(被告の女)「赤ちゃんとずっと一緒にいるのが耐えられませんでした」 【写真を見る】「私でごめんね…」赤ちゃんの遺体を実家の庭に埋めた29歳の女 風俗店勤務で妊娠 共用トイレでたった1人で出産… 裁判で見えた「人生」 法廷でこう語った女は、自らが産んだ赤ちゃんの遺体を実家の庭に埋めた。 愛知県常滑市の無職・皆川琴美被告(29)。ことし4月、赤ちゃんの遺体を常滑市内にある実家の庭に埋めた、死体遺棄の罪に問われている。 なぜ皆川被告は、遺体を実家の庭に埋めるという犯行に至ったのか? 保育士を辞めて風俗店へ 皆川被告は大学を卒業して保育士として働いていたが、職場での人間関係に悩むなどして、保育士の仕事を辞め風俗店に勤務。2021年春ごろには実家を出て1人暮らしを始めた。
避妊をせずに客と性行為をすることもあったという。そうした生活の中で妊娠する。(弁護人)「妊娠に気づいていましたか?」(皆川被告)「気づいてないです。毎年夏バテするので、今年も夏バテかなと思いました」 妊娠に「気づかなかった」という皆川被告は4月上旬、たった1人で出産をする。出産した場所は、当時住んでいたマンションの共用トイレだった。(弁護人)「生まれた時の赤ちゃんの様子は?」(皆川被告)「泣いていなくて動いていなかった。赤ちゃんは死んでいるなと思いました」(弁護人)「誰かに連絡しようとは思いませんでしたか?」(皆川被告)「自分の中でも何が起こっているか分からず、携帯料金も支払えていなくて、連絡できる状況ではありませんでした」当時の生活状況について、旅行などの自分の趣味にお金を使い、電気やガスも止まっていたこと、健康保険証も持っておらず病院に行くことを控えていたことが、法廷で次々と明かされた。赤ちゃんは、死産だった。 赤ちゃんの遺体を紙袋に入れて実家へ。そして「埋めよう」… マンションの自分の部屋に戻り、赤ちゃんの遺体を浴室に置いたという皆川被告。取り調べでは「現実を受け止めきれず、視界に入れたくないと思った。見えなくなればどこでも良かった」と供述している。その後、母親に直接相談しようと実家へと向かう。赤ちゃんの遺体はタオルにくるみ、紙袋に入れて行った。 しかし、実家で家族と顔を合わせるも「怒られるのでは…」との思いから、風俗店で働いていることや妊娠したことを打ち明けることはなかった。遺体の入った紙袋をそばに置いたまま、一夜を過ごした。翌朝、母親が仕事に出て行った後の心境について、調書には「(遺体が入った)紙袋が目に入る度に現実を突きつけられた。目の前から赤ちゃんがいなくなってほしい一心だった」と残っている。そんな時、目に入ったのが実家の庭だった。 「埋めよう」。そう考えた皆川被告は花壇の土を手で掘った。紙袋から遺体を取り出し、掘った穴へ…。赤ちゃんはすっぽりと収まった。その際、タオルを取ることができず、赤ちゃんの顔も見られなかったという。「私でごめんね…育ててあげられなくてごめんね…」このとき初めて罪悪感を覚えた。 埋めた理由を、被告人質問でこう答えた。(弁護人)「なぜ埋めようと思いましたか?」(皆川被告)「赤ちゃんとずっと一緒にいるのが耐えられませんでした」 庭から出てきた遺体…そして事件が発覚 遺体を埋めてから1週間以上が経った4月18日。午前10時ごろ、皆川被告の母親が花壇で草むしりをしていると、土の中にピンク色のタオルを見つけた。洗濯物かと思ってタオルを持ち上げると、”肉の塊のようなもの“が見えた。母親は気持ちが悪いと思い、リビングにいた息子(皆川被告の弟)を呼んで見てもらうと、息子は言った。