「エリートだけが先祖になれるんだよね」港区女子らに“1億円出産依頼”する総資産3000億円超の「光通信」会長・重田康光氏(58)が持つ“ブッ飛んだ思想”とは《本人に直撃》

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「ある資産家の精子で出産したら報酬は子供人数×1億円」港区女子LINEグループでまわる“1億円出産案件”の驚くべき依頼者《ナゾの男との面接内容とは…》 から続く
〈知人の資産家が余生の財産の使い道の1つとして、子孫を残したいとのことで、子供は欲しいけど、旦那さんは当面必要ないという女性を探してらっしゃいます〉
【画像】女性との面接に現れた“1億円出産案件の依頼者”の姿「キャップにボーダーTシャツを着て…」
〈ざっくり1億円が出産後に女性に渡され、仲介手数料として僕たちに500万円をお渡しいただく形です。子ども1人の出産につき9500万円をもらえます。人数増えればもちろん報酬も増えます〉
いま、港区女子のLINEグループで出回っている“出産案件”の募集。#1では資産家の代理人、オオタを名乗る男性による面接の様子を詳報した。面接での録音データやA子さんら関係者の証言から、以下のようなことが明らかになっている。
〈・ある資産家が自分の子どもを産んでくれる女性を探している・性交渉ではなく体外受精で妊娠する・体外受精は男兄弟などの保険証を利用し“既婚者”のフリをしてクリニックで行う・出産すれば、子ども1人当たり女性に9500万円が、紹介者に500万円が支払われる・報酬は現金で手渡し・子供に相続権は発生しない・子供が優秀な場合は学費の援助や依頼者の会社で役員登用される可能性がある〉
しかし、依頼者の名前は徹底的に隠されていた。実際、A子さんが受けた面接でもその名は明かされていない。ただ、港区界隈では“ある有名企業家”の名前が噂にのぼっているのだ。港区女子がこう明かす。
出産案件で面接したA子さんに“ナゾの男”オオタ氏から送られてきたLINE(#1)
「噂は耳にしていましたが、スカウトに依頼者は誰なのかを改めて問うと、ある男性の写真を送ってきたんです。ですが私の既読がついた途端にすぐに『送信取消』して消されてしまいました。その写真にうつっていたのは、港区で噂されていた“ある有名企業家”の顔でした……」
噂の的になっている有名企業家の名は重田康光氏(58)。東証プライム市場に上場するIT企業「株式会社光通信」の創業者で現会長で、経済誌「フォーブス」において2023年の日本長者番付で12位にランクインするなど、総資産3000億円を超える経済界の超大物だ。
怪しげな出産案件にはそぐわないほどのビッグネーム。果たして本当に重田氏が出産案件の依頼者なのだろうか――。
ついに“依頼者”が女性と直接面談する場が発覚 取材を進めると、ある経営者からこの資産家が実際に出産を検討している女性と面談するという情報がもたらされた。話によると、面談が行われるのは3月24日昼。場所は東京・千代田区の高級ホテルにある懐石料理店だという。 取材班が懐石料理店の周辺で依頼者の到着を待っていると、キャップを被り、ボーダーのTシャツを着た中年男性が現れた。確かに面立ちが重田氏に酷似している。そして男性が入った懐石料理店の個室に、色白で背の高いモデル風の美女が入っていった。 しばらくして個室の前を通りかかると、男性の声がかすかに漏れ聞こえてきた。聞き取れた男性の発言は以下の通りだ。「エリートだけが先祖になれるんだよね」「存在するっていうのは好きなんだけど。子供をすごく好きっていうタイプとはちょっと違う。まず子供がちゃんと育っていくとか、存在してるっていう概念は好きなんだけど」「僕の方は、親としての役割ができるわけじゃないんですごく大事に育ててくれるんだったらもう、それ以上僕がどうかという話じゃない」「生命体の目的は何かあったら、種を残すとそれしかあんまり仕事ってないんだよ。残したやつは勝ちで、残せなかった人は負け」「エリートだけが先祖になれるんだよね。そういう意味でいえばエリートにならなきゃいけないんだよね」 そのほかにも、報酬の1億円について、高配当の株に投資することで7%の利回りで運用できれば毎年700万円もらえる計算になるなどといった、1億円の使い方についても指南していた。 確かに、巷で話題になっている出産案件の依頼者と応募者を彷彿とさせる話に思える。出産案件の依頼者はやはり重田氏だった しばらくすると、個室から美女が退室し、しばらくして男性も退店した。男性はホテルのエントランスに待たせていた運転手付きのヴェルファイアに乗りこみ、その場を去った。 男性は確かに重田氏と似ていたが、同一人物なのかの確証が得られたわけではない。そこで取材班は5月17日、重田氏の自宅に赴いた。すると、ホテルで男性が乗り込んだヴェルファイアと同じ車が駐車場に停まっていたのだ。 同日15時すぎ、重田氏の自宅から男性が出てきた。ホテルで美女と“面会”をしていたあの男性だ。