「あんな“危ない夜遊び”では恨みを買う」 札幌・首切り事件、被害者と関係を持った女性が激白

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密室で殺害された男性の首を切断、短時間で持ち去る手口ゆえ、犯人を巡ってはさまざまな臆測が飛び交った。プロの犯行か、男でないと手際よく処理するのは不可能――。そんな見方を覆し逮捕されたのは、若き女性とその両親。エリート医師一家のいびつな関係に迫る。
【写真を見る】セクシーなポーズを決める女装姿の被害者・Aさん あまりに猟奇的な事件が発生してから23日後、事態は急展開を迎えた。一時は迷宮入りもささやかれた中で、逮捕された容疑者はひとつ屋根の下に住む父母と娘の一家3人。しかも父親は、人の心を救うのが仕事の現役精神科医だった。

7月24日、北海道警は札幌市厚別区に住む職業不詳・田村瑠奈容疑者(29)と、父親で勤務医の修容疑者(59)を、死体損壊や死体領得、死体遺棄の疑いで逮捕したと発表。翌日には同じ容疑で、母親の浩子容疑者(60)も逮捕するに至ったのである。田村修容疑者(本人のSNSより) 容疑は7月1日深夜から翌日未明にかけて、札幌一の歓楽街として知られるススキノに立つラブホテルの一室で、恵庭市在住の会社員・Aさん(享年62)の頭部を切断して、持ち去ったというもの。道警が父と娘の逮捕直後、容疑者宅へ家宅捜索に入ったところ被害者の頭部が発見されたことで、今後は殺人容疑も視野に捜査が続く。計画的な犯行「道警は瑠奈容疑者を殺害の実行犯、父母が遺体の損壊や遺棄の共犯者とみて取り調べを行っています」 と解説するのは、さる全国紙の社会部デスクだ。「現場周辺にある防犯カメラには、殺害前の被害者と瑠奈容疑者が、二人でラブホテルへと向かう様子が録画されていました。チェックインは23時前で、日付をまたいだ2時ごろ、彼女だけが“先に出ます”とフロントに伝えて現場を後にしましたが、遺体が発見される15時までの間に第三者が部屋へ入った形跡は一切なかった。また修容疑者は自ら車のハンドルを握り、娘のために自宅と現場を往復する送迎役を担ったことに加え、凶器や頭部を運んだと思われるスーツケースを事件前に娘と市内の小売店で購入していたことから、家族で計画的に犯行に及んだ可能性もあります」 娘の凶行を止めるどころか手助けをしていた父親が、ベテランの精神科医であったことから、この事件の闇は一層深いものになった。人権の大切さを訴えてきた修容疑者 道東・オホーツク海側にある遠軽町に生まれた修容疑者は、旭川医科大学を卒業後、精神科医となり札幌市内にある勤医協中央病院に勤務。精神科・リエゾン科科長にまで昇り詰めたという。 逮捕される直前まで、彼は普段通り出勤していたそうだが、同じ病院に籍を置く現役看護師は、こう話す。「患者さんにも優しく声をかけ、科長でありながら、看護師も分け隔てなく接するなど、院内での評判は上々でした。田村先生を悪く言う人は聞いたことがありませんが、事件の一報を聞いて“あの先生が?”という驚きが不思議となく、周囲も同様の反応でした。なんと言えばいいのか、あまりに温厚で優しい方だったので、やっぱり“裏の顔”があったのかと、変に納得してしまったんです」 院外活動にも熱心な修容疑者は、5年前には「海外派遣自衛官と家族の健康を考える会」の北海道・東北支部を設立、代表幹事に就任している。米国で社会問題化している、兵士が戦地や軍事演習で受ける心理的ストレス、いわゆる「コンバット・ストレス」の改善を目的とした活動に取り組んでいた。 また2019年には「医療九条の会」で「精神医学と人権」というテーマの講演を行うなど、社会活動にも熱心な様子だった。 人命の尊さ、人権の大切さを人一倍、世の中に訴えてきたはずの医師が、人をあやめようとする娘を止めることはできなかったのか。「不幸が重なり…」 警察が家宅捜索に入った田村一家の邸宅は、19年前に修容疑者が購入。3階建てで白亜の外装が目を引く瀟洒(しょうしゃ)な造りだが、土地登記簿を見ると2200万円の住宅ローンをわずか8年で完済。ガレージには、スバルの最高級SUVであるアウトバックが停まり、堅実な生活を送っていたように見受けられるが、その内実は決して順風満帆なものではなかったようだ。 一家を知る近隣住民は、「逮捕された娘の瑠奈さんは、地元の公立小学校に通っていた頃から不登校で、お母さんと一緒に歩いている姿をたまに見ても、表情は暗くて笑っているところを見たことがなかった。