「客のサインを勝手に代筆」「タダで仕事しろ」新証言続々 TBS経済部長が解説・保険会社とビッグモーターに“共犯関係”なかったか金融庁が調査へ【news23】

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保険金の不正請求の他にも次々と問題が明らかになっているビッグモーターについてです。元下請け業者が取材に応じ「ビッグモーターの本部の指示で、仕事を無償でやるよう要求された」と証言しました。さらに保険契約をめぐる“文書偽造”の疑惑も…【写真を見る】「客のサインを勝手に代筆」「タダで仕事しろ」新証言続々 TBS経済部長が解説・保険会社とビッグモーターに“共犯関係”なかったか金融庁が調査へ【news23】ビッグモーター6人が退職 新社長「想定より少なかった」7月26日午後、国交省で行われたビッグモーターへの聞き取り。その焦点は…国交省担当者「道路運送車両法に関する課題がないかという観点からヒアリングを行います」

道路運送車両法は、実際には行っていない整備の料金を不正に請求するなどの行為を禁止しています。違反が確認された場合、国交省は▼車検場の指定取り消し、▼事業の停止などの行政処分を検討することになります。ヒアリング後、和泉新社長は…ビッグモーター和泉伸二新社長「その内容につきましては今日のところのコメントは控えさせていただきます」――(国交省の)理解は得られたというふうな感触は?「はい、私どもはそう理解してます」ビッグモーター兼重宏行前社長「私は組織ぐるみではないと思ってますから。この原因はもう工場長が指示して、やったんじゃないかなと」保険金の水増し請求について、組織的な関与はないと断言した兼重前社長。会見では、責任逃れともとれる発言も注目されました。兼重前社長「耳を疑った。もうこんなことまでやるのかと。社員もやっていいことと悪いことがありますよね。ゴルフボールで傷をつける。ゴルフを愛する人に対する、冒涜ですよ」25日の会見を受け、26日、ビッグモーターは6人の退職者が確認されたことを明らかにしました。そのことを問われた和泉新社長は…和泉新社長「社員のご家族とかにも非常に心配をかけておりますので、もう少し想定としてはあるかなと思ってましたが、そういったことからしても少し勝手な判断ですけども、今後会社が生まれ変わるという期待を持っていただいてるのではないかなと」街路樹に“除草剤”使用疑惑に前副社長“恫喝LINE”もただ、問題は他にも。店舗前の公道に生えている街路樹に除草剤をまき、木が枯れたという疑惑で、自治体などが調査に乗り出す事態となっています。26日の会見では、10年前の話としていましたが…東京・世田谷区(26日)「こちら歩道の植え込みに生える草ですが、ビッグモーターの店舗の前に行くと、この草が枯れてしまっています」埼玉・春日部市(26日)「綺麗にビッグモーター側だけ草が枯れているのがわかります」また、名古屋市内でも複数の店舗の前で、街路樹が枯れる現象が確認されていることから、名古屋市は今後、緊急の土壌調査を行う方向で調整していることが明らかになりました。現役社員は、こうしたいびつな企業風土を作ったのは、兼重前社長の息子である宏一前副社長だったと指摘します。ビッグモーター現役社員「実態(実権)を握っていたのが副社長をトップとするもう一つの派閥のような形だったので、少なくとも社長の息子である副社長は絶対に(不正を)把握していた」部下に対して厳しいノルマを課したり、人事権を握っていたりしたのが宏一前副社長だというのです。これは各店舗の店長クラスが入るグループLINE。そこには宏一氏の「今すぐ入るか、消せ」という文言が。このLINEに入っていた現役社員によると、新しくグループに招待された人がすぐに参加しなかったため、宏一氏が怒ったといいます。その後すぐに何人もの招待をキャンセルし、「該当店長、役職者は解任してください」ビッグモーター現役社員「それこそ本部長とか次長とか部長とか、結構高クラスにいる人でも、いきなり副社長の期限次第で落としたり、結局回らなくなって戻したり、みたいなことが結構多かったなと」元下請けに「無償で仕事やれ」 ビッグモーター要求かビッグモーターの下請けで車のクリーニングなどを行っていた男性も、傲慢な経営体質があったと証言します。ビッグモーター元下請け業者の男性「2時間半、3時間かかるペット毛の除去を『ただでやれ』という指示が、上層部から店長の方に流れました。会社の指示だから、もう無償に協力してもらうしか方法ないと」男性が清掃を依頼された車の内部には、ペットの毛がぎっしりとついています。ビッグモーター元下請け業者の男性「ペットの毛はブラシで掃除機を使い、かき集めながら吸い取る。