「これあれだぞ、人だぞ」 赤ちゃんの遺体が埋められていた花壇は、外部の人が入ってくるような場所ではない。娘がやったのではないかと不安になった母親が皆川被告に電話するも、皆川被告が出ることはなかった。その後、死体遺棄の疑いで娘が逮捕されたと、警察から知らされた。証言台に立った皆川被告の母親は「どうしてこうなってしまったのか…もっと私が聞いていたら…娘の『大丈夫だよ、なんとかやっているから』という言葉を鵜呑みにしてしまった」と声を震わせた。 裁判官は皆川被告に「出産した時、自分の部屋に戻った時、実家に行った時…やり直す機会はいくらでもあった。目の前の現実を見たくない気持ちは分からなくもないが、流されすぎではないか」「心配なのはこれから。また状況に流されて楽な方を選んでしまうのではないか?」と問いかけた。これに対し皆川被告は「今回、大事なことを言うというのができなかった。自分の中で解決するのではなく、周りに相談していきたい」と答えた。 検察側は「自己に不都合な事実から目を背けたいという自己中心的かつ身勝手な理由で遺棄に及んだ」だとして懲役1年6か月を求刑。一方、弁護側は「赤ちゃんが死亡していて動揺し、冷静な判断ができなかった」、「深く反省しており、社会の中で更生が可能」などとして執行猶予付きの判決を求めた。最後に、皆川被告はこう述べた。「今回、このような事件を起こしてしまって、色んな人に迷惑をかけてしまったので、赤ちゃんのことを忘れず、供養しながら家族や周りに支えてもらいながら、やり直していきたい」。判決は、7月21日に言い渡される。
(被告の女)「赤ちゃんとずっと一緒にいるのが耐えられませんでした」
【写真を見る】「私でごめんね…」赤ちゃんの遺体を実家の庭に埋めた29歳の女 風俗店勤務で妊娠 共用トイレでたった1人で出産… 裁判で見えた「人生」 法廷でこう語った女は、自らが産んだ赤ちゃんの遺体を実家の庭に埋めた。 愛知県常滑市の無職・皆川琴美被告(29)。ことし4月、赤ちゃんの遺体を常滑市内にある実家の庭に埋めた、死体遺棄の罪に問われている。 なぜ皆川被告は、遺体を実家の庭に埋めるという犯行に至ったのか? 保育士を辞めて風俗店へ 皆川被告は大学を卒業して保育士として働いていたが、職場での人間関係に悩むなどして、保育士の仕事を辞め風俗店に勤務。2021年春ごろには実家を出て1人暮らしを始めた。
避妊をせずに客と性行為をすることもあったという。そうした生活の中で妊娠する。(弁護人)「妊娠に気づいていましたか?」(皆川被告)「気づいてないです。毎年夏バテするので、今年も夏バテかなと思いました」 妊娠に「気づかなかった」という皆川被告は4月上旬、たった1人で出産をする。出産した場所は、当時住んでいたマンションの共用トイレだった。(弁護人)「生まれた時の赤ちゃんの様子は?」(皆川被告)「泣いていなくて動いていなかった。赤ちゃんは死んでいるなと思いました」(弁護人)「誰かに連絡しようとは思いませんでしたか?」(皆川被告)「自分の中でも何が起こっているか分からず、携帯料金も支払えていなくて、連絡できる状況ではありませんでした」当時の生活状況について、旅行などの自分の趣味にお金を使い、電気やガスも止まっていたこと、健康保険証も持っておらず病院に行くことを控えていたことが、法廷で次々と明かされた。赤ちゃんは、死産だった。 赤ちゃんの遺体を紙袋に入れて実家へ。そして「埋めよう」… マンションの自分の部屋に戻り、赤ちゃんの遺体を浴室に置いたという皆川被告。