50店舗以上に通った20歳女性が語る「ホストにハマった瞬間」「目が覚めた瞬間」━━なぜ「お金=愛情」と錯覚してしまうのか?

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売掛金で多額の借金を背負う女性が増え、悪質ホストクラブ問題が国会でも取り沙汰される中、『ABEMAヒルズ』ではホストにハマった20歳の女性、そして被害者の会に駆け込んできた親御さんに話を聞いた。
【映像】宛名・日付なしの請求書 金額は?「(娘が)お金が払いきれなくなってしまって、すごい借金になってしまった。全部で500万ぐらい」 そう話すのは、ホストクラブ通いにハマってしまった娘の母、恵子さん(仮名)だ。飲食代などの代金をホストが一時的に立て替え、女性に後払いさせる「売り掛け」により、借金が500万円に膨れあがってしまったという。

娘は現在、25歳。都内で一人暮らしをしている。2年ほど前からホストクラブへ通っていることは聞いていたという恵子さんだが、借金をしていることには最近まで気付かず、今回、悪質ホスト問題の被害者を支援する「青少年を守る父母の連絡協議会」(青母連)の設立者、玄秀盛さんの元に駆け込んだ。 恵子さんは「こんなにお金がかかるものだって(売り掛けの)仕組みがよく分かってなかった。世界が違って気づかなかった私がバカだった」と振り返る。 シャンパンタワーで100万円など飲食代が高額になった場合、売り掛けとしてツケにできるため、借金はみるみる増えてしまう。娘は勤めていた会社を辞め、売掛金返済のためキャバクラで働くようになった。 趣味はネイルでアイドルが好き、欲しいものにはお金を使うという娘は、現在もホストクラブ通いを続けており、借金が減っている様子はないという。「(娘はホストクラブは)『楽しい、キラキラしてるところだ』と話します。(ホストクラブに)行きたくなるように、コントロールされているようだ」■「お金=愛情」とホストから言われた 女性の心をくすぐる、ホストの巧みな話術。ホストがささやく甘い言葉に魅了され、ホストクラブにハマってしまった女性がいる。「『可愛いね』とか『好きだよ』とかキラキラしたことを言ってくれる。(ホストに)もっと好きになってもらいたい気持ちからハマり始めた」 サナさん(仮名)20歳。2年ほど前からホストクラブに通い出し、これまでに使ったお金は1000万円ほど。現在、売り掛けの借金は160万円あるという。 サナさんは「一人暮らしをしてて、両親との関わりがなかったので。だから愛が欲しくてホストクラブに行き始めたっていうのもあるかもしれない」と顧みた。 親の育児放棄のために、児童養護施設で育ったサナさん。愛情に飢え、常に寂しい気持ちを抱えていたという。18歳になると心の空洞を埋めるかのように歌舞伎町のホストクラブを転々とするようになった。「全部で50店舗以上行ってるかもしれない。自分は(ホストが)好きだけど、向こうにも好きになって欲しいという思いから、『お金=愛情』と(ホストから)言われていたので、金額を使えば使うほど愛してもらえるって思って、どんどんお金を使うようになった」 店に通いつめるうち、手持ちのお金では飲食代が払いきれなくなってしまったサナさん。その時、ホストに提案されたのが売り掛けだ。 売り掛け返済のためサナさんは、風俗でお金を稼ぐように。コロナ禍で客が減った時には、大久保公園にも立ったという。身をすり減らしてでも、ホストに会いたい…。こんな気持ちになったのは、あるホストの言葉を信じていたからだという。「『ホスト辞めた時に、結婚しよう』じゃないけど、『ずっと一緒にいたいから、今俺を支えて欲しい』って言われたのはすごく印象に残っている」 結局、売掛金が原因でそのホストとは連絡が取れなくなり、お金の関係だったと気付いたサナさん。青母連の助けを借りつつ、自立への一歩を踏み出している。 