月収16万、1000万貯めた彼女の「リアルな生活費」

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月収10万円で1人暮らしをはじめ、16万円になってからも生活水準を変えていないという、もちたまさん。節約の秘訣を聞きました(写真:「もちたま【元月収10万円女子】」より)
月収10万円(後に16万円)で1人暮らしをしながら、「もちたま【元月収10万円女子】」の名前でYouTubeチャンネルを運営しているもちたまさん(32歳)。配信では、家計簿や投資について公開している。
2015年から本格的に節約と貯金を始めて、8年目の現在では約1000万の資産形成に成功(副業収入や投資による含み益を含む)。
節約に成功し、人生が豊かになったという「倹者」に節約系YouTuberのくらま(「倹者の流儀」)がインタビューをする本連載。月収10万円台という限られた金額で、どのように生活して貯蓄しているのか、もちたまさんの暮らしぶりと節約術について聞かせてもらった。
もちたまさんは、元々は浪費家とまではいかないが、学生時代は何も考えずにお金を自由に使っていたという。
浪費家から節約家に転身したもちたまさん(写真左)に、くらまがインタビューします!(東洋経済オンライン編集部撮影)
「実家暮らし、奨学金返済なしで、アルバイトの稼ぎは全部洋服や飲み会に使っていました。節約を考えたこともなかったです。私はほんとダメ人間で……。就職活動もろくにしませんでした。『この仕事に就きたい』っていうのもないし、面接で思ってもいない志望動機を言うのがすごく苦痛で……」
そうして就職先を見つけないまま大学を卒業。2カ月くらい実家でのんびりしていたところ、さすがに母親に「働きなさい」と怒られ、パートタイムのアルバイトを探すことに。ここでフルタイムの就職先ではなくパートを探すところに、もちたまさんの「なるべく働きたくない」という強い意志を感じる。
そこで見つけたのが、それから8年続けることになる図書館司書の仕事だ。週4日、当時時給900円で、月収にすると約10万円、年収は約120万円。収入は決して多くはないが、実家暮らしで家賃がかからず、生活していくのには困らなかった。
就職2年目の2015年、会社で社会保険に加入したのをきっかけに、年金に関する本を読み、貯金に目覚めたという。それからは大学時代のように何も考えずに好きにお金を使う生活から変化した。
通勤定期をカードで購入してポイントキャッシュバックを得るポイ活、格安スマホへの乗り換え、高金利なネット銀行の口座開設、百貨店で毎月一定金額を積み立てると、満期時にボーナスを上乗せした商品券やお買い物カードを受け取れるデパート積み立ての活用、ふるさと納税など、生活コストを下げる方法を調べてコツコツと実践していった。
「節約家になるというよりは、月収10万円で生きていくためにお金を貯めようという考えでした」
社会人生活が4年目に差し掛かった2018年、親が仕事の都合で引っ越すことになり、もちたまさんは1人暮らしを始める。
「元々、心の奥底では『いつまでも親に頼ってはダメ、1人暮らしをしてみたい』と考えていました。そこで生活費を見積もってみたところ、月収10万円でも家賃の安いところが見つかればギリギリ暮らせると思いました」
そうして探した物件は、神奈川県にある3万2000円の築30年のアパート。家賃を安くするために築年数には目をつぶった。職場までは電車通勤。乗車時間は長いが、1本で行けるアクセスの良さを意識して決めた。
女性の1人暮らしとなると、防犯面や環境も大事になってくるだろう。
「契約前には実際に訪問して内見し、ゴミ捨て場や共用部、周辺の環境、雰囲気を確認するようにしています。ネットで写真を見ていいと思っても、廊下にゴミをいっぱい置いている人がいたり、ゴミ捨て場が荒れていたりすることがあります。それはネット情報だけではわからないので、必ず周りの様子を見てから決めるようにしていました」
数年暮らした後、都内で4万5000円(Wi-Fi代込み)の場所に引っ越した。もちろん同じように内見して決めている。
もちたまさんはYouTubeチャンネルでルームツアー動画を公開しているが、生活感がありつつも整理整頓された清潔感のある部屋での暮らしぶりが見てとれる。
「青色が好きなので、部屋のテーマカラーを青にして合わせています。小物はなるべくシンプルにしてすっきりさせています」
自宅の中でお気に入りの場所は、カウンターキッチン。食卓にも作業用デスクにもなる優れものだ(写真:「もちたま【元月収10万円女子】」より)
