【橋本 歩】妻の不倫を疑う夫「このあえぎ声は俺の嫁の声ですか?」…音の専門家のもとに持ち込まれた「盗聴音声」の解析結果

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千葉音声研究所で代表理事を務める村岡睦稔さんは、日本トップレベルの音声解析者だ。その高度なスキルを頼って、個人や弁護士だけでなく、警察や科捜研からも続々と音にまつわる依頼が舞い込んでくる。そんな村岡さんが、コロナ禍で特に増えた音声解析の仕事と、科学的に証明できない不気味な音声について語った。これまでの記事「ヒュン…」殺害現場でわずかに響いた犯行時の音から凶器を特定…知られざる「達人」の仕事

「どうやら妻が人を殺したみたいなんです」…音声解析のプロが思わず絶句した「壮絶な依頼」の中身さすがに困った「喘ぎ声」の分析依頼千葉音声研究所の代表理事を務める村岡睦稔さんが、思わず苦笑してしまう依頼がある。配偶者の不倫を証明するための声紋鑑定だ。「この手の依頼はコロナ禍で一気に増えましたね。旦那さんのカバンにこっそり忍ばせておいたICレコーダーを奥さんが持ってくることもあれば、寝室に仕込んでおいたカメラの映像を音声付きで旦那さんが持ってくることもある。他人のそういった行為を延々と確認しなければいけないのは、かなりきついですよ……」村岡さんがそういった音声を聞く限り、テレワークの普及がかなり影響しているという。ホテルによってはリモートワーク用に部屋を貸し出しているところがあり、それをうまい理由にして不倫相手を連れ込んでいるのだ。「男性の依頼者から『これが俺の嫁の声なのか調べてほしい』と、不倫相手との情事を録音したデータを持ってこられた時はさすがに困りました。喘ぎ声は判定するのが難しいんです(笑)。ただ、その音声にはピロートークが入っていたので、同じようなことをもう一度奥さんに喋らせることができれば判別できないこともありません。それを依頼者の男性に伝えたら『では、試してみます』と言って、後日新しい音声データを持ってきてくれました。鑑定の結果はクロ。その後、その夫婦がどうなったかは知りません」たとえどんな依頼であろうが、科学的な根拠にもとづいて調査するのが分析の基本。しかし、そんな村岡さんでも、科学ではどうにも説明できない状況にでくわすこともあるのだという。某テレビ番組に協力した際、それは起こった。不気味な音の正体は…「心霊スポットで不可解な音が録れるのか、といった企画に協力した時の話です。その日は夜中の12時過ぎに現地に到着すると、いわゆる心霊現象が多発すると言われているトンネルに、等間隔にマイクを設置していきました」千葉音声研究所で代表理事を務める村岡睦稔さん/筆者撮影何も録れるはずがない–。村岡さんは霊的な存在をまったく信じていなかった。しかし、録音を始めてから1時間を過ぎた頃、ヘッドホンから奇妙な音が聞こえてきた。「『カ、カ、カ、カ……』という硬い足音が、突然聞こえてきたんです。間違いなく革靴の音でした。しかも、その音を拾うマイクのあたりを見ても誰もいない。本当にヤバいんじゃないかといった空気が流れ始めた、その時でした。『うせろお!』という男性の叫び声が、今度はヘッドホンから聞こえてきたんです。一緒に音を聞いていた人たちは『え?』ですよ。だって、やっぱりトンネルの中には誰もいないんですから」結局、この時の謎の音声は不気味過ぎるという理由で、地上波では流すことができなかったという。音にまつわる不思議な話はこれだけにとどまらない。続編記事『「お父さんやめて、痛い、痛い!」と泣き叫ぶ小学生の娘…あらゆる音を知り尽くす“音声解析のプロ”を絶望させた「この世で一番むごい音」』では、村岡さんを戸惑わせた「死者からの留守電」と、いまでも聞くたび涙してしまうという「悲しき音」についてお伝えする。
千葉音声研究所で代表理事を務める村岡睦稔さんは、日本トップレベルの音声解析者だ。その高度なスキルを頼って、個人や弁護士だけでなく、警察や科捜研からも続々と音にまつわる依頼が舞い込んでくる。
そんな村岡さんが、コロナ禍で特に増えた音声解析の仕事と、科学的に証明できない不気味な音声について語った。
これまでの記事「ヒュン…」殺害現場でわずかに響いた犯行時の音から凶器を特定…知られざる「達人」の仕事
千葉音声研究所の代表理事を務める村岡睦稔さんが、思わず苦笑してしまう依頼がある。配偶者の不倫を証明するための声紋鑑定だ。
「この手の依頼はコロナ禍で一気に増えましたね。旦那さんのカバンにこっそり忍ばせておいたICレコーダーを奥さんが持ってくることもあれば、寝室に仕込んでおいたカメラの映像を音声付きで旦那さんが持ってくることもある。他人のそういった行為を延々と確認しなければいけないのは、かなりきついですよ……」
村岡さんがそういった音声を聞く限り、テレワークの普及がかなり影響しているという。ホテルによってはリモートワーク用に部屋を貸し出しているところがあり、それをうまい理由にして不倫相手を連れ込んでいるのだ。
「男性の依頼者から『これが俺の嫁の声なのか調べてほしい』と、不倫相手との情事を録音したデータを持ってこられた時はさすがに困りました。喘ぎ声は判定するのが難しいんです(笑)。ただ、その音声にはピロートークが入っていたので、同じようなことをもう一度奥さんに喋らせることができれば判別できないこともありません。
それを依頼者の男性に伝えたら『では、試してみます』と言って、後日新しい音声データを持ってきてくれました。鑑定の結果はクロ。その後、その夫婦がどうなったかは知りません」
たとえどんな依頼であろうが、科学的な根拠にもとづいて調査するのが分析の基本。しかし、そんな村岡さんでも、科学ではどうにも説明できない状況にでくわすこともあるのだという。某テレビ番組に協力した際、それは起こった。
「心霊スポットで不可解な音が録れるのか、といった企画に協力した時の話です。その日は夜中の12時過ぎに現地に到着すると、いわゆる心霊現象が多発すると言われているトンネルに、等間隔にマイクを設置していきました」
千葉音声研究所で代表理事を務める村岡睦稔さん/筆者撮影
何も録れるはずがない–。村岡さんは霊的な存在をまったく信じていなかった。しかし、録音を始めてから1時間を過ぎた頃、ヘッドホンから奇妙な音が聞こえてきた。
「『カ、カ、カ、カ……』という硬い足音が、突然聞こえてきたんです。間違いなく革靴の音でした。しかも、その音を拾うマイクのあたりを見ても誰もいない。
本当にヤバいんじゃないかといった空気が流れ始めた、その時でした。『うせろお!』という男性の叫び声が、今度はヘッドホンから聞こえてきたんです。一緒に音を聞いていた人たちは『え?』ですよ。だって、やっぱりトンネルの中には誰もいないんですから」
結局、この時の謎の音声は不気味過ぎるという理由で、地上波では流すことができなかったという。
音にまつわる不思議な話はこれだけにとどまらない。
続編記事『「お父さんやめて、痛い、痛い!」と泣き叫ぶ小学生の娘…あらゆる音を知り尽くす“音声解析のプロ”を絶望させた「この世で一番むごい音」』では、村岡さんを戸惑わせた「死者からの留守電」と、いまでも聞くたび涙してしまうという「悲しき音」についてお伝えする。

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