この日もキャップにボーダーTシャツをきていた。男性は自宅からヴェルファイアに乗り込み、赤坂の整体院に入店。約1時間後、A子さんの面接に現れたオオタ氏が、高級ブランド「セリーヌ」の紙袋に入った荷物をヴェルファイアに乗せると、その場を離れた。ほどなくして、ヴェルファイアは整体院から出てきた男性を迎えると走り去っていった。 出産案件の依頼者は、やはり重田氏だったようだ。 重田氏のように、“女性に報酬を支払って体外受精などで自身の子を産んでもらうこと”は犯罪には当たらない。だが、倫理上の様々な問題をはらんでおり、第三者への精子提供については世界中で法整備が現在進められているところだ。近親相姦、アイデンティティの危機…さまざまなリスク まず、この出産案件のように、第三者の精子提供により生まれてきた子どもは父親を知らずに育っていく可能性がある。子どもが遺伝的ルーツを知るための「出自を知る権利」はアイデンティティの確立においても重要視されており、イギリスやドイツ、スウェーデンなど欧米諸国ではこうした権利を保障するようになった。 また、第三者の精子提供により生まれてきた子どもは遺伝的疾患の有無を知ることができなかったり、ある1人の男性が多くの女性に精子提供することで近親相姦のリスクが高まったりと、世界各地で多くの問題が浮上している。 男性不妊治療を専門として診てきた「みらい生命研究所」の代表取締役・岡田弘医師はこう話す。「現在の日本における問題として、提供配偶子を用いた生殖補助医療に関する法整備がないことや出自を知る権利を保障するための情報提供機関が未登録であること、多様な家族の形に法整備が追い付いていないことなどが挙げられます。 日本では日本産科婦人科学会の会告が実質的なガイドラインになっており、この中で同一の精子提供者からの出生児は10人以内と規定されているほか、海外でも法律などによって近親相姦のリスクを減らすため、1人の男性の精子提供に偏らないよう定めています」 今年4月には、オランダの裁判所が精子提供を通じて550人以上の子どもの父親となったとされる男性に対し、これ以上の精子提供を禁じる命令を出したことが大きく報道された。“1億円出産案件”は「倫理的な問題をはらむ」 また、前出のA子さんがオオタ氏から受けた説明を鑑みると、家族とはいえ他人の保険証を使って病院を受診し、多額の現金を受け取ることに問題はないのだろうか。ある弁護士はこう話す。「具体的に病院でどういった手続きをするのか具体的な例がないと申し上げづらいですが、一般論として、他人の保険証を使ってその他人であるとだまして病院を受診し利益を受けることは詐欺罪に当たります」 現金1億円を受け取ることについて、国税庁職員はこう話す。「どういう建て付けで1億円をもらったのかによって税務処理が変わってきますが、当然税務署に申告する必要があります。悪質性など総合的に勘案しますが、無申告のままだと贈与を受けた側が無申告加算税といったペナルティが科せられます」 実際、重田氏や女性に刑事的責任が発生する可能性は低いとしても、倫理的な問題をいくつもはらんでいることは明らかだ。 見解を問うべく、重田氏を直撃した。記者の直撃に“出産案件の依頼者”重田氏は…?――「文春オンライン」の記者です。1億円の出産案件について取材をしていて……。「なんですか?」――重田さんが提供した精子で体外受精し、出産したら1億円の報酬が得られる、という話が出回っています。「聞いたことないです」――オオタさんはご存知ないですか?「知らないです」――3月24日にホテル(※会話では実名)で女性とお食事会をされていました。そのときにも出産案件についてお話しされていましたが。「聞いたことないです」 重田氏は笑みを浮かべることもあったが、質問を肯定することは一度もなかった。記者が差し出した名刺を受け取ることなく、迎えに来たヴェルファイアに素早く乗り込むとその場を後にした。このヴェルファイアはこれまで取材班が重田氏の自宅や女性と面会していたホテルなどで目撃してきた送迎車と同じナンバーだった。 取材班は、重田氏が代表取締役会長を務める株式会社光通信と重田氏の自宅に質問状を送付した。 質問状には、“出産案件”の各条件は重田氏が指示したものなのか、面接を行っているオオタ氏とはどんな関係なのかといった事実確認に加え、不特定多数の女性に精子提供することによって生じうる諸問題についての見解や、そもそもなぜこうした行為を行うのかについての質問も加えた。 しかし期日までに回答がくることはなかった。 オランダで精子提供により550人以上の子どもの父親しかり、不特定多数の女性に精子提供し、多くの子どもを産んでほしいと考える理由は一体なんなのだろうか。 第三者による精子提供にまつわる法や制度の整備が進む昨今において、彼らの持つ“欲望”を無視することはできない。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