もちたまさんの話を伺っていると、本連載のテーマである「倹約の可能性」を感じる。固定費を削って支出を減らせば、収入が高くなくても暮らしていける。節約とは、不安定な時代を生きていくうえでの一つの技術だ。
月々の生活費のうち固定費は、家賃を含んで5万円くらいだという。
「節約で大事なのは、何より固定費を削ることだと思います。ここをしっかりそぎ落とせば、ある程度の貯金はできる。私の場合、まずは通信費の見直しから着手しました。8000円くらいかかっていたのが格安スマホに乗り換えて月々3000円になり、年間で6万円の節約です(※現在はさらに安いプランに変更し、月1000円)」
新生活では、業務用スーパーをフル活用したり、電気とガスを同一の会社にまとめて公共料金の支払いが安くなる支払い方法を選んだり、生活コストを下げる方法を調べては地道に取り組んでいった。
「私は狭いお風呂に入りたくないのですが、そうした物件を選ぶと家賃が高くなってしまいます。そこで家の風呂にこだわらず、月々2880円の格安ジムに入会して、お風呂を利用しています。これによって水道光熱費の節約にもなりました」
一方で、食費は節約しすぎないのがもちたまさん流だ。業務用スーパーやふるさと納税などは活用しつつ、無理な我慢はしていない。現在の食費は3万3000円程度。
「私は食費が一番後回しにすべき節約項目かなと思っています。缶ビールを我慢しても1本約300円の節約にしかならない。それだったら楽しみたいなと。食費1カ月1万5000円生活にもチャレンジしているのですが、楽しく節約に取り組めるものの、金額としては大きくないので、もっと楽に削れるものを先にやるほうがいいと思います」
「食費1カ月1万5000円生活」にチャレンジ。業務用スーパーでまとめ買いした食材(上写真)で、オープンサンドや新じゃがのクリームスープなどを楽しんだ(写真:「もちたま【元月収10万円女子】」より)化粧水を手作りし、オシャレに使うのは月5000円美容やオシャレが好きな人にとっては、洋服や化粧品などをどこまで削るかは悩むところかもしれない。もちたまさんの洋服・美容費は月5000円程度だという。そのコツやどのような考えで運用しているかを聞いてみた。 洋服は“購入ルール”を設ける「私は学生時代に洋服にお金をつぎ込んでしまった人間なので、洋服を買う際のルールを決めました」基本的にはプチプラで購入すること。そして欲しいと思った服をレジに持っていく前に、必ず試着をして「この服を着てデートに行けるのか?」と冷静に自分に問いかけることだ。例えば、かわいいTシャツでも人と会うときに着られないと思ったら買わないようにする。すると、失敗もあまりなくなったという。「学生時代は安いものをたくさん買って結局着ないことも多かったので……」 化粧水は手作りもちたまさんは、化粧水は薬局で精製水(約100円)とグリセリン(約500円)を購入して自分で手作りしている。混ぜるだけで500mlもの化粧水が簡単に作れるうえに、既製品よりもコストは断然に安い。「私は大学で化学系を専攻していました。あるとき、化粧品業界の人の特別講義で、化粧水の原価が数十円くらいと教えてもらいびっくりしました。昔聞いた話ですし、もちろん全部の化粧水に当てはまるわけではありませんが、それ以来、高い化粧品を買う気がなくなりました」原価以上にパッケージ代や広告宣伝費にお金がかかっている化粧品業界の仕組みを知ったことで、自分で作るようになったという。科学者でありYouTuberでもあるくられ先生の動画を参考に作っているそうだ。もちたまさんが自作している化粧水。約600円で大量に作れる(写真:「もちたま【元月収10万円女子】」より)【手取り月収16万円のもちたまさん 1カ月の生活費内訳】家賃(Wi-Fi付き):4万5000円ジム(風呂代わり):2880円電気代(楽天電気):2600円水道:1500円スマホ(HISモバイル):1000円食費:3万3000円日用品:2000円洋服・美容:5000円交際費:0円交通費:1万円合計 約10万円※副業での臨時収入も含めて、月々の平均貯蓄額は約10万円。その他、株の売却益、配当、投資信託の含み益などで資産1000万円を達成。副業収入をすべて貯蓄に充てるもちたまさんの約10万円だった収入は、その後、契約社員となったため月給16万円ほどに増えた(現在は退職し、転職活動中)。とはいえ月々の支出は変わらず約10万円。どうして1000万円も貯金できたのか不思議に思う方もいることだろう。それはずばり副業収入による。