「火災報知器が鳴り響き、悲鳴が…」デパートの仏具売り場で起こった客の仰天行為

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毎日多くの人で賑わうデパート。きらびやかなアクセサリーから、ダンディーな紳士服まで、人々の心をつかむ商品でいっぱいの場所です。今回は、そんなデパートでも少しマイナーな仏具売り場で起こってしまった仰天エピソードを紹介します。 デパート勤務の小林さん(仮名・42歳)は、つい最近まで配属されていた紳士服売り場から異動を命じられたそうです。
◆メンズアパレルから仏具売り場へ
「入社以来ずっとアパレル関連のフロアで仕事をしていたもので、今回辞令があった仏具売り場への異動は正直驚きでした。仏具なんて田舎の祖父母の家に行った時くらいしか見たこともありませんし、当然知識も全くのゼロでした。それに、客層も今までとは大きく違うでしょうし、正直不安でいっぱいでしたね。でも、いざ仕事を始めると、落ち着いた雰囲気の中時間の流れがとてもゆっくりで、だんだん居心地がよくなったきました」
意外な異動にもどこか満更でもなさそうな小林さん。それでも年配客が多く集まる仏具売り場ならではの悩みもあったようです。
「ただ、お客さんの多くが年配の方が多いので、接客自体に結構時間がかかったり、中には世間ばなしをはじめちゃう方もいて……。僕はどちらかというとせっかちな方ではないのですが、この僕でも少しイラっとする時もあって」
◆少し厄介な老人客の来店
その日は平日だというのに午前中から館内は賑わっていて、どういうことか仏具売り場も例外ではなかったといいます。
「まあ珍しいですねここまで混むのは。いつもなら結構時間をかけて接客しているのですが、この日は売り場フロアを縦横無尽に飛び回るくらい忙しかったのを覚えています」
そんな混雑する仏具売り場の入り口付近から、何度も店員を呼ぶ老人がいたそうです。
「もちろん老人の声は聞こえてましたよ。でも、その時に接客していた老夫婦は仏壇も購入を検討していたので、計算機片手に値段の交渉や設置の段取りなど、かなり突っ込んだ内容の会話をしていたんです。本来なら、少し待ってもらい他のスタッフに入り口で叫ぶ老人の応対を任せるべきだったのですが、ちょうどお昼時でフロアには僕しかいなかったんです」
◆木魚とお鈴の大合奏がはじまっていた
そのうち、仏具フロアに木魚やお鈴の音が鳴り響くようになったといいます。
「かなり接客に集中していたのですが、ふと客との会話が途切れた時に、入り口付近から相当な音量で木魚とお鈴の大合奏が始まっていたんです。まるで、幼稚園の生徒が無茶苦茶に楽器を奏でているような感じのひどいひびきです」
それから数分後、信じられない事態が発生します。
「仏壇のお客さんにはなるべく早くクロージングしようと巻きで商品説明していたら、なにやらその老人のいる方向から線香の香りが漂ってきたんです。さすがの私も接客をいったん断り、その老人のほうに向かおうと思った瞬間、さっきの10倍くらいの煙が一斉に上がりだしたんです。隣の売り場からは悲鳴が聞こえるし、火災報知器も鳴り出すし、あたりは一瞬にしてパニック状態になりました」
小林さんは、その時フロアにいた他の年配客の手を引いて非常階段の方へ誘導したそうです。定期的に行われていた避難訓練のおかげで、特に怪我や混乱もなく安全な場所へ避難させることができたといいます。
◆あきれた老人の言い訳と通報
幸い館内の煙はしばらくしておさまり、フロア内にも落ち着きが戻ってきたとき、小林さんは近くにいた老人に事情を確認するために話しかけたといいます。
「その老人、ボヤのあたりから少し離れた場所で、腕を組み、何食わぬ顔をしてわれわれのドタバタをずっと静観していたんですよ。ここまで大事になったので、老人にご家族の連絡先を聞こうとしたら『教えません。私は接客されなかったから自分で商品を確かめただけだ』と答えたんです。もう時間の無駄だと思いました」
小林さんはこれ以上会話しても進展がないと判断し、店長の許可を得て警察にやむなく通報することにしたそう。
「再度店長とも話し合ったんですが、今回は被害届を出さずに、警察に自宅まで届けてもらうようにだけお願いしたんです。いろんな意味で勉強になりました。以前の売り場ではこんな類の問題はありませんでしたしね」
新天地でいきなりの洗礼を受けた小林さん。今回のことを教訓にして危機感を持ってお店に立ちたいと言っていました。
<TEXT/ベルクちゃん>
―[カスハラ現場の苦悩]―

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