いつもメガネ姿で地味な色の服を着て、黒い髪を背中まで伸ばしていたのを覚えています。ここ10年くらい見かけることはなかった」 小学校の卒業文集では、修学旅行について他の児童と同じく〈たくさんの楽しい思い出が出来ました〉とつづりながらも、最後に〈でも、女子で木刀を買ったのが私だけだったのは、ちょっと意外でした〉と、こだわりを見せた。 先の住民が続ける。「お母さんは旭川の美術館で学芸員をしていたと聞いていますが、結婚後はパートで働き、家で庭や屋上の植物に水をやっている姿を見ました。5年前に転倒して骨折、旭川にいる親御さんが亡くなるなど不幸が重なり、町内会の役員はできないと断っていて、近所づきあいもあまりしていませんでした」“ゴミ屋敷”と化した 特にこの1年、田村一家には目に見えるほど不穏な空気が漂い始めたそうだ。 別の住民が言うには、「お医者さんであるお父さんが早朝5時くらいに帰ってきたと思ったら、ものの10分くらいですぐ出て行ったり、あまり家に寄り付かなくなった。帰ってきてガレージに車を停めても降りてこず、車内でカップラーメンを食べていることもありましたね。帰宅したと思ったら、外にキャンプなどで使うような折りたたみ椅子を広げて、そこで5、6時間も座ったままコーヒーを飲み、再び車で出かけてしまうこともあったんです」 家の中に入るのをためらっていたように見えたそうだが、そもそも物理的な理由もあったようである。「お父さんや娘さんが逮捕された当日の朝、警察官が20人近くやってきたのですが、玄関の扉を開けた途端、中に段ボール箱などが山積みになっているのが見えました。そのままでは前に進めない状態で、警官たちが“荷物をどかさないと入れないぞ”と言って、段ボール箱を手作業でどけていました」(先の住民) 一見、しゃれた造りの邸宅もふたを開ければ“ゴミ屋敷”と化していたというのだ。「部屋の乱れは心の乱れ」といった言葉もあるが、精神科の医師が住まう家には似つかわしくない状態にまで、荒廃していた様子がうかがえる。“自分の中に別の人格が” 実は瑠奈容疑者は、警察の取り調べで、こんなことを口にしているという。 先のデスクによれば、「彼女は“自分の中に別の人格が……”といった類の供述をし始めているそうで、精神障害の疑いがあるとなって、慎重に捜査を進めています。精神鑑定などが必要かどうかは今後判断されますが、責任能力がないとなれば、罪に問われない可能性も出てきます」 今後の公判では、精神科医でもある父親が、“引きこもり状態にあった娘は、明らかに精神疾患を患っていた”という証言を行い、両親が娘を守る展開も否定できないというのだ。「性欲が強い」「今年の3月頃、いきなりピチピチパンツの女装姿でキメた彼(被害者男性)に声をかけられたの。てっきり女性に興味がない人なのかと思っていたので、驚きましたよ」 そう明かすのは、札幌市内に住む女性(54)。「初めて出会った場所は、ススキノでもバブル時代の雰囲気が色濃い老舗のディスコでした。そこで“2軒目はDJのいるクラブに行こう”と誘われ、3軒目にはしごした後でラブホテルに行った。事件現場となったラブホの前も一緒に歩いたんですが、週末で周辺のホテルが全部満室。それでLINEを交換して再会を誓い別れたんです」 1週間後、再びディスコで落ち合ったそうだ。「彼はちゃんと化粧をしてスカートをはいた姿で現れ、音楽に合わせて陽気に踊っていたんですけどね。はたから見ても股間が膨らんでいるのが分かるくらい興奮している様子で……。とても性欲が強いんだと思った。実際、この日は無事にラブホテルに入れたんですが、部屋に入った途端、いきなり抱かれてガンガン突かれて……。こちらのことは配慮してくれないというか、あまりに一方的だったので、もっと一緒にいようと言われたんですが失礼して、連絡を取らなくなりました」 その後、彼からは何度も誘いを受けたが、その勢いに嫌悪感を抱き、無視を決め込んだという。家庭内別居 ススキノの飲食店関係者によると、「被害者の彼は、ゆきずりの男女関係を求めていたようで、夜の店やクラブで会った女性に連絡先を聞いてまわってラブホテルに行く。そうして関係をもった女性が何人もいるとうわさになっていました。実際、彼は奥さんと家庭内別居の状態だと嘆いていてね。休みの度に土曜の夜は飲み明かして女性と一夜を過ごし、日曜夜に自宅へ帰る。そんな生活を繰り返していたので心配になりました」 田村一家の自宅近くに住む住民は、逮捕後に思い出した印象的な光景があるとして、こう述べるのだ。「昨年11月ごろのことでした。田村さんご夫妻が玄関先に並んで、夜空に浮かぶ月食を眺めていて、珍しいなと思ったんです。とても夫婦仲が悪そうには見えませんでしたけど……」「週刊新潮」2023年8月3日号 掲載