基本的にパート収入で生活して、副業収入はすべて貯蓄に回す形で家計運用している。副業は、ハンドメイド販売やブログ、YouTubeだ。「最初はハンドメイドのアクセサリー販売にチャレンジしました。1人買ってくれるとレビューがついて、そこからお客さんが増えていきます。でも、大きな収入にできる人はほんの一部。私も、材料費と初期投資を回収して月収1万円、年間でプラス10万円くらいとちょっとしたお小遣いにはなりましたが、大きな収入にはなりませんでした」ハンドメイドが行き詰まったところで2019年に始めたのがYouTubeだ。広告収入は月によって大きな波があるものの、月平均で5万円を貯蓄に回せるようになった。月収が増えた分と合わせれば、月々約10万円を貯蓄に回せる。「生活費が10万円なら、年間120万以上稼げば貯金できます。もちろん家庭環境などにもよりますが、月収15万~20万円あればしっかり貯金できるなと思いました」もちたまさんが販売していたハンドメイドのアクセサリー。口コミがつくことによって売り上げにつながった(写真:「もちたま【元月収10万円女子】」より)副業収入を得ているとはいえ、それを加味した年収も、同年代の平均と比べても高収入とはいえない(厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」による)。そんな中でも節約・貯金ができた秘訣をもちたまさんに教えてもらった。 本を読み漁って知識を得る「私は職場が図書館なので、そこで投資や節約術の本を100冊くらい片っ端から読んで勉強しました。『マネーという名の犬 12歳からの「お金」入門』(飛鳥新社)などの超初心者向けの本から入って、投資や株のキーワードで出てきたものを読み漁りました。その中で投資信託を知り、勉強してから株やつみたてNISAを始めました」2014年~2015年頃の話なので、今のように投資信託の情報がYouTubeにたくさんアップされている時代ではない。知らないことを調べて、自分なりに実践していくもちたまさんの情報収集、実践能力が節約の背景にあることがうかがえる話だ。節約を「苦しくないもの」にするには 節約をゲーム感覚で楽しむこと「私の場合、家計簿は自作のエクセルでつけています。コツコツ記録して、グラフが右肩上がりになっていくのを見るのがすごく楽しいですね。毎日見たくなるし、貯金が趣味のようなものです」貯金が趣味でなくても、例えば貯金箱を用意して「貯まっているんだな」と目に見える形で置いておくなどもおすすめだそう。お金を増やしていく過程をゲーム感覚で楽しむのが秘訣。先に出た「食費1カ月1万5000円生活」もゲーム感覚で取り組んだことの1つだ。節約を苦しいだけのものにしない工夫がわかる。エクセルで管理している家計簿。毎日ではなく、月末に入力するのみだという(写真:「もちたま【元月収10万円女子】」より) 節約を頑張っているところを誰かに見てもらうまた、継続のコツは、人に見てもらうことだと話す。この連載の一覧はこちら「最初はブログで『食費1カ月1万5000円生活』を記録していたのですが、頑張っているのにあまり見てもらえず、コメントもつかなかった。リアクションがないと寂しくて『誰かコメントくれないかな』とYouTubeを始めました。そうしたらコメントをもらえるようになって、めちゃくちゃ励みになりました」YouTubeに動画を上げるためにきちんと節約しよう、赤字になったら視聴者に怒られるな、と考えることが、さらなる節約のモチベーションにもなったそうだ。「インスタなどでも、家計簿を上げている人をよく見かけます。インスタでもTwitterでも、コツコツ発信していけば節約仲間はできるので、情報を公開することをおすすめします」SNSやインターネットにアップするのは向いていない、と感じる人は、家族や友人など身近な人だけに報告するという方法もある。公言することで、無駄遣いしないように見守ってもらえて、節約できた達成感を報告できる存在がいることは大きいだろう。「苦しくて楽しくないことは続かないので、なるべく人を巻き込んで面白がりながら取り組むことが長続きの秘訣ではないでしょうか」(くらま : 倹者の流儀/節約系ユーチューバー)