取材を進めると、ある経営者からこの資産家が実際に出産を検討している女性と面談するという情報がもたらされた。話によると、面談が行われるのは3月24日昼。場所は東京・千代田区の高級ホテルにある懐石料理店だという。
取材班が懐石料理店の周辺で依頼者の到着を待っていると、キャップを被り、ボーダーのTシャツを着た中年男性が現れた。確かに面立ちが重田氏に酷似している。そして男性が入った懐石料理店の個室に、色白で背の高いモデル風の美女が入っていった。
しばらくして個室の前を通りかかると、男性の声がかすかに漏れ聞こえてきた。聞き取れた男性の発言は以下の通りだ。
「存在するっていうのは好きなんだけど。子供をすごく好きっていうタイプとはちょっと違う。まず子供がちゃんと育っていくとか、存在してるっていう概念は好きなんだけど」
「僕の方は、親としての役割ができるわけじゃないんですごく大事に育ててくれるんだったらもう、それ以上僕がどうかという話じゃない」
「生命体の目的は何かあったら、種を残すとそれしかあんまり仕事ってないんだよ。残したやつは勝ちで、残せなかった人は負け」
「エリートだけが先祖になれるんだよね。そういう意味でいえばエリートにならなきゃいけないんだよね」
そのほかにも、報酬の1億円について、高配当の株に投資することで7%の利回りで運用できれば毎年700万円もらえる計算になるなどといった、1億円の使い方についても指南していた。
確かに、巷で話題になっている出産案件の依頼者と応募者を彷彿とさせる話に思える。
出産案件の依頼者はやはり重田氏だった しばらくすると、個室から美女が退室し、しばらくして男性も退店した。男性はホテルのエントランスに待たせていた運転手付きのヴェルファイアに乗りこみ、その場を去った。 男性は確かに重田氏と似ていたが、同一人物なのかの確証が得られたわけではない。そこで取材班は5月17日、重田氏の自宅に赴いた。すると、ホテルで男性が乗り込んだヴェルファイアと同じ車が駐車場に停まっていたのだ。 同日15時すぎ、重田氏の自宅から男性が出てきた。ホテルで美女と“面会”をしていたあの男性だ。この日もキャップにボーダーTシャツをきていた。男性は自宅からヴェルファイアに乗り込み、赤坂の整体院に入店。約1時間後、A子さんの面接に現れたオオタ氏が、高級ブランド「セリーヌ」の紙袋に入った荷物をヴェルファイアに乗せると、その場を離れた。ほどなくして、ヴェルファイアは整体院から出てきた男性を迎えると走り去っていった。 出産案件の依頼者は、やはり重田氏だったようだ。 重田氏のように、“女性に報酬を支払って体外受精などで自身の子を産んでもらうこと”は犯罪には当たらない。だが、倫理上の様々な問題をはらんでおり、第三者への精子提供については世界中で法整備が現在進められているところだ。近親相姦、アイデンティティの危機…さまざまなリスク まず、この出産案件のように、第三者の精子提供により生まれてきた子どもは父親を知らずに育っていく可能性がある。子どもが遺伝的ルーツを知るための「出自を知る権利」はアイデンティティの確立においても重要視されており、イギリスやドイツ、スウェーデンなど欧米諸国ではこうした権利を保障するようになった。 また、第三者の精子提供により生まれてきた子どもは遺伝的疾患の有無を知ることができなかったり、ある1人の男性が多くの女性に精子提供することで近親相姦のリスクが高まったりと、世界各地で多くの問題が浮上している。 男性不妊治療を専門として診てきた「みらい生命研究所」の代表取締役・岡田弘医師はこう話す。「現在の日本における問題として、提供配偶子を用いた生殖補助医療に関する法整備がないことや出自を知る権利を保障するための情報提供機関が未登録であること、多様な家族の形に法整備が追い付いていないことなどが挙げられます。 日本では日本産科婦人科学会の会告が実質的なガイドラインになっており、この中で同一の精子提供者からの出生児は10人以内と規定されているほか、海外でも法律などによって近親相姦のリスクを減らすため、1人の男性の精子提供に偏らないよう定めています」 今年4月には、オランダの裁判所が精子提供を通じて550人以上の子どもの父親となったとされる男性に対し、これ以上の精子提供を禁じる命令を出したことが大きく報道された。“1億円出産案件”は「倫理的な問題をはらむ」 また、前出のA子さんがオオタ氏から受けた説明を鑑みると、家族とはいえ他人の保険証を使って病院を受診し、多額の現金を受け取ることに問題はないのだろうか。ある弁護士はこう話す。「具体的に病院でどういった手続きをするのか具体的な例がないと申し上げづらいですが、一般論として、他人の保険証を使ってその他人であるとだまして病院を受診し利益を受けることは詐欺罪に当たります」 現金1億円を受け取ることについて、国税庁職員はこう話す。「どういう建て付けで1億円をもらったのかによって税務処理が変わってきますが、当然税務署に申告する必要があります。