シートとかに絡まってしまうと、1本1本ピンセットで毛を取っていく」通常なら2~3万円かかる作業をいきなり無償でやるよう要求されたという男性。さらに、事前の連絡もなく、作業費の支払いを先延ばしにされることもあったといいます。そのときのやり取りを記録した音声です。元下請けの男性「店長、すいません4月分の請求の金額が6万9120円が入金されてないんですけど」ビッグモーター店長「来月じゃダメですか?」元下請けの男性「いや、それは無理です。請求書もちゃんとお送りしてるので」ビッグモーター店長「来月じゃダメなんですか?」元下請けの男性「ダメです、それは」ビッグモーター元下請け業者の男性「金融機関、コロナの補助金(の融資)を受けて、その中でも支払いがあったり。当然入ってくるものだと思って計算しているわけですよね。年金・社会保険の支払いが数か月も遅れてしまったり」不正の発覚以降、買取りや販売台数が半減しているというビッグモーター。男性はこうした状況のしわ寄せが今後、下請け業者に来るのではないかと懸念しています。「全然(買取りの)車が入ってこないわけですから、仕上げる仕事自体も減りますしね。これは放っておいたら(下請けの)倒産も増える。(下請けの)相談窓口や対策本部をやらないと、大勢の方が困ってしまう」保険契約で“文書偽造”か ビッグモーターの“不正”次々とビッグモーターを巡っては、NEWS23の取材で保険契約の際のずさんな対応も明らかになっています。元店長が明かしたのは、ビッグモーターの社員による保険の契約書類の代筆です。ビッグモーター元店長「お客さんの自署が必要な物に対して、営業が代筆している」契約書類に客のサインを勝手に書いて損保会社に提出するケースがあったというのです。損保会社と客が連絡を取ったことで代筆が発覚したといいます。ビッグモーター元店長「お客さんに確認したところ『何も書いてないよ』と。基本的に保険商品なので代筆となると一発アウトなので」客になりすましてサインをするのは私文書偽造にあたる可能性も。ビッグモーターは会見で…――保険契約の代筆問題があったという証言がある。事実としてあるのでしょうか?兼重前社長「過去にそういうことが…指摘を受けた…」石橋光国新副社長「はい、そういう事実を受けて報告させていただいてるものもある」――代筆問題はあったということで大丈夫ですか石橋新副社長「私の専門の部署ではございませんので、あったという話は聞いております」さらに、内部告発を巡っても、新たな事実がわかりました。ビッグモーターは2022年、「保険金が不正請求されている」との内部告発を受け、調査を実施。告発した従業員は調査でこう証言していました。「工場長から不正の指示があった」しかし、ビッグモーターは損保各社に対し「指示はなかった」と書き換えていた報告書を提出していたのです。和泉新社長はこれから調査し、隠蔽があれば厳正に対処するとしています。損保会社との“親密な関係” ビッグモーター不正請求小川彩佳キャスター:この問題、国交省だけではなく、金融庁も動き出す事態となっています。山本恵里伽キャスター:では改めて、ビッグモーターと損害保険会社との関係性について見ていきたいと思います。損害保険会社は、契約者であるお客様に対して、ビッグモーターで修理できますよ、というふうに優良企業として紹介をします。一方のビッグモーターはと言いますと、車を販売する際にお客さんに保険を紹介するわけですが、よりビッグモーターを紹介してくれた損害保険会社を優先的にお客さんに勧めていたということです。実際、ビッグモーターの経営計画書を見てみても、こうした文言が書かれているんです。「自動車保険を経営の柱に」ということで、力を入れていたということがうかがえるんですね。小川キャスター:ビッグモーターには損保会社の保険金で修理費用が入る。そして、損保会社としては紹介してもらうことでより多くの契約が結べて収入増に繋がる、といういわばウィンウィンの関係が成り立っていたということですか。TBS経済部 木戸誠人部長:そうなんですね。ビッグモーターと損保会社は持ちつ持たれつの関係だったと言えます。とりわけ損保ジャパンは、以前ビッグモーターの大株主だったこともあり、保険会社としてビッグモーターと深い付き合いを続けてきました。そうした中、2022年にビッグモーターの従業員から「不正が行われていた」という内部告発があり、社内調査を行った際の結果報告ですが、損保ジャパンは、「工場長からの指示があった」という従業員の証言が、「指示はなかった」と書き換えられている可能性を把握していたといいます。しかし、損保ジャパンはビッグモーターが再発防止策を提示したことを受けて、一旦は取りやめていた事故車の修理の紹介を再開していました。