歩きスマホ、見てますよ…どこからでも通行人と「目が合う」ポスター

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ポスターの人物とずっと目が合っているような錯覚を覚える「仕掛け」を利用して、歩きながらスマートフォンを操作する「歩きスマホ」の防止を呼びかける取り組みが、JR尼崎駅構内で始まった。
兵庫県尼崎市はマナー向上によるファミリー層の住みやすい街づくりを目指しており、11月9日まで、効果を検証する。(加藤あかね)
尼崎市と大阪大大学院経済学研究科の松村真宏(なおひろ)教授(47)(仕掛学)が共同で実施。人に強制せず自然に行動を促して社会的な課題を解決する試みで、松村教授はこれまで、映画「ローマの休日」で知られる「真実の口」の模型に手を入れると消毒用アルコールが出る装置を設けたり、水が入ったじょうろを花壇に置いてポイ捨てを減らしたりする取り組みを行ってきた。
今回は、尼崎駅改札口近くの通路に選挙ポスター風の掲示板を設置。市職員5人をモデルに、大学生が段ボールで作った立体的な顔を貼り付けたポスターで、どこからでも通行人と目が合う。「歩きスマホ撲滅します」と書かれた啓発文に注目してもらうのが狙いで、設置された9月28日に通りかかった西宮市松原町、看護師(37)は「ポスターは少しドキッとする。『面白いな』と思わず見てしまう人が多いのでは。歩きスマホがなくなりそう」と話していた。
歩きスマホは社会問題化しており、けがを負わせる可能性があるほか、転倒や転落などで自らも負傷しかねない。尼崎市が9月16日午前7時半~8時半に同掲示板付近で調査したところ、歩行者4855人のうち308人(6・3%)が歩きスマホをしていた。
松村教授は「人に見られていると、社会に適合した行動を取るようになる。歩きスマホが良くないと自覚する人が増えてくれれば」と期待する。
この仕掛けは10月11日まで。19日からは、目が合う工夫が施されていないポスターを掲示してそれぞれの効果を比較検証する。ポスターには市ゆかりのプロ野球選手ら著名人5人が起用される。

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