そして、500万円の借金がある娘を持つ恵子さんも、娘のホストクラブ通いを止めたいと話す。「会社や親子関係がうまくいっていないことを利用されたのかもしれない。親子関係がもっと良ければ、(悩み事は)ホストに相談するでなく、こっちに来たのではないか…。我に返ってもらいたい」■警察と消費者庁の対応は? The HEADLINE 編集長の石田健氏は「多くの人が陥りがちな誤解が2つある」と述べた。「まず、『気晴らしがしたい』『愛情が欲しい』などの気持ちからホストクラブに行っていわば自由意志で契約する行為と、売掛金返済のための手段として売春を強要される行為などは分けて考える必要がある。前者は何の問題もない行為であり、問題なのは後者だ。この二つを一括りにしてはいけない」「次に、『愛情がない子、かわいそうな子がホストにハマってセックスワーカーになってしまった』と決めつけてはいけない。そもそも、自らの意思でそういう仕事を選択している人もおり、一人ひとり個別に捉えるべきだ」 また、石田氏は対策について「現行法で対応していくべき」と話す。「基本的には契約の問題、その先の売買春の問題は現行法で対応するべきだ。だが最近問題になっている闇バイトや悪質ホストのお金が犯罪組織に流れているなどのケースに対しては新たな柔軟なアプローチが必要であり、模索していく必要がある」 悪質ホスト問題については政府も動いている。11月16日、露木警察庁長官は会見で、「女性客を風俗店に紹介して売春をさせた事案などを売春防止法違反や職業安定法違反容疑で摘発している。風営法に基づき店への立ち入り検査を実施している」と説明。また、同じ日、自見消費者担当大臣は、「消費者契約法が定める好意の感情などを不当に利用した契約、いわゆる『デート商法』に該当する場合は取り消せる可能性がある」とし、周知や啓発を強化していく考えを示した。 さらに、消費者庁はホストクラブとの契約について取り消しが可能かどうかなどの相談については、地方公共団体の消費生活センター 電話番号188(消費者ホットライン)に相談するよう呼び掛けており、消費者庁のホームページには相談内容に応じた窓口の連絡先も掲載されている。(『ABEMAヒルズ』より)
「(娘が)お金が払いきれなくなってしまって、すごい借金になってしまった。全部で500万ぐらい」
そう話すのは、ホストクラブ通いにハマってしまった娘の母、恵子さん(仮名)だ。飲食代などの代金をホストが一時的に立て替え、女性に後払いさせる「売り掛け」により、借金が500万円に膨れあがってしまったという。
娘は現在、25歳。都内で一人暮らしをしている。2年ほど前からホストクラブへ通っていることは聞いていたという恵子さんだが、借金をしていることには最近まで気付かず、今回、悪質ホスト問題の被害者を支援する「青少年を守る父母の連絡協議会」(青母連)の設立者、玄秀盛さんの元に駆け込んだ。
恵子さんは「こんなにお金がかかるものだって(売り掛けの)仕組みがよく分かってなかった。世界が違って気づかなかった私がバカだった」と振り返る。
シャンパンタワーで100万円など飲食代が高額になった場合、売り掛けとしてツケにできるため、借金はみるみる増えてしまう。娘は勤めていた会社を辞め、売掛金返済のためキャバクラで働くようになった。
趣味はネイルでアイドルが好き、欲しいものにはお金を使うという娘は、現在もホストクラブ通いを続けており、借金が減っている様子はないという。
「(娘はホストクラブは)『楽しい、キラキラしてるところだ』と話します。(ホストクラブに)行きたくなるように、コントロールされているようだ」
■「お金=愛情」とホストから言われた
女性の心をくすぐる、ホストの巧みな話術。ホストがささやく甘い言葉に魅了され、ホストクラブにハマってしまった女性がいる。
「『可愛いね』とか『好きだよ』とかキラキラしたことを言ってくれる。(ホストに)もっと好きになってもらいたい気持ちからハマり始めた」