小川キャスター:不正請求を知っていながらお客さんの紹介を再開していたのであれば、損保ジャパンの責任も問われかねないわけですね。木戸経済部長:改ざんが行われていることを把握していたとしたら「なぜ取引を再開したか」。これは大きな疑問点です。この点につきまして、損保ジャパンの白川社長は、25日このように話しています。損保ジャパン白川儀一社長「(ビッグモーターの)工場長から(不正の)指示があったと把握している、という話は、私ども経営の方にもありました。決して(ビッグモーターの)経営陣から指示をしてやったことではない、という話がありました。二度と起こさないということを徹底してやってくれるのであれば、総合的な判断で一旦、(事故車の紹介を)再開をしましょう、という判断。再開の判断をしたというのは、あまりに軽率だったな、と。いま振り返ると、調査をするべきだったと反省しています」山本キャスター:損保ジャパンの白川社長は「あまりに軽率だった」と話し、紹介を再開していたことを認めました。その損保ジャパンについて改めて見ていきますと、過去にビッグモーターへ37人の出向していたということがわかっています。ただその中には、不正請求があった時期に板金塗装部門の担当部長を務めた人物もいたということです。さらに、ビッグモーター兼重宏一前副社長がグループ会社にかつて勤務していたということもわかっています。“不正の共犯関係”ないのか?金融庁が調査小川キャスター:こうした関係性が明らかになる中で金融庁も動き出しています。鈴木金融担当大臣はこの問題について、「我が目を疑う」と強い発言をしています。既に事実関係の調査を始めたと25日に明らかにしていますが、金融庁の調査のポイントはどこになりますか。木戸経済部長:大きなポイントは、「持ちつ持たれつ」だった関係が不正においては、「共犯」の関係になっていたかどうかだと思います。私どもの取材で、損保ジャパンの関係者から、「ビッグモーターにトラブルが多いことは把握していたけれども、ビッグモーターから持ち込まれる件数が多すぎて、引き返せなかった」という証言もあります。また実際に保険の支払いを査定する段階で、ビッグモーターから持ち込まれた申請の査定を不当に甘くしていなかったかどうかもポイントです。自動車保険の査定では、「簡易査定」といい、保険会社の査定担当者が実際に車を見に行くことなく、修理工場から上がってきた見積もりと写真だけで簡単に査定をして、素早く支払いに進むという仕組みがあります。これは一般的に行われてることですが、今回とりわけビッグモーターの申請に関しては、この簡易査定よりも、より甘い査定が行われていたのかどうか。ビッグモーターだけ特別扱いしていたのかどうかが争点となります。小川キャスター:その後の流れとしてはどういった動きになっていますか。木戸経済部長:既に金融庁が調査を始めていますが、仮に悪質だと判断されるような事態になれば、さらに厳しい検査に乗り出す可能性もあります。山本キャスター:そして損保ジャパンについて26日、この不正請求問題を検証するために社外調査委員会を設置したと発表がありました。小川キャスター:この問題は一見すると被害者がわかりづらいですが、こうした不正が起きると巡り巡って、保険料アップに繋がりかねない。つまり車ユーザー全体に影響が出かねないわけですか。木戸経済部長:車を修理する人も査定をする人も、そして車の修理に出す人も正直に報告する、というのが大前提です。保険の制度そのものを揺るがしかねない大きな問題なので、真相の究明と再発防止は欠かせないですね。
保険金の不正請求の他にも次々と問題が明らかになっているビッグモーターについてです。元下請け業者が取材に応じ「ビッグモーターの本部の指示で、仕事を無償でやるよう要求された」と証言しました。さらに保険契約をめぐる“文書偽造”の疑惑も…
【写真を見る】「客のサインを勝手に代筆」「タダで仕事しろ」新証言続々 TBS経済部長が解説・保険会社とビッグモーターに“共犯関係”なかったか金融庁が調査へ【news23】ビッグモーター6人が退職 新社長「想定より少なかった」7月26日午後、国交省で行われたビッグモーターへの聞き取り。その焦点は…国交省担当者「道路運送車両法に関する課題がないかという観点からヒアリングを行います」

