〈「勝手に挿入された」とトラブルになるケースも…利用者激増の「女性用風俗」使ってはいけない店・いい店の見分け方〉から続く
「会社で1番か2番、低く見積もっても5番目くらいまでに入るくらいカッコいい人ばかりでした」
【マンガを読む】30代・未婚女性が「女性用風俗」に行ってみた
近年、人気を集める「女性用風俗」の世界――そこで働く男性たちの動機とは? 最新作『僕は春をひさぐ~女風セラピストの日常~』を制作するにあたって、多数の女性用風俗の関係者を取材してきた漫画家の水谷緑さんに教えてもらった。(全2回の2回目/前編を読む)
女性用風俗で働く男性たちの心理とは? 細田忠/文藝春秋
◆◆◆
――どんな人が女性用風俗のセラピストになっているのですか?
水谷緑(以下、水谷) コロナ禍で失業したり収入が減った男性や、スケジュール的に働きやすいので副業としてセラピストになる男性が多いです。航空業界で働いていた人が副業として始めたり、コロナの後遺症で味が分からなくなったシェフが退職させられてセラピストになったというケースもありました。
――採用基準はあるのですか?
水谷 見た目の基準は相当厳しいと感じました。例えるなら会社で1番か2番、低く見積もっても5番目くらいまでに入るくらいかっこいい人ばかりでした。若いイケメン男性ばかりのお店もあります。
また、人柄が重視されます。初対面でもしっかりと目を合わせて挨拶ができるなど社会性がチェックされています。レディーファーストが基本で、女性に対してサッと車道側を歩いたり、ドアを開けてあげたりという対応が自然にできるタイプ。普段からモテる人でなければ通用しない印象です。
――何歳くらいの人が多いんですか?水谷 30歳前後の人が1番多いです。30代で社会人経験のあるほうが常識的なマナーが身に付いているので活躍しやすいです。それに比べると40代や20代前半の人は少ないですね。30代中盤以降で生き残っている人は、テクニックや個性など何か秀でたものがないと厳しいです。 ユーザーから最も人気があるのも30歳過ぎくらい。アラサー、アラフォーの女性ユーザーは、「あまり若い男性が相手だと気が引けちゃう」「申し訳なさが先に立って没入できない」という人が多いんです。実は辛いセラピストの内情――セラピストは儲かるのですか?水谷 セラピストの取り分は50%が相場なので、2時間コースの場合だと手取りは1万円程度。すごく気を遣う仕事内容なのに、収入は高いとはいえないと思います。指名される回数が多ければ稼げますが、その人次第でピンキリですね。 プロとして専業でやっている人もいるし、バイト感覚の人や、出会い系を利用する延長の感覚でやっている人もいます。専業ばかりの店もありますが、兼業の人しか採用しない方針の店もあります。専業だと指名を多くとろうという焦りが出てしまうので、余裕の感じられる兼業セラピストのほうがお客さんウケがいいからだそうです。 セラピストから登録料を5、6万円くらいとって、それで経営を成り立たせている店も一部あります。登録料だけ払わされて1人もお客さんがつかず辞めていく男性が多くいます。非常に厳しい世界で、7割の人が辞めていきます。――採用されたら、研修などはあるのでしょうか?水谷 採用だけして放置する店もありますが、しっかりと研修をする店もあります。事務所にダブルベッドを置いて女性講師を招いて講習を開いたり、男性同士で練習したり、元セラピストの男性講師から教えてもらうこともあるそうです。 また女性モニターを募集して、5000円程度の報酬で練習台になってもらうこともあります。全然感じない人の役になってもらったり、工夫して練習しています。――大変そうな仕事ですが、モチベーションは何なのでしょうか?水谷 シンプルに「お金」という人は沢山います。兼業セラピストの中には「趣味、ライフワーク」として5万円分稼げるだけでよくて、月2回程度しか出勤しない人もいました。その人は、女性にサービスするのが生きがいなんだそうです。 やりがいとしては「女性を幸せにしたい」とよく聞きますね。そうすることで自己肯定感が上がるそうです。また「自分と会った時の、女性の“わっ、カッコいい!”という表情を見るのがたまらない」という人もいました(笑)。