「食費1カ月1万5000円生活」にチャレンジ。業務用スーパーでまとめ買いした食材(上写真)で、オープンサンドや新じゃがのクリームスープなどを楽しんだ(写真:「もちたま【元月収10万円女子】」より)化粧水を手作りし、オシャレに使うのは月5000円美容やオシャレが好きな人にとっては、洋服や化粧品などをどこまで削るかは悩むところかもしれない。もちたまさんの洋服・美容費は月5000円程度だという。そのコツやどのような考えで運用しているかを聞いてみた。 洋服は“購入ルール”を設ける「私は学生時代に洋服にお金をつぎ込んでしまった人間なので、洋服を買う際のルールを決めました」基本的にはプチプラで購入すること。そして欲しいと思った服をレジに持っていく前に、必ず試着をして「この服を着てデートに行けるのか?」と冷静に自分に問いかけることだ。例えば、かわいいTシャツでも人と会うときに着られないと思ったら買わないようにする。すると、失敗もあまりなくなったという。「学生時代は安いものをたくさん買って結局着ないことも多かったので……」 化粧水は手作りもちたまさんは、化粧水は薬局で精製水(約100円)とグリセリン(約500円)を購入して自分で手作りしている。混ぜるだけで500mlもの化粧水が簡単に作れるうえに、既製品よりもコストは断然に安い。「私は大学で化学系を専攻していました。あるとき、化粧品業界の人の特別講義で、化粧水の原価が数十円くらいと教えてもらいびっくりしました。昔聞いた話ですし、もちろん全部の化粧水に当てはまるわけではありませんが、それ以来、高い化粧品を買う気がなくなりました」原価以上にパッケージ代や広告宣伝費にお金がかかっている化粧品業界の仕組みを知ったことで、自分で作るようになったという。科学者でありYouTuberでもあるくられ先生の動画を参考に作っているそうだ。もちたまさんが自作している化粧水。約600円で大量に作れる(写真:「もちたま【元月収10万円女子】」より)【手取り月収16万円のもちたまさん 1カ月の生活費内訳】家賃(Wi-Fi付き):4万5000円ジム(風呂代わり):2880円電気代(楽天電気):2600円水道:1500円スマホ(HISモバイル):1000円食費:3万3000円日用品:2000円洋服・美容:5000円交際費:0円交通費:1万円合計 約10万円※副業での臨時収入も含めて、月々の平均貯蓄額は約10万円。その他、株の売却益、配当、投資信託の含み益などで資産1000万円を達成。副業収入をすべて貯蓄に充てるもちたまさんの約10万円だった収入は、その後、契約社員となったため月給16万円ほどに増えた(現在は退職し、転職活動中)。とはいえ月々の支出は変わらず約10万円。どうして1000万円も貯金できたのか不思議に思う方もいることだろう。それはずばり副業収入による。基本的にパート収入で生活して、副業収入はすべて貯蓄に回す形で家計運用している。副業は、ハンドメイド販売やブログ、YouTubeだ。「最初はハンドメイドのアクセサリー販売にチャレンジしました。1人買ってくれるとレビューがついて、そこからお客さんが増えていきます。でも、大きな収入にできる人はほんの一部。私も、材料費と初期投資を回収して月収1万円、年間でプラス10万円くらいとちょっとしたお小遣いにはなりましたが、大きな収入にはなりませんでした」ハンドメイドが行き詰まったところで2019年に始めたのがYouTubeだ。広告収入は月によって大きな波があるものの、月平均で5万円を貯蓄に回せるようになった。月収が増えた分と合わせれば、月々約10万円を貯蓄に回せる。「生活費が10万円なら、年間120万以上稼げば貯金できます。もちろん家庭環境などにもよりますが、月収15万~20万円あればしっかり貯金できるなと思いました」もちたまさんが販売していたハンドメイドのアクセサリー。口コミがつくことによって売り上げにつながった(写真:「もちたま【元月収10万円女子】」より)副業収入を得ているとはいえ、それを加味した年収も、同年代の平均と比べても高収入とはいえない(厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」による)。そんな中でも節約・貯金ができた秘訣をもちたまさんに教えてもらった。 本を読み漁って知識を得る「私は職場が図書館なので、そこで投資や節約術の本を100冊くらい片っ端から読んで勉強しました。『マネーという名の犬 12歳からの「お金」入門』(飛鳥新社)などの超初心者向けの本から入って、投資や株のキーワードで出てきたものを読み漁りました。その中で投資信託を知り、勉強してから株やつみたてNISAを始めました」2014年~2015年頃の話なので、今のように投資信託の情報がYouTubeにたくさんアップされている時代ではない。知らないことを調べて、自分なりに実践していくもちたまさんの情報収集、実践能力が節約の背景にあることがうかがえる話だ。