悪質性など総合的に勘案しますが、無申告のままだと贈与を受けた側が無申告加算税といったペナルティが科せられます」 実際、重田氏や女性に刑事的責任が発生する可能性は低いとしても、倫理的な問題をいくつもはらんでいることは明らかだ。 見解を問うべく、重田氏を直撃した。記者の直撃に“出産案件の依頼者”重田氏は…?――「文春オンライン」の記者です。1億円の出産案件について取材をしていて……。「なんですか?」――重田さんが提供した精子で体外受精し、出産したら1億円の報酬が得られる、という話が出回っています。「聞いたことないです」――オオタさんはご存知ないですか?「知らないです」――3月24日にホテル(※会話では実名)で女性とお食事会をされていました。そのときにも出産案件についてお話しされていましたが。「聞いたことないです」 重田氏は笑みを浮かべることもあったが、質問を肯定することは一度もなかった。記者が差し出した名刺を受け取ることなく、迎えに来たヴェルファイアに素早く乗り込むとその場を後にした。このヴェルファイアはこれまで取材班が重田氏の自宅や女性と面会していたホテルなどで目撃してきた送迎車と同じナンバーだった。 取材班は、重田氏が代表取締役会長を務める株式会社光通信と重田氏の自宅に質問状を送付した。 質問状には、“出産案件”の各条件は重田氏が指示したものなのか、面接を行っているオオタ氏とはどんな関係なのかといった事実確認に加え、不特定多数の女性に精子提供することによって生じうる諸問題についての見解や、そもそもなぜこうした行為を行うのかについての質問も加えた。 しかし期日までに回答がくることはなかった。 オランダで精子提供により550人以上の子どもの父親しかり、不特定多数の女性に精子提供し、多くの子どもを産んでほしいと考える理由は一体なんなのだろうか。 第三者による精子提供にまつわる法や制度の整備が進む昨今において、彼らの持つ“欲望”を無視することはできない。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
しばらくすると、個室から美女が退室し、しばらくして男性も退店した。男性はホテルのエントランスに待たせていた運転手付きのヴェルファイアに乗りこみ、その場を去った。
男性は確かに重田氏と似ていたが、同一人物なのかの確証が得られたわけではない。そこで取材班は5月17日、重田氏の自宅に赴いた。すると、ホテルで男性が乗り込んだヴェルファイアと同じ車が駐車場に停まっていたのだ。
同日15時すぎ、重田氏の自宅から男性が出てきた。ホテルで美女と“面会”をしていたあの男性だ。この日もキャップにボーダーTシャツをきていた。男性は自宅からヴェルファイアに乗り込み、赤坂の整体院に入店。約1時間後、A子さんの面接に現れたオオタ氏が、高級ブランド「セリーヌ」の紙袋に入った荷物をヴェルファイアに乗せると、その場を離れた。ほどなくして、ヴェルファイアは整体院から出てきた男性を迎えると走り去っていった。 出産案件の依頼者は、やはり重田氏だったようだ。 重田氏のように、“女性に報酬を支払って体外受精などで自身の子を産んでもらうこと”は犯罪には当たらない。だが、倫理上の様々な問題をはらんでおり、第三者への精子提供については世界中で法整備が現在進められているところだ。近親相姦、アイデンティティの危機…さまざまなリスク まず、この出産案件のように、第三者の精子提供により生まれてきた子どもは父親を知らずに育っていく可能性がある。子どもが遺伝的ルーツを知るための「出自を知る権利」はアイデンティティの確立においても重要視されており、イギリスやドイツ、スウェーデンなど欧米諸国ではこうした権利を保障するようになった。 また、第三者の精子提供により生まれてきた子どもは遺伝的疾患の有無を知ることができなかったり、ある1人の男性が多くの女性に精子提供することで近親相姦のリスクが高まったりと、世界各地で多くの問題が浮上している。 男性不妊治療を専門として診てきた「みらい生命研究所」の代表取締役・岡田弘医師はこう話す。「現在の日本における問題として、提供配偶子を用いた生殖補助医療に関する法整備がないことや出自を知る権利を保障するための情報提供機関が未登録であること、多様な家族の形に法整備が追い付いていないことなどが挙げられます。 日本では日本産科婦人科学会の会告が実質的なガイドラインになっており、この中で同一の精子提供者からの出生児は10人以内と規定されているほか、海外でも法律などによって近親相姦のリスクを減らすため、1人の男性の精子提供に偏らないよう定めています」 今年4月には、オランダの裁判所が精子提供を通じて550人以上の子どもの父親となったとされる男性に対し、これ以上の精子提供を禁じる命令を出したことが大きく報道された。“1億円出産案件”は「倫理的な問題をはらむ」 また、前出のA子さんがオオタ氏から受けた説明を鑑みると、家族とはいえ他人の保険証を使って病院を受診し、多額の現金を受け取ることに問題はないのだろうか。ある弁護士はこう話す。