サナさん(仮名)20歳。2年ほど前からホストクラブに通い出し、これまでに使ったお金は1000万円ほど。現在、売り掛けの借金は160万円あるという。
サナさんは「一人暮らしをしてて、両親との関わりがなかったので。だから愛が欲しくてホストクラブに行き始めたっていうのもあるかもしれない」と顧みた。
親の育児放棄のために、児童養護施設で育ったサナさん。愛情に飢え、常に寂しい気持ちを抱えていたという。18歳になると心の空洞を埋めるかのように歌舞伎町のホストクラブを転々とするようになった。
「全部で50店舗以上行ってるかもしれない。自分は(ホストが)好きだけど、向こうにも好きになって欲しいという思いから、『お金=愛情』と(ホストから)言われていたので、金額を使えば使うほど愛してもらえるって思って、どんどんお金を使うようになった」
店に通いつめるうち、手持ちのお金では飲食代が払いきれなくなってしまったサナさん。その時、ホストに提案されたのが売り掛けだ。
売り掛け返済のためサナさんは、風俗でお金を稼ぐように。コロナ禍で客が減った時には、大久保公園にも立ったという。身をすり減らしてでも、ホストに会いたい…。こんな気持ちになったのは、あるホストの言葉を信じていたからだという。
「『ホスト辞めた時に、結婚しよう』じゃないけど、『ずっと一緒にいたいから、今俺を支えて欲しい』って言われたのはすごく印象に残っている」
結局、売掛金が原因でそのホストとは連絡が取れなくなり、お金の関係だったと気付いたサナさん。青母連の助けを借りつつ、自立への一歩を踏み出している。
そして、500万円の借金がある娘を持つ恵子さんも、娘のホストクラブ通いを止めたいと話す。
「会社や親子関係がうまくいっていないことを利用されたのかもしれない。親子関係がもっと良ければ、(悩み事は)ホストに相談するでなく、こっちに来たのではないか…。我に返ってもらいたい」
■警察と消費者庁の対応は?
The HEADLINE 編集長の石田健氏は「多くの人が陥りがちな誤解が2つある」と述べた。
「まず、『気晴らしがしたい』『愛情が欲しい』などの気持ちからホストクラブに行っていわば自由意志で契約する行為と、売掛金返済のための手段として売春を強要される行為などは分けて考える必要がある。前者は何の問題もない行為であり、問題なのは後者だ。この二つを一括りにしてはいけない」
「次に、『愛情がない子、かわいそうな子がホストにハマってセックスワーカーになってしまった』と決めつけてはいけない。そもそも、自らの意思でそういう仕事を選択している人もおり、一人ひとり個別に捉えるべきだ」
また、石田氏は対策について「現行法で対応していくべき」と話す。
「基本的には契約の問題、その先の売買春の問題は現行法で対応するべきだ。だが最近問題になっている闇バイトや悪質ホストのお金が犯罪組織に流れているなどのケースに対しては新たな柔軟なアプローチが必要であり、模索していく必要がある」
悪質ホスト問題については政府も動いている。11月16日、露木警察庁長官は会見で、「女性客を風俗店に紹介して売春をさせた事案などを売春防止法違反や職業安定法違反容疑で摘発している。風営法に基づき店への立ち入り検査を実施している」と説明。また、同じ日、自見消費者担当大臣は、「消費者契約法が定める好意の感情などを不当に利用した契約、いわゆる『デート商法』に該当する場合は取り消せる可能性がある」とし、周知や啓発を強化していく考えを示した。
さらに、消費者庁はホストクラブとの契約について取り消しが可能かどうかなどの相談については、地方公共団体の消費生活センター 電話番号188(消費者ホットライン)に相談するよう呼び掛けており、消費者庁のホームページには相談内容に応じた窓口の連絡先も掲載されている。(『ABEMAヒルズ』より)

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