高級フレンチで“常連気取り”の知ったか彼氏。シェフの「思わぬ一言」で撃沈するまで

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初デートで男性が張り切ることはよくあることです。少しでもかっこいいところを見せて、自分の株を上げようとします。でも、それがにわか仕込みだと逆効果になり、せっかくのデートが台無しになることも少なくありません。今回は、そんな初デートをかっこよく見せようとした男性の大失敗エピソードです。 知る人ぞ知る隠れ家的な高級フレンチ店で総支配人を務める加藤洋介さん(仮名・39歳)。もともと昭和初期に建てられた洋風建築の邸宅を改修してオープンしたこのお店は、各界の著名人や、芸能人もよく訪れるそうです。
◆デートの前の周到な下調べ
最近は洋介さんのお店でも、客からの予約はネットが主流とのことですが、その日は珍しく電話で予約を依頼してきた若い男性がいたそうです。
「若い方なのに電話で予約をしてきたのでよく覚えています。食事の予約はものの5分ほどで済んだのですが、それ以外にお店についていろいろと尋ねてきたんです。トイレはどの辺だとか、一番人気のワインは何かとか、客層はどんなだとか……。
主に、お店のホームページに掲載されていないようなことを聞かれました。少し変わった人だなという印象はありましたが、最近はYouTubeの撮影で訪れる人もたまにいるので、もしかしたらその類かとも思いましたが、どうやら彼女との初デートだったそうです」
洋介さんにいろいろ質問したあと、その若い男性は満足したのか、洋介さんに「それでは2週間後に伺いますのでよろしくお願いします」と機嫌良く電話を切ったそうです。
◆来店した常連客気取りの男性
2週間後の予約当日、店に現れたその若い男性は、入るや否や洋介さんに「加藤さん、どうもです」と、まるで常連客のような態度であいさつを交わしたといいます。
「その日は彼女の誕生日だと聞いていたので、おすすめしたシャンパンをテーブルまで持っていきました。そこでも『加藤さんいつもすみません』と言われたので、私も笑顔で対応しました。時々いるんです、この手のお客様は」
その後、コース料理が次々に運ばれる中、その男性は彼女と楽しい時間を過ごしていたといいます。
「その日は比較的空いていたので、せっかくだと思い、料理長にもお祝いの一言を伝えてもらおうと、テーブルまで一緒に出向きました。その男性はとても嬉しそうに私の計らいを歓迎してくれ、スープの温度から肉類の焼き加減、さらには出されたワインの感想まで、いろいろ話し始めました」
◆料理長の一言が決定打に
何も知らない料理長は、その男性の言葉にとても感動し、大盛り上がりになったそうです。特に、肉の焼き加減については、料理長が最もこだわっている部分であったらしく、2人は握手までする羽目に。
料理長は改まって「お客様はお若いのに本当にお料理のことを良くご存じですね。初めてご来店いただいたのに、お店のこともよくご存じでいろいろ褒めていただき、たいへん光栄です。ぜひこれからもお連れ様と一緒にご来店ください」と、来店のお礼を口にしたそうです。
「“初めて”というフレーズが出たとき、その男性の顔色が変わったのを覚えています。急に会話もトーンダウンし、元気のない声で『あ、はい』とこたえるのが精一杯のようでした。そのあと、料理長が厨房に戻るとすぐに2人はデザートも食べずに席を立ちました」
◆店の外から聞こえてきた罵声
その男性が会計を済ませ彼女と一緒に退店したあと、洋介さんはイスに置き忘れられた紙袋を見つけ、急いで出口の方へ向かったといいます。
「まだ出口付近にいたので歩み寄ると、彼女が彼を罵る声が聞こえてきたんです。しかも、さっきまで上品にフランス料理を食べていた女性とは想像もつかない下品な言葉で、彼に大声を上げていたんです」
彼は、ひたすら彼女に謝っていたといいます。もはやさきほどまでの自信たっぷりな表情は消えうせ、なんとも情けない形相になっていたそうです。男性ならきっと共感してしまうようなこの出来事。どうせなら上手に仕掛けてほしいですね。
<TEXT/ベルクちゃん>

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