【全文公開】自民党・山口晋衆院議員が「泥酔女性にキス」でトラブル 女性は被害届提出、山口議員は“恐喝された可能性”で警察に相談

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国民からの批判が続出した「4万円減税」経済対策。その閣議決定の前日、予算委員会が大詰めだった11月1日の夜に、自民党の大物二世議員がトラブルを起こしていた。トラブルの相手は東京・赤坂のラウンジに勤めていた滝沢カレン似の長身女性A子さん(20代)。11月2日の午前0時30分過ぎ、赤坂にあるA子さんの自宅マンションのエレベーターホールで、A子さんの姿を母親が目撃した。母親の証言だ。
【写真12枚】A子さんの自宅マンションの玄関ロビーでA子さんを見つめる山口晋代議士。他、A子さんの隣に立つネクタイを緩めた山口代議士、アザーカットも「エレベーターが開いたら、男が娘とキスしてたんです。『あんた誰よ』と聞くと、『埼玉のガス会社の者です』と言う。『名刺下さい』と言うと、『持ってない』と。その時は妻子ある国会議員とは知りませんでした」 男は茂木派所属の一回生代議士である山口晋氏(40)。父の山口泰明氏は党選対委員長などを務め、安倍晋三・元首相や菅義偉・前首相の側近として知られた。2021年に政界引退し、現在は地元・埼玉にある坂戸ガスの代表取締役を務める。“ガス会社の者”と名乗った息子の山口氏は、菅氏の秘書や官房長官秘書官を務めた後、2021年の総選挙で父の地盤(埼玉10区)を継いで初当選した。2015年に台湾人女性と挙げた結婚式では、菅夫妻が媒酌人を務め、当時の安倍首相、麻生太郎・副総理も出席している。「もっと強いお酒ないの?」 冒頭のシーンに戻ろう。山口氏がA子さんと出会ったのは、その夜が初めて。11月1日夜9時前、山口氏は同じ埼玉選出の先輩議員である穂坂泰・外務政務官と連れ立って、A子さんが勤務するラウンジに現われたという。A子さんが語る。「山口さんは、自分は議員だと話していました。『お酒、強そうだね。どんなの飲むの?』と聞かれて『テキーラとか』と答えたら、『じゃあ飲もうよ』ってなって。3杯くらい立て続けにショットをした後、『もっと強いお酒ないの』と言われ、お店で一番強いスミノフ(ウォッカ)をオレンジジュースで割って飲むことになりました。私が途中でトイレから戻ると、山口さんが私の席に座って、『いいよ、僕がやるから』とどんどんお酒をつくってくれた。 その後、店を出て山口さんと私と別の女の子の3人で韓国料理店に行ったんですが、私は相当お酒が強いほうなのに完全に酔いが回って、店のトイレで吐いてしまったんです。どうやって家まで帰ったのかも覚えていません。キスされたのもわからなくて、母が怒っている姿を見て、やっと気づいたくらいです」 自宅マンションの玄関ロビーに着いてからの様子は母親が見ていた。「ピンポンが鳴ってモニターを見たら、娘が知らない男と一緒にいた。不審に思い応答しないでいたら、男が娘のバッグに手を突っ込んで鍵を取り出し、オートロックを解錠して中までついてくる。何をする気なのかと、エレベーターの扉の前で待ち受けていて、扉が開いたらキスしてたんです」 押し問答になり、母親は赤坂署に通報。駆けつけた4人の警官に事情を聞かれ、山口氏は帰宅を促されたという。「警察に相談している」 山口氏とA子さんの間のトラブルは、ここから奇妙な方向に展開する。娘にキスした男が国会議員と知った母親は1週間後、山口氏と喫茶店で面会した。その場で山口氏は、「A子さんに頼まれて自宅まで送った」「自分は冷静だった」と釈明したという。母親が語る。「親切で送ってくれたなら、どうして意思も示せないような状態の娘にキスしたのかと質しました。すると、『娘さんは1人では歩けない状態で、彼女のほうが(背が)大きいので、(エレベーター内で)彼女がよろけて寄りかかってきて、私がおぉーっという感じで、そしたら……』って言い出し、最後には『そういうつもりじゃなかった』と。