取り調べでは「現実を受け止めきれず、視界に入れたくないと思った。見えなくなればどこでも良かった」と供述している。その後、母親に直接相談しようと実家へと向かう。赤ちゃんの遺体はタオルにくるみ、紙袋に入れて行った。 しかし、実家で家族と顔を合わせるも「怒られるのでは…」との思いから、風俗店で働いていることや妊娠したことを打ち明けることはなかった。遺体の入った紙袋をそばに置いたまま、一夜を過ごした。翌朝、母親が仕事に出て行った後の心境について、調書には「(遺体が入った)紙袋が目に入る度に現実を突きつけられた。目の前から赤ちゃんがいなくなってほしい一心だった」と残っている。そんな時、目に入ったのが実家の庭だった。 「埋めよう」。そう考えた皆川被告は花壇の土を手で掘った。紙袋から遺体を取り出し、掘った穴へ…。赤ちゃんはすっぽりと収まった。その際、タオルを取ることができず、赤ちゃんの顔も見られなかったという。「私でごめんね…育ててあげられなくてごめんね…」このとき初めて罪悪感を覚えた。 埋めた理由を、被告人質問でこう答えた。(弁護人)「なぜ埋めようと思いましたか?」(皆川被告)「赤ちゃんとずっと一緒にいるのが耐えられませんでした」 庭から出てきた遺体…そして事件が発覚 遺体を埋めてから1週間以上が経った4月18日。午前10時ごろ、皆川被告の母親が花壇で草むしりをしていると、土の中にピンク色のタオルを見つけた。洗濯物かと思ってタオルを持ち上げると、”肉の塊のようなもの“が見えた。母親は気持ちが悪いと思い、リビングにいた息子(皆川被告の弟)を呼んで見てもらうと、息子は言った。「これあれだぞ、人だぞ」 赤ちゃんの遺体が埋められていた花壇は、外部の人が入ってくるような場所ではない。娘がやったのではないかと不安になった母親が皆川被告に電話するも、皆川被告が出ることはなかった。その後、死体遺棄の疑いで娘が逮捕されたと、警察から知らされた。証言台に立った皆川被告の母親は「どうしてこうなってしまったのか…もっと私が聞いていたら…娘の『大丈夫だよ、なんとかやっているから』という言葉を鵜呑みにしてしまった」と声を震わせた。 裁判官は皆川被告に「出産した時、自分の部屋に戻った時、実家に行った時…やり直す機会はいくらでもあった。目の前の現実を見たくない気持ちは分からなくもないが、流されすぎではないか」「心配なのはこれから。また状況に流されて楽な方を選んでしまうのではないか?」と問いかけた。これに対し皆川被告は「今回、大事なことを言うというのができなかった。自分の中で解決するのではなく、周りに相談していきたい」と答えた。 検察側は「自己に不都合な事実から目を背けたいという自己中心的かつ身勝手な理由で遺棄に及んだ」だとして懲役1年6か月を求刑。一方、弁護側は「赤ちゃんが死亡していて動揺し、冷静な判断ができなかった」、「深く反省しており、社会の中で更生が可能」などとして執行猶予付きの判決を求めた。最後に、皆川被告はこう述べた。「今回、このような事件を起こしてしまって、色んな人に迷惑をかけてしまったので、赤ちゃんのことを忘れず、供養しながら家族や周りに支えてもらいながら、やり直していきたい」。判決は、7月21日に言い渡される。
法廷でこう語った女は、自らが産んだ赤ちゃんの遺体を実家の庭に埋めた。
愛知県常滑市の無職・皆川琴美被告(29)。ことし4月、赤ちゃんの遺体を常滑市内にある実家の庭に埋めた、死体遺棄の罪に問われている。
なぜ皆川被告は、遺体を実家の庭に埋めるという犯行に至ったのか?
