「自分を大切にしてくれる人なんて誰もいない」21歳の立ちんぼ女性が語った、体を売る本当の理由

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親の虐待、野球選手への推し活、ホス狂、16歳で依存症etc…。路上売春をする女性「立ちんぼ」の彼女たちは、どんな経緯で大久保公園にたどり着き、何のために体を売っているのだろうか。 新宿・歌舞伎町にある大久保公園。この場所は、路上売春をする女性「立ちんぼ」の聖地として有名であったが、ここ数か月でその数が異常に増えている。
今年初めはまだ片手で数えることができる人数だった。だが、6月現在、約60人の立ちんぼとその買春客を合わせた数は100人を優に超えている。
大久保公園に立っている女性に声をかけると、インタビューに答えてくれた。計19時間に及んだ取材音声から浮かび上がった実態とは。
◆虐待に耐え兼ね家族も失い東北から新宿へ
【ユキ(仮名)/年齢:21歳 交縁歴:4日】
立ちんぼ取材を通してわかったのは、日々新たな女性が大久保公園へやって来ていることだ。
つい最近まで家族と東北に住んでいた21歳のユキ(仮名)が立ちんぼになったのはわずか4日前だった。
「両親は私が2歳のときに離婚し、父はいません。母は病気で施設に入っています。祖父母と親戚と暮らしていたのですが、私は祖父から殴る蹴るの虐待をずっと受けていました。
暴力を振るうのはほかの家族がいないときだけで、普段はいいおじいちゃんを演じています。だから、私が何を言っても家族は誰も信じてくれませんでした。母だけは信じてくれたと思いますが、病気が悪化するのは嫌なので言いませんでした」
◆ブラック企業での仕事より売春のほうがラク
高校卒業後は東京で警備員の仕事をしていたが、かなりブラックな会社だった。
「朝の9時から翌日の9時まで24時間働いて、そのまま18時まで次のシフトが始まるんです。当たり前ですけど心身が壊れて、人と話せなくなりました。まだ3人しか相手にしていませんが、それに比べたら売春なんてラクでしかないです」
警備員をやめて実家に戻るも、祖父からの虐待に耐えられず、再び家を出て歌舞伎町に流れ着いた。今は友人の家に居候しているが、何も持たずに家を出てきたので着る服もない。生活用品を揃えるために、即日で現金が手に入る立ちんぼで日銭を稼いでいるのだという。
「昔から人生なんてどうでもいいやみたいな感じでしたが、それでも体を売るとは思ってもいなかったです。自分ってこういうことをする人間なんだって思いましたね」
◆立ちんぼをやめるためハローワークに
高校生の頃からリストカットをするようになった。傷痕は手首から肩まである。
「自分が存在している意味がわからなかったんですよ。もはや本当に自分が生きているのかすらわからなくなって、血が見たくなったんです。自分の血を見ると、“今日も生きてんな”って思います。
一般的に自分をもっとも愛してくれるのは家族で、みんな家族が一番大事なわけじゃないですか。自分はその家族に見捨てられているので、自分を大切にしてくれる人なんてもう誰もいないんだろうなって思います」
◆世間が働いている時間に何もしていないのが耐えられない
生活の基盤ができたら、立ちんぼはやめたいと言う。
「世間の人が働いている時間に何もしていないという自分に耐えられないんですよ。だったら昼間も働いて、もしお金に困ったらまた立ちんぼすればいい。体を売るのが嫌というよりも昼間何もせずに病むのが嫌なだけです。だからハローワークに通っています」
そんなユキにも地元に一人だけ親友がいる。「その親友がもし亡くなったら、私も自分で死にます」と、自死を心に決めている。
取材・文・撮影/忍田 忍 SPA!立ちんぼ取材班

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