【伊東 由美】56歳女性が「33歳の息子」に愕然…「ひきこもり」で朝から晩まで酒を浴びる「衝撃の生活」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

節度を守れば、コミュニケーションの活性化やストレスの緩和、食欲増進などのメリットがあるアルコール。
しかし今、適度な飲酒を守れずに、飲みすぎて人生を台無しにしている人が後を絶たない。
厚生労働省の「アルコール健康障害対策推進基本計画(令和3年3月)」 によると、平成30年の「成人飲酒行動に関する全国調査」で、アルコール依存症の生涯経験者が54万人を超えるとの報告が挙がったとされている。世界的にもアルコールに関連した死亡が多く、問題視されている。飲酒による健康障害が死亡の主な原因だ。
Photo by iStock
これまで飲酒習慣のなかった人も、あるきっかけで毎日飲むようになったり、お酒に逃げる生活が定着してしまったりするケースもあり、誰もが他人事ではない。
場合によっては、後戻りできない最悪の事態にまで転落してしまうこともあるかもしれない。
キャリアコンサルタントとして、無職や貧困者の相談・支援等の活動をする筆者のもとに、まさにアルコールが原因で人生が崩壊しかけている相談者がやってきた。
アルコール依存症の息子を持つ母親のエピソードを紹介する。これは「8050問題」にも関連し、昨今深刻になっている。
「もういい大人の息子なのですが。働かずにお酒を飲んでは暴れて暴れて……。そんな大人でも、これから先社会人としてもう一度やっていくことは可能なのか、助言をいただきたいんです」
顔や腕、足など、服から露出した部分に複数の痣や傷跡が目立つ、相談者だった。
小川恵理子さん(56歳、仮名[以下同])は、アルコール依存症の息子を抱える母親だ。
「2年前、息子は離婚を機に実家へ戻ってきたんですが、ストレスからかお酒を飲むようになりました。それまでは、会社の飲み会や友人との会食などでしか飲まないような子だったんです。自室にこもって朝方まで飲んでいる日も多かったですね……。そのせいで二日酔いで欠勤する日が増え、会社もクビになりました。
ある程度貯金はあるからしばらく休む(転職活動をしない)と言われ不安を覚えたものの、当時はあまり強く注意しなかったんです。まあ、離婚して傷心しているでしょうし、多少休養は必要だと思ったので…」
恵理子さんの息子は35歳の無職。28歳で結婚したが、33歳で離婚。そして昨年、13年勤めた会社を解雇されたという。離婚の原因は、妻の不倫だった。幸い、子供がいなかったため、親権や養育費で揉めることはなかったが、愛する人に裏切られたことで精神的にまいってしまったのかもしれない。
Photo by iStock
そして、恵理子さん自身も25年前、当時31歳のときに離婚してシングルマザーとして長年一人息子を育ててきた。身内はおらず、他に相談できる人はいない。また無職の息子を養うほどの経済力もないという。
「息子が大学を出るまでは、教育費のために正社員で働いてしっかりと稼いでいたんです。ただ、息子が結婚して家を出てからはパートに切り替え、自分の生活費だけを稼ぐ程度にのんびり働いていました。だから、無職の息子を養うことになるなんて、正直困るというのが本音でした」
息子は、クビになってからの数ヵ月は、毎月5万円を生活費として渡してくれていたそう。
しかし、半年ほど前からその生活費を渡してくれることがなくなったという。
「ここ半年は一切生活費を渡してくれなくなりました。家は戸建てなので家賃はかからないのですが、食事を作らなくても息子が勝手に冷蔵庫をあさって食べてしまうので、食費はかなりかかります。一晩中、部屋の電気をつけてパソコンをいじっているようで、電気代もバカになりません」
大の大人1人の生活費は、パートで働く恵理子さんにとって負担の大きいものとなった。
クビになり、生活費も渡さなくなった息子の飲酒量は、どんどん増えていったという。
それまで、夜にしか飲んでいなかったお酒が、朝も昼も関係なく飲むようになった。
いつも泥酔していて、階段から転げ落ちたり、落として割れたコップの破片で足を怪我したにも関わらず、本人は一切気づいていないこともあった。恵理子さんが家に帰ると、部屋中に酒瓶や缶が落ちていることもあったそうだ。
さすがにこの状況はまずいと思った恵理子さんは、息子をアルコール専門外来のある病院へ連れて行った。案の定、アルコール依存症と診断され、抗酒薬を処方された。
抗酒薬とは、服用することで飲酒した際に頭痛や悪心、嘔吐などいわゆる「飲酒後の不快な症状」を意図的に引き出す薬物である。抗酒薬を服用していることで、飲酒欲求を低減し断酒率を高めることが期待されている。
しかし、息子は1度服用したきりで、それ以降は抗酒薬を口にすることはなかった。
息子の食費や酒代がかさみ、恵理子さんは世話などで疲弊していくことになる。

長年ひきこもる中年の子どもとそれを支える高齢者親に関連する問題が「8050問題」と言われるようになって久しい。
内閣府の調査によると、15歳から64歳までの人口でひきこもり状態にある人は146万人と推定されている。
社会全体が高齢化していく昨今。どんどん「8050問題」は深刻になっていくと予想される。ひきこもりになっていく理由はさまざまで、解決方法は単純ではない。しかし、一度つまづいてしまった人でも、前向きに社会復帰できるような環境づくり・支援を続けていくことが必要だ。
【後編】『「33歳の息子から髪を掴まれ、花瓶で殴られ」…DVを受ける“56歳女性”が下した「最後の決断」』では、アルコール依存がひどくなる息子さんのその後と、筆者が恵理子さんに勧めた解決策を解説する。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。