富士山が大混雑 初の規制を検討 登山者4万人超 「軽装登山」「弾丸登山」に危険も

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夏山シーズンに入り、富士山に登る人は4万人を超え、大混雑しています。危険な登山による事故を避けるため、山梨県は初めて登山者を規制する検討を始めました。
■“富士登山者数”過去10年で2番目の多さ
世界遺産登録から10年の節目を迎えた富士山。先月の山開き以来、5合目の登山口は連日大にぎわいです。
環境省によると、今年の開山日から先月17日までの登山者数は、コロナ前の2019年を大きく上回り、過去10年でも2番目の多さとなっています。
埼玉から来た親子:「私が行こうと誘いました」「(Q.コロナも落ち着いて外へ?)そうですね、夏休みになったしね」
静岡・菊川市から来た親子:「世界一高い山だから登りたい」「日本だよ!日本一だよ!」
午前7時、初の富士登山となる布施宏倖アナウンサーも頂上を目指します。
布施アナ:「この場所から頂上目指して頑張ります。行ってきます」
足元は登山靴、両手にはストックと装備は万全。大学まで野球でならした布施アナ。意気揚々と登り始めましたが、30分も経たないうちに息が上がり始めます。
布施アナ:「もうすでに、だいぶ息が上がってきました。標高が高いので酸素が少ないですね」
さらに6合目、7合目と進むにつれ…。
布施アナ:「8合目へと向かっているんですけど、かなりしんどいですね。体力が削られてます」
■「軽装登山」サンダル履き…上半身裸も
毎年多くの人が登頂する富士山ですが、標高が高く酸素が薄いうえ、急な傾斜や足場の悪い所も多く、事故も後を絶ちません。
こうした事故を引き起こす原因の一つが、登山に見合わない服装や靴で登る、いわゆる「軽装登山」です。
サンダルを履いて登っていく人がいました。
中国人登山客:「(Q.サンダルで大丈夫?)大丈夫」「(Q.どこまで登る?)一番上まで」
一方、標高3000メートルを超えた地点では、なんと上半身裸で登る外国人がいました。
アメリカ人登山客:「アメリカのボストンから富士山に登るために来ました」「(Q.なぜ服を着てないのですか?)暑いから。どこでもこんな感じです」
富士山の山頂と平地の気温差は20℃といわれていて、防寒具は必須です。
■「弾丸登山」高山病リスク高くなり危険
そして、軽装登山とともに危険だとされるのが「弾丸登山」です。
富士登山オフィシャルサイトによると、弾丸登山とは、5合目を夜間に出発し、山小屋に泊まらず夜通しで山頂を目指す、0泊2日の登山形態だといいます。
十分な休息をとらずに、一気に登ることで高山病のリスクが高くなるなど、危険性が指摘されています。
山小屋に宿泊せず、野宿する弾丸登山者の写真です。SNSに写真を投稿した富士宮口ガイド組合は、「そろそろこういうのやめませんか…」という言葉とともに、弾丸登山を控えるよう訴えています。
■山梨県 8合目付近で“一時的規制”検討
また、今年は登山者の数が多く、すでに多くの山小屋では予約が取りにくい状況です。
万年雪山荘 渡辺和将代表:「週末の予約は、春ごろから受けていた。日によっては、平日でも予約を断っている状況」
こうしたことから、ますます弾丸登山をする人が増えることも考えられます。
これに対し、山梨県は…。
山梨県 長崎幸太郎知事:「大きな事故を回避するために、登山規制を行う方向で検討している」
深夜、登山者が渋滞して危険な場合、一日4000人を目安に、8合目付近で一時的に登山者を規制することを検討しています。
■登山口で会った親子 最後の力振り絞り…
一方、万全の装備と登山計画で登る布施アナはおよそ6時間かけ、山頂付近までやってきました。
布施アナ:「本当に大変なんですけど、このきれいな景色を見られたら、まだまだ頑張れます。よっしゃ、もう一丁」
布施アナとは対照的に、9合目付近で座り込む男の子と父親。2人は偶然にも登山口でインタビューした落合さん親子でした。
父:「大丈夫?行けるな?」
息子:「うん」
父親の智之さん(43)は、龍生くん(11)と同じ小学校5年生の時に、富士山に登った感動が忘れられず、同じ年齢になった息子にも、どうしても富士山を登らせたかったのだといいます。
山頂まであと一息というところで、龍生くんの体力が限界に近づきます。
父:「呼吸、整えてね。ゆっくりでいい」「(山頂まで)もうちょい、もうすぐだ」
父の励ましに勇気をもらい、最後の力を振り絞ります。そして、念願の親子登頂に成功。忘れられない夏休みの思い出となりました。
父:「感無量ですね」
息子:「大きくなったら、(自分の)子どもと来たいです」

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