「1年に2度も被災」秋田大雨、肩落とす住民 断水で苦境続く

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活発な梅雨前線の影響で14日から続いた記録的な大雨。被害の大きかった秋田市以外でも男鹿市、五城目町、八峰町で断水が続き、18日も住民が家具の片付けや生活用水の確保に追われた。「水もタオルもまだ足りない」。被災地では住民らの苦境が続いている。
【「1年に2度も…」秋田大雨 水の確保に終われる市民ら】 ■五城目町 町内を流れる馬場目川や内川川などの周辺では490棟の床上浸水が確認された。発生から4日たっても各地で泥水が残り、住民が家の清掃や家具の整理に追われていた。大通り沿いの店頭には廃棄を余儀なくされた商品の入った袋がうずたかく積まれている。

「またやられた。最近やっと直したばかりだったのに」。内川川の上流・湯ノ又地区に住む男性(72)の表情は厳しい。昨年8月の大雨で被災し、自宅のボイラーやエアコン、車を数十万円かけて買い直した。ようやく落ち着いたと思った矢先に今回の豪雨に見舞われた。水位はみるみる上がり、自宅が50センチ浸水したという。 「約1年間に2度も被災するとは思わなかった。(昨年の大雨を受けた)橋の改修は不十分なままで、被害を繰り返した。これは人災だ」。男性はこう不満を口にした。今後、大事な家財などは2階に置いて備えるつもりだという。内川川沿いの道路は各地で崩れ落ちたままだった。 町内では約3400戸が断水しており、各地で自衛隊などが給水支援に当たっている。そんな中、日本酒の醸造元・福禄寿酒造は仕込み水の地下水を無料で生活用水として提供し始めた。金田正樹専務は「休日返上で社員が準備した。自由に使ってほしい」と話す。 町によると、生活用水が不足し、家の中から汚れた家具を運んだり洗ったりする作業が滞りがちで、タオルも不足しているという。町は19日にボランティアセンターを開設し、支援を呼びかける。 ■男鹿市 市内では15日午前、茶臼峠の配水池で地滑りが発生し、配水池まで水を運ぶ直径40センチの送水管が押し流された。このため船川地区を中心に3614戸に及ぶ断水が発生した。海上保安庁の巡視船「しもきた」や自衛隊による給水作業が続く。 「道の駅おが」近くで給水に並んでいた男鹿半島・大潟ジオパークガイドの会の澤木博之会長は「断水後、1日6往復して水を補給している。特にトイレは結構な水が必要で、一人暮らしや免許を返納した高齢者が無事生活できているか心配だ」と案じていた。市民は市内で無料開放された入浴施設を利用してしのいでいるという。 佐藤博副市長は「あと2、3日での復旧を目指して作業を進めている。今後同様の事態に備え、水の代替ルートの確保や、関連の施設・道路が必要になるのではないか」との見方を示した。【工藤哲】床上浸水725戸に 新幹線の運休続く 秋田県によると、大雨による住宅被害調査が進み、床上浸水は725戸、床下浸水が376戸と大幅に増えた。県内各地で田んぼや畑への浸水や土砂流入、農業用ため池の決壊、山肌や林道のり面の土砂崩れなどが多数報告されており、被害の全容把握にはまだ時間を要する見込みだ。 JR東日本秋田支社が18日発表した今後の運行計画では、秋田新幹線(盛岡―秋田)は一部区間で避難指示が発令されていることや土砂災害の危険性が高いことから施設の被害確認ができておらず、少なくとも20日まで運休する見込みという。 日本自動車連盟(JAF)によると、15~17日の県内の救援依頼は1062件で、このうち冠水関連が764件と7割強を占めた。1日当たりの平均依頼件数は昨年の同時期と比べて9・8倍に上った。【高橋宗男】
■五城目町
町内を流れる馬場目川や内川川などの周辺では490棟の床上浸水が確認された。発生から4日たっても各地で泥水が残り、住民が家の清掃や家具の整理に追われていた。大通り沿いの店頭には廃棄を余儀なくされた商品の入った袋がうずたかく積まれている。
「またやられた。最近やっと直したばかりだったのに」。内川川の上流・湯ノ又地区に住む男性(72)の表情は厳しい。昨年8月の大雨で被災し、自宅のボイラーやエアコン、車を数十万円かけて買い直した。ようやく落ち着いたと思った矢先に今回の豪雨に見舞われた。水位はみるみる上がり、自宅が50センチ浸水したという。
「約1年間に2度も被災するとは思わなかった。(昨年の大雨を受けた)橋の改修は不十分なままで、被害を繰り返した。これは人災だ」。男性はこう不満を口にした。今後、大事な家財などは2階に置いて備えるつもりだという。内川川沿いの道路は各地で崩れ落ちたままだった。
町内では約3400戸が断水しており、各地で自衛隊などが給水支援に当たっている。そんな中、日本酒の醸造元・福禄寿酒造は仕込み水の地下水を無料で生活用水として提供し始めた。金田正樹専務は「休日返上で社員が準備した。自由に使ってほしい」と話す。
町によると、生活用水が不足し、家の中から汚れた家具を運んだり洗ったりする作業が滞りがちで、タオルも不足しているという。町は19日にボランティアセンターを開設し、支援を呼びかける。
■男鹿市
市内では15日午前、茶臼峠の配水池で地滑りが発生し、配水池まで水を運ぶ直径40センチの送水管が押し流された。このため船川地区を中心に3614戸に及ぶ断水が発生した。海上保安庁の巡視船「しもきた」や自衛隊による給水作業が続く。
「道の駅おが」近くで給水に並んでいた男鹿半島・大潟ジオパークガイドの会の澤木博之会長は「断水後、1日6往復して水を補給している。特にトイレは結構な水が必要で、一人暮らしや免許を返納した高齢者が無事生活できているか心配だ」と案じていた。市民は市内で無料開放された入浴施設を利用してしのいでいるという。
佐藤博副市長は「あと2、3日での復旧を目指して作業を進めている。今後同様の事態に備え、水の代替ルートの確保や、関連の施設・道路が必要になるのではないか」との見方を示した。【工藤哲】
床上浸水725戸に 新幹線の運休続く
秋田県によると、大雨による住宅被害調査が進み、床上浸水は725戸、床下浸水が376戸と大幅に増えた。県内各地で田んぼや畑への浸水や土砂流入、農業用ため池の決壊、山肌や林道のり面の土砂崩れなどが多数報告されており、被害の全容把握にはまだ時間を要する見込みだ。
JR東日本秋田支社が18日発表した今後の運行計画では、秋田新幹線(盛岡―秋田)は一部区間で避難指示が発令されていることや土砂災害の危険性が高いことから施設の被害確認ができておらず、少なくとも20日まで運休する見込みという。
日本自動車連盟(JAF)によると、15~17日の県内の救援依頼は1062件で、このうち冠水関連が764件と7割強を占めた。1日当たりの平均依頼件数は昨年の同時期と比べて9・8倍に上った。【高橋宗男】

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