皆川被告は大学を卒業して保育士として働いていたが、職場での人間関係に悩むなどして、保育士の仕事を辞め風俗店に勤務。2021年春ごろには実家を出て1人暮らしを始めた。
避妊をせずに客と性行為をすることもあったという。そうした生活の中で妊娠する。
(弁護人)「妊娠に気づいていましたか?」(皆川被告)「気づいてないです。毎年夏バテするので、今年も夏バテかなと思いました」
妊娠に「気づかなかった」という皆川被告は4月上旬、たった1人で出産をする。出産した場所は、当時住んでいたマンションの共用トイレだった。
(弁護人)「生まれた時の赤ちゃんの様子は?」(皆川被告)「泣いていなくて動いていなかった。赤ちゃんは死んでいるなと思いました」
(弁護人)「誰かに連絡しようとは思いませんでしたか?」(皆川被告)「自分の中でも何が起こっているか分からず、携帯料金も支払えていなくて、連絡できる状況ではありませんでした」
当時の生活状況について、旅行などの自分の趣味にお金を使い、電気やガスも止まっていたこと、健康保険証も持っておらず病院に行くことを控えていたことが、法廷で次々と明かされた。
赤ちゃんは、死産だった。
マンションの自分の部屋に戻り、赤ちゃんの遺体を浴室に置いたという皆川被告。取り調べでは「現実を受け止めきれず、視界に入れたくないと思った。見えなくなればどこでも良かった」と供述している。
その後、母親に直接相談しようと実家へと向かう。赤ちゃんの遺体はタオルにくるみ、紙袋に入れて行った。
しかし、実家で家族と顔を合わせるも「怒られるのでは…」との思いから、風俗店で働いていることや妊娠したことを打ち明けることはなかった。
遺体の入った紙袋をそばに置いたまま、一夜を過ごした。
翌朝、母親が仕事に出て行った後の心境について、調書には「(遺体が入った)紙袋が目に入る度に現実を突きつけられた。目の前から赤ちゃんがいなくなってほしい一心だった」と残っている。
そんな時、目に入ったのが実家の庭だった。
「埋めよう」。
そう考えた皆川被告は花壇の土を手で掘った。紙袋から遺体を取り出し、掘った穴へ…。赤ちゃんはすっぽりと収まった。
その際、タオルを取ることができず、赤ちゃんの顔も見られなかったという。
「私でごめんね…育ててあげられなくてごめんね…」
このとき初めて罪悪感を覚えた。
埋めた理由を、被告人質問でこう答えた。
(弁護人)「なぜ埋めようと思いましたか?」(皆川被告)「赤ちゃんとずっと一緒にいるのが耐えられませんでした」
遺体を埋めてから1週間以上が経った4月18日。
午前10時ごろ、皆川被告の母親が花壇で草むしりをしていると、土の中にピンク色のタオルを見つけた。洗濯物かと思ってタオルを持ち上げると、”肉の塊のようなもの“が見えた。
母親は気持ちが悪いと思い、リビングにいた息子(皆川被告の弟)を呼んで見てもらうと、息子は言った。
「これあれだぞ、人だぞ」
赤ちゃんの遺体が埋められていた花壇は、外部の人が入ってくるような場所ではない。娘がやったのではないかと不安になった母親が皆川被告に電話するも、皆川被告が出ることはなかった。
その後、死体遺棄の疑いで娘が逮捕されたと、警察から知らされた。
証言台に立った皆川被告の母親は「どうしてこうなってしまったのか…もっと私が聞いていたら…娘の『大丈夫だよ、なんとかやっているから』という言葉を鵜呑みにしてしまった」と声を震わせた。
裁判官は皆川被告に「出産した時、自分の部屋に戻った時、実家に行った時…やり直す機会はいくらでもあった。目の前の現実を見たくない気持ちは分からなくもないが、流されすぎではないか」「心配なのはこれから。また状況に流されて楽な方を選んでしまうのではないか?」と問いかけた。
これに対し皆川被告は「今回、大事なことを言うというのができなかった。自分の中で解決するのではなく、周りに相談していきたい」と答えた。
検察側は「自己に不都合な事実から目を背けたいという自己中心的かつ身勝手な理由で遺棄に及んだ」だとして懲役1年6か月を求刑。
一方、弁護側は「赤ちゃんが死亡していて動揺し、冷静な判断ができなかった」、「深く反省しており、社会の中で更生が可能」などとして執行猶予付きの判決を求めた。
最後に、皆川被告はこう述べた。
「今回、このような事件を起こしてしまって、色んな人に迷惑をかけてしまったので、赤ちゃんのことを忘れず、供養しながら家族や周りに支えてもらいながら、やり直していきたい」。