町田の「通ってはいけない都道」が象徴? モノレール町田延伸に横たわる「神奈川県町田市」問題

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町田市にある、クルマの通行が極めて難しい「都道」。そのすぐ近くへ将来的に、モノレールが通る計画があります。この都道、実は「神奈川県町田市」と揶揄される問題の象徴的な場所かもしれません。
え、ここ「都道」だよな―― 東京都町田市から町田街道を八王子方面へ進んでいたものの、渋滞に耐え兼ねて道を逸れ、多摩市方面を目指したとき、かなりの「酷道」に遭遇しました。
町田市北部、都道155号線の狭隘区間(ドライブレコーダー)。
そこは車幅制限2m、すれ違い不可能な極細の山道が、延々2kmも続きます。「対向車こないでくれ……」と祈りながら抜けると、突如として巨大な幹線道路と、これまた巨大なロードサイドのショッピングモールが出現するというギャップにも驚くばかりでした。奥多摩方面の山間部ならまだしも、こんな計画都市の一角に、これほどの酷道があるとは……。
この道路は都道155号「町田平山八王子線」。起点の町田市「図師大橋」交差点から「日大三校入口」交差点までの約1kmは、将来的な多摩都市モノレールの「町田延伸」ルートとも重なります。モノレールは日大三高入口で分かれる計画ですが、都道155号線はそのまま八王子方面へと進み、町田市内の小山田地区で方向を変え小田急線の唐木田駅(多摩市)方面へ通じます。
この小山田から、唐木田駅に近い「南多摩尾根幹線道路」までの区間が、前出した超狭隘区間。Google mapでも色付きの線で示されるので、迷い込む人も少なくないと思われます。なお、クルマでの通行は絶対にお勧めしません。
この道はある意味、町田市が東京にあるのに「神奈川県町田市」と揶揄される状況を象徴する空間、といえるかもしれません。
多摩地域のなかでも神奈川県へ突き出た町田市は、実際130年前まで神奈川県に属していました。
北側は東京都多摩市、八王子市と接しているものの、それ以外の方向は川崎市、横浜市、相模原市とすべて神奈川県の自治体と面しており、鉄道で都心に出るには必ず神奈川を経由しなければなりません。市外局番も相模原市などと共通で、市内の路線バスも「神奈川中央交通」――こうしたことから、「神奈川県町田市」と揶揄されることがあります。
道路においても、神奈川方面はアクセスがよいのに、東京方面は悪いといわれます。それもそのはず、多摩市・八王子市とは広大な北部丘陵で隔てられているからです。そのあいだを結ぶ何本かの道のひとつが、前出した都道155号線の超狭隘区間というわけです。
町田市は北部丘陵について、「多摩丘陵の原風景を残す」貴重な地域だと説明していますが、多摩市の東隣である稲城市に住む人が「わざわざ町田には行かない」と話すほど、北部丘陵が阻む町田はやはり他の多摩地域とは一線を画す文化圏となっています。
多摩都市モノレール。北部の箱根ケ崎延伸は事業化されたが、南部の町田延伸はまだ事業化されていない(画像:写真AC)。
この北部丘陵を貫くモノレールの延伸プロジェクトにより、立川をはじめ多摩地域の拠点都市とのつながりが強まり、新たな交流が生まれることを、町田市はメリットとして挙げています。
ちなみに、路線バスも北部丘陵を越えるものは少ないですが、需要がないわけではありません。小山田桜台団地から唐木田方面、多摩センターの多摩南部地域病院とのあいだで、町田市がコミュニティバスを運行しています。
このバス路線は都道155号経由ではないものの、道が狭いため小型バスでの運行で、モノレール延伸ルートとも一部重複しています。町田市モノレールまちづくり推進室は「需要を先取りしたような路線」と話していました。

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