道路運送車両法は、実際には行っていない整備の料金を不正に請求するなどの行為を禁止しています。違反が確認された場合、国交省は▼車検場の指定取り消し、▼事業の停止などの行政処分を検討することになります。ヒアリング後、和泉新社長は…ビッグモーター和泉伸二新社長「その内容につきましては今日のところのコメントは控えさせていただきます」――(国交省の)理解は得られたというふうな感触は?「はい、私どもはそう理解してます」ビッグモーター兼重宏行前社長「私は組織ぐるみではないと思ってますから。この原因はもう工場長が指示して、やったんじゃないかなと」保険金の水増し請求について、組織的な関与はないと断言した兼重前社長。会見では、責任逃れともとれる発言も注目されました。兼重前社長「耳を疑った。もうこんなことまでやるのかと。社員もやっていいことと悪いことがありますよね。ゴルフボールで傷をつける。ゴルフを愛する人に対する、冒涜ですよ」25日の会見を受け、26日、ビッグモーターは6人の退職者が確認されたことを明らかにしました。そのことを問われた和泉新社長は…和泉新社長「社員のご家族とかにも非常に心配をかけておりますので、もう少し想定としてはあるかなと思ってましたが、そういったことからしても少し勝手な判断ですけども、今後会社が生まれ変わるという期待を持っていただいてるのではないかなと」街路樹に“除草剤”使用疑惑に前副社長“恫喝LINE”もただ、問題は他にも。店舗前の公道に生えている街路樹に除草剤をまき、木が枯れたという疑惑で、自治体などが調査に乗り出す事態となっています。26日の会見では、10年前の話としていましたが…東京・世田谷区(26日)「こちら歩道の植え込みに生える草ですが、ビッグモーターの店舗の前に行くと、この草が枯れてしまっています」埼玉・春日部市(26日)「綺麗にビッグモーター側だけ草が枯れているのがわかります」また、名古屋市内でも複数の店舗の前で、街路樹が枯れる現象が確認されていることから、名古屋市は今後、緊急の土壌調査を行う方向で調整していることが明らかになりました。現役社員は、こうしたいびつな企業風土を作ったのは、兼重前社長の息子である宏一前副社長だったと指摘します。ビッグモーター現役社員「実態(実権)を握っていたのが副社長をトップとするもう一つの派閥のような形だったので、少なくとも社長の息子である副社長は絶対に(不正を)把握していた」部下に対して厳しいノルマを課したり、人事権を握っていたりしたのが宏一前副社長だというのです。これは各店舗の店長クラスが入るグループLINE。そこには宏一氏の「今すぐ入るか、消せ」という文言が。このLINEに入っていた現役社員によると、新しくグループに招待された人がすぐに参加しなかったため、宏一氏が怒ったといいます。その後すぐに何人もの招待をキャンセルし、「該当店長、役職者は解任してください」ビッグモーター現役社員「それこそ本部長とか次長とか部長とか、結構高クラスにいる人でも、いきなり副社長の期限次第で落としたり、結局回らなくなって戻したり、みたいなことが結構多かったなと」元下請けに「無償で仕事やれ」 ビッグモーター要求かビッグモーターの下請けで車のクリーニングなどを行っていた男性も、傲慢な経営体質があったと証言します。ビッグモーター元下請け業者の男性「2時間半、3時間かかるペット毛の除去を『ただでやれ』という指示が、上層部から店長の方に流れました。会社の指示だから、もう無償に協力してもらうしか方法ないと」男性が清掃を依頼された車の内部には、ペットの毛がぎっしりとついています。ビッグモーター元下請け業者の男性「ペットの毛はブラシで掃除機を使い、かき集めながら吸い取る。シートとかに絡まってしまうと、1本1本ピンセットで毛を取っていく」通常なら2~3万円かかる作業をいきなり無償でやるよう要求されたという男性。さらに、事前の連絡もなく、作業費の支払いを先延ばしにされることもあったといいます。そのときのやり取りを記録した音声です。元下請けの男性「店長、すいません4月分の請求の金額が6万9120円が入金されてないんですけど」ビッグモーター店長「来月じゃダメですか?」元下請けの男性「いや、それは無理です。請求書もちゃんとお送りしてるので」ビッグモーター店長「来月じゃダメなんですか?」元下請けの男性「ダメです、それは」ビッグモーター元下請け業者の男性「金融機関、コロナの補助金(の融資)を受けて、その中でも支払いがあったり。当然入ってくるものだと思って計算しているわけですよね。年金・社会保険の支払いが数か月も遅れてしまったり」不正の発覚以降、買取りや販売台数が半減しているというビッグモーター。男性はこうした状況のしわ寄せが今後、下請け業者に来るのではないかと懸念しています。「全然(買取りの)車が入ってこないわけですから、仕上げる仕事自体も減りますしね。これは放っておいたら(下請けの)倒産も増える。(下請けの)相談窓口や対策本部をやらないと、大勢の方が困ってしまう」保険契約で“文書偽造”か ビッグモーターの“不正”次々とビッグモーターを巡っては、NEWS23の取材で保険契約の際のずさんな対応も明らかになっています。