<独自>男児と同居前、妻にDVか 神戸市兆候見逃す 6歳遺体遺棄

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

穂坂修(なお)ちゃん(6)の遺体を遺棄したとして、死体遺棄容疑で再逮捕された叔父の大地容疑者(32)が修ちゃんらと同居する前、妻にドメスティックバイオレンス(DV)を繰り返していた疑いのあることが13日、捜査関係者などへの取材で分かった。
その後、同居した修ちゃんの体にあざが確認されるなど、異変がみられるようになった。神戸市は、こうした経緯を十分に把握しないまま一時保護などの措置を見送っており、当時の対応が問われそうだ。
近隣住民や捜査関係者などによると、大地容疑者は2年ほど前から神戸市長田区の県営住宅で妻と暮らし、たびたび妻へのDVが目撃されていた。昨年11月ごろには警察官が駆けつける騒ぎもあったという。
近所の70代女性は、妻が「ぎゃー」と悲鳴を上げながら廊下を走ったり、ベランダで何時間も泣き叫んだりするのを目撃。しばらくすると、大地容疑者は「はよ帰っておいで」などと優しい声で妻をなだめていたといい、女性は「悪いことをしたと思っていないようだった」と振り返る。
捜査関係者によると、大地容疑者は昨年、暴行容疑で兵庫県警に逮捕。その後、不起訴となったが、同11月末ごろに妻が家を出ていき、大地容疑者も翌12月ごろには修ちゃんらが住む同市西区の集合住宅に転居したとみられる。
この頃から、修ちゃん宅から怒鳴り声がするなど異変がみられ、修ちゃんは今年2月以降、保育園を休みがちに。久しぶりに登園した4月20日には園の職員が肩と尻にあざを確認し、修ちゃんは暴行を受けたことをほのめかした。
24日に園から連絡を受けた西区役所の職員が同日、家庭訪問したが、修ちゃんは不在で会えず、母親の沙喜容疑者(34)=死体遺棄容疑で逮捕=から「心当たりがない」と説明を受けた。この際、大地容疑者の存在は把握できず、区役所は修ちゃんが沙喜容疑者ら姉妹3人と祖母との5人暮らしと認識していたという。
区役所職員が修ちゃんと面会したのは5月1日。肩のあざは見当たらず、尻のあざについては服を脱がせて確認しなかった。大地容疑者の存在はこのときに把握したが、詳しい同居の経緯や居住実態などについては確認しなかったという。
児童虐待では、親の交際相手が同居後に暴行を始めるといったケースなどがよくみられる。虐待に詳しい東京通信大の才村純名誉教授は「家族構成の変化は虐待が起きやすい危険要素だ」と指摘する。
市の虐待対応マニュアルでは、虐待を疑う情報を得てから48時間以内に、原則目視で子供の安全を確認すると定めているが、今回はこれに違反していた。久元喜造市長は11日の定例会見で「職員は全力で確認しようとしたと思うが、結果的に接触できなかった」と釈明。市は一連の対応を検証するため、外部の有識者による第三者委員会を設置する方針だ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。