「パパ活バブル」で大盛況の歌舞伎町…目立つためなら「手段を選ばない」ホスト達が利用する衝撃の手口

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〈大久保公園など路上で売春の客待ちをしていた女性80人を現行犯逮捕〉〈「トー横キッズ」42人を一斉補導〉〈無許可営業の「メンズコンカフェ」の経営者ら2人を逮捕〉
アジア最大の歓楽街とも呼ばれる新宿・歌舞伎町の事件が途絶えることはない。そんな夜の街を裏で操っているとウワサされている人物がいる。『新宿で一番イカれたYouTuber』を自称する「新宿の女」こと、NEKI氏だ。一日100件近い炎上ネタが届くというNEKI氏に歌舞伎町の「操り方」を聞いた。
「世間は不況にあえいでいますが、歌舞伎町はいまバブルに沸いています。ホストもキャバクラも、店を出せば儲かる状況なので、テナントは争奪戦。15坪程度の“小箱”でも経営者は相場の3~4倍の補償金を積んででも取りに動きます。
客層もコロナ前と比べて若年化が進んでいます。ホストに通い始める女の子も、以前は若くても社会人2~3年目の24~25歳という印象でしたが、今は19、20歳くらいの子も多い。若い子が稼ぐ手段と言えば昔は風俗嬢が定番でした。しかし今はSNSが発達したことで、“立ちんぼ”や“パパ活”で手軽に荒稼ぎできる時代になっています。そうやって若い子たちが稼いだお金が歌舞伎町に落とされているんです」
歌舞伎町の現状をNEKI氏はこう語る。美しく輝くロングヘア、マスクでも隠しきれない美貌に抜群のスタイルの美女だ。しかしそんな見た目に反して、彼女の口から発する言葉は経営者然としている。
それもそのはず、「新宿の女」はYouTubeチャンネルやインスタグラム等のアカウント名であり、夜職のPR等を代行する企業でもある。NEKI氏はその執行役員に名を連ねる。
YouTubeチャンネルでは主に、厳選した歌舞伎町の炎上ニュースを紹介する動画を週1ペースで投稿している。チャンネル登録者数は約1万4000人。少なくはないが、大枚が飛び交う歌舞伎町のコンテンツとしてはかなり控えめな数字だろう。経営のからくりをNEKI氏が説明する。
「YouTubeチャンネルでは炎上ニュースを紹介する“テイ”ですが、一部の炎上は弊社が仕掛けたものになります。ホストやキャバクラは目立ってナンボの世界。お店をPRするために『炎上させてくれ』という依頼は多い。そういった企業案件が弊社の収益の柱の一つになっています」
炎上依頼の報酬は、軽い工作で10万円程度のものもあるが、基本的には50万円から。炎上の脚本を作成し、X(旧Twitter)の偽装アカウントを用いるなどして、数日、数週間かけて炎上の「下地」を整える。NEKI氏が炎上のテクニックを明かす。
「女性を敵にまわすストーリーは『着火』しやすいですね。たとえば推しのホストに彼女がいたことを知った、という女性客の偽のアカウントを複数用意します。その偽の女性客たちに<私は汚いおじさんのアソコをしゃぶって毎日頑張っているのに、推しの彼は裏で彼女と楽しんでいた>といったポストをさせる。ホストの彼女役は私ですが、二人で楽しんでいる匂わせ投稿を続ける。すると次第に、推しに見向きもされない可哀想な女性客を応援する声が集まります。同時に、ホストの『彼女』へのヘイトも溜まっていく。
数週間経って炎上の下地が整ったときに、複数の偽の女性客のアカウントのトップ画を全て『新宿の女』に変える。女性客もホストの『彼女』も、全部『新宿の女』の自作自演だったと種明かしする。これまで女性客を応援してきた人たちの気持ちを踏みにじったということで、まあ炎上します。全焼です」
あえて悪く言うと、NEKI氏は見たところ二十歳そこそこの「小娘」である。好き放題に炎上させていては、歌舞伎町のコワイ人たちから睨まれそうな気もするが……。ここまで強気に活動できる理由は何なのだろうか。
「実は私は『新宿の女』の6代目なんです。 『新宿の女』 のアカウントが立ち上がったのは2013年。LINEの普及率がまだ4割台という時代から、SNSを駆使したマーケティングを続けてきました。私の先輩たちは10年という時間をかけて、歌舞伎町のお偉いさんたちと良好な関係を築き、炎上をはじめとしたSNSのノウハウを蓄積しました。なので、『新宿の女』が炎上を扱うコンテンツだということは歌舞伎町の共通認識になっているし、夜のお店のブランディングも手掛けることができるんです」(NEKI氏)
脈々と受け継がれてきた「炎上の系譜」はどこに向かうのだろうか。NEKI氏に今後の野望を聞いた。
「飲食店を開業したら『食べログ』に掲載しないという選択肢はないと思います。それに比べて今はまだ『新宿の女』は、お店によって使うか使わないか、意見が分かれるコンテンツなんですよね。『食べログ』のように、歌舞伎町において何かあったら『新宿の女』を使う。夜職に必要不可欠な存在に成長させたいと思っています」
日夜「炎上」に振り回されるSNS全盛の時代だ。NEKI氏の野望が実現する日は案外近いのかもしれない。
取材・文:芳賀 慧太郎

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