「不正の指示はなかった」と金融庁に報告も…ビッグモーターと蜜月関係、損保ジャパンのイケイケ体質

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中古車販売大手ビッグモーターの自動車保険金の不正請求問題が混迷を深めている。7月26日付けで創業者でオーナーの兼重宏行社長(71)や長男の兼重宏一副社長(35)が辞任、和泉伸二専務(54)が社長に就き、事態の収拾にあたっているが、内部告発が相次いでおり、国土交通省も立入検査に入った。
【画像】損保ジャパンの白川儀一社長 損保会社との関係も問題視されている。「ビッグモーターが取り扱う保険料は自賠責と任意の自動車保険合計で年間約200億円にのぼり、主力3損保は同社に社員を出向させていた。特に蜜月の関係だったのが損保ジャパンで、11年から計37名を派遣していた」(経済部記者)

損保ジャパン本社 iStock.com 損保ジャパンの出向者は自動車保険を扱う営業部門だけではなかったという。「損保ジャパンは保険代理店契約の幹事社を務めていた。出向者の中には自動車保険の不正請求が横行していた時期に、焦点となる板金・塗装部門の担当部長を務めていた者もいた」(金融庁関係者) さらに損保各社はビッグモーター社員による内部告発を受けて22年6月に事故車の紹介を停止したが、唯一、損保ジャパンは翌月に早くも“紹介”を再開。「22年7月、損保ジャパンは金融庁に対し『不正の指示はなかった』との報告を出しました。しかしその半年前の同年1月には、出向者から『工場長から不正の指示があった』という内部告発を受け取っていたとされ、金融庁に虚偽の報告を出した、との疑いが持たれている」(同前)早稲田出身、営業が強く…損保ジャパンのイケイケ体質 同社の主な母体は、安田火災海上保険や日本興亜損保など。「安田火災海上は、作家・高杉良の『広報室沈黙す』のモデルとなった会社で、みずほFGや丸紅などの芙蓉グループの中核会社。伝統的に私学出身者が幅を利かせ、特に『早稲田閥』が強い。現会長で、経済同友会の前代表幹事・櫻田謙悟氏も早稲田卒。営業が強く、良くも悪くもイケイケの体質」(同社関係者) 一方の日本興亜損保も、旧三和銀行の企業グループ「みどり会」の中核企業。「こちらも営業が強く、野武士的な企業風土がウリ。社風の似た2社が統合して誕生した損保ジャパンだが、今回はそのイケイケ路線が裏目に出た」(同前) 損保ジャパンの白川儀一社長は7月25日のぶら下がり会見で、「今振り返るともっと調査をすべきだったと反省している」と弁明。また、26日には、社外弁護士のみによる調査委員会を設置、28日には、ビッグモーターとの保険代理店契約を終了し、損害賠償請求をおこなう準備を進める、と発表した。 不正を見抜けなかった責任を問う声は強まる一方。今回は「沈黙す」とはいかなかったようだ。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年8月10日号)
損保会社との関係も問題視されている。
「ビッグモーターが取り扱う保険料は自賠責と任意の自動車保険合計で年間約200億円にのぼり、主力3損保は同社に社員を出向させていた。特に蜜月の関係だったのが損保ジャパンで、11年から計37名を派遣していた」(経済部記者)
損保ジャパン本社 iStock.com
損保ジャパンの出向者は自動車保険を扱う営業部門だけではなかったという。
「損保ジャパンは保険代理店契約の幹事社を務めていた。出向者の中には自動車保険の不正請求が横行していた時期に、焦点となる板金・塗装部門の担当部長を務めていた者もいた」(金融庁関係者)
さらに損保各社はビッグモーター社員による内部告発を受けて22年6月に事故車の紹介を停止したが、唯一、損保ジャパンは翌月に早くも“紹介”を再開。
「22年7月、損保ジャパンは金融庁に対し『不正の指示はなかった』との報告を出しました。しかしその半年前の同年1月には、出向者から『工場長から不正の指示があった』という内部告発を受け取っていたとされ、金融庁に虚偽の報告を出した、との疑いが持たれている」(同前)
同社の主な母体は、安田火災海上保険や日本興亜損保など。
「安田火災海上は、作家・高杉良の『広報室沈黙す』のモデルとなった会社で、みずほFGや丸紅などの芙蓉グループの中核会社。伝統的に私学出身者が幅を利かせ、特に『早稲田閥』が強い。現会長で、経済同友会の前代表幹事・櫻田謙悟氏も早稲田卒。営業が強く、良くも悪くもイケイケの体質」(同社関係者)
一方の日本興亜損保も、旧三和銀行の企業グループ「みどり会」の中核企業。
「こちらも営業が強く、野武士的な企業風土がウリ。社風の似た2社が統合して誕生した損保ジャパンだが、今回はそのイケイケ路線が裏目に出た」(同前)
損保ジャパンの白川儀一社長は7月25日のぶら下がり会見で、「今振り返るともっと調査をすべきだったと反省している」と弁明。また、26日には、社外弁護士のみによる調査委員会を設置、28日には、ビッグモーターとの保険代理店契約を終了し、損害賠償請求をおこなう準備を進める、と発表した。 不正を見抜けなかった責任を問う声は強まる一方。今回は「沈黙す」とはいかなかったようだ。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年8月10日号)
損保ジャパンの白川儀一社長は7月25日のぶら下がり会見で、「今振り返るともっと調査をすべきだったと反省している」と弁明。また、26日には、社外弁護士のみによる調査委員会を設置、28日には、ビッグモーターとの保険代理店契約を終了し、損害賠償請求をおこなう準備を進める、と発表した。
不正を見抜けなかった責任を問う声は強まる一方。今回は「沈黙す」とはいかなかったようだ。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年8月10日号)

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