「具体的に病院でどういった手続きをするのか具体的な例がないと申し上げづらいですが、一般論として、他人の保険証を使ってその他人であるとだまして病院を受診し利益を受けることは詐欺罪に当たります」 現金1億円を受け取ることについて、国税庁職員はこう話す。「どういう建て付けで1億円をもらったのかによって税務処理が変わってきますが、当然税務署に申告する必要があります。悪質性など総合的に勘案しますが、無申告のままだと贈与を受けた側が無申告加算税といったペナルティが科せられます」 実際、重田氏や女性に刑事的責任が発生する可能性は低いとしても、倫理的な問題をいくつもはらんでいることは明らかだ。 見解を問うべく、重田氏を直撃した。記者の直撃に“出産案件の依頼者”重田氏は…?――「文春オンライン」の記者です。1億円の出産案件について取材をしていて……。「なんですか?」――重田さんが提供した精子で体外受精し、出産したら1億円の報酬が得られる、という話が出回っています。「聞いたことないです」――オオタさんはご存知ないですか?「知らないです」――3月24日にホテル(※会話では実名)で女性とお食事会をされていました。そのときにも出産案件についてお話しされていましたが。「聞いたことないです」 重田氏は笑みを浮かべることもあったが、質問を肯定することは一度もなかった。記者が差し出した名刺を受け取ることなく、迎えに来たヴェルファイアに素早く乗り込むとその場を後にした。このヴェルファイアはこれまで取材班が重田氏の自宅や女性と面会していたホテルなどで目撃してきた送迎車と同じナンバーだった。 取材班は、重田氏が代表取締役会長を務める株式会社光通信と重田氏の自宅に質問状を送付した。 質問状には、“出産案件”の各条件は重田氏が指示したものなのか、面接を行っているオオタ氏とはどんな関係なのかといった事実確認に加え、不特定多数の女性に精子提供することによって生じうる諸問題についての見解や、そもそもなぜこうした行為を行うのかについての質問も加えた。 しかし期日までに回答がくることはなかった。 オランダで精子提供により550人以上の子どもの父親しかり、不特定多数の女性に精子提供し、多くの子どもを産んでほしいと考える理由は一体なんなのだろうか。 第三者による精子提供にまつわる法や制度の整備が進む昨今において、彼らの持つ“欲望”を無視することはできない。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
同日15時すぎ、重田氏の自宅から男性が出てきた。ホテルで美女と“面会”をしていたあの男性だ。この日もキャップにボーダーTシャツをきていた。男性は自宅からヴェルファイアに乗り込み、赤坂の整体院に入店。約1時間後、A子さんの面接に現れたオオタ氏が、高級ブランド「セリーヌ」の紙袋に入った荷物をヴェルファイアに乗せると、その場を離れた。ほどなくして、ヴェルファイアは整体院から出てきた男性を迎えると走り去っていった。
出産案件の依頼者は、やはり重田氏だったようだ。
重田氏のように、“女性に報酬を支払って体外受精などで自身の子を産んでもらうこと”は犯罪には当たらない。だが、倫理上の様々な問題をはらんでおり、第三者への精子提供については世界中で法整備が現在進められているところだ。近親相姦、アイデンティティの危機…さまざまなリスク まず、この出産案件のように、第三者の精子提供により生まれてきた子どもは父親を知らずに育っていく可能性がある。子どもが遺伝的ルーツを知るための「出自を知る権利」はアイデンティティの確立においても重要視されており、イギリスやドイツ、スウェーデンなど欧米諸国ではこうした権利を保障するようになった。 また、第三者の精子提供により生まれてきた子どもは遺伝的疾患の有無を知ることができなかったり、ある1人の男性が多くの女性に精子提供することで近親相姦のリスクが高まったりと、世界各地で多くの問題が浮上している。 男性不妊治療を専門として診てきた「みらい生命研究所」の代表取締役・岡田弘医師はこう話す。「現在の日本における問題として、提供配偶子を用いた生殖補助医療に関する法整備がないことや出自を知る権利を保障するための情報提供機関が未登録であること、多様な家族の形に法整備が追い付いていないことなどが挙げられます。 日本では日本産科婦人科学会の会告が実質的なガイドラインになっており、この中で同一の精子提供者からの出生児は10人以内と規定されているほか、海外でも法律などによって近親相姦のリスクを減らすため、1人の男性の精子提供に偏らないよう定めています」 今年4月には、オランダの裁判所が精子提供を通じて550人以上の子どもの父親となったとされる男性に対し、これ以上の精子提供を禁じる命令を出したことが大きく報道された。“1億円出産案件”は「倫理的な問題をはらむ」 また、前出のA子さんがオオタ氏から受けた説明を鑑みると、家族とはいえ他人の保険証を使って病院を受診し、多額の現金を受け取ることに問題はないのだろうか。ある弁護士はこう話す。