でも、冷静な人なら、娘が寄りかかってきてもキスはしないですよね」 山口氏の弁明を聞いた母親はこう応じた。「私はPTSDと虚血性心疾患の持病があり、娘のキスを見てすごいショックで恐怖を感じたんです。それを伝えると山口さんは、『具体的にどうすればいいのか。対応させていただく』と言う。そこで迷惑料、慰謝料として30万円を求めました」 母親の要求は飛躍した印象を与えるだけに、山口氏にも言い分があるだろう。しかし、反論に際しては、事の始まりであるA子さんとの出来事についても説明が必要だ。本誌が山口氏にキスの事実関係、「ガス会社の社員」を名乗った理由などを質問すると、事務所を通じてこう回答した。「(A子さんを送り)マンション共用部分に入りました。エレベーターの中で泥酔し倒れそうになった女性に抱きつかれるなどしましたが、エレベーター前で待っていた、実家の女性の母親に引き渡しました。女性の母親は帰宅が遅いとして泥酔している女性を叱り、また、私にも怒りをぶつけてきましたので送ってきた経緯を説明しました」 ガス会社の社員を名乗った理由、そしてキス行為について説明がないまま、文書回答はこう続く。「その後、女性の母親から個別に呼び出しがあり、自身が受けた精神的損害について慰謝料として30万円を要求されましたのでお断りしたところ、数日後、母親の代理人を名乗る別の男性2人から別々に慰謝料の請求と要求に応じない場合は週刊誌などで記事になる可能性が示唆されましたので、悪質な恐喝行為に該当する可能性があるものとして警察に相談している」 一方のA子さんも、山口氏からセクハラを受けたと警察に被害届を提出した。店で同席した先輩議員の穂坂氏に聞くと、「(店を出た後のことは)関知するところではございません」との回答だ。山口事務所に改めて確認したが、「ガス会社の社員」を名乗ったのは「事実に基づいた説明で偽りではない」との答えで、キスの説明はなかった。 父が代表を務めるガス会社の登記を見ると、たしかに山口氏も取締役だ。それにしても、会う人みんなに「国会議員の山口」ではなく、「父が経営するガス会社の山口」と自己紹介するのだろうか。そうした行動にこそ“ボンボン二世議員らしさ”が現われている。※週刊ポスト2023年12月8日号
「エレベーターが開いたら、男が娘とキスしてたんです。『あんた誰よ』と聞くと、『埼玉のガス会社の者です』と言う。『名刺下さい』と言うと、『持ってない』と。その時は妻子ある国会議員とは知りませんでした」
男は茂木派所属の一回生代議士である山口晋氏(40)。父の山口泰明氏は党選対委員長などを務め、安倍晋三・元首相や菅義偉・前首相の側近として知られた。2021年に政界引退し、現在は地元・埼玉にある坂戸ガスの代表取締役を務める。
“ガス会社の者”と名乗った息子の山口氏は、菅氏の秘書や官房長官秘書官を務めた後、2021年の総選挙で父の地盤(埼玉10区)を継いで初当選した。2015年に台湾人女性と挙げた結婚式では、菅夫妻が媒酌人を務め、当時の安倍首相、麻生太郎・副総理も出席している。
冒頭のシーンに戻ろう。山口氏がA子さんと出会ったのは、その夜が初めて。11月1日夜9時前、山口氏は同じ埼玉選出の先輩議員である穂坂泰・外務政務官と連れ立って、A子さんが勤務するラウンジに現われたという。A子さんが語る。
「山口さんは、自分は議員だと話していました。『お酒、強そうだね。どんなの飲むの?』と聞かれて『テキーラとか』と答えたら、『じゃあ飲もうよ』ってなって。3杯くらい立て続けにショットをした後、『もっと強いお酒ないの』と言われ、お店で一番強いスミノフ(ウォッカ)をオレンジジュースで割って飲むことになりました。私が途中でトイレから戻ると、山口さんが私の席に座って、『いいよ、僕がやるから』とどんどんお酒をつくってくれた。
