気温が下がり、体が冷えてしまうこの時期。さらにイベントや忘年会などで暴飲暴食する機会も増える…となると、気になるのがお腹の調子。急な下痢でピンチ! という経験は、なるべく避けたいですよね。お腹を下しやすい飲食物や対処法を知ることで、そういった心配を減らすことができます。これからの季節に注意しておきたいことを、ふれあいの丘内科内視鏡健診クリニック(横浜市都筑区)院長で、認定内科医・消化器病専門医・消化器内視鏡専門医の粟田裕治先生に聞きました。
【衝撃画像】ママのトイレ中に満面の笑みで“突撃”してきた赤ちゃんに「かわいいから許すとはこのこと」■忘年会には要注意、下痢を引き起こすリスクを高める飲食物Q.個人差はあるかと思いますが、お腹の調子を崩しやすい飲食物があれば教えてください。●香辛料や刺激物香辛料や刺激物はお腹を刺激し腸の動きを早くしてしまい下痢を起こすことがあります。例としてはスパイス系(カレーなど)・胡椒・からし・唐辛子・わさび・にんにく・カフェイン(コーヒー、お茶、エナジードリンクなど)があります。●アルコールアルコールを大量に摂取すると、水分や電解質の吸収が悪くなり、水分と電解質の排出量が増えます。さらに糖や脂肪の分解・吸収も低下し、下痢を起こしやすくなります。●油の多いもの脂肪(油)は他の栄養素に比べて消化に時間がかかります。過剰摂取することで分解されず、そのまま腸へ移動し下痢を起こします。また、脂肪自体に腸管の運動を亢進する作用もあり、下痢を起こすことがあります。例としては唐揚げ・フライドポテト・天ぷら・ラーメン・霜降り牛などがあります。●冷たいもの冷たいものを食べたり飲んだりして胃に入ると、その刺激で胃結腸反射が起こって腸の動きが活発になり、下痢を起こすことがあります。例としてはアイス・氷入りドリンクなどがあります。なお、炭酸飲料も腸を刺激して下痢を起こすことがあります。●乳製品乳製品に含まれる乳糖を分解するためのラクターゼという酵素が生まれつき不足していたり、働きが弱まったりすることで、乳糖を消化吸収できず下痢などの症状を引き起こす乳糖不耐症という病気があります。日本人は3人に2人は乳糖不耐症と言われています。例としては牛乳、チーズ、ヨーグルトなどがあります。Q.とくにイベントや忘年会などが多い12月、気を付けるべき飲食物は?【粟田先生】忘年会などでは、「冷たい」+「炭酸」+「アルコール」である「ビール」や「ハイボール」をたくさん飲みながら、「フライドポテト」・「唐揚げ」といった「油の多いもの」を食べることもよくあると思います。2次会のあとに「ラーメン」を食べて帰るなんてこともあるでしょう。これら「カッコ内」はすべて翌日の下痢を起こすリスクを高めるものです。お酒は炭酸ではないものを選んでゆっくり飲み、二日酔いにならない量にしましょう。おつまみは油ものを控えて、さっぱりしたものを選ぶようにすると良いでしょう。Q.トイレに行きにくい状態で、うっかりお腹の調子を崩しやすい飲食物を摂ってしまった場合、自分でできる対処はありますか? 【粟田先生】お腹を冷やさないようにしたり、消化吸収のよいものを食べたり、安静にしたりすると良いでしょう。下痢になる前に市販の整腸剤を内服することも1つの手かもしれません。ただし、下痢を確実に未然に防ぐ方法は存在しないので、トイレに行きにくい状態の時はお腹の調子を崩しやすい飲食物を摂らないようにすることが一番です。Q.急な下痢になってしまった場合、痛みなどを和らげる方法はありますか?【粟田先生】前傾姿勢(体育座りのように足を抱えるようにしてしゃがむイメージ)をとると良いとされています。前かがみになることで腹壁の緊張が取れ、腹痛が改善する可能性があります。同様に、横になって足を曲げ、姿勢を丸めるような体勢をとるのも良いとされています。また、ズボンのベルトをゆるめたり、お腹を温めたりすることでも痛みが和らぐ可能性があります。Q.お腹の調子を崩してしまったあとに、良い飲食物はありますか?【粟田先生】下痢症状が続いている時はお粥、重湯、よく煮込んだうどん、みそ汁、野菜スープ、リンゴのすりおろしといった消化吸収のよいものを食べるようにしましょう。また、下痢によって多くの水分も失いますので温かい汁物やお茶、スポーツドリンクで水分補給も忘れないようにしましょう。油を多く使う揚げ物・炒め物は控えた方が良いでしょう。Q.暴飲暴食をしやすいこれからの時期に向けて、先生からアドバイスをお願いします。【粟田先生】コロナ禍が明けて、会社の同僚、友人、親戚家族などでの忘年会・新年会がたくさん開催されるものと思われます。中には4年ぶりの忘年会という方もいらっしゃるでしょう。ついつい楽しくなって飲み過ぎ・食べ過ぎてしまうこともあると思います。連日の暴飲暴食は腸がダメージを受けて下痢が酷くなってしまうことも考えられますので、腸を休ませてあげる日を作りながら、忘年会などの予定を組んでいくようにしましょう。下痢症状が酷かったり、長引いたり、便に血が混じったりした時は、消化器内科・胃腸科の外来を受診して下さい。【監修者プロフィール】粟田 裕治(あわた・ゆうじ)医師(内科・内視鏡専門医・消化器病専門医)コンパスメディカルグループ 医療法人社団CMG ふれあいの丘内科内視鏡健診クリニック院長(https://fureai.cmg.or.jp/)。日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医、日本内科学会 認定内科医、日本消化器病学会 消化器病専門医。2015年、日本医科大学卒業。救急医療・急性期医療に特化した川崎幸病院勤務で研鑽を積み、2022年、ふれあいの丘内科内視鏡健診クリニックの院長に就任。