元店長が明かしたのは、ビッグモーターの社員による保険の契約書類の代筆です。ビッグモーター元店長「お客さんの自署が必要な物に対して、営業が代筆している」契約書類に客のサインを勝手に書いて損保会社に提出するケースがあったというのです。損保会社と客が連絡を取ったことで代筆が発覚したといいます。ビッグモーター元店長「お客さんに確認したところ『何も書いてないよ』と。基本的に保険商品なので代筆となると一発アウトなので」客になりすましてサインをするのは私文書偽造にあたる可能性も。ビッグモーターは会見で…――保険契約の代筆問題があったという証言がある。事実としてあるのでしょうか?兼重前社長「過去にそういうことが…指摘を受けた…」石橋光国新副社長「はい、そういう事実を受けて報告させていただいてるものもある」――代筆問題はあったということで大丈夫ですか石橋新副社長「私の専門の部署ではございませんので、あったという話は聞いております」さらに、内部告発を巡っても、新たな事実がわかりました。ビッグモーターは2022年、「保険金が不正請求されている」との内部告発を受け、調査を実施。告発した従業員は調査でこう証言していました。「工場長から不正の指示があった」しかし、ビッグモーターは損保各社に対し「指示はなかった」と書き換えていた報告書を提出していたのです。和泉新社長はこれから調査し、隠蔽があれば厳正に対処するとしています。損保会社との“親密な関係” ビッグモーター不正請求小川彩佳キャスター:この問題、国交省だけではなく、金融庁も動き出す事態となっています。山本恵里伽キャスター:では改めて、ビッグモーターと損害保険会社との関係性について見ていきたいと思います。損害保険会社は、契約者であるお客様に対して、ビッグモーターで修理できますよ、というふうに優良企業として紹介をします。一方のビッグモーターはと言いますと、車を販売する際にお客さんに保険を紹介するわけですが、よりビッグモーターを紹介してくれた損害保険会社を優先的にお客さんに勧めていたということです。実際、ビッグモーターの経営計画書を見てみても、こうした文言が書かれているんです。「自動車保険を経営の柱に」ということで、力を入れていたということがうかがえるんですね。小川キャスター:ビッグモーターには損保会社の保険金で修理費用が入る。そして、損保会社としては紹介してもらうことでより多くの契約が結べて収入増に繋がる、といういわばウィンウィンの関係が成り立っていたということですか。TBS経済部 木戸誠人部長:そうなんですね。ビッグモーターと損保会社は持ちつ持たれつの関係だったと言えます。とりわけ損保ジャパンは、以前ビッグモーターの大株主だったこともあり、保険会社としてビッグモーターと深い付き合いを続けてきました。そうした中、2022年にビッグモーターの従業員から「不正が行われていた」という内部告発があり、社内調査を行った際の結果報告ですが、損保ジャパンは、「工場長からの指示があった」という従業員の証言が、「指示はなかった」と書き換えられている可能性を把握していたといいます。しかし、損保ジャパンはビッグモーターが再発防止策を提示したことを受けて、一旦は取りやめていた事故車の修理の紹介を再開していました。小川キャスター:不正請求を知っていながらお客さんの紹介を再開していたのであれば、損保ジャパンの責任も問われかねないわけですね。木戸経済部長:改ざんが行われていることを把握していたとしたら「なぜ取引を再開したか」。これは大きな疑問点です。この点につきまして、損保ジャパンの白川社長は、25日このように話しています。損保ジャパン白川儀一社長「(ビッグモーターの)工場長から(不正の)指示があったと把握している、という話は、私ども経営の方にもありました。決して(ビッグモーターの)経営陣から指示をしてやったことではない、という話がありました。二度と起こさないということを徹底してやってくれるのであれば、総合的な判断で一旦、(事故車の紹介を)再開をしましょう、という判断。再開の判断をしたというのは、あまりに軽率だったな、と。いま振り返ると、調査をするべきだったと反省しています」山本キャスター:損保ジャパンの白川社長は「あまりに軽率だった」と話し、紹介を再開していたことを認めました。その損保ジャパンについて改めて見ていきますと、過去にビッグモーターへ37人の出向していたということがわかっています。ただその中には、不正請求があった時期に板金塗装部門の担当部長を務めた人物もいたということです。さらに、ビッグモーター兼重宏一前副社長がグループ会社にかつて勤務していたということもわかっています。