節約を「苦しくないもの」にするには 節約をゲーム感覚で楽しむこと「私の場合、家計簿は自作のエクセルでつけています。コツコツ記録して、グラフが右肩上がりになっていくのを見るのがすごく楽しいですね。毎日見たくなるし、貯金が趣味のようなものです」貯金が趣味でなくても、例えば貯金箱を用意して「貯まっているんだな」と目に見える形で置いておくなどもおすすめだそう。お金を増やしていく過程をゲーム感覚で楽しむのが秘訣。先に出た「食費1カ月1万5000円生活」もゲーム感覚で取り組んだことの1つだ。節約を苦しいだけのものにしない工夫がわかる。エクセルで管理している家計簿。毎日ではなく、月末に入力するのみだという(写真:「もちたま【元月収10万円女子】」より) 節約を頑張っているところを誰かに見てもらうまた、継続のコツは、人に見てもらうことだと話す。この連載の一覧はこちら「最初はブログで『食費1カ月1万5000円生活』を記録していたのですが、頑張っているのにあまり見てもらえず、コメントもつかなかった。リアクションがないと寂しくて『誰かコメントくれないかな』とYouTubeを始めました。そうしたらコメントをもらえるようになって、めちゃくちゃ励みになりました」YouTubeに動画を上げるためにきちんと節約しよう、赤字になったら視聴者に怒られるな、と考えることが、さらなる節約のモチベーションにもなったそうだ。「インスタなどでも、家計簿を上げている人をよく見かけます。インスタでもTwitterでも、コツコツ発信していけば節約仲間はできるので、情報を公開することをおすすめします」SNSやインターネットにアップするのは向いていない、と感じる人は、家族や友人など身近な人だけに報告するという方法もある。公言することで、無駄遣いしないように見守ってもらえて、節約できた達成感を報告できる存在がいることは大きいだろう。「苦しくて楽しくないことは続かないので、なるべく人を巻き込んで面白がりながら取り組むことが長続きの秘訣ではないでしょうか」(くらま : 倹者の流儀/節約系ユーチューバー)
「食費1カ月1万5000円生活」にチャレンジ。業務用スーパーでまとめ買いした食材(上写真)で、オープンサンドや新じゃがのクリームスープなどを楽しんだ(写真:「もちたま【元月収10万円女子】」より)
美容やオシャレが好きな人にとっては、洋服や化粧品などをどこまで削るかは悩むところかもしれない。もちたまさんの洋服・美容費は月5000円程度だという。そのコツやどのような考えで運用しているかを聞いてみた。
洋服は“購入ルール”を設ける
「私は学生時代に洋服にお金をつぎ込んでしまった人間なので、洋服を買う際のルールを決めました」
基本的にはプチプラで購入すること。そして欲しいと思った服をレジに持っていく前に、必ず試着をして「この服を着てデートに行けるのか?」と冷静に自分に問いかけることだ。例えば、かわいいTシャツでも人と会うときに着られないと思ったら買わないようにする。すると、失敗もあまりなくなったという。
「学生時代は安いものをたくさん買って結局着ないことも多かったので……」
化粧水は手作り
もちたまさんは、化粧水は薬局で精製水(約100円)とグリセリン(約500円)を購入して自分で手作りしている。混ぜるだけで500mlもの化粧水が簡単に作れるうえに、既製品よりもコストは断然に安い。
「私は大学で化学系を専攻していました。あるとき、化粧品業界の人の特別講義で、化粧水の原価が数十円くらいと教えてもらいびっくりしました。昔聞いた話ですし、もちろん全部の化粧水に当てはまるわけではありませんが、それ以来、高い化粧品を買う気がなくなりました」
原価以上にパッケージ代や広告宣伝費にお金がかかっている化粧品業界の仕組みを知ったことで、自分で作るようになったという。科学者でありYouTuberでもあるくられ先生の動画を参考に作っているそうだ。
もちたまさんが自作している化粧水。約600円で大量に作れる(写真:「もちたま【元月収10万円女子】」より)
【手取り月収16万円のもちたまさん 1カ月の生活費内訳】家賃(Wi-Fi付き):4万5000円ジム(風呂代わり):2880円電気代(楽天電気):2600円水道:1500円スマホ(HISモバイル):1000円食費:3万3000円日用品:2000円洋服・美容:5000円交際費:0円交通費:1万円合計 約10万円
※副業での臨時収入も含めて、月々の平均貯蓄額は約10万円。その他、株の売却益、配当、投資信託の含み益などで資産1000万円を達成。