■忘年会には要注意、下痢を引き起こすリスクを高める飲食物
Q.個人差はあるかと思いますが、お腹の調子を崩しやすい飲食物があれば教えてください。
●香辛料や刺激物香辛料や刺激物はお腹を刺激し腸の動きを早くしてしまい下痢を起こすことがあります。例としてはスパイス系(カレーなど)・胡椒・からし・唐辛子・わさび・にんにく・カフェイン(コーヒー、お茶、エナジードリンクなど)があります。
●アルコールアルコールを大量に摂取すると、水分や電解質の吸収が悪くなり、水分と電解質の排出量が増えます。さらに糖や脂肪の分解・吸収も低下し、下痢を起こしやすくなります。
●油の多いもの脂肪(油)は他の栄養素に比べて消化に時間がかかります。過剰摂取することで分解されず、そのまま腸へ移動し下痢を起こします。また、脂肪自体に腸管の運動を亢進する作用もあり、下痢を起こすことがあります。例としては唐揚げ・フライドポテト・天ぷら・ラーメン・霜降り牛などがあります。
●冷たいもの冷たいものを食べたり飲んだりして胃に入ると、その刺激で胃結腸反射が起こって腸の動きが活発になり、下痢を起こすことがあります。例としてはアイス・氷入りドリンクなどがあります。なお、炭酸飲料も腸を刺激して下痢を起こすことがあります。
●乳製品乳製品に含まれる乳糖を分解するためのラクターゼという酵素が生まれつき不足していたり、働きが弱まったりすることで、乳糖を消化吸収できず下痢などの症状を引き起こす乳糖不耐症という病気があります。日本人は3人に2人は乳糖不耐症と言われています。例としては牛乳、チーズ、ヨーグルトなどがあります。
Q.とくにイベントや忘年会などが多い12月、気を付けるべき飲食物は?
【粟田先生】忘年会などでは、「冷たい」+「炭酸」+「アルコール」である「ビール」や「ハイボール」をたくさん飲みながら、「フライドポテト」・「唐揚げ」といった「油の多いもの」を食べることもよくあると思います。2次会のあとに「ラーメン」を食べて帰るなんてこともあるでしょう。これら「カッコ内」はすべて翌日の下痢を起こすリスクを高めるものです。お酒は炭酸ではないものを選んでゆっくり飲み、二日酔いにならない量にしましょう。おつまみは油ものを控えて、さっぱりしたものを選ぶようにすると良いでしょう。
Q.トイレに行きにくい状態で、うっかりお腹の調子を崩しやすい飲食物を摂ってしまった場合、自分でできる対処はありますか?
【粟田先生】お腹を冷やさないようにしたり、消化吸収のよいものを食べたり、安静にしたりすると良いでしょう。下痢になる前に市販の整腸剤を内服することも1つの手かもしれません。ただし、下痢を確実に未然に防ぐ方法は存在しないので、トイレに行きにくい状態の時はお腹の調子を崩しやすい飲食物を摂らないようにすることが一番です。
Q.急な下痢になってしまった場合、痛みなどを和らげる方法はありますか?
【粟田先生】前傾姿勢(体育座りのように足を抱えるようにしてしゃがむイメージ)をとると良いとされています。前かがみになることで腹壁の緊張が取れ、腹痛が改善する可能性があります。同様に、横になって足を曲げ、姿勢を丸めるような体勢をとるのも良いとされています。また、ズボンのベルトをゆるめたり、お腹を温めたりすることでも痛みが和らぐ可能性があります。
Q.お腹の調子を崩してしまったあとに、良い飲食物はありますか?
【粟田先生】下痢症状が続いている時はお粥、重湯、よく煮込んだうどん、みそ汁、野菜スープ、リンゴのすりおろしといった消化吸収のよいものを食べるようにしましょう。また、下痢によって多くの水分も失いますので温かい汁物やお茶、スポーツドリンクで水分補給も忘れないようにしましょう。油を多く使う揚げ物・炒め物は控えた方が良いでしょう。
Q.暴飲暴食をしやすいこれからの時期に向けて、先生からアドバイスをお願いします。
【粟田先生】コロナ禍が明けて、会社の同僚、友人、親戚家族などでの忘年会・新年会がたくさん開催されるものと思われます。中には4年ぶりの忘年会という方もいらっしゃるでしょう。ついつい楽しくなって飲み過ぎ・食べ過ぎてしまうこともあると思います。連日の暴飲暴食は腸がダメージを受けて下痢が酷くなってしまうことも考えられますので、腸を休ませてあげる日を作りながら、忘年会などの予定を組んでいくようにしましょう。下痢症状が酷かったり、長引いたり、便に血が混じったりした時は、消化器内科・胃腸科の外来を受診して下さい。