あまりに猟奇的な事件が発生してから23日後、事態は急展開を迎えた。一時は迷宮入りもささやかれた中で、逮捕された容疑者はひとつ屋根の下に住む父母と娘の一家3人。しかも父親は、人の心を救うのが仕事の現役精神科医だった。
7月24日、北海道警は札幌市厚別区に住む職業不詳・田村瑠奈容疑者(29)と、父親で勤務医の修容疑者(59)を、死体損壊や死体領得、死体遺棄の疑いで逮捕したと発表。翌日には同じ容疑で、母親の浩子容疑者(60)も逮捕するに至ったのである。
容疑は7月1日深夜から翌日未明にかけて、札幌一の歓楽街として知られるススキノに立つラブホテルの一室で、恵庭市在住の会社員・Aさん(享年62)の頭部を切断して、持ち去ったというもの。道警が父と娘の逮捕直後、容疑者宅へ家宅捜索に入ったところ被害者の頭部が発見されたことで、今後は殺人容疑も視野に捜査が続く。
「道警は瑠奈容疑者を殺害の実行犯、父母が遺体の損壊や遺棄の共犯者とみて取り調べを行っています」
と解説するのは、さる全国紙の社会部デスクだ。
「現場周辺にある防犯カメラには、殺害前の被害者と瑠奈容疑者が、二人でラブホテルへと向かう様子が録画されていました。チェックインは23時前で、日付をまたいだ2時ごろ、彼女だけが“先に出ます”とフロントに伝えて現場を後にしましたが、遺体が発見される15時までの間に第三者が部屋へ入った形跡は一切なかった。また修容疑者は自ら車のハンドルを握り、娘のために自宅と現場を往復する送迎役を担ったことに加え、凶器や頭部を運んだと思われるスーツケースを事件前に娘と市内の小売店で購入していたことから、家族で計画的に犯行に及んだ可能性もあります」
娘の凶行を止めるどころか手助けをしていた父親が、ベテランの精神科医であったことから、この事件の闇は一層深いものになった。
道東・オホーツク海側にある遠軽町に生まれた修容疑者は、旭川医科大学を卒業後、精神科医となり札幌市内にある勤医協中央病院に勤務。精神科・リエゾン科科長にまで昇り詰めたという。
逮捕される直前まで、彼は普段通り出勤していたそうだが、同じ病院に籍を置く現役看護師は、こう話す。
「患者さんにも優しく声をかけ、科長でありながら、看護師も分け隔てなく接するなど、院内での評判は上々でした。田村先生を悪く言う人は聞いたことがありませんが、事件の一報を聞いて“あの先生が?”という驚きが不思議となく、周囲も同様の反応でした。なんと言えばいいのか、あまりに温厚で優しい方だったので、やっぱり“裏の顔”があったのかと、変に納得してしまったんです」
院外活動にも熱心な修容疑者は、5年前には「海外派遣自衛官と家族の健康を考える会」の北海道・東北支部を設立、代表幹事に就任している。米国で社会問題化している、兵士が戦地や軍事演習で受ける心理的ストレス、いわゆる「コンバット・ストレス」の改善を目的とした活動に取り組んでいた。
また2019年には「医療九条の会」で「精神医学と人権」というテーマの講演を行うなど、社会活動にも熱心な様子だった。
人命の尊さ、人権の大切さを人一倍、世の中に訴えてきたはずの医師が、人をあやめようとする娘を止めることはできなかったのか。
警察が家宅捜索に入った田村一家の邸宅は、19年前に修容疑者が購入。3階建てで白亜の外装が目を引く瀟洒(しょうしゃ)な造りだが、土地登記簿を見ると2200万円の住宅ローンをわずか8年で完済。ガレージには、スバルの最高級SUVであるアウトバックが停まり、堅実な生活を送っていたように見受けられるが、その内実は決して順風満帆なものではなかったようだ。
一家を知る近隣住民は、
「逮捕された娘の瑠奈さんは、地元の公立小学校に通っていた頃から不登校で、お母さんと一緒に歩いている姿をたまに見ても、表情は暗くて笑っているところを見たことがなかった。いつもメガネ姿で地味な色の服を着て、黒い髪を背中まで伸ばしていたのを覚えています。ここ10年くらい見かけることはなかった」
小学校の卒業文集では、修学旅行について他の児童と同じく〈たくさんの楽しい思い出が出来ました〉とつづりながらも、最後に〈でも、女子で木刀を買ったのが私だけだったのは、ちょっと意外でした〉と、こだわりを見せた。