「具体的に病院でどういった手続きをするのか具体的な例がないと申し上げづらいですが、一般論として、他人の保険証を使ってその他人であるとだまして病院を受診し利益を受けることは詐欺罪に当たります」 現金1億円を受け取ることについて、国税庁職員はこう話す。「どういう建て付けで1億円をもらったのかによって税務処理が変わってきますが、当然税務署に申告する必要があります。悪質性など総合的に勘案しますが、無申告のままだと贈与を受けた側が無申告加算税といったペナルティが科せられます」 実際、重田氏や女性に刑事的責任が発生する可能性は低いとしても、倫理的な問題をいくつもはらんでいることは明らかだ。 見解を問うべく、重田氏を直撃した。記者の直撃に“出産案件の依頼者”重田氏は…?――「文春オンライン」の記者です。1億円の出産案件について取材をしていて……。「なんですか?」――重田さんが提供した精子で体外受精し、出産したら1億円の報酬が得られる、という話が出回っています。「聞いたことないです」――オオタさんはご存知ないですか?「知らないです」――3月24日にホテル(※会話では実名)で女性とお食事会をされていました。そのときにも出産案件についてお話しされていましたが。「聞いたことないです」 重田氏は笑みを浮かべることもあったが、質問を肯定することは一度もなかった。記者が差し出した名刺を受け取ることなく、迎えに来たヴェルファイアに素早く乗り込むとその場を後にした。このヴェルファイアはこれまで取材班が重田氏の自宅や女性と面会していたホテルなどで目撃してきた送迎車と同じナンバーだった。 取材班は、重田氏が代表取締役会長を務める株式会社光通信と重田氏の自宅に質問状を送付した。 質問状には、“出産案件”の各条件は重田氏が指示したものなのか、面接を行っているオオタ氏とはどんな関係なのかといった事実確認に加え、不特定多数の女性に精子提供することによって生じうる諸問題についての見解や、そもそもなぜこうした行為を行うのかについての質問も加えた。 しかし期日までに回答がくることはなかった。 オランダで精子提供により550人以上の子どもの父親しかり、不特定多数の女性に精子提供し、多くの子どもを産んでほしいと考える理由は一体なんなのだろうか。 第三者による精子提供にまつわる法や制度の整備が進む昨今において、彼らの持つ“欲望”を無視することはできない。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
重田氏のように、“女性に報酬を支払って体外受精などで自身の子を産んでもらうこと”は犯罪には当たらない。だが、倫理上の様々な問題をはらんでおり、第三者への精子提供については世界中で法整備が現在進められているところだ。
まず、この出産案件のように、第三者の精子提供により生まれてきた子どもは父親を知らずに育っていく可能性がある。子どもが遺伝的ルーツを知るための「出自を知る権利」はアイデンティティの確立においても重要視されており、イギリスやドイツ、スウェーデンなど欧米諸国ではこうした権利を保障するようになった。
また、第三者の精子提供により生まれてきた子どもは遺伝的疾患の有無を知ることができなかったり、ある1人の男性が多くの女性に精子提供することで近親相姦のリスクが高まったりと、世界各地で多くの問題が浮上している。
男性不妊治療を専門として診てきた「みらい生命研究所」の代表取締役・岡田弘医師はこう話す。
「現在の日本における問題として、提供配偶子を用いた生殖補助医療に関する法整備がないことや出自を知る権利を保障するための情報提供機関が未登録であること、多様な家族の形に法整備が追い付いていないことなどが挙げられます。
日本では日本産科婦人科学会の会告が実質的なガイドラインになっており、この中で同一の精子提供者からの出生児は10人以内と規定されているほか、海外でも法律などによって近親相姦のリスクを減らすため、1人の男性の精子提供に偏らないよう定めています」
今年4月には、オランダの裁判所が精子提供を通じて550人以上の子どもの父親となったとされる男性に対し、これ以上の精子提供を禁じる命令を出したことが大きく報道された。“1億円出産案件”は「倫理的な問題をはらむ」 また、前出のA子さんがオオタ氏から受けた説明を鑑みると、家族とはいえ他人の保険証を使って病院を受診し、多額の現金を受け取ることに問題はないのだろうか。ある弁護士はこう話す。「具体的に病院でどういった手続きをするのか具体的な例がないと申し上げづらいですが、一般論として、他人の保険証を使ってその他人であるとだまして病院を受診し利益を受けることは詐欺罪に当たります」 現金1億円を受け取ることについて、国税庁職員はこう話す。「どういう建て付けで1億円をもらったのかによって税務処理が変わってきますが、当然税務署に申告する必要があります。悪質性など総合的に勘案しますが、無申告のままだと贈与を受けた側が無申告加算税といったペナルティが科せられます」 実際、重田氏や女性に刑事的責任が発生する可能性は低いとしても、倫理的な問題をいくつもはらんでいることは明らかだ。 