やプライベートに向き合えている気がしている。終わってみると「やってよかった」とすっきりしている自分がそこにいた。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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