高額報酬期待も、逮捕で後悔=強奪品横取りされ「失敗」扱い―闇バイト「犯罪実行役の募集」・全国連続強盗

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一連の広域強盗事件を巡る公判などからは、高額報酬を期待して闇バイトに応募したものの、約束された報酬が払われず、捨て駒にされた実行役らの実態が浮かび上がる。
指示役が報酬を削って自らの取り分を増やすため、強奪品の横取りまで企てたケースもあった。警察庁は「闇バイトは犯罪実行役の募集だ」と注意を呼び掛けている。
「親は仕事を首になり、兄は結婚がなくなった。ばかなことをした」。千葉県大網白里市のリサイクル店強盗で有罪判決を受けた元自衛官、中桐海知被告(24)は、初公判で後悔を口にした。
3人兄弟の真ん中で、明るく、お調子者だったという被告。きっかけはギャンブルでつくった約430万円の借金だった。「犯罪ギリギリ」と認識していたが、報酬額の高さに飛びついた。
指示役「ミツハシ」を名乗る今村磨人容疑者(39)とされる人物から時計売却の仕事を任された被告は、まず約55万円の報酬を得た。その後、50万円で持ち掛けられたのが大網白里の事件だった。「度を超えている」と感じつつ、実家の住所などが知られていて逃げられないと思い、送迎役や見張り役を担ったが失敗。事件翌日に逮捕された。「もう強盗をしなくていいと安心した」。当時の心境をこう振り返った。
けがをした70代の男性店長とは、示談が成立。示談金500万円は親が立て替えた。被告は「被害者に怖い思いをさせて申し訳なかった。これ以上親を裏切りたくない。必ず自分で返す」と誓った。
大阪市の建設業、伊藤一輝被告(30)は、京都市の時計店強盗など五つの事件に関わり、懲役12年の実刑判決を受けた。
昨年3月、今村容疑者とされる「ルフィ」からの指示で、大津市の質店に侵入しようとし、逮捕された。保釈された数日後、再びルフィから連絡があった。「同じようなことをしないか」。京都の事件の誘いだった。いったんは断ったが、「人を手配してくれるだけでいい」などと言われ、複数の実行役を勧誘。指示を伝える役割も担った。
腕時計41点の強奪に成功し、「サンジ」を名乗る人物に渡すように指示されたが、受け渡し場所で何者かに奪われた。失敗とみなされ「報酬は払えない」と言われたが、その後の捜査で今村容疑者が計画したと判明。被告の弁護人は「だまされた面もある」と主張した。
警察庁によると、闇バイトで摘発された少年らは「危険を冒して次々と犯罪を実行したが、一切の報酬が支払われなかった」などと口にしている。同庁は闇バイトは「犯行グループが切り捨て要員の実行役を手広く募集するもの」と指摘して、こう警告している。「手を染めれば最後には必ず検挙されます。なぜなら、逮捕されるまで使われ続けるからです」。

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