先の住民が続ける。
「お母さんは旭川の美術館で学芸員をしていたと聞いていますが、結婚後はパートで働き、家で庭や屋上の植物に水をやっている姿を見ました。5年前に転倒して骨折、旭川にいる親御さんが亡くなるなど不幸が重なり、町内会の役員はできないと断っていて、近所づきあいもあまりしていませんでした」
特にこの1年、田村一家には目に見えるほど不穏な空気が漂い始めたそうだ。
別の住民が言うには、
「お医者さんであるお父さんが早朝5時くらいに帰ってきたと思ったら、ものの10分くらいですぐ出て行ったり、あまり家に寄り付かなくなった。帰ってきてガレージに車を停めても降りてこず、車内でカップラーメンを食べていることもありましたね。帰宅したと思ったら、外にキャンプなどで使うような折りたたみ椅子を広げて、そこで5、6時間も座ったままコーヒーを飲み、再び車で出かけてしまうこともあったんです」
家の中に入るのをためらっていたように見えたそうだが、そもそも物理的な理由もあったようである。
「お父さんや娘さんが逮捕された当日の朝、警察官が20人近くやってきたのですが、玄関の扉を開けた途端、中に段ボール箱などが山積みになっているのが見えました。そのままでは前に進めない状態で、警官たちが“荷物をどかさないと入れないぞ”と言って、段ボール箱を手作業でどけていました」(先の住民)
一見、しゃれた造りの邸宅もふたを開ければ“ゴミ屋敷”と化していたというのだ。「部屋の乱れは心の乱れ」といった言葉もあるが、精神科の医師が住まう家には似つかわしくない状態にまで、荒廃していた様子がうかがえる。
実は瑠奈容疑者は、警察の取り調べで、こんなことを口にしているという。
先のデスクによれば、
「彼女は“自分の中に別の人格が……”といった類の供述をし始めているそうで、精神障害の疑いがあるとなって、慎重に捜査を進めています。精神鑑定などが必要かどうかは今後判断されますが、責任能力がないとなれば、罪に問われない可能性も出てきます」
今後の公判では、精神科医でもある父親が、“引きこもり状態にあった娘は、明らかに精神疾患を患っていた”という証言を行い、両親が娘を守る展開も否定できないというのだ。
「今年の3月頃、いきなりピチピチパンツの女装姿でキメた彼(被害者男性)に声をかけられたの。てっきり女性に興味がない人なのかと思っていたので、驚きましたよ」
そう明かすのは、札幌市内に住む女性(54)。
「初めて出会った場所は、ススキノでもバブル時代の雰囲気が色濃い老舗のディスコでした。そこで“2軒目はDJのいるクラブに行こう”と誘われ、3軒目にはしごした後でラブホテルに行った。事件現場となったラブホの前も一緒に歩いたんですが、週末で周辺のホテルが全部満室。それでLINEを交換して再会を誓い別れたんです」
1週間後、再びディスコで落ち合ったそうだ。
「彼はちゃんと化粧をしてスカートをはいた姿で現れ、音楽に合わせて陽気に踊っていたんですけどね。はたから見ても股間が膨らんでいるのが分かるくらい興奮している様子で……。とても性欲が強いんだと思った。実際、この日は無事にラブホテルに入れたんですが、部屋に入った途端、いきなり抱かれてガンガン突かれて……。こちらのことは配慮してくれないというか、あまりに一方的だったので、もっと一緒にいようと言われたんですが失礼して、連絡を取らなくなりました」
その後、彼からは何度も誘いを受けたが、その勢いに嫌悪感を抱き、無視を決め込んだという。
ススキノの飲食店関係者によると、
「被害者の彼は、ゆきずりの男女関係を求めていたようで、夜の店やクラブで会った女性に連絡先を聞いてまわってラブホテルに行く。そうして関係をもった女性が何人もいるとうわさになっていました。実際、彼は奥さんと家庭内別居の状態だと嘆いていてね。休みの度に土曜の夜は飲み明かして女性と一夜を過ごし、日曜夜に自宅へ帰る。そんな生活を繰り返していたので心配になりました」
田村一家の自宅近くに住む住民は、逮捕後に思い出した印象的な光景があるとして、こう述べるのだ。
「昨年11月ごろのことでした。田村さんご夫妻が玄関先に並んで、夜空に浮かぶ月食を眺めていて、珍しいなと思ったんです。とても夫婦仲が悪そうには見えませんでしたけど……」
「週刊新潮」2023年8月3日号 掲載

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