“不正の共犯関係”ないのか?金融庁が調査小川キャスター:こうした関係性が明らかになる中で金融庁も動き出しています。鈴木金融担当大臣はこの問題について、「我が目を疑う」と強い発言をしています。既に事実関係の調査を始めたと25日に明らかにしていますが、金融庁の調査のポイントはどこになりますか。木戸経済部長:大きなポイントは、「持ちつ持たれつ」だった関係が不正においては、「共犯」の関係になっていたかどうかだと思います。私どもの取材で、損保ジャパンの関係者から、「ビッグモーターにトラブルが多いことは把握していたけれども、ビッグモーターから持ち込まれる件数が多すぎて、引き返せなかった」という証言もあります。また実際に保険の支払いを査定する段階で、ビッグモーターから持ち込まれた申請の査定を不当に甘くしていなかったかどうかもポイントです。自動車保険の査定では、「簡易査定」といい、保険会社の査定担当者が実際に車を見に行くことなく、修理工場から上がってきた見積もりと写真だけで簡単に査定をして、素早く支払いに進むという仕組みがあります。これは一般的に行われてることですが、今回とりわけビッグモーターの申請に関しては、この簡易査定よりも、より甘い査定が行われていたのかどうか。ビッグモーターだけ特別扱いしていたのかどうかが争点となります。小川キャスター:その後の流れとしてはどういった動きになっていますか。木戸経済部長:既に金融庁が調査を始めていますが、仮に悪質だと判断されるような事態になれば、さらに厳しい検査に乗り出す可能性もあります。山本キャスター:そして損保ジャパンについて26日、この不正請求問題を検証するために社外調査委員会を設置したと発表がありました。小川キャスター:この問題は一見すると被害者がわかりづらいですが、こうした不正が起きると巡り巡って、保険料アップに繋がりかねない。つまり車ユーザー全体に影響が出かねないわけですか。木戸経済部長:車を修理する人も査定をする人も、そして車の修理に出す人も正直に報告する、というのが大前提です。保険の制度そのものを揺るがしかねない大きな問題なので、真相の究明と再発防止は欠かせないですね。
7月26日午後、国交省で行われたビッグモーターへの聞き取り。その焦点は…
国交省担当者「道路運送車両法に関する課題がないかという観点からヒアリングを行います」
道路運送車両法は、実際には行っていない整備の料金を不正に請求するなどの行為を禁止しています。違反が確認された場合、国交省は▼車検場の指定取り消し、▼事業の停止などの行政処分を検討することになります。
ヒアリング後、和泉新社長は…
ビッグモーター和泉伸二新社長「その内容につきましては今日のところのコメントは控えさせていただきます」――(国交省の)理解は得られたというふうな感触は?「はい、私どもはそう理解してます」
ビッグモーター兼重宏行前社長「私は組織ぐるみではないと思ってますから。この原因はもう工場長が指示して、やったんじゃないかなと」
保険金の水増し請求について、組織的な関与はないと断言した兼重前社長。会見では、責任逃れともとれる発言も注目されました。
兼重前社長「耳を疑った。もうこんなことまでやるのかと。社員もやっていいことと悪いことがありますよね。ゴルフボールで傷をつける。ゴルフを愛する人に対する、冒涜ですよ」
25日の会見を受け、26日、ビッグモーターは6人の退職者が確認されたことを明らかにしました。そのことを問われた和泉新社長は…
和泉新社長「社員のご家族とかにも非常に心配をかけておりますので、もう少し想定としてはあるかなと思ってましたが、そういったことからしても少し勝手な判断ですけども、今後会社が生まれ変わるという期待を持っていただいてるのではないかなと」
ただ、問題は他にも。店舗前の公道に生えている街路樹に除草剤をまき、木が枯れたという疑惑で、自治体などが調査に乗り出す事態となっています。
26日の会見では、10年前の話としていましたが…
東京・世田谷区(26日)「こちら歩道の植え込みに生える草ですが、ビッグモーターの店舗の前に行くと、この草が枯れてしまっています」埼玉・春日部市(26日)「綺麗にビッグモーター側だけ草が枯れているのがわかります」
また、名古屋市内でも複数の店舗の前で、街路樹が枯れる現象が確認されていることから、名古屋市は今後、緊急の土壌調査を行う方向で調整していることが明らかになりました。
現役社員は、こうしたいびつな企業風土を作ったのは、兼重前社長の息子である宏一前副社長だったと指摘します。
ビッグモーター現役社員「実態(実権)を握っていたのが副社長をトップとするもう一つの派閥のような形だったので、少なくとも社長の息子である副社長は絶対に(不正を)把握していた」
