「お前なんかいらない」「憎ったらしい顔しやがって」 『君たちはどう生きるか』生みの親の編集者に凄絶パワハラ疑惑が

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謎に包まれた宮崎駿監督の新作が公開され、世間は賛否両論真っ二つ。だが、ベールを剥がされ波紋を呼ぶのは映画だけではなさそうだ。同名の大ヒット漫画を巡って、名物編集者の意外な素顔が明るみに……。
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【写真を見る】元部下らが凄絶パワハラを告発 マガジンハウスといえば、「anan」「BRUTUS」等の雑誌で知られる有名出版社である。2018年には、吉野源三郎の小説を漫画化した「君たちはどう生きるか」(画・羽賀翔一)が、200万部超えの大ヒットを記録したが、その立役者といわれるのが、当時の担当編集である鉄尾周一氏(64)だ。

同作での功を踏み台に、昨年末には専務にまで昇進。次期社長候補との呼び声も高いそうだが、しかし――。「コペル」君もびっくり(『君たちはどう生きるか』吉野源三郎/原作、羽賀翔一/漫画)「鉄尾さんのパワハラで、ここ数年の書籍編集部は崩壊状態なんです」 と打ち明けるのは、同社の事情を知る関係者である。「彼が編集長になって、特にここ10年ほどで、部から優に10人を超える退職者が出ています。8人くらいしかいない編集部なのに、19~21年ごろには、6人も辞めていきました」 にわかには信じがたい異常事態。人の道を説いたベストセラーの“生みの親”が、一体、何をしたというのか。「お前なんかいらないんだよ」「企画会議を思い出すと、今でも怖いです……」 そう重い口を開くのは、鉄尾氏の元部下の一人だ。「企画について、『どうすんだよ、え?』と皆の前で詰められるのは日常茶飯事です。『お前なんかいらないんだよ』『憎ったらしい顔しやがって』なんて暴言も吐かれました。他の部員が『とにかく(会社を)辞めてくれ!』と怒鳴られているのを聞いたこともあります」 これだけではない。「全く企画を通してくれないんです」 とは、また別の元部下。「企画が通るかは完全に鉄尾さんの一存なのですが、彼が知らない、あるいは興味のないジャンルだと、内容を聞く前にバッサリ。やっと通ったと思ったら、後になってひっくり返され、著者の方に迷惑をかけてしまった企画も、一つや二つではありませんよ」 また別の同部OBは、「鉄尾さんに一蹴された企画が、他社でヒット作になっていたときはがくぜんとしました。結果を出しても褒められたことはないし、話しかけるタイミングが悪いと、“しっしっ”という手振りで追い返されたり。人をコストとしか見ていない、そんな感じがします」“心当たりはない” もはや、被害の告発は後を絶たないが、ハラスメントには何かと厳しいこのご時世。流行の最先端を体現してきた出版社で、問題にはならなかったのか。「1年半ほど前、労働組合から話が上がり、会社から鉄尾さんに聴き取り調査が入ったことがあったんです」 とは、冒頭の同社関係者。「しかし、会社は『職場環境を改善する』などと曖昧な結論を出し、問題にふたをしてしまった。たしかに、これを機に編集長が代わり、鉄尾さんと部員が直接話す機会は減ったようなのですが、部の実権は鉄尾さんが握ったままで、根本的な解決には至っていません」 会社がこれだから、当事者たちは黙って去るしかない、と訴えるのだ。 さて、当の鉄尾氏はどう答えるか。本人の携帯にかけてみると、「(パワハラに)心当たりはないですね。いろいろ(部員の)入れ替わりがあったりはしますけど、その方々の適材適所で。会社からの調査はありましたけど、これ以上お話しすることはございませんので」 念のために会社にも尋ねると、担当役員は、「書籍編集部は恒常的な黒字部署へと変容しており、コミュニケーションのあり方に関しては、新編集長の起用等の改善をはかっております。私が話の場を持った退職者からは、一度たりとも『ハラスメント』という発言はありませんでした」 昭和の感覚そのままに、“彼らは”令和の時代を“どう生きる”のだろうか。「週刊新潮」2023年7月27日号 掲載
マガジンハウスといえば、「anan」「BRUTUS」等の雑誌で知られる有名出版社である。2018年には、吉野源三郎の小説を漫画化した「君たちはどう生きるか」(画・羽賀翔一)が、200万部超えの大ヒットを記録したが、その立役者といわれるのが、当時の担当編集である鉄尾周一氏(64)だ。
同作での功を踏み台に、昨年末には専務にまで昇進。次期社長候補との呼び声も高いそうだが、しかし――。
「鉄尾さんのパワハラで、ここ数年の書籍編集部は崩壊状態なんです」
と打ち明けるのは、同社の事情を知る関係者である。
「彼が編集長になって、特にここ10年ほどで、部から優に10人を超える退職者が出ています。8人くらいしかいない編集部なのに、19~21年ごろには、6人も辞めていきました」
にわかには信じがたい異常事態。人の道を説いたベストセラーの“生みの親”が、一体、何をしたというのか。
「企画会議を思い出すと、今でも怖いです……」
そう重い口を開くのは、鉄尾氏の元部下の一人だ。
「企画について、『どうすんだよ、え?』と皆の前で詰められるのは日常茶飯事です。『お前なんかいらないんだよ』『憎ったらしい顔しやがって』なんて暴言も吐かれました。他の部員が『とにかく(会社を)辞めてくれ!』と怒鳴られているのを聞いたこともあります」
これだけではない。
「全く企画を通してくれないんです」
とは、また別の元部下。
「企画が通るかは完全に鉄尾さんの一存なのですが、彼が知らない、あるいは興味のないジャンルだと、内容を聞く前にバッサリ。やっと通ったと思ったら、後になってひっくり返され、著者の方に迷惑をかけてしまった企画も、一つや二つではありませんよ」
また別の同部OBは、
「鉄尾さんに一蹴された企画が、他社でヒット作になっていたときはがくぜんとしました。結果を出しても褒められたことはないし、話しかけるタイミングが悪いと、“しっしっ”という手振りで追い返されたり。人をコストとしか見ていない、そんな感じがします」
もはや、被害の告発は後を絶たないが、ハラスメントには何かと厳しいこのご時世。流行の最先端を体現してきた出版社で、問題にはならなかったのか。
「1年半ほど前、労働組合から話が上がり、会社から鉄尾さんに聴き取り調査が入ったことがあったんです」
とは、冒頭の同社関係者。
「しかし、会社は『職場環境を改善する』などと曖昧な結論を出し、問題にふたをしてしまった。たしかに、これを機に編集長が代わり、鉄尾さんと部員が直接話す機会は減ったようなのですが、部の実権は鉄尾さんが握ったままで、根本的な解決には至っていません」
会社がこれだから、当事者たちは黙って去るしかない、と訴えるのだ。
さて、当の鉄尾氏はどう答えるか。本人の携帯にかけてみると、
「(パワハラに)心当たりはないですね。いろいろ(部員の)入れ替わりがあったりはしますけど、その方々の適材適所で。会社からの調査はありましたけど、これ以上お話しすることはございませんので」
念のために会社にも尋ねると、担当役員は、
「書籍編集部は恒常的な黒字部署へと変容しており、コミュニケーションのあり方に関しては、新編集長の起用等の改善をはかっております。私が話の場を持った退職者からは、一度たりとも『ハラスメント』という発言はありませんでした」
昭和の感覚そのままに、“彼らは”令和の時代を“どう生きる”のだろうか。
「週刊新潮」2023年7月27日号 掲載

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