見解を問うべく、重田氏を直撃した。記者の直撃に“出産案件の依頼者”重田氏は…?――「文春オンライン」の記者です。1億円の出産案件について取材をしていて……。「なんですか?」――重田さんが提供した精子で体外受精し、出産したら1億円の報酬が得られる、という話が出回っています。「聞いたことないです」――オオタさんはご存知ないですか?「知らないです」――3月24日にホテル(※会話では実名)で女性とお食事会をされていました。そのときにも出産案件についてお話しされていましたが。「聞いたことないです」 重田氏は笑みを浮かべることもあったが、質問を肯定することは一度もなかった。記者が差し出した名刺を受け取ることなく、迎えに来たヴェルファイアに素早く乗り込むとその場を後にした。このヴェルファイアはこれまで取材班が重田氏の自宅や女性と面会していたホテルなどで目撃してきた送迎車と同じナンバーだった。 取材班は、重田氏が代表取締役会長を務める株式会社光通信と重田氏の自宅に質問状を送付した。 質問状には、“出産案件”の各条件は重田氏が指示したものなのか、面接を行っているオオタ氏とはどんな関係なのかといった事実確認に加え、不特定多数の女性に精子提供することによって生じうる諸問題についての見解や、そもそもなぜこうした行為を行うのかについての質問も加えた。 しかし期日までに回答がくることはなかった。 オランダで精子提供により550人以上の子どもの父親しかり、不特定多数の女性に精子提供し、多くの子どもを産んでほしいと考える理由は一体なんなのだろうか。 第三者による精子提供にまつわる法や制度の整備が進む昨今において、彼らの持つ“欲望”を無視することはできない。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
今年4月には、オランダの裁判所が精子提供を通じて550人以上の子どもの父親となったとされる男性に対し、これ以上の精子提供を禁じる命令を出したことが大きく報道された。
また、前出のA子さんがオオタ氏から受けた説明を鑑みると、家族とはいえ他人の保険証を使って病院を受診し、多額の現金を受け取ることに問題はないのだろうか。ある弁護士はこう話す。
「具体的に病院でどういった手続きをするのか具体的な例がないと申し上げづらいですが、一般論として、他人の保険証を使ってその他人であるとだまして病院を受診し利益を受けることは詐欺罪に当たります」
現金1億円を受け取ることについて、国税庁職員はこう話す。
「どういう建て付けで1億円をもらったのかによって税務処理が変わってきますが、当然税務署に申告する必要があります。悪質性など総合的に勘案しますが、無申告のままだと贈与を受けた側が無申告加算税といったペナルティが科せられます」
実際、重田氏や女性に刑事的責任が発生する可能性は低いとしても、倫理的な問題をいくつもはらんでいることは明らかだ。
見解を問うべく、重田氏を直撃した。
――「文春オンライン」の記者です。1億円の出産案件について取材をしていて……。
「なんですか?」
――重田さんが提供した精子で体外受精し、出産したら1億円の報酬が得られる、という話が出回っています。「聞いたことないです」――オオタさんはご存知ないですか?「知らないです」――3月24日にホテル(※会話では実名)で女性とお食事会をされていました。そのときにも出産案件についてお話しされていましたが。「聞いたことないです」 重田氏は笑みを浮かべることもあったが、質問を肯定することは一度もなかった。記者が差し出した名刺を受け取ることなく、迎えに来たヴェルファイアに素早く乗り込むとその場を後にした。このヴェルファイアはこれまで取材班が重田氏の自宅や女性と面会していたホテルなどで目撃してきた送迎車と同じナンバーだった。 取材班は、重田氏が代表取締役会長を務める株式会社光通信と重田氏の自宅に質問状を送付した。 質問状には、“出産案件”の各条件は重田氏が指示したものなのか、面接を行っているオオタ氏とはどんな関係なのかといった事実確認に加え、不特定多数の女性に精子提供することによって生じうる諸問題についての見解や、そもそもなぜこうした行為を行うのかについての質問も加えた。 しかし期日までに回答がくることはなかった。 オランダで精子提供により550人以上の子どもの父親しかり、不特定多数の女性に精子提供し、多くの子どもを産んでほしいと考える理由は一体なんなのだろうか。 第三者による精子提供にまつわる法や制度の整備が進む昨今において、彼らの持つ“欲望”を無視することはできない。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
――重田さんが提供した精子で体外受精し、出産したら1億円の報酬が得られる、という話が出回っています。
「聞いたことないです」
――オオタさんはご存知ないですか?