部下に対して厳しいノルマを課したり、人事権を握っていたりしたのが宏一前副社長だというのです。
これは各店舗の店長クラスが入るグループLINE。そこには宏一氏の「今すぐ入るか、消せ」という文言が。このLINEに入っていた現役社員によると、新しくグループに招待された人がすぐに参加しなかったため、宏一氏が怒ったといいます。
その後すぐに何人もの招待をキャンセルし、「該当店長、役職者は解任してください」
ビッグモーター現役社員「それこそ本部長とか次長とか部長とか、結構高クラスにいる人でも、いきなり副社長の期限次第で落としたり、結局回らなくなって戻したり、みたいなことが結構多かったなと」
ビッグモーターの下請けで車のクリーニングなどを行っていた男性も、傲慢な経営体質があったと証言します。
ビッグモーター元下請け業者の男性「2時間半、3時間かかるペット毛の除去を『ただでやれ』という指示が、上層部から店長の方に流れました。会社の指示だから、もう無償に協力してもらうしか方法ないと」
男性が清掃を依頼された車の内部には、ペットの毛がぎっしりとついています。
ビッグモーター元下請け業者の男性「ペットの毛はブラシで掃除機を使い、かき集めながら吸い取る。シートとかに絡まってしまうと、1本1本ピンセットで毛を取っていく」
通常なら2~3万円かかる作業をいきなり無償でやるよう要求されたという男性。さらに、事前の連絡もなく、作業費の支払いを先延ばしにされることもあったといいます。そのときのやり取りを記録した音声です。
元下請けの男性「店長、すいません4月分の請求の金額が6万9120円が入金されてないんですけど」ビッグモーター店長「来月じゃダメですか?」元下請けの男性「いや、それは無理です。請求書もちゃんとお送りしてるので」ビッグモーター店長「来月じゃダメなんですか?」元下請けの男性「ダメです、それは」
ビッグモーター元下請け業者の男性「金融機関、コロナの補助金(の融資)を受けて、その中でも支払いがあったり。当然入ってくるものだと思って計算しているわけですよね。年金・社会保険の支払いが数か月も遅れてしまったり」
不正の発覚以降、買取りや販売台数が半減しているというビッグモーター。男性はこうした状況のしわ寄せが今後、下請け業者に来るのではないかと懸念しています。
「全然(買取りの)車が入ってこないわけですから、仕上げる仕事自体も減りますしね。これは放っておいたら(下請けの)倒産も増える。(下請けの)相談窓口や対策本部をやらないと、大勢の方が困ってしまう」
ビッグモーターを巡っては、NEWS23の取材で保険契約の際のずさんな対応も明らかになっています。元店長が明かしたのは、ビッグモーターの社員による保険の契約書類の代筆です。
ビッグモーター元店長「お客さんの自署が必要な物に対して、営業が代筆している」
契約書類に客のサインを勝手に書いて損保会社に提出するケースがあったというのです。損保会社と客が連絡を取ったことで代筆が発覚したといいます。
ビッグモーター元店長「お客さんに確認したところ『何も書いてないよ』と。基本的に保険商品なので代筆となると一発アウトなので」
客になりすましてサインをするのは私文書偽造にあたる可能性も。ビッグモーターは会見で…
――保険契約の代筆問題があったという証言がある。事実としてあるのでしょうか?兼重前社長「過去にそういうことが…指摘を受けた…」石橋光国新副社長「はい、そういう事実を受けて報告させていただいてるものもある」
――代筆問題はあったということで大丈夫ですか石橋新副社長「私の専門の部署ではございませんので、あったという話は聞いております」
さらに、内部告発を巡っても、新たな事実がわかりました。ビッグモーターは2022年、「保険金が不正請求されている」との内部告発を受け、調査を実施。告発した従業員は調査でこう証言していました。
「工場長から不正の指示があった」
しかし、ビッグモーターは損保各社に対し「指示はなかった」と書き換えていた報告書を提出していたのです。和泉新社長はこれから調査し、隠蔽があれば厳正に対処するとしています。
小川彩佳キャスター:この問題、国交省だけではなく、金融庁も動き出す事態となっています。
山本恵里伽キャスター:では改めて、ビッグモーターと損害保険会社との関係性について見ていきたいと思います。損害保険会社は、契約者であるお客様に対して、ビッグモーターで修理できますよ、というふうに優良企業として紹介をします。一方のビッグモーターはと言いますと、車を販売する際にお客さんに保険を紹介するわけですが、よりビッグモーターを紹介してくれた損害保険会社を優先的にお客さんに勧めていたということです。