セラピストに依存してしまう女性も――男性セラピストには、どんなリスクがあるのでしょうか?水谷 リピートしてほしかったり、女性に喜んでほしい気持ちが先走るあまり、要望に応えすぎて、距離が近くなり過ぎた結果、女性側が依存してしまうことがあります。 寝ている間に身分証をコピーされたり、家まで尾行されたり、目の前で手首を切られたという人もいました。稀に「合意がないのに性行為をされた」と訴えられることもあるそうです。 本当に恋愛しているような態度を取る「色恋営業」をするとトラブルになる傾向があります。でも、特にそうしているつもりがなくても依存されやすいと聞きますね。 色恋営業はリスクが大きいのですが、挿入するとリピート率が上がるので「本当はダメだけど君が好きだから入れてあげる」と自分から仕掛けるセラピストもいます。――女性側から挿入を求めることはあるのでしょうか?水谷 7割から8割くらいの女性が求めてくるそうです。「それを言われるのが辛い」というセラピストが結構いました。「最後まで遂行できるのか」というプレッシャーが凄くあるそうです。ただ、「可愛い子は言ってこない」とも言っていました。 取材したセラピストはみなさん「違法なので挿入は絶対にしません」と言っていましたが、本当のところは分かりません。お客さんとして出会った女性と交際している人もいるので、結果的に2人が良ければいいのかなと思います。――性的なサービスをする中で、大変なことはあるのでしょうか?水谷 「興奮していてほしい」という要望がよくあるので、バイアグラを飲むセラピストが多いんです。1回目はたっていたのに2回目はそうじゃないとクレームが来ることもあります。「興奮するまで待っているから」とたつまで許してもらえなくて、辛くて辞めてしまった人もいます。 また反応が薄い女性が多く、「リアクションがないのは本当に不安」とも言っていました。「気持ちいい?」と聞いても本当のことは言わないだろうから、とにかく一生懸命奉仕して少しだけ腰がピクっとするのを見てやっと「気持ちいいんだな」と判断ができる。30年間セックスレスだった女性の中は硬いゴムのような感触で、それを少しずつほぐして柔らかくしていくそうです。 性的なコミュニケーションは、例えるなら2つペダルがあるタンデム自転車のようなもの。2人で協力して漕がないと前に進まないのに、男性に任せ過ぎてしまう。そのため男性にプレッシャーがかかって上手くいかないことが多いと、ある店のオーナーは言っていました。――夫婦などの男女関係でも同じことが言えそうですね。水谷 セラピストという仕事を介することで問題が見えやすくなると感じました。日本の女性は「受け身な方が女性らしくて良い」と思っている人が多いと思います。しかしセラピスト達は「僕達は気持ち良くなるのを後押しする存在。少し勇気を出して快感をキャッチしようとしてほしい」と言っていました。 ただ一方で、大半の女性ユーザーが重視しているのは大切に扱われることで、イクことはあまり求められていないそうです。だから丁寧に奉仕することが一番大事。実際に達成できなかった時の方がリピート率が高いそうです。達成すると「やってやったぜ」と無意識に女性の扱いがぞんざいになってしまうのかもしれません。「女性は性に対するタブー意識が強い」――女性用風俗を作品に描くことで伝えたいことはありますか?水谷 女性用風俗が以前より流行しているのは、女性が自分の欲を自覚して、それを大事にできつつあることかなと捉えています。性的な不満は、無視しようとしても色々なところで影響がでるもの。ときにはそれが、他者への支配欲や自己嫌悪に形を変えることもある気がします。 取材したユーザーの中には、厳しく育てられ自分を押し殺して生きてきたという人が沢山いました。まだ女性の性に対するタブー意識は強いですが、もう少し自分の欲望に向き合って、異性と接する練習や、息抜きに使ったりしてもいいんじゃないかなと思います。こんなふうに細かく取材したことをもとにリアルに描いていますので、ぜひ漫画も楽しんでいただけたら嬉しいです。〈「ハグしよっか」初めて“女性用風俗”を使った30代・独身女性が幸せになれた理由〉へ続く(都田 ミツコ)
――何歳くらいの人が多いんですか?