「知らないです」
――3月24日にホテル(※会話では実名)で女性とお食事会をされていました。そのときにも出産案件についてお話しされていましたが。「聞いたことないです」 重田氏は笑みを浮かべることもあったが、質問を肯定することは一度もなかった。記者が差し出した名刺を受け取ることなく、迎えに来たヴェルファイアに素早く乗り込むとその場を後にした。このヴェルファイアはこれまで取材班が重田氏の自宅や女性と面会していたホテルなどで目撃してきた送迎車と同じナンバーだった。 取材班は、重田氏が代表取締役会長を務める株式会社光通信と重田氏の自宅に質問状を送付した。 質問状には、“出産案件”の各条件は重田氏が指示したものなのか、面接を行っているオオタ氏とはどんな関係なのかといった事実確認に加え、不特定多数の女性に精子提供することによって生じうる諸問題についての見解や、そもそもなぜこうした行為を行うのかについての質問も加えた。 しかし期日までに回答がくることはなかった。 オランダで精子提供により550人以上の子どもの父親しかり、不特定多数の女性に精子提供し、多くの子どもを産んでほしいと考える理由は一体なんなのだろうか。 第三者による精子提供にまつわる法や制度の整備が進む昨今において、彼らの持つ“欲望”を無視することはできない。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
――3月24日にホテル(※会話では実名)で女性とお食事会をされていました。そのときにも出産案件についてお話しされていましたが。
「聞いたことないです」
重田氏は笑みを浮かべることもあったが、質問を肯定することは一度もなかった。記者が差し出した名刺を受け取ることなく、迎えに来たヴェルファイアに素早く乗り込むとその場を後にした。このヴェルファイアはこれまで取材班が重田氏の自宅や女性と面会していたホテルなどで目撃してきた送迎車と同じナンバーだった。
取材班は、重田氏が代表取締役会長を務める株式会社光通信と重田氏の自宅に質問状を送付した。 質問状には、“出産案件”の各条件は重田氏が指示したものなのか、面接を行っているオオタ氏とはどんな関係なのかといった事実確認に加え、不特定多数の女性に精子提供することによって生じうる諸問題についての見解や、そもそもなぜこうした行為を行うのかについての質問も加えた。 しかし期日までに回答がくることはなかった。 オランダで精子提供により550人以上の子どもの父親しかり、不特定多数の女性に精子提供し、多くの子どもを産んでほしいと考える理由は一体なんなのだろうか。 第三者による精子提供にまつわる法や制度の整備が進む昨今において、彼らの持つ“欲望”を無視することはできない。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
取材班は、重田氏が代表取締役会長を務める株式会社光通信と重田氏の自宅に質問状を送付した。
質問状には、“出産案件”の各条件は重田氏が指示したものなのか、面接を行っているオオタ氏とはどんな関係なのかといった事実確認に加え、不特定多数の女性に精子提供することによって生じうる諸問題についての見解や、そもそもなぜこうした行為を行うのかについての質問も加えた。
しかし期日までに回答がくることはなかった。
オランダで精子提供により550人以上の子どもの父親しかり、不特定多数の女性に精子提供し、多くの子どもを産んでほしいと考える理由は一体なんなのだろうか。
第三者による精子提供にまつわる法や制度の整備が進む昨今において、彼らの持つ“欲望”を無視することはできない。
(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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