実際、ビッグモーターの経営計画書を見てみても、こうした文言が書かれているんです。「自動車保険を経営の柱に」ということで、力を入れていたということがうかがえるんですね。
小川キャスター:ビッグモーターには損保会社の保険金で修理費用が入る。そして、損保会社としては紹介してもらうことでより多くの契約が結べて収入増に繋がる、といういわばウィンウィンの関係が成り立っていたということですか。
TBS経済部 木戸誠人部長:そうなんですね。ビッグモーターと損保会社は持ちつ持たれつの関係だったと言えます。とりわけ損保ジャパンは、以前ビッグモーターの大株主だったこともあり、保険会社としてビッグモーターと深い付き合いを続けてきました。
そうした中、2022年にビッグモーターの従業員から「不正が行われていた」という内部告発があり、社内調査を行った際の結果報告ですが、損保ジャパンは、「工場長からの指示があった」という従業員の証言が、「指示はなかった」と書き換えられている可能性を把握していたといいます。
しかし、損保ジャパンはビッグモーターが再発防止策を提示したことを受けて、一旦は取りやめていた事故車の修理の紹介を再開していました。
小川キャスター:不正請求を知っていながらお客さんの紹介を再開していたのであれば、損保ジャパンの責任も問われかねないわけですね。
木戸経済部長:改ざんが行われていることを把握していたとしたら「なぜ取引を再開したか」。これは大きな疑問点です。この点につきまして、損保ジャパンの白川社長は、25日このように話しています。
損保ジャパン白川儀一社長「(ビッグモーターの)工場長から(不正の)指示があったと把握している、という話は、私ども経営の方にもありました。決して(ビッグモーターの)経営陣から指示をしてやったことではない、という話がありました。二度と起こさないということを徹底してやってくれるのであれば、総合的な判断で一旦、(事故車の紹介を)再開をしましょう、という判断。再開の判断をしたというのは、あまりに軽率だったな、と。いま振り返ると、調査をするべきだったと反省しています」
山本キャスター:損保ジャパンの白川社長は「あまりに軽率だった」と話し、紹介を再開していたことを認めました。その損保ジャパンについて改めて見ていきますと、過去にビッグモーターへ37人の出向していたということがわかっています。
ただその中には、不正請求があった時期に板金塗装部門の担当部長を務めた人物もいたということです。さらに、ビッグモーター兼重宏一前副社長がグループ会社にかつて勤務していたということもわかっています。
小川キャスター:こうした関係性が明らかになる中で金融庁も動き出しています。鈴木金融担当大臣はこの問題について、「我が目を疑う」と強い発言をしています。既に事実関係の調査を始めたと25日に明らかにしていますが、金融庁の調査のポイントはどこになりますか。
木戸経済部長:大きなポイントは、「持ちつ持たれつ」だった関係が不正においては、「共犯」の関係になっていたかどうかだと思います。
私どもの取材で、損保ジャパンの関係者から、「ビッグモーターにトラブルが多いことは把握していたけれども、ビッグモーターから持ち込まれる件数が多すぎて、引き返せなかった」という証言もあります。
また実際に保険の支払いを査定する段階で、ビッグモーターから持ち込まれた申請の査定を不当に甘くしていなかったかどうかもポイントです。自動車保険の査定では、「簡易査定」といい、保険会社の査定担当者が実際に車を見に行くことなく、修理工場から上がってきた見積もりと写真だけで簡単に査定をして、素早く支払いに進むという仕組みがあります。
これは一般的に行われてることですが、今回とりわけビッグモーターの申請に関しては、この簡易査定よりも、より甘い査定が行われていたのかどうか。ビッグモーターだけ特別扱いしていたのかどうかが争点となります。
小川キャスター:その後の流れとしてはどういった動きになっていますか。
木戸経済部長:既に金融庁が調査を始めていますが、仮に悪質だと判断されるような事態になれば、さらに厳しい検査に乗り出す可能性もあります。
山本キャスター:そして損保ジャパンについて26日、この不正請求問題を検証するために社外調査委員会を設置したと発表がありました。
小川キャスター:この問題は一見すると被害者がわかりづらいですが、こうした不正が起きると巡り巡って、保険料アップに繋がりかねない。つまり車ユーザー全体に影響が出かねないわけですか。

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