もちたまさんの約10万円だった収入は、その後、契約社員となったため月給16万円ほどに増えた(現在は退職し、転職活動中)。とはいえ月々の支出は変わらず約10万円。どうして1000万円も貯金できたのか不思議に思う方もいることだろう。
それはずばり副業収入による。基本的にパート収入で生活して、副業収入はすべて貯蓄に回す形で家計運用している。副業は、ハンドメイド販売やブログ、YouTubeだ。
「最初はハンドメイドのアクセサリー販売にチャレンジしました。1人買ってくれるとレビューがついて、そこからお客さんが増えていきます。でも、大きな収入にできる人はほんの一部。私も、材料費と初期投資を回収して月収1万円、年間でプラス10万円くらいとちょっとしたお小遣いにはなりましたが、大きな収入にはなりませんでした」
ハンドメイドが行き詰まったところで2019年に始めたのがYouTubeだ。広告収入は月によって大きな波があるものの、月平均で5万円を貯蓄に回せるようになった。
月収が増えた分と合わせれば、月々約10万円を貯蓄に回せる。
「生活費が10万円なら、年間120万以上稼げば貯金できます。もちろん家庭環境などにもよりますが、月収15万~20万円あればしっかり貯金できるなと思いました」
もちたまさんが販売していたハンドメイドのアクセサリー。口コミがつくことによって売り上げにつながった(写真:「もちたま【元月収10万円女子】」より)
副業収入を得ているとはいえ、それを加味した年収も、同年代の平均と比べても高収入とはいえない(厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」による)。そんな中でも節約・貯金ができた秘訣をもちたまさんに教えてもらった。
本を読み漁って知識を得る
「私は職場が図書館なので、そこで投資や節約術の本を100冊くらい片っ端から読んで勉強しました。『マネーという名の犬 12歳からの「お金」入門』(飛鳥新社)などの超初心者向けの本から入って、投資や株のキーワードで出てきたものを読み漁りました。その中で投資信託を知り、勉強してから株やつみたてNISAを始めました」
2014年~2015年頃の話なので、今のように投資信託の情報がYouTubeにたくさんアップされている時代ではない。知らないことを調べて、自分なりに実践していくもちたまさんの情報収集、実践能力が節約の背景にあることがうかがえる話だ。
節約をゲーム感覚で楽しむこと
「私の場合、家計簿は自作のエクセルでつけています。コツコツ記録して、グラフが右肩上がりになっていくのを見るのがすごく楽しいですね。毎日見たくなるし、貯金が趣味のようなものです」
貯金が趣味でなくても、例えば貯金箱を用意して「貯まっているんだな」と目に見える形で置いておくなどもおすすめだそう。お金を増やしていく過程をゲーム感覚で楽しむのが秘訣。先に出た「食費1カ月1万5000円生活」もゲーム感覚で取り組んだことの1つだ。節約を苦しいだけのものにしない工夫がわかる。
エクセルで管理している家計簿。毎日ではなく、月末に入力するのみだという(写真:「もちたま【元月収10万円女子】」より)
節約を頑張っているところを誰かに見てもらう
また、継続のコツは、人に見てもらうことだと話す。
この連載の一覧はこちら
「最初はブログで『食費1カ月1万5000円生活』を記録していたのですが、頑張っているのにあまり見てもらえず、コメントもつかなかった。リアクションがないと寂しくて『誰かコメントくれないかな』とYouTubeを始めました。そうしたらコメントをもらえるようになって、めちゃくちゃ励みになりました」
YouTubeに動画を上げるためにきちんと節約しよう、赤字になったら視聴者に怒られるな、と考えることが、さらなる節約のモチベーションにもなったそうだ。
「インスタなどでも、家計簿を上げている人をよく見かけます。インスタでもTwitterでも、コツコツ発信していけば節約仲間はできるので、情報を公開することをおすすめします」
SNSやインターネットにアップするのは向いていない、と感じる人は、家族や友人など身近な人だけに報告するという方法もある。公言することで、無駄遣いしないように見守ってもらえて、節約できた達成感を報告できる存在がいることは大きいだろう。
「苦しくて楽しくないことは続かないので、なるべく人を巻き込んで面白がりながら取り組むことが長続きの秘訣ではないでしょうか」
(くらま : 倹者の流儀/節約系ユーチューバー)

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