空の雨水タンクに閉じ込め猫用ケージに監禁、何度も投げ飛ばし床に打ちつけ……。
同居していた男女３人により虐待された幼児が命を落とし、遺体を床下に埋められた異様な事件の公判が始まった。８月28日にさいたま地裁で行われたのは、傷害致死や死体遺棄などの罪に問われている派遣社員・柿本知香被告（31）と無職・丹羽洋樹被告（36）の裁判員裁判。柿本被告は亡くなった歩夢君（当時５）の母親で、丹羽被告の家で暮らしていたという。
「事件現場となった埼玉県本庄市内の家には、丹羽被告の内縁の妻・石井陽子被告（55）も住んでいました。彼ら男女３人は、歩夢君を逆さづりにするなど凄惨な虐待を繰り返します。歩夢君が亡くなったのは’22年１月です。今回始まった裁判で、柿本と丹羽の両被告は『間違いありません』と起訴内容を認めています」（全国紙司法担当記者）
『ＦＲＩＤＡＹデジタル』は’22年３月31日配信の記事で、事件について詳しく報じている。再録して異様な男女３人の同居生活や、耳を疑いたくなるような戦慄の虐待について振り返りたい（内容は一部修正しています）ーー。
「床に投げ飛ばした。しつけのためだった」
母親ら３人の被告の供述から、幼い子どもの遺体が地中から発見された痛ましい事件の全容が明らかになりつつある。
埼玉県本庄市に住む歩夢君の遺体が、自宅の庭から見つかったのは’22年３月５日だ。埼玉県警は約３週間後の３月26日、歩夢君を自宅の床に何度も投げ飛ばすなどして死亡させたとし、母親の柿本、丹羽、石井の３被告を傷害致死容疑で再逮捕する。警察は、日常的に虐待が行われていたとみて捜査を進めていた。
「異変が起きたのは１月12日です。この日を最後に歩夢君は、通っていた保育園へ姿を見せなくなりました。８日後の20日に、柿本被告は退園届けを提出します。園には『実家のある大阪府和泉市で元気に暮らしている』と説明したとか。
しかし本庄市が和泉市に照会したところ、転居の事実がないことがわかったんです。本庄市は『子どもの安否が確認できない』と警察に相談。同居する丹羽被告ら３人から事情を聞くと、１月中旬に遺体を自宅の庭に埋めたことを認めました」（全国紙社会部記者）
当初、３人の逮捕容疑は死体遺棄。歩夢君が亡くなった原因は不明だったが、被告たちの供述などから激しい暴行を受けていたことが判明したのだーー。
３被告は、本庄市内の築約50年の木造一軒家で同居していた。血縁関係はない。奇妙な共同生活が始まったのは’21年１月のことだ。
「旦那さんと別れた柿本被告は、１人で歩夢君を育てていたそうです。丹羽被告と知り合ったのは’21年秋頃。しばらくしてから柿本被告は歩夢君と一緒に、丹羽被告と石井被告の暮らす一軒家で同居するようになりました」（同前）
共同生活が始まってから、歩夢君の異様な様子がたびたび目撃されるようになる。
「よく歩夢君を含め４人で、自宅近くの飲食店を訪れていたそうです。ただ歩夢君はずっと丹羽被告に叱られ、料理もろくに食べさせてもらえなかったとか。長い時は２時間ほど正座をさせられたまま……。柿本被告が、歩夢君が叱られる様子をスマートフォンで撮影しようとしたこともあったと聞いています。
スーパーの駐車場で、石井被告が歩夢君に向かって『このガキ！』と怒鳴っているのを目撃した住民もいました。柿本被告は、常に疲れた様子だったとか。歩夢君も保育園でボンヤリしていることが多く、精神的な虐待があるのではと周囲は心配していました」（別の全国紙記者）
’22年１月18日には最悪の結果となる。自宅１階で３被告は歩夢君を繰り返し床に投げ飛ばし、死亡させたとされるのだ。
「歩夢君の後頭部には大きなキズがあり、それが直接の死因になりました。もともと歩夢君は、明るく快活な子どもだったとか。３被告の共同生活が始まってから、どんどん元気をなくしていったそうです」（同前）
激しい虐待を受け地中に埋められた歩夢君。今回法廷に立った２被告の判決は、９月８日に言い渡される予定だ。