霞ヶ関に異変…経済産業相が事務次官に「まさかの人事」飯田祐二を大抜擢した「ウラの狙い」

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経済産業省の多田明弘事務次官(’86年入省)が退任し、後任に飯田祐二経済産業政策局長(’88年入省)が就いた。
飯田氏は経産省が最重要政策と位置付ける脱炭素化の旗振り役を担ってきたため、次官昇格は衆目の一致するところ。同時に、1年先輩でライバルの保坂伸資源エネルギー庁長官(’87年入省)は次官級の経済産業審議官に就いた。
事務方トップである次官の年次が、ナンバー2の経産審より若いのは霞が関の慣例を破る人事だ。当初は保坂氏が先に次官に昇進し、後釜が飯田氏になるとの観測が浮上していた。
西村康稔経産相は人事の狙いを「政策の継続性と新陳代謝の両立を図った。年次や職種にとらわれない適材適所の人事だ」と説明した。
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官房長など要職を歴任した飯田氏は「政治家の懐に入り込むのが得意で、聞き上手」(与党関係者)と評される。
先の通常国会では、脱炭素社会の実現を目指すGX推進法の総括責任者として法案成立に尽力し、西村経産相の信頼を勝ち取った。
対する保坂氏は、エネ庁長官としてロシアとのパイプを活かし、サハリン2の権益維持交渉を担って液化天然ガスの供給ストップを回避した。
その一方で、保坂氏が石油・天然ガス課長時代からサハリン2事業を推進してきたためにロシアへの依存が高まったことから「エネルギー供給を危うくした」(経済官庁幹部)との批判もつきまとう。
次官の芽を残す保坂氏の今後は、中東などで権益を新たに獲得し、エネルギー安定調達の道を開けるかにかかっている。
「週刊現代」2023年7月29日・8月5日合併号より

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