「パパ達の姿がリアル」子育て描くサントリーCMに共感続出 実体験から誕生…子供が登場しない演出も話題に

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お笑い芸人・あばれる君が起用されたウェブCM「無言の父たち」が、SNSで話題になった。幼稚園の送り迎えなどで父親同士が居合わせた際の微妙な距離感を描き、大きな共感を呼んだ。さらに注目を集めたのが、演出だ。子育てに奔走する様々なシーンが描かれたものの、子どもは一切登場しない。
実は、寝かしつけの後に夫婦が手に取るサントリーのビール「ザ・プレミアム・モルツ」のCMだ。取材に対しサントリーは2023年7月26日、子供が登場しないのは業界の自主規制によるものだとして、制作の背景を語った。
CMは、朝の公園で眠そうにしているあばれる君の姿から始まる。ベビーカーを押し引きしながら子をあやしており、隣には同じような父親がいるが会話はない。幼稚園の送迎バスを一同で和やかに見送ると、母親らは歓談を始めるが、父親らはそそくさと帰路に就く。公園では滑り台から降りてくる子供を待っている。滑り台越しに子供をあやす表情で目が合ってしまった父親同士はどこか気まずそうだ。
「でも分かりあっていないかというと、すごく分かりあっている気がする」。ナレーションでこう説明されるよう、トイレで母子を待っていたりエレベーターに乗り合わせたりした父たちは、ささやかな笑顔で軽く会釈する。
この内容がツイッター(現X)で「パパさん達の姿がリアル~」「全パパが同意した感動超大作!!」などと大きな共感を呼んだ。
父同士の微妙な距離感に焦点を当てた理由について、取材に対しサントリーはこう述べる。
さらにCMでは、母子をのせた満員のエレベーターを見送り一人だけ階段を上ったり、送迎のためにスーツ姿でママチャリを駆けたりする父の姿も描かれる。こうした日常の父の姿は関係者たちの実体験に基づくという。
一部シーンは、マンガ家・犬犬さんがツイッターに投稿した育児マンガ、育児ツイートで人気を博したツイッターユーザー・ひみつのうつ子ちゃんさん提供のエピソードも元ネタとしている。
19日に公開され様々な子育てシーンが大きな共感を呼んだが、翌20日にCMの演出も話題になった。
子どもが登場しない理由について、サントリーは「業界の自主規制によるものです」と答える。酒類業9団体で構成される酒類の広告審査委員会では、テレビ広告において25歳未満の人を広告のモデルに使わないよう定めている。
こうした背景から、サントリーは「子どもが登場しなくても成立するシチュエーションの選定」に一番時間をかけたと明かす。
ベビーカーや幼稚園バスの中は見えづらく、習い事のプールや幼稚園も大人の多い出入り口や待合室が映されており、子どもの姿はなかった。自転車の子ども座席や、肩に下げた子ども用バックがあばれる君を父らしく見せていた。
サントリーはSNSでCMが話題になったことを受けて、「チーム一同たいへん嬉しく思っております」と受け止める。

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