水谷 30歳前後の人が1番多いです。30代で社会人経験のあるほうが常識的なマナーが身に付いているので活躍しやすいです。それに比べると40代や20代前半の人は少ないですね。30代中盤以降で生き残っている人は、テクニックや個性など何か秀でたものがないと厳しいです。
ユーザーから最も人気があるのも30歳過ぎくらい。アラサー、アラフォーの女性ユーザーは、「あまり若い男性が相手だと気が引けちゃう」「申し訳なさが先に立って没入できない」という人が多いんです。
――セラピストは儲かるのですか?
水谷 セラピストの取り分は50%が相場なので、2時間コースの場合だと手取りは1万円程度。すごく気を遣う仕事内容なのに、収入は高いとはいえないと思います。指名される回数が多ければ稼げますが、その人次第でピンキリですね。
プロとして専業でやっている人もいるし、バイト感覚の人や、出会い系を利用する延長の感覚でやっている人もいます。専業ばかりの店もありますが、兼業の人しか採用しない方針の店もあります。専業だと指名を多くとろうという焦りが出てしまうので、余裕の感じられる兼業セラピストのほうがお客さんウケがいいからだそうです。
セラピストから登録料を5、6万円くらいとって、それで経営を成り立たせている店も一部あります。登録料だけ払わされて1人もお客さんがつかず辞めていく男性が多くいます。非常に厳しい世界で、7割の人が辞めていきます。
――採用されたら、研修などはあるのでしょうか?
水谷 採用だけして放置する店もありますが、しっかりと研修をする店もあります。事務所にダブルベッドを置いて女性講師を招いて講習を開いたり、男性同士で練習したり、元セラピストの男性講師から教えてもらうこともあるそうです。
また女性モニターを募集して、5000円程度の報酬で練習台になってもらうこともあります。全然感じない人の役になってもらったり、工夫して練習しています。
――大変そうな仕事ですが、モチベーションは何なのでしょうか?
水谷 シンプルに「お金」という人は沢山います。兼業セラピストの中には「趣味、ライフワーク」として5万円分稼げるだけでよくて、月2回程度しか出勤しない人もいました。その人は、女性にサービスするのが生きがいなんだそうです。
やりがいとしては「女性を幸せにしたい」とよく聞きますね。そうすることで自己肯定感が上がるそうです。また「自分と会った時の、女性の“わっ、カッコいい!”という表情を見るのがたまらない」という人もいました(笑)。
――男性セラピストには、どんなリスクがあるのでしょうか?
水谷 リピートしてほしかったり、女性に喜んでほしい気持ちが先走るあまり、要望に応えすぎて、距離が近くなり過ぎた結果、女性側が依存してしまうことがあります。
寝ている間に身分証をコピーされたり、家まで尾行されたり、目の前で手首を切られたという人もいました。稀に「合意がないのに性行為をされた」と訴えられることもあるそうです。
本当に恋愛しているような態度を取る「色恋営業」をするとトラブルになる傾向があります。でも、特にそうしているつもりがなくても依存されやすいと聞きますね。
色恋営業はリスクが大きいのですが、挿入するとリピート率が上がるので「本当はダメだけど君が好きだから入れてあげる」と自分から仕掛けるセラピストもいます。
――女性側から挿入を求めることはあるのでしょうか?
