「年収の壁」対策を10月導入へ 岸田首相が表明、取り組み企業に助成

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岸田文雄首相は10日、年収が一定額を超えると配偶者控除の対象外となり、社会保険料の負担が生じて手取りが減る「年収の壁」を巡り、手取りが減らないように取り組む企業への助成制度を10月に導入すると表明した。
パートなどの労働者が壁を気にせず働けるようにすることで、人手不足の緩和につなげる狙いがある。視察先の富山県で記者団に明らかにした。
首相は「将来的には制度の見直しを行っていくが、当面の措置として助成制度をスタートさせたい」と述べた。「就業調整をされている方に幅広く対応できるよう、ふさわしい予算の規模感を視野に入れる」とも語った。
助成制度の詳細については、9月までに取りまとめると説明した。政府が6月に閣議決定した「こども未来戦略方針」では、労働時間の延長や賃上げした企業に必要な費用を補助する「支援強化パッケージ」を年内に決めるとしていたが、時期を前倒しした形だ。
「年収の壁」とは、勤務先の企業の規模により年収が106万円や130万円を超えると扶養から外れ、保険料を自ら負担しなければならなくなる問題を指す。壁を超えれば手取りが減って「働き損」となるため、働く時間を意図的に抑える就業調整につながっていると指摘されてきた。
今回の助成制度はつなぎ策という位置付けで、本格的な対応は令和7年に予定する年金制度の見直しに合わせて検討する。
年収の壁
会社員や公務員に扶養される配偶者がパートなどで働いて一定以上の年収になると、厚生年金や健康保険の社会保険料が発生したり税の優遇が小さくなったりして、手取りが減る状況を指す。この一定の年収額が「壁」と呼ばれ、働く時間の抑制を招き、企業の人手不足の一因になっている。保険料は勤め先の従業員数などに応じて年収106万円や130万円で発生。106万円の壁を超えて働いた場合は、年収を約125万円まで増やせば手取りが106万円に達する。また年収が150万円を超えると、所得税の配偶者特別控除を満額受けられなくなる。

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