その後、店を出て山口さんと私と別の女の子の3人で韓国料理店に行ったんですが、私は相当お酒が強いほうなのに完全に酔いが回って、店のトイレで吐いてしまったんです。どうやって家まで帰ったのかも覚えていません。キスされたのもわからなくて、母が怒っている姿を見て、やっと気づいたくらいです」
自宅マンションの玄関ロビーに着いてからの様子は母親が見ていた。
「ピンポンが鳴ってモニターを見たら、娘が知らない男と一緒にいた。不審に思い応答しないでいたら、男が娘のバッグに手を突っ込んで鍵を取り出し、オートロックを解錠して中までついてくる。何をする気なのかと、エレベーターの扉の前で待ち受けていて、扉が開いたらキスしてたんです」
押し問答になり、母親は赤坂署に通報。駆けつけた4人の警官に事情を聞かれ、山口氏は帰宅を促されたという。
山口氏とA子さんの間のトラブルは、ここから奇妙な方向に展開する。娘にキスした男が国会議員と知った母親は1週間後、山口氏と喫茶店で面会した。その場で山口氏は、「A子さんに頼まれて自宅まで送った」「自分は冷静だった」と釈明したという。母親が語る。
「親切で送ってくれたなら、どうして意思も示せないような状態の娘にキスしたのかと質しました。すると、『娘さんは1人では歩けない状態で、彼女のほうが(背が)大きいので、(エレベーター内で)彼女がよろけて寄りかかってきて、私がおぉーっという感じで、そしたら……』って言い出し、最後には『そういうつもりじゃなかった』と。でも、冷静な人なら、娘が寄りかかってきてもキスはしないですよね」
山口氏の弁明を聞いた母親はこう応じた。
「私はPTSDと虚血性心疾患の持病があり、娘のキスを見てすごいショックで恐怖を感じたんです。それを伝えると山口さんは、『具体的にどうすればいいのか。対応させていただく』と言う。そこで迷惑料、慰謝料として30万円を求めました」
母親の要求は飛躍した印象を与えるだけに、山口氏にも言い分があるだろう。しかし、反論に際しては、事の始まりであるA子さんとの出来事についても説明が必要だ。本誌が山口氏にキスの事実関係、「ガス会社の社員」を名乗った理由などを質問すると、事務所を通じてこう回答した。
「(A子さんを送り)マンション共用部分に入りました。エレベーターの中で泥酔し倒れそうになった女性に抱きつかれるなどしましたが、エレベーター前で待っていた、実家の女性の母親に引き渡しました。女性の母親は帰宅が遅いとして泥酔している女性を叱り、また、私にも怒りをぶつけてきましたので送ってきた経緯を説明しました」
ガス会社の社員を名乗った理由、そしてキス行為について説明がないまま、文書回答はこう続く。
「その後、女性の母親から個別に呼び出しがあり、自身が受けた精神的損害について慰謝料として30万円を要求されましたのでお断りしたところ、数日後、母親の代理人を名乗る別の男性2人から別々に慰謝料の請求と要求に応じない場合は週刊誌などで記事になる可能性が示唆されましたので、悪質な恐喝行為に該当する可能性があるものとして警察に相談している」
一方のA子さんも、山口氏からセクハラを受けたと警察に被害届を提出した。店で同席した先輩議員の穂坂氏に聞くと、「(店を出た後のことは)関知するところではございません」との回答だ。山口事務所に改めて確認したが、「ガス会社の社員」を名乗ったのは「事実に基づいた説明で偽りではない」との答えで、キスの説明はなかった。
父が代表を務めるガス会社の登記を見ると、たしかに山口氏も取締役だ。それにしても、会う人みんなに「国会議員の山口」ではなく、「父が経営するガス会社の山口」と自己紹介するのだろうか。そうした行動にこそ“ボンボン二世議員らしさ”が現われている。
※週刊ポスト2023年12月8日号

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