水谷 7割から8割くらいの女性が求めてくるそうです。「それを言われるのが辛い」というセラピストが結構いました。「最後まで遂行できるのか」というプレッシャーが凄くあるそうです。ただ、「可愛い子は言ってこない」とも言っていました。
取材したセラピストはみなさん「違法なので挿入は絶対にしません」と言っていましたが、本当のところは分かりません。お客さんとして出会った女性と交際している人もいるので、結果的に2人が良ければいいのかなと思います。
――性的なサービスをする中で、大変なことはあるのでしょうか?
水谷 「興奮していてほしい」という要望がよくあるので、バイアグラを飲むセラピストが多いんです。1回目はたっていたのに2回目はそうじゃないとクレームが来ることもあります。「興奮するまで待っているから」とたつまで許してもらえなくて、辛くて辞めてしまった人もいます。
また反応が薄い女性が多く、「リアクションがないのは本当に不安」とも言っていました。「気持ちいい?」と聞いても本当のことは言わないだろうから、とにかく一生懸命奉仕して少しだけ腰がピクっとするのを見てやっと「気持ちいいんだな」と判断ができる。30年間セックスレスだった女性の中は硬いゴムのような感触で、それを少しずつほぐして柔らかくしていくそうです。
性的なコミュニケーションは、例えるなら2つペダルがあるタンデム自転車のようなもの。2人で協力して漕がないと前に進まないのに、男性に任せ過ぎてしまう。そのため男性にプレッシャーがかかって上手くいかないことが多いと、ある店のオーナーは言っていました。
――夫婦などの男女関係でも同じことが言えそうですね。
水谷 セラピストという仕事を介することで問題が見えやすくなると感じました。日本の女性は「受け身な方が女性らしくて良い」と思っている人が多いと思います。しかしセラピスト達は「僕達は気持ち良くなるのを後押しする存在。少し勇気を出して快感をキャッチしようとしてほしい」と言っていました。
ただ一方で、大半の女性ユーザーが重視しているのは大切に扱われることで、イクことはあまり求められていないそうです。だから丁寧に奉仕することが一番大事。実際に達成できなかった時の方がリピート率が高いそうです。達成すると「やってやったぜ」と無意識に女性の扱いがぞんざいになってしまうのかもしれません。
――女性用風俗を作品に描くことで伝えたいことはありますか?
水谷 女性用風俗が以前より流行しているのは、女性が自分の欲を自覚して、それを大事にできつつあることかなと捉えています。性的な不満は、無視しようとしても色々なところで影響がでるもの。ときにはそれが、他者への支配欲や自己嫌悪に形を変えることもある気がします。 取材したユーザーの中には、厳しく育てられ自分を押し殺して生きてきたという人が沢山いました。まだ女性の性に対するタブー意識は強いですが、もう少し自分の欲望に向き合って、異性と接する練習や、息抜きに使ったりしてもいいんじゃないかなと思います。こんなふうに細かく取材したことをもとにリアルに描いていますので、ぜひ漫画も楽しんでいただけたら嬉しいです。〈「ハグしよっか」初めて“女性用風俗”を使った30代・独身女性が幸せになれた理由〉へ続く(都田 ミツコ)
水谷 女性用風俗が以前より流行しているのは、女性が自分の欲を自覚して、それを大事にできつつあることかなと捉えています。性的な不満は、無視しようとしても色々なところで影響がでるもの。ときにはそれが、他者への支配欲や自己嫌悪に形を変えることもある気がします。
取材したユーザーの中には、厳しく育てられ自分を押し殺して生きてきたという人が沢山いました。まだ女性の性に対するタブー意識は強いですが、もう少し自分の欲望に向き合って、異性と接する練習や、息抜きに使ったりしてもいいんじゃないかなと思います。こんなふうに細かく取材したことをもとにリアルに描いていますので、ぜひ漫画も楽しんでいただけたら嬉しいです。
〈「ハグしよっか」初めて“女性用風俗”を使った30代・独身女性が幸せになれた理由〉へ続く
(都田 ミツコ)