富士山で「たき火」…トラブル続出 注意に「逆ギレ」怒号飛び交う“まさかの事態”に

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山梨県側の「吉田ルート」で、初めての登山規制が発表されたこの夏の富士山。外国人ら多くの登山者で混雑するなか、カメラが捉えたのは迷惑登山客の姿です。
立ち入り制限エリアで寝ていた登山者が、注意するパトロール員に対し“逆ギレ”。深夜の登山道で遭遇したのは、あろうことか「たき火」をしている中国人のグループ。トラブル続出の現場を追跡しました。
■“弾丸登山”する人後絶たず…「このまま頂上まで」
7月1日、山開きを迎えた富士山を取材しました。目立ったのは、宿に泊らずに山頂でご来光を拝もうとする人たちの“弾丸登山”です。
あれから、およそ1カ月半。我々は、さらなる混乱を目のあたりにすることとなりました。
北海道から来た登山者:「家族の夢だった。(富士山に)登りたいというのが」
アメリカから来た登山者:「登るのが楽しみ。早く登りたいよ!」
今シーズンの登山者数は山梨県側の「吉田ルート」で、すでに10万人を突破。去年の同時期に比べ、3万人増えています。
海外から来た観光客など、早い時間から多くの登山者が詰め掛けていました。そして夜、真っ暗闇にもかかわらず、歩みを進める人の姿がありました。
外国人登山者「(Q.宿泊するところはある?)ないよ。このまま頂上まで行くんだ」「(Q.宿はとっている?)いや、とっていないです。どうしようかなって」
相変わらず、“弾丸登山”をする人は後を絶ちません。8合目の山小屋前には…。
スイスから来た登山者:「(Q.大丈夫?)大丈夫、大丈夫、寝ていただけだよ。スイスから来たんだ。スイスには山がたくさんあるし」「(Q.寒くないですか?)寒くないね、気持ちがいいよ」
■立ち入り制限エリアで…登山者“逆ギレ”
中には、こんな光景も見られました。立ち入りが制限されたエリアに、寝転がる人たちがいます。
そこへやってきたのは、山梨県の巡回パトロール員です。実はこの場所、工事中で危険なため「立ち入りを制限」しているのです。
山梨県巡回パトロール員:「(山小屋に)泊まっていない人が休んで、アルミシートにくるまっている。あれでもジッとしていると、体が冷えて低体温で体が動かなくなり、本当に命の危険が出てくる」
立ち入り制限エリアというだけでなく、このままでは体調を崩す恐れもあります。その場から動くよう促します。
ところが、怒号が飛び交う“まさかの事態”となりました。
男性:「分かるけど、一気に上がれないじゃん。見てよ」
山梨県巡回パトロール員:「そもそも」
男性:「人でしょ」
女性:「人でしょ」
男性:「一気に上がれないじゃん」
女性:「一気に上がれるの?上がれないでしょ」
山梨県巡回パトロール員:「一気に上がれないから眠るの?ここで」
男性:「寝ないよ」
女性:「寝てない」
声を荒らげるのは、外国人とみられる登山者。「寝ているわけではない」と主張します。
男性:「一気に上がれないから」
山梨県巡回パトロール員:「分かった分かった。ただ、ここは…」
女性:「黙ってて。黙って」
結局、立ち入り制限エリアで寝ていた登山者らは、しぶしぶその場を離れ、山頂へと向かっていきました。
この日も、山頂でご来光を拝もうとする登山者の列ができていました。混雑に拍車が掛かっていました。
標高が上がるにつれ、ひどくなる深夜の大渋滞。進んでは止まり、進んでは止まりを繰り返す状態です。
こうした山頂付近の混雑を受け、山梨県は今月11日からの「登山者の規制」を発表。場所や時間を特定せず、状況に応じて対応するとしています。
現在まで規制は行われていませんが、実施される場所について山小屋の関係者は、次のように話します。
富士山吉田口旅館組合 中村修組合長:「規制をしてもらうのは、大変うれしいんですけれども、ただ場所ですよね。(登山口がある)5合目で規制してもらえると助かる」
標高が高い場所で足止めされると、低体温症などの体調不良者が続出するのではと懸念しているのです。
実際、8合目では、手元の温度計は9.4℃を差しています。なかなか前にも進めず、体の芯から冷え切っている感じです。たくさんの登山客が集まっています。寒さをしのぐためでしょうか、カップ麺を口にする人が多くいました。
ベトナムから来た登山者:「ちょっと寒い。風がある。ちょっと眠いですね…」
寒さによって、動けなくなる人があちこちにいました。
■深夜の登山道で遭遇…「禁止行為」
ここで、信じがたい光景に遭遇しました。
山梨県巡回パトロール員:「におう。本当だ」「これだ、これだ」
パトロール員が8合目で発見したのは、まだニオイがただよう「炭」です。
山梨県巡回パトロール員:「(Q.ここで誰かがたき火をしていた?)そうそう。たき火」「(Q.暖を取るため?)そうです。暖取りですね」
一体、誰が…。炭が発見された場所から少し上ったところで、目を疑いました。
山梨県巡回パトロール員:「こんばんは、パトロールです。あのね、たき火禁止なの、ここ」
女性:「…え?」
山梨県巡回パトロール員:「リーダーはだれ?どこから持ってきたの?」
男性:「分からない」
赤く燃え上がる木材。それを囲むように座り込んでいたのは、中国人のグループです。
世界文化遺産であり国立公園に指定されている富士山では、たき火は法律で禁止されています。
山梨県巡回パトロール員:「火を消して。水で火を消して。火を消してください。お願いします。行っちゃだめ、行っちゃだめ。消さないと。水、水。消して」
こうした行為は、1年以下の懲役などに処される場合があります。
山梨県巡回パトロール員:「富士山、たき火ダメだから」
たき火をしていた中国人:「(Q.どうしてたき火をしていた?)寒いから」「(Q.木はどこから持ってきた?)この辺を探したら木があって、すぐに使って。ライター持ってきて」「(Q.富士山はたき火禁止)はい、分かった。本当にごめんなさい」
焚火をしていた中国人のグループは、反省した様子で去っていきました。
山頂付近は6.8℃。日中、6合目で計測した時より、およそ20℃低下しています。
午前4時半。山頂は、日の出を待つ登山者であふれかえっていました。そして、雲の隙間から太陽が…日本一の高さから拝む、ご来光です。

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